いきいき介護セミナー2005(第一回目)
日時;平成17年5月22日(日) 10:00〜15:30
場所;第一生命ビル
講師;龍谷大学社会学部 筒井のり子先生

【 開 講 式 】
(主催者挨拶:並河孝 代表)
・この介護セミナーは今年で11年目を迎える。
・在宅や施設で生活する高齢者の方々が、いきいきと元気に笑顔で生活していただくには、どうしたらよいか、また色々なサービスを利用している高齢者の方々が常に主役となる介護、つまり私たち介護を提供する者が、常によい脇役を務めるには、どうすればよいのか、それを考えると、私達がまず元気であること、身体も心も健康でいきいきしていること。いつも、笑顔で接していけるようにするための、元気の素となる研修会を企画した次第。
・しかし高齢者が主役の介護は、あたりまえのことのようで、現実に施設等の介護現場で実行するには、並大抵のことではない。一人でできることではなく、複数の仲間を巻き込んでいくことが必要。
・今年のテーマは「介護センスのスキルアップ」学んだ方法論を皆様と一緒にワークショップ等を通して咀嚼し、現場で活かしていただきたい。
・介護保険というシステムの見直しが行われるが、私達は常に困っている人の方を向き、利用者の声をしっかりと受け止め、心温まるよい介護の実践を提供し、滋賀県を安心して暮らせる街にしてゆくため、今日から一緒に学んでいきたい。
(来賓挨拶:滋賀県健康福祉部 澤田史朗部長)
・最初に、常日頃 福祉現場の第一線で働いていただいている皆様にお礼申し上げたい。
・介護保険見直しの中、県でもレイカディア構想・老人福祉計画見直しを行う中、滋賀県としては「福祉先進県」を更に一歩進めて、日本一の福祉県を目標としたい。
・「福祉先進県」としての滋賀県の特徴は、予算がついていること、あるいは制度的な整備がなされていることではなく、福祉を支える一人一人の質の高さと、その人と人とを結ぶネットワークが先進的であることにある。他県は予算・制度を重視する中、予算がないこの時勢下でも、日本一の福祉県を実現することが可能であると考えている。
・県の人口137万人のうち、労働人口は約半分の70万人。その5%の方が健康と福祉に従事されており、皆様はその代表選手。
・日本一の福祉県の実現という目標に向けて、長寿を目指すだけでなく、健康寿命を延ばすことが必要であることは言うまでもない。ただし、介護が必要となった=健康でないということではなく、介護が必要となった方が、その人その人の立場でその人の生活が続けられるということが非常に重要なこと。これは言うは易しであるが、当セミナーの「いきいき」の趣旨にもあるように、高齢者ご本人の立場に立つこと、そのためにも皆様も元気であることが前提となるのでないか。
・県としても認知症の介護を重視。困難事例の相談に応じる顔のみえるネットワークとしての「物忘れサポート滋賀」を是非ご利用いただきたい。
・日本一の福祉県の実現を目指して皆様と一緒になって取組みたい。
・セミナーの活動が盛大となること、皆様の活躍を祈念したい。
【午前の部】講師 筒井のり子氏
・地域福祉論・市民活動論等を専門としており、介護の専門家ではない。
・今日の目的は、問題意識をもってレベルアップを目指した皆様の意識を職場全体に広げるにあたって、効果的な研修方法について紹介すること。
・これからの福祉現場は、色々な意味での市民参加、地域住民とのつながりが増える中、専門職の人と一般の方とどのように議論を深めていくかということも重要になる。
・大津市の場合、地域ケア会議が存在。ある学区ではケアマネ・ヘルパー・自治会長・ボランティア団体の方、ソーシャルワーカーがテーブルを囲んで議論を行っている。そのような中、気心が知れた職員の内輪話とは異なり皆さんの意見が出やすいような、議論の方法について工夫する必要がある。
・学生時代老人福祉を専攻。7年ほどコミュニティワーカーとして働いてきた。地域となると相談事例は多岐にわたる。1つの部署では解決できないためチームを組むことが必要。社協等の方とも付き合いを深めていった。
・地域福祉計画を進める中、大津市の全31学区でワークショップを開催。学生と一緒にヒアリング調査なども行っているところ。
(以下、資料に沿って説明)
1.身につく「研修」にするには
1)参加者の動機付け
研修が始まる前
当セミナーの場合、参加者の動機付けはクリアできている。
職場での研修の場合は、それなりの準備が必要・
2)"参加"度
研修のよしあしの指標は"参加"度
