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今年高校生になった姉

〜エリル王孫女殿下の優雅な一日〜



219 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/05 14:15 ID:???
俺は香村之雄(かむらゆきお)。バイトを重ねて世知辛い浮き世を
刹那的に生きるティーンエイジャー。(ウボァー)
とある日の午前中、俺がアパートのベランダでヤニを喰っていると、
アパートの前の道路にロースル・ロイスが停車した。運転手が降りて
来たかと思うと、後部座席のドアの下からウチのアパートに向かって、
うやうやしく真紅の絨毯を敷き始める。
呆気に取られてその様子を眺めていると、絨毯を敷き終えた運転手が
後部座席のドアを開けた。すると、ド派手なドレスと王冠を頂いた
年端もいかぬ小娘がブロンドの髪をなびかせて真紅の絨毯に降り立った。
何処に向かうのかと思いきや、ウチの部屋の扉をドンドンとノックする。
まさか、と思いドアを開けるとさっきの小娘が立っていた。

「お初にお目に掛かるな。妾はエリル。そなたの妹じゃ。宜しく頼むっ」

・・・はぁ?。どちら様ですか?。

244 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/06 13:48 ID:???
〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜 >>219 の続き。

エリル「そなたと妾は腹違いの兄妹ぞっ」

はぇ?。いきなり、そげな事を申されましても・・・なァ・・・。呆気に取られて
いる俺に一枚の写真を手渡す小娘。

エリル「この写真に写っておる殿方。そなたの父であろう?」

親子3人が写っている。父親らしき男性は間違いない、俺の親父だ。その横の
母親らしき女性は、かなりの美人。この小娘が成長すればこんな感じになるに
違いない。そして生まれ間もない赤ん坊が親父に抱かれている。

エリル「この赤子が妾じゃ」

え?。でも、なんか、説得力に欠けるなぁ・・・。

536 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 01:09 ID:???
>>244 の続き。中途半端は良くない。折角書いたから、コレも終わらしとくか。
〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「まぁ、いきなり押し掛けられて『妹だ、宜しく頼む』と言われても困惑
    であろう事は重々承知しておるつもりだっ」
之男「承知されて、それは結構でございますが・・・」
エリル「・・・なにか問題でも?」
之男「会話の成り行きから推測致しますとだな、エリルさん。ここに住むって
   コトですか?」
エリル「推測の通りぞっ」

何か、もう、何が何だか解らなくなってきた。いきなりウチに来た外人の
女の子が親父の写真を提示して、妹だから一緒に住まわせろ?。俺はただ
混乱するだけだった。

538 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:22 ID:???
>>536 の続き。ドタバタネタ、書きます。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之男「・・・あのですね、単刀直入に言わせて頂きますとですね・・・」
エリル「うむ?」
之男「困ります。非常に・・・」
エリル「・・・具体的に申さねば、解りかねるのだが。とどのつまりは、こう
    云うコトであろう?。『若い男女が一つ屋根の下に居る』と・・・」

ぽっ、と赤らめた頬に手を添える異国の少女。この状況下でなければ、非常に
可愛い仕草なのだろうが、そのリアクションに俺はキレた。

之男「・・・はぁ?。マセるな、ガキんチョっ!!」
エリル「・・・むっ!?、『ガキんチョ』とは心外だな。妾の国では14歳は大人の
    仲間入りをする歳ぞ?」
之男「ンなこたァ、言ってるンじゃねぃよ俺は。ただな、身元を証明するモン
   が写真一枚で、・・・別に、俺は国粋主義者じゃ無いぞ・・・、外人の少女が
   押し掛けて来ても面倒見る義務どころか義理さえ無いってんだァよっ!!」
エリル「・・・ふぅむ、そなたの怒りが解らぬでもない。・・・あっ、そうそう、
    父上からそなた宛の手紙を預かっておるっ」

539 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:25 ID:???
>>538 の続き。ちょっとHも混ぜてみたり。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・そういうモンが有るならとっとと出せよ。エリルがゴソゴソと立派な皮製
の鞄から取り出した古ぼけた便箋を、俺は引ったくる様に手に取ると、中に
入っている一通の手紙に目を通した。間違いなく親父の筆跡だった。
『我が愛する息子、之男へ。
 帰国はおろか、手紙、電話すらせずに、世界中の秘境という秘境を探検して
 歩くインディ・ジョーンズ野郎な父を許してくれ。お前を最後に見たのは
 5歳くらいだっただろうか。今では身体も♂のシンボルも大きく成長して
 いる事だろう、ブわァっハッハッハッハ・・・

