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Interviews

#2 Global Catalyst Meets スローガン株式会社 代表 伊藤豊氏

2nd April 2009


伊藤豊氏 略歴

1977年生まれ。栃木県出身。1996年私立開成高校卒業後、東京大学理科一類へ。その後、文転し、文学部行動文化学科心理学専修課程を卒業後、 2000年に日本IBMに入社。システムエンジニア,関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネジャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事する。その後、ベンチャー企業の設立に携わり、マーケティング、ウェブ系プロモーションを主に担当した後、スローガンを設立。

現在マインドが甘くなっている日本の若者。彼らにに対して「やりたいことや楽しいことをやる以前に、やるべきことを追求する必要性」を説き、日本の将来を担う次世代リーダーの発掘・育成をすべく日々活動なさっているスローガン株式会社の代表取締役社長の伊藤豊氏のお話をお伺いする機会を頂きました。


リスクを取らないと大きなリターンは得られない

Q. スローガンは若者が「チャレンジを好まない」という現状に対して問題意識を抱いているとお伺いしましたが、伊藤氏ご自身は「リスクとリターン」という概念についてどうお考えでしょうか?


A. そうですね。やはり原理原則としてリスクをとらないと大きなリターンは得れないと思います。リスクが低いと思われているところにいくとまず「大成功」はないですよね。後乗りという形で既にブランドが出来たところに行ってもたいしたものにならないと僕は感じます。大きな成果(リターン)を得ようとしたら、たくさんの一流の人間がいる大手企業はブランドが出来上がっていて「時すでに遅し」なんですよね。つまり、自らブランドを作り上げていくところが最もリスキーかつチャレンジング。そしてそこから得るものが最も大きいと思います。


代表的な例でいうと起業家を輩出することで有名なリクルート。リクルートという会社も昔はベンチャーで社員数が一時は1000人規模で、リクルート事件もあったり大借金を抱えたりして辛い時期もありましたよね。1980年代当時は日本の産業界では今いうところの新興企業(数年前のホリエモン騒動時のライブドア的存在)だったんですよね。そしてバブル崩壊と共に90年代は借金を抱える苦境の会社でしたから、大手企業とリクルートの内定をもらっていたら大半の場合学生は後者を選ばない状況だったんですよ。でもリクルート側は、「辛い時だから共にリクルートを創ろうぜ」と激励して、大手商社を蹴ってリクルートに行くような人達もいたんです。周りの反対を押し切って、苦境の会社を復活させる努力をがむしゃらにした人たちがたくさんいた。その人たちが、今起業家として多く活躍している。つまり外部の声を気にせず周りからリスクの高いとされたつらい道を選んだ人間が結果として起業して現在成功している例が多いわけですよ。したがって今から起業家を目指して既に安泰な大企業となったリクルートにいくことは後乗りです。その時代によって企業規模も経営環境も当然異なってくるので、先輩たちが良い経験をしたからといって、皆さんが良い経験ができる企業とは限りません。周りが良いとするところ(=低リスク、安泰な大企業)では本質的に大きなリターンを得ることは難しいと思います。


Q.リスクテイクできる人はどういった人物だとお考えですか?


A. 一つのキーワードは天然かどうかですね(笑)賢くて用意周到なやつほどリスクテイクができないと思います。そして人のご縁を大事にする、人情深い人間は結果としてリスクテイクをする傾向があると思います。この天然であることと、人との出会いを大事にするっていう二つの要素は実は「二重の効果」があるんですね。両方備わっていて相乗効果が起きて、リスクを取って結果として成功している人間が出てくると思います。


Q.伊藤氏ご自身の「リスクテイク」についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

A.僕自身もあまり計算しない天然なところがあって大分楽観的でしたね。28歳のときに会社を作って、2年やってもし失敗したとしてもまだ30だと。そこからなら全然やり直しが利くと思いまして。それならなんのリスクもないと。そのままサラリーマンをやる方がリスクだと思いましたね。それに加えて起業というのは、なかなか皆取らない選択肢だろうから希少価値があるかなと考える程度の楽観主義でしたね(笑)


大手企業はチャレンジできない環境が整っている


Q.伊藤氏の起業までのいきさつを教えてください。


A. 当時僕が就職活動を行っていた時期は丁度ITバブル時でIT関連の企業が実態と乖離する勢いで成長していました。僕はうぶだったのでこれからは絶対IT分野だと思い、この業界を選択していました(笑)そこで第一志望ではなかったのですがIBMに入社したんです。とりあえずIBMに入社した時に感じていたことはIBMはでかすぎるということですね。同期が500人もいる状態だと非常にone of themという感じがして、500人の同期が全員優秀だとはとても思えませんでした。集合型の研修も退屈でしたし、新入社員当時の僕は大分ぐれてましたね(笑)


当時僕が漠然と描いていたのはITの視点からビジネスを構築するということだったんですが、配属された部署での仕事はイメージと違いましたね。大企業は最先端の事をやっていると思っていたんですけど、実際はクライアントが保守的な大企業だから、あまり最先端で前例のないことは出来ないんですよ。クライアントがリスクを取りたがらないので、ひと昔前の技術で開発をおこなったりすることが多かった。そこで、会社の経営をITの面から支える仕事がしたいと上司に話したら、「お前は何が出きるんだ?」と言われましたね(笑)それが悔しくて、そこから1年半程がり勉のようにビジネスや経営に関する本を読んで。昔は本を読まないほうでしたけど、毎月10冊は読むようにしましたね。そして読む本の数と比例して自信もある程度ついて、もっとビジネスに近い世界で働きたいと思うようになってきました。


