「慰安婦」問題で、外務副報道官がひどい対応

070317

200739日の外国人プレス記者会見で、外務副報道官 谷口智彦氏は以下のような発言をしたそうです。

このひとにはスピリチュアルな感覚がない。自分の「仕事」振りへの恥の意識がない。愚かなことだ。



外務省HPの「外国人プレス記者会見記録」、谷口外務副報道官の会見記録
http://www.mofa.go.jp/announce/press/2007/3/0309.html
の中の  III.Questions concerning the comfort women issue
の発言

長文なので、部分だけ引用します。(衣斐なおみ氏仮訳)

谷口氏;・・・現内閣は、あくまでも1993年の河野談話を 踏襲していること。さらに、従軍慰安婦の方々のあまりにも過酷な体験は、我々、子を持つ者として、決して我が子に体験させたくはないと思っています。しかし、戦時のことです。戦争にはありとあらゆる人間的な悲劇が付きものです。それこそが、当時、村山富市総理の強力な指導の下、内閣の総意として日本の責任を認めるとしたいわゆる河野談話を、当時の官房長官であった 河野洋平氏が表明したわけです。その結果、政府主導による基金が創設され、民間からも 多額の寄付が寄せられました。また、以降、小泉総理時代までは、被害者の方たちに一人一人、 個別に宛ててですね、総理大臣が署名入りの手紙を送っています。そこまでやっているということで、十分ご理解頂けると思います。

〈伊田コメント〉
まず、悲惨なことを戦争一般の問題にしているのがおかしい。また「基金」は、多くの「慰安婦」当事者の反対にもかかわらず、政府・国家の責任を避けるために、民間の募金というカタチを取ったもので、まったくひどい対応だった。全然充分な対応ではないのに、ちゃんと対応したかのような嘘を言っている。

★★

Q; 「慰安所」という施設は、どのような性質のものだったのでしょうか。

谷口氏; その点につきましても、私は、逐一、事細かにご説明申し上げる立場にございません。

〈伊田コメント〉
答えを避けている。大事な点で何もいえないからごまかしている。

★★

谷口氏;・・・ご質問にお答えしますと、「強制性」とおっしゃるこの案件の状況につきましては、様々な区分と定義付けが可能であるということです。最も極端な例としましては、仰るように、日本政府が民政であろうと軍当局であろうとですね、民家に押し入って若い女性を誘拐し、力づくで慰安所へ連行するというケースです。が、このような極端な事例は存在しておりません。河野談話の公表に先だっては、日本政府によって国内外を問わず徹底的な調査が行われておりますが、そういった事例はいっさい報告されておりません。 この調査によって、逆に、そういった極端な事例は無かったことが証明されたわけです。
そこで、仰るとおり、少なくとも一つだけそのような事例が存在するのではないかということですが、当時の軍当局に既に明らかになっており、当事者である将校は既に罰せられている訳です。つまり、そういった極端な事例は、当時の軍当局においても違法な行為であり、罰則に値すると広く考えられていたことがお解りになると思います。

〈伊田コメント〉
「強制性」あることを極端な事例に限定して、それを否定するというレトリックを使って逃げている。先ずここが嘘である。また「極端な事例」は存在していないと断言している。
だが実際は、徹底した調査などなされていない。後で明らかになるが、日本軍性奴隷となった人々へのちゃんとした聞き取り調査をやっていない。そしてそのことを知らないまま(あるいは隠したまま)、谷口氏は、ここで断言している。つまり調査のことを知りもせず(調査をせず、事実を直視せず)、日本政府、および昔の日本軍の立場を擁護するために、強弁だけしている。

★★

Q;元従軍慰安婦と名乗り出た人たちの中の、あるオーストラリア人女性は、――たとえどのような形で慰安所に辿り着いたにしろ、就職活動であったとしてもです、――そこでは、誰もが力づくで兵士たちとのセックスを強要されたと証言しています。 押えつけられて、あるいは銃を突きつけられたり、日本刀やナイフで脅されて、つまり、強姦されたというような証言をしています。強姦は、まさに強制的行為ではありませんか。 そのようなことがあったのでしょうか?