頭痛がしてきたので、手紙を読むのを中断し『きゅむっ』と人差し指と親指で
コメカミをモミモミする。エリルが心配そうな表情を浮かべ『どうしたのだ?、
悲しい事が書かれておるのか?』と聞いてきた。うっさいっ、ヴォケっ!。

 ・・・ところで、だ、之男。お前には腹違いの妹が『居る』。いや、『出来た』
 と言った方が正しい、か。女の子で『エリル』と名付けた。母親似の可憐な
 子だ。近い将来、お前の元に行く事になるだろう。その時は面倒を見てやって
 くれ。父からの全く以て手前勝手な願いになるのだが、是非とも宜しく頼む。
 では、また会える日まで。グッバイ、マイ・サム・・・・・・・・・    父より」

540 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:26 ID:???
>>539 の続き。腹違いの妹に『萌え』か・・・。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・いい加減な『父』否『男』とは思っていたが、ここまでのモノとは・・・っ!!。
怒りでプルプルと震える俺の頭を『悲しければ、我慢せずとも良い。妾の胸で
泣くが良いぞ?』と言ってナデナデしてくるエリル。触るなっ!!。

之男「・・・手紙ってコレだけか?。大体、書いたの何時だよっ!?」

手紙をペシペシと手の甲でノックしながら、俺はエリルに訊いた。

エリル「・・・父上がその手紙をいつ頃書かれたのかは、解らぬ。・・・それに、
    手紙はそれしか預かっておらぬ・・・」
之男「これを書いた本人はドコに?。故郷かい?」
エリル「・・・そ、それが、な・・・」

エリルは伏せ目がちで言葉を濁した。

エリル「・・・行方不明なのだ。・・・6年前に南米に旅立ったまま・・・」
之男「・・・マジかよ・・・」

541 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:28 ID:???
>>540 の続き。主人公の名前を無意識に「勇也」と変換してしまふ。後遺症だ。
     〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・どうしようもない『クソ野郎』だなっ、あの親父はっ!!。腹違いの妹を
こさえて行方不明だァ!?。何かの小話かっ!?、コレはっ!!。怒りにまかせて
手紙を・・・ビリビリ、クシャクシャ、ポイ・・・には飽きたらず、ストンピング
を喰らわせてやる。畜生っ、腹の虫が収まらねぇっ!!。

之男「・・・兎に角だ、エリルさん。故郷に帰ってくれっ」
エリル「・・・その願いは聞けぬ」
之男「い〜からっ、お供と一緒に帰国してくれっ」

エリルの手を引き、アパートの階段を降りてロールス・ロイスの停車している
表の通りまで出る。

之男「・・・・・・・・・。・・・車が、無ェ・・・」
エリル「だから、言うたであろう?。願いは聞けぬ、と。つまりは帰らぬ・・・」

ガックリとその場にヘタリ込む俺。なぜゆえ?。

542 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:30 ID:???
>>541 の続き。・・・腹違いの『外人妹』・・・。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

その後、ムキになった俺は警察やら入国管理局やら、外人を身柄を扱ってそうな
関係各所、各省庁に電話で問い合わせてみたが、電話口で対応に当たった人間
全てに言葉を濁されたり、はぐらかされたりした。・・・何か、国家的な陰謀が
仕組まれていそうな気配が、嫌でも感じられた。そんな心穏やかではない俺を
気にする様子もなく、物珍しそうに人の部屋を勝手に物色しまくるエリル。

エリル「のう?。このオナゴ、随分と悩ましげなポーズをとっておるな。
    こういうのが好みか。相当の好きモノだな、そなたは・・・クスっ」
之男「・・・勝手に漁るなっ・・・」

エリルの手にした成年雑誌を速攻で回収する。

エリル「良い、良いっ。気にするでないっ。殿方は色を好むモノであろう?」
之男「・・・・・・・・・ほっといてくれ」
エリル「国を継ぐ者の夫となろう者が色に興味を示さぬ様では困るしの・・・」
之男「・・・ハイハイ、左様で御座いますか・・・。・・・って、アンタ、ちょっと、
   今、変なコト言わなかったかっ!?」

543 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/18 20:32 ID:???
>>542 の続き。今回は堂々と近親相姦ネタ。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

