工房にてバイオリン制作中


★なぜバイオリンを手作りするのか
 
子どもの頃からバイオリンを習っていたが、社会人となってからも市民オーケストラ、フォーラムオーケストラ、ポップスアンサンブル等でバイオリンやビオラを演奏していた。「自分の音で」「自分らしい表現を」 と追求するとだんだん小編成に向かい、ついに弦楽四重奏団を主宰してモーツァルトのハイドンセット全曲演奏に挑戦した。いつの日か自分の手でバイオリンを作ろう、究極のところはそこだと考えていた。やがて定年退職の日を迎え、再就職の勧めを辞退してバイオリン工房に弟子入りし、イタリア・クレモナ派の手法によるバイオリン制作を学ぶことになった。そして…。

★朝日新聞より
次の一文は朝日新聞 ウイークエンド経済「定年わっはっは」に寄稿し<自作バイオリンで夢の演奏 というタイトルで全国紙に掲載されたものです。(1999-3-27)

『趣味としてバイオリンを弾いていて,在職中から友人と組んで小さな弦楽合奏団をつくり,老人ホーム、児童館、病院などでボランティア・コンサートを開いている。三十五年余り勤めた職場を定年退職して、長い間あたためていた「夢」を実現するときが来たと思った。それは自分の手で作ったバイオリンで演奏することである。しかし作るといっても木彫りはおろか棚板ひとつ削ったことのない自分に、あの曲線的で美しい楽器が作れるのかどうか自信はなかった。

幸い時を同じくして高槻市に本場イタリアでマエストロとなった人の工房が開かれたことを知り、弟子入りすることになった。月に数回、曲面に削る豆カンナ、丸のみセットなど道具一式をリュックザックに詰めて工房に通い実技指導をうける。刃物の研ぎ方、のみの持ち方から教わり、カンナ掛けでは平面に削ることがどんなに難しいかを身をもって体験した。自宅では克明に手順を書いてきたノートを手に宿題となった作業の実行。悪戦苦闘の一年半、ようやく人から見てもバイオリンらしくなった。そして、ついに白木のバイオリンが完成した。嬉しさのあまり興奮して震える指で弦をとりつけ音出しをする。試し弾きしてくれた友人たちも良く鳴るねえと喜んでくれた。最後は難関のニス塗りに挑戦である。名器とうたわれるバイオリンの甘い美しい音色は、そのニスの配合に秘密があるともいわれている。亜麻仁油を処理してアルコールに溶かし天然樹脂、天然色素を混ぜ合わせる。何十回と塗り重ねて深みのあるいい色になったと思った。少々色ムラが目立つがこれも愛嬌とお許しいただこう。

 さあ「夢」は目の前に来た。つぎの訪問コンサートではホームのお年寄りが、施設の子供たちが、このバイオリンの奏でる音色にどんな笑顔を見せてくれるのか楽しみである。』

(注):朝刊全国紙に掲載されると、北海道から九州に至る多くの方から激励の電話やお手紙をいただきました。有難うございました。なかにはバイオリン作りを教えてほしい。どうすれば良いだろうという相談もありました。

★バイオリン制作学校「工房クレモナ」
原稿の中にある工房とは高槻市松原町6-3 「バイオリン制作学校・工房クレモナ」(当時) で、マエストロ・リュータイオ岩井孝夫さん、同  鈴木郁子さんが講師をつとめておられます。なお現在では新たな生徒募集はなされておりません。

★一般コース終了後は

わたしは学んだ知識と技術を生かして弦楽器制作の研さんをつづけ、現在までにバイオリン8丁とビオラ、チェロを制作しました。今では弦楽器1丁を完成させるごとに常にベストであるよう心がけています。

また、乞われて数人の方にバイオリン制作を教え、演奏のための手ほどきをしています。完成したサイレントバイオリンを日常の稽古のためお貸ししていますので、最初の自作バイオリンが完成するときには簡単な曲が弾けるようになっています。ご婦人の野田愛子さま、牧真紀子さまと、定年退職者の男性数人はそれぞれバイオリンを完成され、現在も趣味として2挺目、3挺目を制作されています。                         

    イタリア・クレモナ市のS.コニアとJ.B.モラッシの工房を表敬訪問する。


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イタリア・クレモナ派のバイオリンの制作は、マンションでも可能。その手法に迫る。

リンク集:

工房クレモナのホームページ
マエストロ・リュータイオ岩井孝夫氏と、その制作集団「工房クレモナ」です。

ヴァイオリンづくりに挑戦のページへ
作る楽しさ 「手づくりヴァイオリン」 静岡県裾野市在住のアマチュア制作家 角谷博文さんのホームページです。
 工夫を凝らした工具の製作からヴァイオリンの制作、調整まで、わたしにも大変参考になります。

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