民法 第1問 1、小問1について  (1) まず、Aは、641条により解除を主張することが考えられる。    しかし、641条では損害を賠償して解除しなければならないので、   基礎工事の不完全な原因がBにある本問で、Aが損害を賠償してま   で解除するのは酷である。  (2) そこで、Aは、請負の担保責任(635条本文)により解除すること   を主張できないか。    この点、AB間の請負は住宅の新築工事であり、「建物」にあたり   解除できないのが原則である(635条ただし書)。    しかし、635条ただし書の趣旨は、解除により建物を取壊して収去   することは社会経済上の損失が著しいためこれを制限した点にある。    とすれば、社会経済上の損失が著しくない場合には、例外的に635条   ただし書を適用すべきでないと解する。    本問では、Bの工事はまだ基礎工事の段階であり、建物自体の建築   に着手しておらず、この時点で解除したとしても社会経済上の損失は   著しいと言えない。    よって、635条ただし書は適用されない。    そして本問では、基礎工事が不完全であればその上に建つ住宅の使   用が困難となり「目的を達すること能わざる」と言えるので、Aは、   635条本文により解除を主張することができる。 2、小問2について  (1) まず、Bの手抜き工事のため屋根に雨漏りが生じていることから、   請負の担保責任により損害賠償を主張することができる(634条3項)。    また、屋根の雨漏りは建物にとって重要な瑕疵であるしまた過分な   費用も通常要しない。よって、Aは瑕疵修補請求(634条1項)も主張   できる。  (2) 次に、パソコン等の損害についてはどうか。    パソコン等は仕事の目的物とはいえず、Bは請負の担保責任を負わ   ないのではないか、請負の担保責任の法的性格と関連して問題となる。    思うに、請負の担保責任は、売買の瑕疵担保責任(570条)の特則で   あるとともに債務不履行責任(415条)の特則でもある。    そして、債務不履行責任においては、債権債務関係という緊密な関   係により信義則(1条2項)上契約の相手方の生命・財産を保護すべき   義務が生じると解される。    とすれば、請負の担保責任においても、信義則上の保護義務が生じ   ると解する。    本問では、Bは、Aの住宅の新築工事を請負っており、通常建物の   構造や部屋に置くものを把握しているはずである。とすれば、Bは、   信義則上Aの書斎に置かれるであろうパソコン等についても保護義務   があることになる。    よって、Aは、パソコン等の損害についても損害賠償(634条3項)   を請求するという主張をすることができる。  以上  再現率60% 約3ページ(60行前後)