咎める俺に眉をひそめるエリル。

エリル「・・・何の事だ?。妾は『色に興味を示さぬ様では困る』と・・・」
之男「違うっ!、その前に言った言葉だっ!!」
エリル「・・・。『国を継ぐ者の夫となろう者』の事か?」
之男「そこだっ!!、そこっ!!。どういう意味だっ!?」
エリル「・・・『どう』って、言葉通りの意味だが?」
之男「・・・なっ!?、俺と結婚っ!?、国を継ぐっ!?、何のハナシだよっ!?」
エリル「・・・ん、もう。・・・殿方が声を荒げるものでは無いぞ?」
之男「ふざけるなっ!!。問いに答えろっ!!」
エリル「言葉通りの意味だと言うておろう。母国の王位継承権を有する妾と
    そなたはつがいとなるのだ」
之男「・・・ぼこく?。・・・おおいけいしょうけん?。・・・つがい?」

エリルの言葉がグルグルと俺の頭の中を巡る。・・・わ、訳が解らンっ!!。

エリル「・・・言っておらなんだか?」
之男「・・・一っ言も聞いて無ェよっ!!!!」

552 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/19 12:09 ID:???
>>543 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

俺は『ス〜ハ〜、ス〜ハ〜』と腹式呼吸を行なって気を落ち着かせ、これまで
の経緯を整理した。@『妹』を名乗る外国人の少女が尋ねてきた→A写真と
手紙の内容を理由に同居を迫られる→B八方手を尽くしたが、国家ぐるみの
陰謀が巡らされているらしく、アパートを追い出せない→C母国の王位継承権
を持っている『妹』と結婚?・・・。大きく分けると、こんなものか。悩み事が
ある時ゃ、まず一服だ。スタスタとベランダまで行き、ソフトケースから
マルボロのライトを1本引っ張り出し火を点けた。〜〜〜〜〜〜ふぅ・・・。
・・・美味いな、悲しいくらい。そして間を持たす最高の嗜好品だよ、煙草は。
1本吸い終えたら思考を再開しようかと心に決めて、結局4本吸ってしもた。
・・・さて。ニコチンが全身に回った処で考えをまとめますか。・・・@〜Dの
全てに納得がいかんっ!!。早速、俺の思考は停止した。・・・そりゃそうだ。
・・・落ち着けっ、俺っ。・・・順番に消化していこうか・・・。・・・@は、冒険野郎
の親父が外地での寂しさから『過ち』を迸らせて、出来てしもうた『妹』と
思えば、仕方が無い、・・・のか?。・・・まぁいい、次・・・。Aは写真と手紙1枚
で彼女を『妹』と認知して同居?。同居の理由がCで語られているみたい
なので保留しとくか・・・。BもCに深く関係しているみたいなので、これも
保留しておく・・・。Cかっ、Cを解明せねば前進も解決も有り得ないのかっ!!。

553 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/19 12:10 ID:???
>>553 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

大まかにまとめたCだが、途轍もない問題が2つある。『王位継承権』ってヤツ
と『結婚』ってヤツだ。
・・・偏見かもしれないが、親父が東南アジアで女を買い、その女が妊娠して、
『妹』を出産、成長し、生活苦から『妹』が『面倒を見て』と来日するならば、
1000万分の1くらいの確率であるかもしれない。それでも、年末ジャンポ宝
くじの1等前後賞が当たるより難しいンじゃないのか?。・・・それならば、厄介
払いする事も不可能じゃない。しかし、これはそのどれもが予想外過ぎる。
人の部屋をもの珍しそうに漁っている、この金髪碧眼の『妹』はフリルとレース
の装飾を駆使した高級生地のドレスを着込み、色とりどりの宝石をちりばめた
・・・本物?・・・王冠を頂いている。豪奢な身なりと尊大な言葉使いから、相当の
ハイソサエティーな身分に違いあるまい。・・・でなけりゃ、キ○ガイか、重度の
外人コスプレイヤーのどっちかだ。幸いな事に、外国人であるにも関わらず、
意思疎通が・・・怖いぐらいに・・・不自由なく出来ている。
・・・母国や身分、日本語が異常に堪能な事も本人に訊いてみるか・・・。

エリル「・・・この『お兄ちゃん、教えてくれる?』と題した成年雑誌・・・。随分
    と性癖を特化しておるな。・・・ほほぅ、そなた『妹』が好きか?」

554 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/19 12:13 ID:???
>>553 の続き。間違えた。>>553>>552ね。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之男「やめんかっ!!」

