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Interview

#3 Global Catalyst Meets ForeSight& Company 齋藤 顕一氏



  Interview #3

齋藤顕一氏 略歴


国際基督教大学ご卒業後、新卒で1975年にマッキンゼー・アンド・カンパニー社に入社。1987年には同社パートナーに就任。大阪副支社長を経て1996年1月に株式会社フォアサイト・アンド・カンパニーを創立。2005年からBBT大学院大学の教授。現在は経営コンサルタントとして活躍されると同時に大学院や企業において「問題解決の考え方」を世界に発信している斎藤氏のお話をお伺いさせて頂きました。



当時は異例の「新卒」でマッキンゼー社へ

Q.斎藤氏は大学在籍中にどういったことを考え、マッキンゼー社を選ばれたのでしょうか?

A. 僕は就職せずに、大学院に行こうと思っていたんですが、当時のFreshman English*の先生に「君みたいな学生はMcKinsey & Companyへ行くべきだ!」としつこく薦められて、マッキンゼーのインタビュー(入社面談)を受けることになりました。もちろん、最初はMcKinsey & Companyなんて全然知らなくって、「マッケンジー?洋服?コンサルティングって何?」という感じ(笑)。「まぁ行ってみるか」とインタビューを受けに行って、出てきたのが大前研一さんでした。彼と3時間程話をして「おもろいけど、すごいおっちゃんやな~」と思っていたら「君、面白いからうちに来い」と言われて入社することになったんです。
・・・でも、入社して早々、「君な、入社したからってそんな簡単にコンサルタントになれると間違っても思うなよ。使えなかったから辞めてもらうからな」って言われて「とんでもない会社に入ってしまった・・・」と思いました。後から知ったんですけど、当時、新卒採用をしていなかったから、実験台として新卒の使い道を試されたんですね(笑)。
入社後は死に物狂いで仕事をしました。僕のICUで専攻したコミュニケーションは経営や経済とか商学とは無関係で、仕事を進めていく上での知識がなかったからね。コンサルティング会社って中途半端じゃないから、『知ってる、知らない』に関係なく常に「君、これ調べて分析してくれ」って仕事を頼まれる。例えば「日本の自動車会社の損益分岐点」を分析してくれって英語で頼まれて、そこでまずは英和辞書を引いて、次に会計学用の辞書を引いて、ようやく質問の意味がわかる、そうしたら仕事を始めるまでに1時間以上かかるんです。当然スピードも要求されるから、1日で仕事にかける時間は尋常ではなかったね。そのおかげで、1年経ってからのレビュー(評価面談)で大前さんに、「入社してから大分成長したな!」って言われて、知らないことを理解するために、徹底的に時間を使って努力することの重要性をそこで改めて感じたんやね。
*ICU大学での学部一年生向けの英語授業


「思考の世界は青天井」

「モノの考え方を学ぶと、世界は広がるんだってことをマッキンゼーで教えてもらいました」


Q.斎藤氏がマッキンゼーで学んだ最も大事なことは何でしょうか?


A. コンサルティングを成功させる上で不可欠な問題解決の方法論はもちろんのこと、「思考の世界は青天井」つまり考える世界はどこまででも無限大に広がっていくことだね。僕は小中高と成績は決して良くなかったし、自分のことをいわゆる“お勉強が良くできる優秀な子”とは思っていませんでした。でも、コンサルティングで大事なのは、知識ではなく考える力であり、その人の地頭の世界なのです。マッキンゼーでは、この物の考え方を学ぶと世界は広がるんだってことを教えてもらいました。これは経営においても同じで、本に書いてある誰かが言っていることをやるのではなく、自分の頭を使ってなにが問題でどうすればいいのかを考えて実行することなんです。そういう意味では、世の中の多くの人は、小手先のテクニックや知識だけでうまくやろうとしたり、会社の経営は経営者だけが考えるのものだと指示されることだけを待っていたりと、自分の脳を使っていないことに気がつきます。でも、それって、誰かに教えられないと気がつきにくいことだと思う。だから僕は「問題解決の考え方」を1人でも多くの人に知って、僕と同じように気がついてもらいたいと思っているんです。


  考える力があれば志は消えない

A. 決して入社したときの気持ちを忘れているわけではないけど、会社に入ると不思議な ことに、いくら高いアスピレーション(志)を持っていても、時間がたてば経つほど、仕事に追われれば追われるほど現実は理想と乖離していってしまいます。他の事に一生懸命になるから優先順位が変わってくるんです、それで、10~20年経って初めて、「俺の人生は何してたん?」ってようやく気がつく人が多いと思います。だから、それを回避するためには、自分の頭で客観的に考え、目的を見失わないことが重要になるんやね。ビジネスにおいても、モノの考え方をしっかり学ばないで、テクニックだけで業績を上げることはできない。これは僕の経験から思っていることなんですけど、業績を上げるためには、コンサルティング会社がどんなに素晴らしい提案を出しても、それを当事者が実践できなかったら会社なんて成長しないし業績も上がらないんです。人がやる気になって、正しい取組みにすべてをかけるから実現するんです。人がビジネスの世界で成功するかどうかは、3つのことができるかどうかだと思います。
一つ目は、問題を発見し解決法を考え出す力です。