自ら変化を起こせるベンチャーとの出会い


そこで、社内公募制度で30人くらいの関連会社に出向して、ベンチャー的な働き方をもろに学ぶきっかけを頂きました。まず、ベンチャーの環境にはとにかく驚きましたね。とりあえず何もないと(笑)。リソースもほとんどなくて。「あれもこれもやらなくていいのか?」と言うと、「やりたいけど、手が回らない。じゃお前やってよ」と言われると(笑)これは本当に大手じゃ想像できない世界なんですよね。変化を起こせるチャンスが転がっていて、楽しくてしょうがないと。だって本で読んだことを全て実践するチャンスがあるんですからね。例えば、マーケティングの本を読んだ社会人は多いと思いますが、実際にマーケティングを仕事で実践した経験がある人はほんと少数だと思います。ベンチャーだと全て自分でやれる、その楽しさを自分の肌で感じて気づいたんですよね。


大手とベンチャーを2年ずつで経験して、その時期に既に自ら何か始めたいと思っていたんですが、もう一度、大手の世界を見て、成長した自分の力を試してみようと思いました。
今度はマーケティング部門署に入って大手の全体が見えるようになったのでそこで学んだこともありましたね。


一生取り組めるものを選びたかった


Q.どういった経緯で現在のスローガンを始めたのでしょうか?


A.何か自分で事業をやろうと考えたときに、一生かけて取り組めるものを選びたかったんですよね。ここが流行りだからってのは基準にしたくなくて。自分の経験からも、大手とベンチャーの違いをもっと世の中に知ってほしいという強い気持ちがあったんですよ。現状として優秀な人材は皆大手を見ていると。でもせっかく優秀なんだからもっと壁が高いところを目指してほしい、チャレンジしてほしいと僕は考えていました。ベンチャーで働いてどんどん問題解決をしてくれれば、日本はもっと活気付くと思ったんですよ。そして組織が小規模だと若いうちからリーダー経験も出来ますしね。若いビジネスリーダーが新しい社会的使命とマッチした企業を牽引してどんどん成長していく姿をイメージして、新しい流れを作りたいと思いました。


Q.スローガンの最終的なゴールは何でしょうか?

A.このまま行くと日本は停滞していまいちの国になると思います。それを食い止めたいと今は考えています。もう一度、「日本人って素晴らしい」といわれるような組織、人材を日本から輩出したくて、そのきっかけや社会的ムードを創る上で貢献したいと思っています。現在の仕事として僕たち自身が人を支援、会社を支援していますが、その先には社会的ムード自体が自然と変わっているという状況を作り上げたいと考えています。


修業するのなら経営者の近くへ!


Q.これから起業を志すものに対して、伊藤氏のアドバイスをお願い致します。


A. 僕はいきなり学生から起業することはおすすめしていません。やはり誰かの元で修業をして、ある程度学ぶことは必要だと思っています。そうすると学ぶ環境としてどこが一番いいかという話になってきますよね。その答えは多くの学生が考えている、大手コンサルではないんですよ。大手は基本的に自社もクライアントもリソースが揃っている。つまり大手に入ると、ヒト・モノ・カネのどれもが不足する創業したてのベンチャーとは、全くの逆の世界で働くことになるんですよね。しかし、コンサルの中でも専門性が明確にあるベンチャーでクライアントが小規模な場合は良いと思います。


僕としては、筋の良い経営者のそばで働ける環境をおすすめします。マックスでも50人規模の会社ですね。100人だと末端の新入社員と経営者間の距離は大分あります。欲を言えば、クライアント、顧客接点がある場所がなお良いですね。さらに欲を言えばクライアントが経営者であることです。自社でも経営者のそばで働き、クライアントも経営者だと経営者的感覚を多く学ぶことができて、自分も経営者になれる確率が飛躍的に高まると思います。

そうすると、経営者として非常に大事な「考え方」であったり、「人間性」であったりを深く最短距離で学べると思います。スキル面で言うと、大手に入ると専門的な一つの視点からしか全体を捉えることがしにくいのですが、ベンチャーで働くと組織全体を俯瞰できるようになると思います。なぜなら、小規模なベンチャーでは、自分がさまざまな部門の人とのインターフェースとなって、同時並行的に営業や開発、マーケティングから経理・財務といった金勘定まで企業全体を見る必要性があるからです。


Q.最後に伊藤氏が、スローガンが、チャレンジすることを選び悩んでいる学生に対して、伝えたいメッセージをお願い致します。


A. 基本的に「非凡」を目指すのであれば、みんなが良いと思う選択をした段階で「凡」になってしまうということを認識すると良いと思います。みんながやっていること、優秀なやつらがやっているのと同じ事をするようでは足りなくて。職業選択においても、学生時代でも平凡に過ごしたくないのなら、将来非凡なビジネスリーダーになりたいのなら、変わったことを進んですることをおすすめします。昔は今人気のコンサル会社に入ることもリスクがある時代があったんですよ。当時、外部から非難の声があってもその道を選んだ「非凡」な人たちが現在は成功しているんです。リスクを恐れずにチャレンジして欲しいし、日本を変えていく人間はやはり鋭いキャラクターが必要だと思っています。そこを意識して学生には頑張って欲しいと期待していますし、私たちはそうしたチャレンジを学生と真剣に向き合っています。


GC.本日はお忙しい中、誠に有難うございました。


編集後記

Global Catalystのメンバーの多くが、スローガン社が運営している様々なセミナーに参加させて頂いています。そこで感じることはやはり参加者の意識が高いこと。 成長真っ只中のベンチャー企業経営者と直接お話が出来る機会を提供してくれることは学生の意識を高め、さらに我々が見える目標さえも無限に広げてくれます。 スローガン社は今後チャレンジしたい学生にとって素晴らしいパートナーになるとを確信しております。

スローガン社が運営している学生への情報発信HPへのリンクです!

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