妹系の成年雑誌をヒラヒラとさせるエリル。速攻で没収。

エリル「正直で無い奴。そこがまた可愛いが・・・」
之男「・・・年下に『可愛い』なんて言われたか無ェや。小憎たらしいなっ。
   アンタに訊きたい事が山ほどある、質問に答えて貰うぞ?。その前に
   俺の部屋の物を勝手に読んだり、触ったりするなっ。いいなっ!?」
エリル「解った、居候をする身分であるしな。・・・そなたの質問、妾が知る
    範囲で嘘偽り無く答えようぞ、父上と母上の御名に誓って」

ちょこんと正座をして誓いを立てるエリル。・・・なんと、まぁ、仰々しい。

之男「・・・まずは、だ。出身国、なんての名前の国?」
エリル「『アルテニア王国』と云う」
之男「聞かない名前だな、っつーか初めて聞いた。・・・独立国?、どの辺り?」
エリル「東欧の小国だ。歴とした独立国ぞっ。人口は出国する3日前の時点で
    80万とんで179人であったな。多少は前後しておろうがな・・」

557 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/20 12:15 ID:???
>>556 の続き。ネタを増やす為のネタだな。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之男「・・・ず、随分と細かい数値を言えたモンだな・・・」
エリル「国を継がんとする者が臣民の数を把握せずしてなんとする?」
之男「・・・『王国』ってくらいだから、王制?。君主制なの?」
エリル「臣民の投票で国会議員が選ばれる民主国家だ。国王は国家の象徴だ。
    国会で決定、改正、廃止した法律等を承認する印鑑みたいな存在ぞ。
    位置づけとしては日本の皇族方に似ておるな」
之男「エリルさんはその国王の娘なんだな?。王太子殿下と呼ばれているか?」
エリル「いいや。今の妾は国王の孫、王孫女という身分だ。・・・順当に即位が
    巡れば、妾が2代後に国王となるな」
之男「ふぅ〜ん。ってすると、別に男だけしか王位を継げないってワケでも
   ないンだな・・・」
エリル「その通りだ。妾達の父上は養子みたいなものなので、当然、王位
    継承権は発生しない。母上の下に弟が居るが、王位を継げるのは
    国王の最初の子、妾の母、王太子マリエルなのだ」
之男「ちなみにエリルさん。フル・ネームは?」
エリル「エリル・マサル・マリエル・フェイルドア・アルテニアス23世ぞ」
之男「・・・えらい、長いなぁ。・・・『マサル』ってのは、やっぱり親父の名前
   ・・・『勝』・・・なのか・・・?」

558 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/20 12:16 ID:???
>>557 の続き。×:『之男』。○:『之雄』。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「そうだ。『妾の名・父上の名・母上の名・王家の名・国の名・○○
    代目』と続いておるのだ。そなたが妾と結婚すれば『ユキオ・マサル・
    そなたの母の名が続き・フェイルドア・アルテニアス』となる。○○
    世は王位継承権が無いから付かぬ」
之雄「・・・なる程ねぇ、出身国は解った。じゃあ次の質問に行かせて貰うよ。
   コレが一番重要な質問なんだ」
エリル「どんな事でも訊くが良いぞ?」
之雄「・・・なんでだな、異母兄妹の『妹』でありながら、『兄』である俺に
   求婚するンだ?。全然、理解出来んっ」
エリル「一目惚れしたのだ、そなたにっ。・・・6年位前の事だ、行方不明なった
    父上の部屋を整理しておったらな、荷物の中に幼少の頃のそなたの
    写真を見つけたのだ。それを見て妾は『人生の伴侶は、この者しか
    居らぬっ』と直感したのだっ!!」

エリルは照れまくって真っ赤にした顔を両手で覆い、『イヤん、イヤん』と
首を左右に振る。

之雄「・・・・・・・・・。・・・そ、それだけ・・・?」

559 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/20 12:17 ID:???
>>558 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・なんだ?。如何にも『求婚の動機に欠ける』と云わんばかりの
    表情だな・・・之雄」

赤面からスっと血の気が引き、冷たい表情になるエリル。見た事は無いが、
この手の『貌』は、血も涙も無い権力者が情け容赦ない粛正をやってのける
時の『貌』だと俺の本能は悟り、警鐘を鳴らした。・・・不本意ながら、マジ
でたじろいだ俺は『ごにょ、ごにょ』と不明瞭に反論した。

之雄「・・・だ、だってさ。・・・よ、幼少の写真って言ったって・・・、俺が5歳
   以前の写真、だろ?・・・、それって無理がないか、・・・で、御座いま
   せんか、・・・でしょうか?」

俺の質問が飲み込めたのか、みるみるうちに顔が再び赤らむ。

エリル「・・・確かに、5歳くらいの活発そうな男の子写真であった。その写真
    をこの6年間枕元に置き、想像しておったのだっ。この少年がどう
    立派に成長したのかをっ。そしてそれは妾の想像通りであったっ!!」