二つ目は、顧客を喜ばせることで、企業や組織の業績をなんとしてでも向上させ、従業員やその家族を幸せにしたいという情熱を持ち続けること。

そして、三つ目は、人に信頼され、難しいハードルを「この人と一緒なら越えれるかも」と思ってもらえるような、人に影響を与える「人間力」があるかどうかが重要になるんです。リーダーも同じなんです。リーダーというのはポジションや肩書きがあるから人を引っ張っていけるものでは決してない。社長という肩書きを持っていても、リーダーシップが取れない人がいっぱいいる。企業の中で、リーダーといえる人は、会社の本質的な問題を考え、業績をあげるために必要な取組みを考える。そしてみんなが理解できるように論理的に説明して、言うだけではなく自らが率先して行動するわけですね。その時の、考え方が正しくアプローチも正しければ結果は必ずついてくる。そうするとその姿を見ていた人は「あいつについて行こうか?助けてみようか?」となって、気がつけば多くのフォロワ―が共感してついてくるんです。大前さんが学長を務めている経営大学院では「グローバルリーダー」を作ることを目的としています。僕もその教授の1人なのですが、こういったことを皆さんに学んでもらえればと思っています。


軸足がぶれないことの重要性

Q. 斎藤氏が考える、問題解決を実践する上で最も困難な点は何でしょうか?

A. それは「本質的な問題を発見する」ことだと思うね。これが出来ると問題解決の60%ぐらいは完了していると言える。つまり、問題解決の基本は“解決の方法”を考えることではなくて、まず本質的な問題を見つけること。大事なのは問題がどこにあるかを理解することなんです。

例えば、君が友達と喧嘩したとする。そしたら多くの場合は、「どのように仲直りをしたらいいか」を考えるね。「問題を認識する」とすぐ解決しようとする、のは人間の本能だから。この場合も「なんで友達と喧嘩したのか」とその原因を徹底的に考えて、問題点を発見することで解決できるのだけど、問題がわからないで解決しようとすると“思い込みの世界”での取り組みになって、本当の解決にならないどころか、悪化してしまうことになりかねないのです。

これは企業でも、同じなんですけど、問題の本質を見つけるのは想像以上に難しい。例えば「ある商品の売上が下がってるけど、それは何故か?」と考える場合、「それは袋のせいか、味か、見た目か、売っているチャンネルか、価格か?」とマーケティング上の問題がある、それ以外にも、「そもそも高く作りすぎていないか?」という製造の問題、そして「そもそもこれは顧客の支持を受けれるのか?」という開発上の問題の可能性もある。又は「購入者に対する後のサービスが悪いのか?」と、こうやって可能性はいくらでも広がるんですよ。ところが現実では、平気で「こんなもんすぐ改善せんかい!」って経験則に基づいた対症療法的な取組みを社員にやらせる経営者や管理職がたくさんいるんです。

問題解決とはロジックの世界ではあるんですけど、実は、基本となる大事な考え方が出来ているかで、初めて“ロジックで考えることが生きてくる”のだと思うんです(基本となる大事な考えを間違うと、ロジックで考える結果を間違えるから)。この大事な考え方を僕は「軸足」と呼んでいるのです。その軸足の定め方がやはり難しい。よく経済や経営を学んでいる学生が、「企業の目的は利潤の追求ですよね」と言っているのを聞きます。きっと本にでも書いてあるんでしょう。ぼくはそうは考えていないのです。ぼくの「軸足」は“顧客を喜ばせることによって売上をあげる」ところにおいてあって、売上があがることや利益がでることは、目的ではなく結果だと考えているんです。

例えば、「皆さんが大学に何故入ったのか?」と、聞かれたときにどう答えるか。「将来、良い会社に就職したいから良い大学に入学したんです」と言うとすると、その人にとっての大学の目的は就職にあるわけだから、よい就職をするための方法を何通りか考え行動するよね。大学に入学する目的を「人生を豊かにする」とした場合、今度は人生を豊かにするために、なにを大学時代に考え行動すべきか、と考えはじめる。これが軸足の議論なんです。名門企業に入るために、学生はいかに自分を良く見せるかを工夫するんですけど、企業は「こいつは、ただの借りもんや」とすぐに見抜きます。それはノウハウ本からの言葉の受け売りで、人から借りた言葉を自分で代弁しているにしか過ぎないからです。そうではなく、自分の経験や物事の本質を理解して、軸足がぶれない、ことが重要だということやね。