(この質問には明確に答えなかった。そこで再度次のように聞かれた)

Q
 先の質問のような強姦の事例は、「狭義の意味での強制性」に該当しますか?

谷口氏;その質問にはお答することはできかねます。私が、当時生きていた訳でないですし、実際の所どこまでが強姦で、どこからが売春であるについて、十分な知識もないのものですから。
今も、苦しんでおられる方がある。元慰安婦の方たちが、今なお、苦痛を抱えておられ、悪夢のような過去の出来事に悩まされ続けていることは良く存じ上げています。
だからこそ、日本政府としましても、この問題を平和的に解決する方向で努力をしております。

〈伊田コメント〉
まず、「当時生きていないから答えられない」とはなんという不誠実な答えか。
また「実際の所どこまでが強姦で、どこからが売春であるについて、十分な知識もないのものですから。」というのもひどい。十分な知識もないのに、先に見たように、強制性はないなどと答えていたのだ。「どこから強姦で、どこからが売春か」、などという抽象論を述べているのではない。このような発言が当事者を傷つけたり侮辱するものであるということさえわかっていない発言だ。無責任きわまる。血のない官僚的な発言だ。
あまりにひどいので、記者がちゃんと畳み掛けている。ここが日本のジャーナリストと大きく違う。日本のジャーナリストは論理力=追求力がない。偏差値的に頭が悪いということではない。問題意識と視点がないから、いい加減な答えを見逃さずに追い詰めるということができないのだ。

★★★

Q;慰安所で日本兵に繰り返し強姦されたと、断言している元慰安婦は少なくないという共通認識があると思うのですが。日本政府は、その証言を証拠として取り上げることはしていない、ということでよろしいですか?
谷口氏; 仰る内容が具体的に、どの事例を表すのかが解りませんので、ご質問にお答えするのは控えさせて頂きます。
〈伊田コメント〉
不都合なので逃げている。
だが記者はあきらめずに追求を続ける。

Q; ジャン・ラフ・オハーンさんの証言によると、ジャワ島の捕虜収容所の抑留されていたが、慰安所へ連れて行かれて後、何ヶ月にも渡って、日に4,5回強姦されたということです。確か2年間、この状態が続いたという話でした。 彼女の言うことは、信じる必要がないとお考えですか?
谷口氏; その人を信じられるかどうかは解りません。
その前に、もっと時間を掛けて、彼女の記録や証言を調査する必要がありますから。
〈伊田コメント〉
「その人を信じられるかどうかは解りません。」とは
ほんとうにひどい答えだ。血も涙もない。うそつきよわばりしている。このような対応自体が、安倍首相と同じく、ああ、結局日本軍「慰安婦」問題をわからず、なかったことにしようとしているのだなと伝えている。

★★★

Q;つまり、この問題については歴史家や研究者に任せるということですね・・・

谷口氏;過去に起こった出来事を再現するのは、非常に難しい作業です。たとえば江戸時代はどんな時代だったかというテーマも、論争の的です。・・略・・ そんな具合ですから、歴史家にとっても、やはり、過ぎ去った時代を振り返って、再現したり、事の真相を明らかにすることは、非常に困難な訳です。専門外ですから、私どものような政府関係者が、一閣僚としてですね、過去の歴史において起こったことを正確に語るなどというのは、全くお門違いです。

〈伊田コメント〉
じゃあしゃべるな。一体、今まで、何をもって「強制性のある慰安所はなかった」と言い切ってきたのか。おろかすぎる。

★★★

Q; 慰安婦問題は、日本の立場を悪くすることために、政治的な意図を持って取り上げられているとお考えですか?
谷口氏; そういった人々が存在すること、特にアメリカにおいてはそういう方たちが確かに存在すると思います。 自らの寄って立つ主張に沿って、原因をほじくり返して不平等を是正したいと考える人たちですね。 そういう人たちが、一概に政治的意図を持っていると批判することはできません。支援活動に勤しむ人は、常に存在し得ると、単に申し上げているだけです。