560 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/20 12:19 ID:???
>>559 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

組んだ両手に左頬を乗せ、瞳の中に幾千もの星を瞬かせた陶酔状態のエリル。
・・・壊れられた?。

之雄「・・・ですがね、エリル王孫女殿下。写真は人間性までは写せませんぜ?」
エリル「・・・だから、な。こうして身一つで尋ねてきたのだ。お互いの人間性
    は、これから理解し合うのだ。問題はあるまい?」
之雄「・・・それが、また、問題が『ある』のですが・・・」
エリル「男がゴネるのは良くないな・・・」
之雄「・・・いや、ね、ホラ、近親婚とか近親相姦とか、禁忌じゃない・・・?」

エリルが『ポン』と柏手を打つ。

エリル「・・・なんだ『そ・の・程・度』の問題か・・・」

『そ・の・程・度』の部分をヤケに強調してエリルが言った。

之雄「・・・『その程度』って・・・」

561 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/20 12:22 ID:???
>>560 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「心配いらぬ。我が国は王族に限ってだが、近親婚は異母兄妹、又は
    異母姉弟から憲法で認められておるのだ、まぁ死文化しておるがな。
    近親婚をした場合、その3代後まで近親婚が認められなくなるという
    制約が課せられてしまい、子孫には申し訳ないが。歴史上、事例が
    4件ほどあってな、最も最近なのが10代前。全く以て問題ない。それ
    に、日本の皇族方でも近親婚が為されていたと聞き及んでいたが?」
之雄「・・・・・・・・・。・・・ああ、うん、確か、多分・・・」
エリル「問題は解決したか?。之雄?」
之雄「・・・(納得は出来て無ェよ)。・・・解決致しました。エリル王孫女殿下・・・」
エリル「伴侶となろう者が水臭いぞっ、之雄っ!。妾はそなたを『之雄』と呼ん
    でおるっ!。そなたも妾を『エリル』と呼ぶが良いっ!!」

そう言って握手を求めてくるエリル。このまま流されてしまうのか、俺は?。
・・・戸惑い気味に少し伸ばした俺の手をガッチリ握ると、エリルは握手した
手をブンブンと上下させる。

エリル「・・・世話になるっ。宜しく頼むぞっ、之雄っ!!」
之雄「・・・・・・・・・。・・・・こちらこそ、お手柔らかに、エリル・・・」

564 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/21 01:38 ID:???
>>561 の続き。お膳立てを終わらせるか。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

とんでもない理由で、腹違いの妹のエリル王孫女殿下と同居するハメになった
ワケなのだが、手荷物が革製の鞄1つってのが凄い気になる・・・。

之雄「もしもし、エリルさん?。同居するにしては荷物が少ないんでないの?
   これから送らさってくるのかい?」
エリル「妾はこの身一つでココに来たのだ。必要な物は現地調達すればよい
    と思うてな」
之雄「・・・左様で御座いますかい。では、当座の生活費なんかも当然、持参で?」

ここが大事だ。別に彼女の財力をアテして生活する気は無い(全く無いと云えば
嘘になるが・・・)。勝手気ままのフリーターなのだ、生活に余力があるとは言い
難い。それが、もう一人食い扶持が増えたとあっては結構キツい。未成年で
しかも『労働』という概念、言葉を知っていらっしゃるのかどうか、疑問符
が付きそうなハイ・ソサエティーの出生、身分なのだ。

エリル「生活費?。・・・ああ、臣民が使っておる貨幣の事だな。嵩張るからな
    妾は持っておらぬ」

565 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/21 01:39 ID:???
>>564 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

やっぱりか。想像していた通りの展開に納得しつつも、ゲンナリする俺。

之雄「クレジット・カードは?。ゴールド・カードを通り越してプラチナ・
   カードとか持っていたりして・・・」
エリル「済まぬな。それも持っておらぬ」

サラリと言ってのけるエリル。つまりは無一文ってコトか。・・・マジかよっ!?。

之雄「・・・どうするんだよ?。今の俺の生活だって楽じゃないのに、どうやって
   エリルの面倒を見るンだい?」
エリル「・・・その点は謝る。何せ、国王陛下や母上の反対を押し切って、ここ
    に来たのだ。持ち出せる物が限られていた・・・」
之雄「・・・何っ!?。それも初耳だぞっ!?。王室に全て了承を受けて来たンじゃ
   ねェのっ!?。じゃあ、さっきの運転手に連絡つけて借りてこいっ!!」

