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今年で17歳になったお兄ちゃん
お母さん
- 539 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/07 19:30 ID:???
- お兄ィが継母とキッチンで楽しそうに夕食の準備をしている。
・・・あのクソ女、母親面して、父さんだけじゃなく、お兄ィ
まで抱き込もうっての?。お兄ィも、お兄ィだ。ヘラヘラ
してさ。私はアイツが母親だなんて絶対に認めない。
妹「・・・御飯いらない。お腹空いてないから。自分の部屋に行く・・・」
兄「お、おい。待てよっ。手間掛けて母さんが作ってくれたんだぞ?」
継母「いいのよ?、無理しないで。さやかちゃんの分、残しておく
から、お腹空いたら降りてきて。暖めて直してあげるから」
・・・。今日は母さんの命日なのに。父さんに続いてお兄ィまで
あの女に取られたら私・・・。お兄ィ、後で私の部屋に来てよ。
大事な『話』があるから・・・。
・・・『話』って何?。刺されるのか?、誘われるのか?。
- 547 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/08 10:54 ID:???
- >>539 の続き。
食事を終えたお兄ィが私の部屋に来た。
兄「ウマかったぞ、母さんの料理。下行って食べてこいよ」
妹「・・・母さん・・・じゃない・・・。母さんじゃないよっ、アイツはっ!」
兄「・・・っ!?」
妹「どうして他人がウチに居るのっ?。なんで『母さん』なんて呼べるのっ?。
私達の『母さん』は一人だけだよっ?。再婚なんかする父さんの気が知れ
ないよっ!。お兄ィもどうして仲良く出来るの!?。信じられないよっ!!」
兄「・・・今日、母さんの命日だったな・・・」
妹「そうだよっ。今日も昨日もその前の日も全然話題にのぼらなかったよね?。
私、今日一人でお墓参りしてきたよ。父さんもお兄ィも酷いよ。6年しか
経っていないんだよっ!?。一昨年迄は3人一緒でお墓参りに行ってたのに・・・。
去年はあの女と4人で行ったよね?。父さんってば『母さんに報告だ』なんて
言ってさ。・・・アイツだよ、アイツが来てから変になったんだよっ!。・・・私ね、
もう我慢出来ないよぅ・・・。・・・おかしくなっっちゃうよぅ・・・」
兄「・・・さやか・・・」
お兄ィは嗚咽をあげる私を優しく抱きしめてくれた。
- 562 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/10 21:12 ID:???
- >>547 の続き
お兄ィに抱きしめて貰ったお陰で、幾分か心が落ち着いた私。お兄ィに促されて
ベッドで眠りについた。・・・ちょっと感情的になり過ぎちゃった、ゴメンね?。
そして次の日の夕食。お兄ィと私は席に付いた。メニューは「とんかつ」だった。
継母「さやかちゃん、とんかつが好きだったわよね?」
・・・確かに好きよ?。だけど、そんな事をアンタに言った覚えは無い。大方、父さんか、
お兄ィに私の好物を訊いたんでしょうが。そういう見え透いたご機嫌取りが私の勘に
触るのよっ。昨日の負の感情と黒い衝動が再び膨れ上がるのを、私は手にしたナイフを
フォークを握る事によって必死に押さえた。
継母「筋が邪魔して切りにくいかしら?。お母さんに貸して・・・」
妹「余計な事しないでっ!!。・・・・・・・・・あっ」
私が手にしているナイフとフォークに継母は手を添えようとする。その継母の手を
はね除けた瞬間、私の手にしたナイフが偶然にも継母の掌を切り裂いてしまった。
傷口を押さえた手の隙間からポタポタと鮮血が床に滴る。
- 603 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/16 00:05 ID:???
- >>562 の続き
「おいっ!?。さやかっ!!」そう叫んだお兄ィはナイフを持っている私の右手首を
掴んだ。その拍子にナイフは私のから滑り落ち、惨状とは裏腹に涼やかな音色を
たてながら床に転がる。お兄ィの手を振り解き、私は2、3歩後退った。
「母さんに謝れっ!!」・・・お兄ィの目、本気で怒ってる・・・。床に滴った継母
の血と、僅かに血が付着したナイフ。私が傷つけたのは紛れもない事実だ。
謝んなきゃ。だけど、上手く言葉が出て来ない。
「・・・ち、違うよっ!!。ワザとじゃないよっ!!」私はやっとの思いでその程度
の言葉を絞り出すと、二階の自分の部屋に駆け込みドアに鍵を掛けて、布団を
頭から被った。お兄ィは階段のトコまで追いかけて来たけど、継母に制止される。
眠って忘れようと膝を抱いてうずくまっても、悶々と自己嫌悪が悪循環して
心が引き裂かれそうなる。・・・私は駄目だ・・・。
- 638 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/18 19:53 ID:???
