スピリチュアル・シングル宣言

――生き方と社会運動の新しい原理を求めて

 

伊田広行著  明石書店、2003

 

(ここでは、上記の本の「はじめに」と「目次」を紹介させていただきます。

私のスピシン主義の基本(出発点)を書いた本になっています。

続き(具体化)を書こうと思いつつ、今日まで書けていません。)

 

☆  ☆  ☆ 

 

はじめに

私なりの、「生き方の奥底のライン」というものが、みえてきた。何を見ても、どれを読んでも、そこだよなあというもの。私が好きな人や素晴らしいとおもえる人にはあるのに、でも、それが明確に指摘も意識もされていなようなもの。それが見えていない人がまだまだ多いように思う。このことを明確に他者に伝え、他の人と語り合い、自らそれを実現する生き方を探り、次の世代に伝えていく必要があるように思う。自分にとって、生き方や社会運動(人権)への関わり方を見直す指針となるようなもの。私が1回だけの、かけがえのない自分の人生を、悔いなく生ききるとは、どういう生き方なのか。それを、私はこの本で〈スピリチュアル・シングル主義〉(略して〈スピ・シン主義〉)と名づけ、その概念を鍛え上げようと試みた。

宗教でも、ニューエージ(精神世界論)でも、オカルトでもない。むしろそれらを批判する。しかし、それらに近接せざるをえない領域の思考。合理主義者の僕が、経験を積み重ね、考え続けて、そこを扱わざるをえないと思い至った領域。「個人」と「全体性へのつながり」の問題を考え、僕が突き当たったのは、〈たましい〉というとても微妙な概念だった。そして、ちゃんとまともにどっしりと自由に生きたい、つまり、スピリチュアルに生きたいのだと私はわかった。短い人生だから、口先でなく、行動で自分が今これからすべきことをはっきりとさせたかった。はっきりとしたからには、私は、前に一歩進む。言葉で伝えきるのはとても難しい。でも挑戦してみた。私は、変わりつつある。この本を契機に、いっそう私の後半の人生は、色合いを変えていくだろう。

 

こういうテーマは、ともすれば、「宗教系」とか「ちょっといい話」とか「教訓の本」として読む前から色眼鏡で軽く扱われがちだということは自覚している。ヌルクてユルクていいかげんなことを調子に乗って雑に語るのをやめたい。大人が子どもによくやるように、きれいごとを自己陶酔的に語って、できもしないことを、分かったように説教たれるのをやめたい。誰をも具体的に変えないような、誰の生活も1ミリたりとも変えないような、現状肯定的な一般論・精神論だけで終わることをやめたい。それがどこまでできるか。「シングル単位論」という形で、これまで提起してきた私の考えがどこまで深化したか。「新しい人権論、社会運動論」として何を新しく提起できたか。

 

軽く読み流す本ではないと思う。かなりいろいろ考えての、密度の濃い問題提起だと思うから。自分で言うのもなんだが。 こういうことをちゃんと語るものがあまりに少なかったから。思想・社会運動・教育上のこれまでのあり方に根本的な疑問と不満を提起するものだから。自分を見つめ、過去を大胆に乗り越える、私にとっての、大きな「進展・転換」宣言だから。

私自身の過去の否定ではない。むしろ過去から続く自分の内面に深く降り始めたが故の、大きな質的発展だと思っている。私の中では、「シングル単位論」で追求していたものは、必然的にここに至るものだった。今まで以上に賛否両論になるだろう(まあ、もちろん読まれる範囲でのことだが)。

いや、「〈スピリチュアリティ〉なんて、舌かみそうなことはわからんわ」とか「あっちの世界に行くんか」という反応ももうかなりいただいている。だが、私には、とても避けられないし、「あっち」の世界の話では断じてない。とっくに、わかっている人にはそれとなく分かっていたんだろうけど、凡人である私が、人生経験を少し積み重ねてようやく見えてきたものをぜひとも言葉で伝えたい。いや、まずは、自分で、自分に対してはっきりさせたい。教員とか講演とか社会運動をしてきた私には、もう少しちゃんと考え、その過程と結果を伝える責任がある。

言葉では届ききれないことは分かりつつも、私なりに言葉で近づく努力をしてみた。それによって私が「近づけた」としたら、私と同じようになんとなく感じていたのに言葉にならなくて近づけなかった“あなた”にも少しは伝わりやすいのじゃないかな。そうして、また、あなたと、繋がれる。読んでみてください。

 

なお、本書は、分量の関係上、〈スピ・シン主義〉としていいたいことのアウトラインを描いたに過ぎない。その他いっそうの展開については、参照文献なり、今後出版する予定の続稿などをみていただきたいと思う。とくに〈スピ・シン主義〉の応用論としての社会運動のあり方、個人の〈スピ・シン主義〉的生き方については、参考文献に挙げた拙稿をぜひともあわせ読んでいただきたい。

 

 

目次

はじめに                       

1章 なぜ今、〈スピリチュアリティ〉か          

1−1 日本の社会状況――恐るべき「想像力や共感の欠如」「殺伐とした空気」

1−2 良心派・民主運動側の限界          

2章〈スピリチュアリティ〉とは何か

2−1 表層世界と「混沌の闇世界」         

 2−2 〈たましい〉〈スピリチュアリティ〉とは何か      

3章 〈スピリチュアル・シングル主義〉という主張   

 3−1 〈スピリチュアル・シングル主義〉の最初の定義     

3−2 自己の拡張としての〈スピ・シン主義〉――新しい水準の<人

権>概念の創設へ             

3−3 〈スピ・シン主義〉のもう少し突っ込んだ説明――俗なる価値の尊重、

即興性、アート               

4章〈スピ・シン主義〉の展開――新しい人権論としての〈スピ・シン主義〉  

4−1 多様性、エンパワメント、〈スピリチュアリティ〉を組み込んだ、新しい人権論

4−2 人間の成熟と〈孤独〉             

5章 なにをいいたいのか――まとめにかえて           

          

おわりに                          

文献                           

スピシン的なおすすめ作品ガイド

 

★★★

伊田広行著『スピリチュアル・シングル宣言』明石書店、2003

 

「悟りを開く」と称して、瞑想やワークショップ内に逃げ込むんじゃなくて、高い意識への覚醒を現実の生活に落とし込むことが大切と訴える、まったく新しい人権論(生き方と社会運動論)

人権、平和、セクシュアリティ、環境問題、国際・地域開発、南北問題……の様々な課題を考え、そこから新しい関係、新しい生き方を作り上げていくときに、出発点となる論考である。

 

 

こういう人に読んでほしい、とおもって書きました。

 

生き方に悩んでいる人。NPO活動、ボランティアをしようか迷っている人、離婚を考えている人。会社を辞めようと思っている人。悩みを抱えている人。社会運動に関わっているが、そのこと自体やそのあり方にかすかな迷いをもっている人。

人権論の新しい水準を求めている人。

従来の人権論に足りなさを感じている人。どのような意味で人権を語り、どのような意味で多様性、エンパワメントを語るのか。

いかに生きるか。何のために生きるか。

ちゃんとした生き方をしたい人。

カウンセリング、ワークショップ、トランスパーソナル、心理学、生と死の教育、ホリスティック教育、ホスピス、スピリチュアル・ケアなどに関心ある人にもお勧め。

ジェンダー論、男女共同参画社会論を深く展開するためには、ここを通らずしては説得的になれないと考えた。

 

 

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