エリルは首を横に『ぶんぶん』と振った。

581 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/22 01:13 ID:???
>>565 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「運転手のスチュアートが日本へ出国する段取りの全てを引き受け、
    極秘裏に進めてくれたお陰でここまで来られたのだ、数少ない妾の
    良き理解者なのだ。これ以上、迷惑は掛けられぬ・・・」
之雄「・・・(極秘裏でロールス・ロイスかよ)。あっそう・・・」
エリル「妾とてタダで同居しようなどと面の皮の厚いコトは言わぬ。炊事、
    洗濯、掃除・・・なんでも申し付けるがよいぞ?」

王族って御身分だ。どれ一つたりともやった事はあるまい。そう確信して
俺はぶっきらぼうに訊いてみた。

之雄「・・・炊事、洗濯、掃除、やったコトあンの?」
エリル「無い」
之雄「・・・やっぱり、か・・・」
エリル「だが、やるっ。やってみせるぞっ?。之雄の為にっ!!」
之雄「そりゃ、光栄なこって・・・」

やる気満々の表情を浮かべ、左手を腰に当てて、右手で『どん』と張った胸
を叩くエリル。それ反比例して意気消沈する俺。・・・先が思いやられる、な・・・。

582 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/22 01:15 ID:???
>>581 の続きネタ。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルが尋ねてきた当日の夕刻、キッチンに立った俺。聞けばエリルは、包丁は
おろか、キッチンに立った事すら無いらしい(・・・お抱えのコック達に労いの
言葉を掛けにキッチンへ入った事はあるらしいが・・・)。初日から怪我でもされる
と困るので、今晩の夕ご飯は俺が作る事にした。といっても、切り詰め生活なの
に、もう一人食いぶちが増えたのだ。更に食生活は厳しいモノになろうて。
『倹約』の二文字を心に刻み、大きい鍋でお湯を沸かした。沸騰したところで
塩を大さじ一杯、そしてパスタを二人分、投入。茹で加減は『アルデンテ』。
後ろでOJT中のエリルが感嘆の声を上げる。

エリル「ほほぅっ、ディナーはパスタかっ!!。イタリア料理を日本で食べられる
    とは思わなんだ。之雄、そなたは料理のセンスがあるなっ!?」
之雄「・・・日本じゃ、パスタは珍しくありません・・・」
エリル「謙遜するでないっ」
之雄「・・・・・・・・・」

呆れて閉口した。ホントに世間知らずな殿下だな。茹で上がったところで、
パスタをザルにあけてお湯を切る、それを皿に盛り付け、乾燥バジリコを
振り掛けて完成した。

583 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/22 01:16 ID:???
>>582 の続きネタ。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「完成。『特製・塩パスタ』だ」
エリル「・・・・・・・・・。具は・・・無いのか?、之雄」
之雄「無いな」
エリル「・・・・・・・・・」
之雄「タバスコを掛ければ、ひと味違くなるぞ?」
エリル「・・・・・・・・・」
之雄「不満、か?。なら喰わんでも構わん」
エリル「い、いや、そんな訳では・・・。ただ、彩りが、な。少ないな・・・と」
之雄「仕方ない。食いぶちが一人増えたんだ、我慢しろ」
エリル「・・・う、うむ。そ、そうだな・・・」

引っ張り出した卓袱台に『特製・塩パスタ』を盛り付けた大皿を『ゴト』っと
置き、エリルと俺は向かい合って座り『いただきます』を言った。

之雄「・・・美味いか?」
エリル「・・・そ、その、歯応えが絶妙だな。う、うむ・・・」

思いっ切り表情を引きつらせて微笑むエリル。苦労はな、これからなんだよ?。

590 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/22 20:34 ID:???
>>585 エリル「・・・和風パスタか?。レパートリーが増えたな、之雄っ」
     之雄「て、天の声がっ・・・」

>>583 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

『特製・塩パスタ』のみのディナーを終えた。腹違いの妹とは云え、異性と
食卓を囲むのは随分久し振りだ。母さんは俺を産んで間もなく他界したので、
食卓はおろか、記憶だって無い。親父の弟夫婦に5歳になった俺を預けて
世界を冒険しに行った。親父の弟夫婦、叔父さん叔母さんは子宝に恵まれ
なったので、俺を実の子の様に可愛がってくれた。本当に優しい人達で
『ここは之雄の家なのだから、ずっと居ても構わない』と言ってくれた。
しかし、好意に甘え続けるのが心苦しく、高校に入学したのと同時にバイト
をし、敷金礼金が貯まった処で、このアパートに引っ越し一人暮らしを
始めた。叔父さん、叔母さんは俺が家を出る事を反対しなかった。むしろ、
『之雄が選んだ道なら頑張って進め。生活が苦しくなったら、遠慮せず言って。
帰りかくなったら、いつでも戻っておいで』と激励してくれた。
・・・あれから、3年か。血縁者と食卓を囲むのも3年振りって事になるのか。