- >>603 の続き
眠れない。当然だ。あんな事をしでかした後で眠ろうなんて。布団の中で色々
姿勢を変えてみる。仰向け。俯せ。そんな事をしてもむしろ目が冴えてしまう。
瞼を閉じると瞳の奥に床へ滴った血が鮮明に浮かび上がる。あんな女でも人間、
同じ赤い血が流れている。そんな当たり前な事を思い知って自嘲する。・・・はぁ。
・・・何度目の溜息をついた時だろうか。鍵の掛かったドアをノックする音がした。
「さやかちゃん、起きてる?」・・・継母(あの女)か。・・・。思わず傍らの目覚まし
時計の針を見る。『20時24分』。あれから1時間とちょっとしか経っていない。
気が重いながらも返事をする。
妹「・・・うん。起きてる・・・」
継母「さっきはゴメンね?。私が余計な事をしようとしたばかりに・・・」
この女は『馬鹿』だ。余計な事?。アンタの怪我させたのは私でしょう!?。
なんでアンタが謝るのよっ!?。私の立場が無くなっちゃうじゃないっ!!。
ベッドから跳ね起きた私はドアの鍵を開け、ドアの向こうに立っていた継母
の胸ぐらに掴み掛かった。
- 691 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/22 10:39 ID:???
- >>638 の続き
私はほとほと自分にもコイツにも情けなくなって涙が溢れ出た。睨み付けた
継母の輪郭が霞む。
妹「・・・なんで?。なんでなのよぅ・・・」
冷たくあしらわれて。怪我を負わされて。何故それでも尚、私に構えるの?。
胸ぐらを掴んだまま継母の胸に泣き崩れた私は包み込むように優しく抱かれた。
継母「・・・さやかさん。・・・私はね、生みの親程の絆も、育ての親と言える程
長い時間を共に過ごしてきた訳でもないけど、血の繋がった親子に
負けないくらいあなたを、お兄さんを愛してみせるから・・・。だから
少しお話ししましょ?」
包帯を巻いた手で肩を抱かれながら、私の部屋のベッドに継母と並んで腰を
掛けた。初めてかもしれない。私と彼女がたった二人で語り合うのは。
- 712 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/23 00:27 ID:???
- >>691 の続き。・・・そろそろ終われ。書いてる自分がツラい。
時間を忘れて継母と語り合った。感情を激昂させた所為もあるかもしれない。
お兄ィの事、父さんの事、母さんの思い出。そして貴女の事。いつの間にか
『あの女』なんて呼んで拒絶していた人間の人格を認めていた自分が居た。
東の空が白んで来る頃、私は彼女に女としての質問を投げ掛けてみた。
妹「・・・あのね、父さんと子供作らないの?」
無意識下で燻っていた疑問だったと口に出して初めて気が付いた。多分、
父さんと彼女との間に子供が出来る事によって家族の関係が絡まってしまう
のを恐れていたのだ。父さんはお兄ィと私と彼女の子を分け隔て無く育てる
だろう。しかし、彼女はお腹を痛めて生んだ我が子が可愛いに決まっている。
その時にお兄ィや私はどうなるのか?。これは子持ちの再婚の避けて通れぬ
道だと思っている。しかし、私の疑問は下衆の勘繰りに等しいものだったと
思い知らされた。彼女は1つ1つ言葉を選んで話し始めた。
- 713 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/23 01:29 ID:???
- >>712 の続き。
継母「私ね、赤ちゃんが産めない身体なの・・・」
自嘲しながら自分の過去を語り始めた彼女。中学の頃に妊娠し、中絶した
後遺症なのだと。肉体的にも精神的にも傷付けたショックによるものだろうと
医者に言われたそうだ。そして最後に「同性として軽蔑するでしょ?」と付け
加えた。私は今更ながら質問した事を死ぬ程後悔した。そんな私の様子を察し、
肩を抱き寄せて彼女は言った。
継母「こんな私を愛してくれるあなた達の『お父さん』が好き。『母さん』と
呼んでくれなんて、おこがましくて言えない。だから『友達』からでも
『姉さん』からでもいい。でも、我が子の様に精一杯、私はあなた達を
愛すから・・・」
私は継母の胸に抱き付いて思いっ切り泣いた。泣きじゃくった。本当の母さん
にもこれ程泣きついた事があっただろうか・・・。そして、私はそのまま泣き疲れ
て眠ってしまった。
- 714 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU
:03/12/23 01:32 ID:???
- >>713 の続き。続きモノはこれにて終了でござい。
・・・後日談。お兄ィは何事も無かったように澄まし顔してソファーで新聞を
読んでいる。出張から帰ってきた父さんは、キッチンで和気藹々と料理して
いる私とお母さん見て不思議そうな表情をしている。私とお母さんとお兄ィ
に自分の出張中に何かあったのかと訊いてきたが、皆『別に・・・ね?』と口を
揃えて答えた。
家族4人が揃った次の日、全員で母さんの墓参りへ行った。2度目の墓参り。
改めてお墓に手を合わせて私は報告した。
妹「・・・さようなら『母さん』。宜しく『お母さん』・・・」
〜おしまい〜
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