民訴 第1問 1(1) 証明責任とは、ある事実の存否が真偽不明の場合にその事実を法律要件とする自己に有利な法律効果の発生が認められないとする一方当事者の不利益をいう。    この証明責任の趣旨は、自由心証主義によっても真偽不明の事実がある場合に、裁判の拒否を回避する点にある。  (2) そして、証明責任の分配については、明文はないが実体法との調和および明確性の見地から、法規の構成要件の規定の仕方と法適用の論理関係に従うものと解する。    具体的には、@権利の発生を根拠づける権利根拠規定については、権利の発生を主張する者に、A権利の発生を妨げる権利障害規定については、権利を争う者に、B一度発生した権利を消滅させる権利消滅規定については、権利の消滅を主張する者に、証明責任が生じると解する。 2(1) これに対して、弁論主義とは、訴訟資料の収集・提出を当事者の権能および責任とする建前をいう。これは、実体法上私的自治の原則が採用されていることから、訴訟法上も当事者の意思を尊重すべきだからである。  (2) そして、弁論主義の内容として、@当事者の主張しない事実を判決の基礎としてはならない(第1テーゼ)、A当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない(第2テーゼ)、B当事者間に争いのある事実の認定は、当事者の提出した証拠によらなければならない(第3テーゼ)、の3つのテーゼがある。 3、では、かかる弁論主義の下、証明責任はどのように機能するか。  (1) まず、弁論主義の第1テーゼの下では、当事者の主張しない事実は判決の基礎とならないから、そもそも自由心証における事実認定が不要である。    よって、証明責任は機能せず、証明責任を負わない当事者は立証活動をする必要がない。  (2) 次に、第2テーゼの下では、当事者間に争いのない事実は真偽不明にかかわらずそのまま判決の基礎となるから、これも自由心証における事実認定が不要である。    よって、証明責任は機能せず、証明責任を負わない当事者は立証活動をする必要がない。  (3) これに対して、第3テーゼの下では、当事者間に争いのある事実の認定は、当事者の提出した証拠によらなければならない。    そこで、証拠による事実認定を自由心証によりなしたとしても、なお真偽不明の場合には、証明責任が機能することになる。    この場合、証明責任を負う当事者は、証拠により裁判官に確信を抱かせる必要がある(本証)。    これに対して、証明責任を負わない当事者は、裁判官に確信を抱かせる必要はなく、真偽不明の状態にすればよい(反証)。 3、このように、証明責任は、弁論主義の下では、第3テーゼにおいてのみ機能することになる。   これは、民事訴訟が私的紛争の公権的解決であるところ、まずは私的紛争の解決であるので、当事者の意思を尊重し、主張しない事実や争いのない事実については、証明責任による公権的解決を及ぼさないことにあると思われる。  以上  再現率70% 約3ページ(60行前後)