特に何となく参加した研修の場合、自分が動いたという実感が意味を持つ。
「参加してください」では不十分。工夫(準備)・仕掛けが必要。
現場へのフィードバック
研修と日々の仕事と別物にならないよう、自分の現場に活かすかという発想が必要。
2.参加度の高い研修にするには
●ワークショップとは
・ワークショップ(workshop)とは、もともと「作業場、工房」を表す単語であり、そこから演劇、美術、まちづくり、社会教育など様々な分野で少しずつ異なる意味合いをもった用語として発展してきた。中野民夫氏は、それらを統合して「討議など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり創り出したりする学びと想像のスタイルをワークショップと呼んでいる。
岩波新書 中野民夫「ワークショップ」を詳しくは参照のこと。
・介護センスをあげるということは、知識だけでなく、感じる心・気づく力が必要。それらを統合することが欠かせない。
・キーワードは
「参加」・・・主体的参加
このためには仕掛けが必要
「体験」・・・全人的体験
手も体を動かすことも必要。
「グループ」・・・平等的交流
相互作用を通して、中身もそうだが「熱い思いを語る」というプロセスが大切。相互作用を大切にしようと思うと、ベテランの前で語りにくいというような障壁を取り払う仕掛けが必要。
・これらのキーワードは純粋にワークショップだけに当てはまるわけではない。
ミーティングがあまりうまくいきません、という場合、リーダー(代表)が司会進行役を行っていることが多い。司会進行役と長とを分けることでスムーズに行くことが多い。どうしても長は知識量が豊富であるので、司会進行役も兼ねると発言が偏ってしまう。ある職場では司会進行役を持ち回りで替えることを取り入れている。
●ワークショップの分類
生み出す(成果を求める)
芸術 地域づくり
個人 教育・学習 社会改革系 社会
精神世界 自然・環境
学ぶ(感じる・理解する
●ワークショップの特徴
<長所>
@人前で発言することが苦手な人でも意見が出しやすい。
A色々な意見がでやすい。
B参加者全員が主体になれる。お客様にならない。参加者に一体感がでてくる。
C最初から市民が参加できる。
D特定の人に発言が偏らない。
E堅苦しくなく親しみやすい。
F良い意味での学び・話し合い・気づきの場となる。
<短所>
Gファシリテーターの力量によって、進行及び結果が大きく変わる。
H時間・人手・労力の確保が必要。
I継続するワークショップは意欲の持続が必要。
J参加者の確保(テーマによっては変動する)
K高齢者などについては、馴染みが薄い。
3.ワークショップの実際
●4つのミーティング技法
@発表技法・・・参加者にある内容をプレゼンテーションする方法
A発散技法・・・参加者が事実を提示したり、アイディアを出したりする方法
・ブレーンストーミング
バズセッション(隣のグループの討論の騒音の中で意見を出し合う)
6・6方式(6人で計6分)
4つのルール=「批判厳禁」「自由奔放」「質より量」「結合改善」を最初に示す
・カードブレーンストーミング法
付箋を活用。喋るのが苦手な人が多い場合に有効。
・ブレーンライティング法
6・3・5(6人で3つの具体的なアイディアを5分ずつ)。それを隣の人に渡しながら膨らませる。
B収束技法・・・参加者が提示された事実やアイディアをまとめる方法
・KJ法
・クロス法
C討議技法・・・参加者が討論しあい結論を出す方法
・自由討議法
・定型的討議法
・対決型討議法・・・ディベート
●重要なファシリテーター
ファシリテーターとは中立的な立場から会議の進行役を務める人のこと。声の大きな人や偏った立場からだけの話合いにならないように注意したり、建設的で無駄なく話合いが進むよう工夫する。物事の中身を考えるのは、会議に参加している者全員の役割。ファシリテーターは出された意見の良し悪しを判断しない。ファシリテーターは、中立的な進行役であることを自覚すること。
●アイスブレイクとは(緊張状態をほぐすこと)
(今回用いたアイスブレイク=「隣人の証言」)
・全員で大きな円を囲む。両隣の人と簡単な自己紹介を行う。
・右の人も左の人もその前の人と異なる人となるように移動。同様に自己紹介を行う。
・更に1〜4回目の人と異なる人が隣となるように移動。同様に自己紹介を行う。
(10人の人と話したこととなる)
・1回目と話をした状態に戻る。
・2回目、3回目の状態に戻る。
