商法 第2問 1、Aに対する請求について  (1) 本問手形は取締役会の決議がなく代表権限のない甲により作成さ   れており、Aの手形行為はない。よって、Aは手形上の責任を負わ   ないのが原則である。  (2)ア,しかし、Aが追認した場合には例外的にAは手形上の責任を負   い(民法116条類推)、CはAに対して手形金の支払いを請求するこ   とができる。   イ、また、表見代理等の外観法理に基づく責任がAに認められる場    合にも、例外的にCは手形金を請求できる。     では、本問では、取締役会決議がないのに議事録を作成して代    表取締役に就任したという「不実の事項」につき「故意」に「登    記」をしたことについてから、商法14条によりAに手形上の責任    が認められないか。     思うに、14条は外観法理に基づく規定であるから、条文上善意    しか要求されてないが、無重過失までも要すると解する。     よって、Cは、本問登記の事情について善意無重過失であれば、    Aに対して手形金の支払いを請求することができる。 2、甲に対する請求について  (1) Cは、無権代表により手形を振出した甲に対して手形金の支払い   を請求できないか。  (2) この点、甲は、手形上に署名しておらず、手形の文言性から手形   上の責任を負わないのが原則である。    しかし、無権代表も無権代理と同様に権限なくして他人の手形行   為を行う点で同様であり、手形法8条の類推の基礎がある。    よって、無権代表にも手形法8条を類推適用すべきである。    もっとも、悪意およびこれと同視できる重過失ある場合は保護に   値しないので、8条は類推適用されないと解する。  (3) 本問では、Cが甲の無権代表について善意無重過失であれば、手   形法77条2項・8条により、甲に対して手形金の支払いを請求する   ことができる。 3、Bに対する請求について  (1) Cは、Bに対して裏書人の担保責任(手形法77条1項1号・15条)   により手形金の支払いを請求することができるか。    振出が無権代表により無効であることから、手形行為独立の原則   (77条2項・7条)が裏書の担保責任にも適用されるかが問題とな   る。  (2) 思うに、裏書の担保責任も手形行為独立の原則も、ともに手形取   引の安全のため政策的に認められた責任である点で同様である。    よって、裏書の担保責任にも手形行為独立の原則が適用されると   解する。    もっとも、悪意およびこれと同視できる重過失ある場合には、政   策的保護に値しないことから、手形行為独立の原則は適用されない   と解する。    従って、Cは、無権代表について善意無重過失であれば、Bに対   して手形金の支払いを請求することができる。  以上  再現率60% 約3ページ(60行ちょい)