591 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/22 20:36 ID:???
>>590 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

今日はエリルに食事の後片付け、食器洗いをして貰うのは遠慮して貰った。
絶対にトラブルが発生するのが目に見えているからだ。ただでさえ疲れて
いるのに、これ以上、疲れさせられては敵わない。
俺が食器を洗い終えた頃、エリルがキッチンに顔を出した。

エリル「のう、之雄」
之雄「何じゃらホイ?」
エリル「湯浴みをしたいのだが・・・?」
之雄「風呂か。今から沸かすから・・・、そうだな、20分ほど待ってくれ」
エリル「うむ。解った、宜しく頼む」
之雄「・・・・・・・・・。なぁ、着替えは?。まさか一張羅とかヌかすなよ?」
エリル「・・・あい、すまん。その通りだ。下着も服の着替えも準備して
    おらぬ。そなたの服を貸してくれまいか?」
之雄「・・・下着は?。男モノを履くワケにゃイカンだろ?」
エリル「・・・・・・・・・。妾は一銭も持っておらぬ」
之雄「・・・やはり、か・・・。今日は我慢しろ。明日、3枚買ってこい・・・」

こうやってジリ貧生活に追い込まれて行くンだな。トホホホホ・・・。

603 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 09:24 ID:???
>>591 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・覗くでないぞ、之雄。まだ、そなたの返事を聞いておらぬのでな」

そう言って俺のパジャマを受け取ったエリルは脱衣所の引き戸をガラガラと
閉める。スルスルと生地と生地が擦れ合う、服を脱ぐ音だけが扉越しに聞こ
えてくた。いきなり今日『妹』を名乗る金髪碧眼の少女に『結婚』しようと
同居を迫られた。状況に流されて現在、扉1枚隔てて年頃の女の子が無防備
な姿を晒しているだろう。その気になれば、今すぐにでも蹂躙出来ちゃうン
だよなぁ。白人の少女(ってもハーフか)の裸ってどんなかなぁ・・・。了解無し
に手を出したら、強姦罪どころか国際問題に発展しちまうのかな?。色々な
事が脳裏に浮かんでは消えた。
・・・1時間くらいか、随分と長風呂だな。風呂場の扉の開く音が聞こえた。

エリル「のう、之雄。ドライヤーを使いたいのだが?」

頭と身体にタオルを巻いたエリルが、上半身だけをを脱衣所からヒョッコリ
出して言った。スタスタと脱衣所に向かった俺は、洗面台の引き出しから
ドライヤーを取り出し、使い方を簡単に説明した。

604 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 09:25 ID:???
>>603 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・暫くしてから、脱衣所からズリ下がるズボンの裾と上着の袖を引っ張り
上げながらエリルが出てきた。