〈伊田コメント〉
政治的な意図を持ってこの問題を取り上げているとしかみていない。「慰安婦」とされた人の痛みに心をまったく寄せていない。政治的な謀略だとしか見ていないのだ。

★★★

Q;先述のオーストラリア人のラフ・オハーンさん以外にも、他の数カ国の女性たちが、 力づくで慰安所へ連行されたこと、そして、強姦されたことを主張しています。
あなたが仰っているのは、彼女たちが売春婦であって、偽証しているとということと理解しましたが、間違っていませんね?
谷口氏;あることについて、それは実際にはなかったことだと主張するのは、私ども人間にとって非常に難しいものです。 もしくは不可能と言えるかもしれません。たとえ一つの例を取り上げて、そのような事件は無かったと証明できたとしても、それで立場が正当化されるわけでもありません。
しかし、日本政府の調査に関して言わせて頂くなら、強制的な誘拐、強制的な強姦や民間人の家へ押し入って若い女性を拉致するなど、そういった言語道断な行為は見いだすことができませんでした。

〈伊田コメント〉
みごとに記者は論理的に追い詰めて質問を繰り出している。それに対し、谷口氏は上記と同じく、政府の調査をもちだすが、それは強弁だけになっている。徐々に、「売春婦だ、偽証している」とおもっていることを伝えてしまっている。

★★★

Q; 是非お答え頂きたいのですが、その調査では、元慰安婦と名乗り出た人たちに対する目撃者の証言は行われたのでしょうか?
谷口氏; 調査については、可能な限り、念入りに行われたと聞いています。 調査に当たった担当者も、ありとあらゆる情報を丁寧に捜査した結果、このような結果に到達したと確信しております。

〈伊田コメント〉
この質問は核心に触れている。これによって谷口氏が何も知らないということが浮き彫りになった。ただ、官僚的に「ちゃんと調査された」と聞いているという程度しかいえないことを浮き彫りにしている。「確信している」等というのは願望に過ぎない。記者はさらに駄目押しをしていく。

★★★

Q; 調査官たちは、直接、元慰安婦の女性たちから聞き取りをしたのですか?
谷口氏; その点に関しては、残念ながらお答えできません。存じておりません。そこまでの知識を持ち合わせておりませんので。

〈伊田コメント〉
ここにいたって、はっきりとした。一番大事なところを知りもせず、そして調査もしておらず、ただ、「政府は調査をやった、そして強制性はなかったと証明されている」と強弁していただけだと明らかになった。化けの皮が完全にはがれた。恥を知れというべきだろう。なんという無責任な態度だろう。これを悪い意味で、「官僚」というのだろう。

★★★

Q; 略・・・安部総理は、どうも文書化された証拠、書類に記載された証拠についてのみ語られたという印象を受けました。そこで、政府の立場としては、証人が実際に言葉で語る証言についても考慮されているのかどうか。 この点について答えください。
谷口氏; とてもよい指摘だと思います。 その点について、もっと詳しく知っているべきとは思いますが、残念ながら存じあげておりません

〈伊田コメント〉
知らんのか! あるいは、ちゃんと証言の調査をしていないことをだいたいは知っているが、そのことを言うとまずいので、知らないといっているだけか。両方だろう。

★★★

Q; 調べていただけますか?
谷口氏; 推量でお話することはできません。 しばらくお時間を頂ければ、後ほど調べてお答えいたします。

〈伊田コメント〉
多分、「調べた」後も官僚的に曖昧な答えで逃げるだろう。つまり、今後、ちゃんと当事者からの聞き取り調査を実行していくというようにはならないで、過去十分な調査をしたと強弁するだけで逃げようとするだろう。つまり、政治的に逃げようというのだ。本気で軍性奴隷問題の解決、責任を取る、謝罪するというようなことをする気がまったくないのだ。


安倍首相もひどいが、その下での官僚たちもひどい。

そういう人たちが言うのだ。「十分対応している」「もう十分謝っている」と。
お笑いである。
DV
している男が、「もう充分謝っているじゃないか。男のオレがこんなに謝ってるんだぞ」というのと同じだ。

 

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