(相当ばらばらになった状態となるので、ある人を基点に@〜Fまで順に番号を振る)
【午後の部】
「スタッフのレベルアップを図るには」をテーマとしたワークショップ
@職場の課題(自分の課題も含めて)を最初に抽出
STEP1・・・テーマについて、思いつくままに自由に意見やアイディアを、カード1枚に1項目ずつ分かりやすく大きな字で書きます。一人何枚書いても構いません。(10分)
・一つの紙にあれもこれも書かない
・単語一つでは説明不足。逆に、文脈をもった具体的説明が必要だが書き込みすぎない。
STEP2・・・参加者が交替で自分のカードを1枚ずつ読み上げ、他の人のカードと内容が同じものはそのカードに重ねてテーブルの上にカードを置いていきます。全てのカードを読み終わるまでこの作業を繰り返します。(25分)
*他人の意見を否定したり、批判してはいけません。
*仲間はずれのカードがあっても気にしないでください。
STEP3・・・ 何枚かのグループになっているカードには、内容をひとまとめに表現するようなタイトルカードを作り、ひとまとめにします。(10分)
・タイトル記入にあたっては違う色のペンを使う。
STEP4・・・グループになったカードを模造紙の上に内容の関係性を考慮して配置します。
STEP5・・・ 模造紙上のカードをグループごとに線で囲んだり、関連するグループや対立するグループ、無関係なグループ、原因や結果の関係性などがひと目でわかるように、矢印や線で表します。テーマの全体構造が視覚的にわかりやすく整理できれば成功です。
A解決策について検討
STEP6・・・全体のタイトル、日付、参加者氏名、グループ名を模造紙に書き込みます。タイトルは大きく分かりやすく工夫して下さい。(3分)
STEP7・・・発表です。発表者がグループを代表して説明します。
*キーワードを考えると発表しやすいかもしれません。(1グループ3分)
【 発 表 】
・『やる気マンマン』グループ
健康管理→自分を大切にする
研修・勉強・個別のケアを考える
・『ザ・スター』グループ
解決策なし 人間関係―上司の考え方、他職種との違い
チームワーク大切―連携、情報の共有化
知識・研修
あたりまえのこと、楽しいゲーム、日々の生活を簡単に手伝う事
図を楽しむ
・『サザエさん一禍』 例 残業時間が多い→上には言えず
ケアの統一されない
記録がされない ケアがつながらない
遅刻が増える セクハラ
↓
チームワークが成り立たない
↓
人間関係うまくいかず、ストレスたまる
解決方法 ストレス発散・他施設との交流 情報交換
されていやなことはしない 社会人との自覚
・『チームドリーム』 中心は「余裕がない」 身体拘束、コミュニケーション
上司への要望→全員で出す 何回も言う
利用者の立場に立つ→初心に戻る、慣れてはいけない
自己管理→リフレッシュ プライベートな時間大切 健康管理
対人関係→上下関係、信頼できる人に相談
自己研鑽→課題でもあり解決策である
・『もちっこ』 メインはスタッフのモチベーション(グループ名の由来)やる気
コミュニケーション―スタッフ間、他施設、利用者
利用者→かかわりを多く持つ、人権尊重
スタッフ→システムづくり
自分の身体を大切にする―身体を動かす、ゆとりを持つ、早めに計画を立てていく、レク→いきいきセミナーにでる 知識・技術
・『きれいどころ』 自分自身の健康管理 余暇大切
人権、スタッフ間 情報不足
意欲→仕事の意欲、自分で見つけていくこと大切
コミュニケーション不足
・『4ガールズ』 利用者を中心
人員的→親睦会、自己研鑽、研修計画
ブルー
仕事そのもののやり方
スタッフの技術
・『わいわいがやがや』利用者本位の対応不足 太線→細線→点線
職員のコミュニケーション不足 職員の思いを大切にする
・『ゆずりあい』 技術の向上→ケアの研修→本人の意欲大切
意欲を起こすには、ほめて育てる、悔しさをバネに
管理者はうけやすい体制、場作り
スタッフ間の連携、皆が集える場(親睦会・個人的にも)
管理能力一伝達不足
本人のやる気一環境を整える、休養、年休消化
【 ま と め 】
自分の考える事が整理される一相互作用
カンファレンス、ミーティングで工夫
(城多さんの)ファシリテーション「あーいいですねぇ」「こうしたらいいですよ」等の声
かけをするのが良かった。全員でも出来ていた
意欲のあるグループなどでうまくいった。グループでは、意欲のある人が入ることの工夫
グループ間での意見交換、各施設で明日からできることを考えても良い