恐怖の<ふるやもり>とは

昔昔のお話です。

昔、一人の泥棒がおりました。
この世で一番強いのはなんと言っても自分、つまり泥棒ほど
この世で恐いものはあるわけがないと思っていました。

ある夏の夜更け、泥棒は無用心な古い家の前を通りかかりました。
「たいしたものはなさそうだが、、、」と中の様子を伺うと、、
老夫婦の話声が聞こえます。
ろうそくの明かりにちらちらと影が揺れ動く中
老夫婦は「この世で一番恐ろしいものはなにか?」と語り合っていたのでした。

「この世で一番恐いものと言ったら、あたしゃなんと言っても雷ですね。
あの恐ろしい音がもう恐しゅうて恐ろしゅうて、」と婆さんが言うと、
「いや、なんと言っても一番恐いのは幽霊じゃな。
夜中に人魂などがゆらゆらしてるともう恐いのなんの。」と爺さん。
「あら幽霊なんざ悪さしませんよ。お爺さん。
この世で一番恐ろしいものは、泥棒ですよ。
こんなに何もないうちからも身ぐるみはいでいくんですから。
ああ恐い恐い。」
「そう言われれば、泥棒がこの世で一番恐ろしいのう。」

それを聞いた泥棒は、にやりと笑い
「この世で一番恐いものはやはり俺様か。
どれ、その恐怖をこの爺と婆に味わってもらおうか」
と身を乗り出しました。
するとまた話し声が。。。

「でもお爺さん、やっぱり泥棒より恐いものがありますよ。」
思い出したようにお婆さんが言いました。
「泥棒より恐いもの?」お爺さんは聞き返しました。
泥棒も思わず足を止め、「俺より恐いものとはなんだろう」と
聞き耳を立てました。

「それはね、ふるやもりですよ。この世で一番恐いものは
なんと言ってふるやもりです。」
お爺さんも大きくうなずき
「そうだともそうだとも、何が恐いって、ふるやもりほど恐いものはない。
どんなところにでもいきなり現れるから、その恐さは泥棒の比ではないわい。」
「本当に。ふるやもりほど恐ろしいものありませんわ。」
老夫婦は青ざめたように震えながら、
お互いの意見の一致をみたのでした。

それを物陰で聞いた泥棒は、身の毛もよだつふるやもりの妖怪が
今にもここに現れそうな気がしてきました。
「この家にはふるやもりという恐しいものが住んでるのか?!
泥棒の俺様よりも?!
この家には手をつけず、逃げるがよかろう。」
と何も取らずに、こそこそと立ち去りました。

どんどはれ。

ちょっと待て!
それでふるやもりの正体は、、


古い雨漏りがするような家という意味です。
つまり老夫婦はこの世で一番恐いものは、ところ構わずやってくる、
雨漏りだったんですね。(^^;。

ここは<ふざけおにの居間>別館「ふるやもり」は
雨漏りする古屋です。

主人の実家では中古住宅のことさして、<ふるやもり>というのですが、
語源は最近まで私も知りませんでした(笑)。
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