100のものから1つの結論を導き出す

A. 問題を洗い出して分析して、そこから100個の事実が分かるとしてもそれで終わりではないんです。「100個の事実がわかったのはええけど、要はなんなの?」と聞かれて答えられなければ、意味はない。100個の事実からひとつの結論を言う、それが本質的な問題解決なんですよ。でも、100個の事実を全て包含したものは言うのは簡単ではなく、それを唯一言える方法が「帰納法」で考えるということ。帰納法で共通項のものをグループ化して、要約してみる。100個の事実をひとつの結論に導けないのは、分析して発見した事実のテーマが混在しているからであり、同じテーマのモノを集めて“混在している状況ではなく、共通項で整理した状況”に変化させることで、結論が導き出せるということ。いくつかの要約されたものをさらにまとめて、ようやく結論を導き出すことができるんです。
本質的な問題を論理的に理解し説明する、このロジックは日本人って誰からも教えてもらっていません。我々が学生時代に教わった唯一の順序は「起承転結」、これは4通りある順序の一つの考え方でしかない(順序は時間の順序、序列の順序、構造の順序、演繹の順序の4つ)。他にも様々な整理方法や考え方が存在しているのにも関わらず、我々が学んできたことは非常に限られていて、全体像が見えていない。結局多くの企業は、問題解決というロジックで物事を考えることが出来ておらず、皆「おれの経験によると!」ってなってしまうところが問題なのです。


「Noblesse Oblige」

Q. 斎藤氏はなぜマッキンゼー社を退職し、起業を選択なさったのでしょうか?

A. なぜでしょうね。ヘッドハンティングの会社から別のコンサルティング会社の話は有ったんですけどね。人生は一度しかないし、自分でなんかやってみたいと思ったし、まだ40才代であって失敗してもやり直しがきくだろうと思ったからでしょうね。しかも、男の美学・・・というか、ゼロからもういっぺん始める道を選らんだのです。普通は起業するときには、クライアントやスタッフを連れてくるみたいですけどね。そりゃはじめは、マッキンゼーという名刺がなくての再スタートでしたから大変でした。でも今も僕がこの仕事をまだ継続しているのは、今の仕事を通して、クライアントの業績上がって従業員が喜ぶ姿が見ることができるからですね。業績上がると、給料上がって、ボーナスももらえて家族も喜ぶんです、カッコよく言うと、人をハッピーにすること、お客さん、そして株主もハッピーにすることが、僕の原動力なんです。昔、大前さんが言っていたことで、僕も共感しているんですけど「Nobles Oblige」って言葉がありますが、何かに選ばれて才能を磨いた人は、その時点でそれをほかの人に返す義務や責任があるんだと思っています。


本質を追うことで、テクニックが生きてくる


Q. 最後に、現在「大志を抱く」若者へのメッセージをお願い致します。

A. 絶えず成長するためには、問題解決の考え方を磨くと同時に情熱を持ち続けることが大事。特に、学生の皆さんには、特に目線を高く持ちつつ、実力として物を考える力を培って欲しいと思います。あと、先ほどお話したように人に影響を与えること。それは人の魅力に起因するんですけど、その魅力は自分で苦労し努力して、自分の言葉で話せる人になって行動して結果を残した人のみが勝ち取ることができることやと思うね。
僕は世の中には2パターンの人間がいると思うんです。一つがアスピレーションを持ちながら、それを実現するために考え行動する人、そしてアスピレーションだけ持っているだけで終わっている人。後者の人が多くて、どんなに、呪文だけを唱えていても夢はかなわない。目的を設定した時点で、それを実現するためのプログラムを一緒に考えているってことが大事ということ。これは企業で働く人にも同じことが言える。テクニックだけを学ぶんやなくて、本質を追うことで、テクニックが生きてくるってことや。それがアスピレーションの実現につながるということ。頑張ってください。


GC: 本日はお忙しいところ貴重なお話、有難うございました。


編集後記



  #3 Global Catalyst Meets ForeSight& Company 齋藤 顕一氏

当時は異例のマッキンゼー社新卒採用でパートナーまで登り詰めた齋藤が熱く語る「本質的問題解決」。その迫力と面白さに一時間のインタビューが一瞬のように感じました。
最近巷で流行化している小手先のテクニック等とは一線を画す、あらゆる問題に対する根本的な解決策を導き出す問題解決力。「自らの頭で論理的、創造的に考える力」は一朝一夕で手に入れることは難しい。だが、熱い気持ちを抱き本気で問題解決に取り組むものにとってこのプロセスは非常に有意義かつ驚くほど面白いはず。
強い目的意識を持ち、それを達成するために障壁を乗り越えようとしている学生にとって、齋藤氏が教えて下さった「本質的問題解決」を学ぶことは間違いなく、目標に近づく大きな飛躍になると私達は考えています。
斉藤様、お忙しいところお時間頂き本当に有難うございました。


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