エリル「・・・うむ、良い湯浴みであった。誰にもかしづかれずに、一切を自分
    一人でこなすのは随分と手間が掛かるが、そこがまた新鮮であった」

やはり俺のパジャマではサイズが違い過ぎてダボダボ。エリルを呼んで俺に
向かい合って座らせ、裾と袖を折り返してやった。

エリル「・・・っ!。・・・す、済まぬな・・・」

そっぽを向いて『ポソ』っと礼を言うエリル。コイツ、照れているのか?。
この程度の事で?。

エリル「・・・・・・今日、尋ねて来て、初めて優しくして貰うたぞ・・・・・・?」
之雄「・・・そうだったか?」

コクンと赤面しながら無言で頷くエリルの仕草に俺の鼓動が少しだけ高鳴った。

607 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 17:44 ID:???
>>604 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルの続いて風呂に入った。湯船に肩まで浸かった俺は、天井を見上げて
『はぁ』と溜息を吐いた。・・・不覚だったな、妹の仕草に鼓動を高鳴らせる
なんざ・・・。一方的に関係を押し迫ってくる腹違いの妹に、正直困惑して
いた。『妹』ってのがネックなんだよなぁ。・・・まぁ、『妹』という繋がり
がなければ、一国の王の孫にあたるエリルが遠く離れた島国に住むフリーター
の腹違いの兄なんぞに会いに来る事もなかっただろう・・・。これからどんな
風に接して行けばいいのか?。ヘタに期待を持たせて同居し続けるのは彼女
にとっても俺にとってもマイナスだ。しかし、彼女の意思は堅い。彼女の
国の法律がどうであれ、今のところ俺の倫理観は近親婚を拒絶している。
・・・分かんねぇや。風呂のお湯を手で掬い、バシャバシャと顔を洗った。
・・・・・・・・・?。・・・何かが左手の指に絡まっていた。金髪。癖が無く、絹糸
のようにきめ細かく指触りの良い、長い髪。両手の人差し指と親指を用いて
『ぴん』と張ってみる。・・・切れない。染めたり、脱色したり、人の手を加え
た髪の毛は荒れていて切れ易いが、彼女の髪の毛は産まれ持った自然な髪の
色なのだ。日本人の血が半分流れているとは思えない程の、ブロンドだった。
・・・『妹』と知っていなければ、また違った反応をしていたんだろうな、俺は。

608 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 17:46 ID:???
>>607 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

考え事をして思わず長湯になってしまった。エリルは頬杖を突き俯せになって
ケラケラと笑いながらTV番組に観入っていた。

之雄「番組の内容理解出来る程、日本語上手いよな・・・」
エリル「うむ。父上と母上に教わったのだ。母上は日本に留学経験があっての。
    あと、母国のケーブルテレビ局は日本の番組を放映しておるぞ?」
之雄「どんな番組?」
エリル「ええっと、アレだ・・・『おしん』。アレは国民の涙を誘ったぞ?
    アニメでは『風の谷のナウシカ』とか『天空の城ラピュタ』だな」
之雄「ナウシカ、ラピュタは良しとして、『おしん』は意外だな・・・」
エリル「我が国の父や母以前の世代、第2次大戦前に産まれた世代で貧しき
    者達の殆どは皆『おしん』と同じく奉公に出されたのだ」
之雄「へぇ。日本だけじゃないんだな。奉公って・・・」
エリル「当時の我が国は今よりも全然、超小国家だった。人口は40万人も居らず
    地方都市みたいな扱いだった。これといった資源も産業もなく、食べて
    行く、生きて行くには子を奉公へ出す他なかったのだ。・・・他国へな」
之雄「・・・他国に?」

609 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 17:48 ID:???
>>609 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「そうだ。自国が貧しいのでドイツ、チェコ、ポーランド、その近辺の
    国に奉公へ出たのだ。言葉が違い、さぞ苦労したであろうな・・・」

『くっ』と目頭を押さえるエリル。そこまでエリルの国の事を聞くと興味に
絶えない。沸き上がる興味を押さえきれず、色々と質問を投げ掛けてみた。

之雄「・・・ドイツ語圏のリヒテンシュタイン公国は人口3万人。それよりは
   規模が大きいけど、どうして吸収合併されなかったの?」
エリル「・・・それがだな、第二次大戦にまで遡るのだが、先王、現国王の父君
    が名君であらせられてな、ちょび髭のボヘミアの伍長や、靴屋の倅の
    クルリン髭を相手に、自国の軍事的、経済的重要性の無さを説明して
    あの大戦と、その後に始まった冷戦の混乱をドサクサに紛れて乗り
    切った、嘘のようなホントのハナシだ」
之雄「へぇ。で?。今も主立った産業が無いのか?。日本も資源が無いのは
   同じなんだけど、輸出で稼いでる」
エリル「山間の小国なので輸出では国を支えられぬ。今年は国家主導でITを
    普及させておるな。世界中のデータの管理、保存を行ったり、ネット
    で株式の投資を行ったりと、な」

610 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/23 17:52 ID:???
>>609 の続き。>>608を抜かしちまった。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「国防とかはどうなってるんだ?」
エリル「18歳以上の成人男女の臣民に小銃を支給しておる。あるとは思えぬが、
    有事の際は警官が地域の臣民をまとめ上げて外敵に抵抗する。自衛、
    専守防衛の精神だ。海には面しておらぬので艦艇は勿論だが、戦車や
    航空機も保有しておらぬ。装甲車が20両を数えるほどだな」
之雄「安定した国だな」
エリル「うむ。政教分離は学校教育にも及んでおる、あらゆる宗教を、徹底
    してな。なにせ山間の小国家だ、人種差別は絶対に無いとは言い切
    れぬ。しかし、先程の奉公の話に戻るが、他国で苦労した世代が後
    の世代に語り継いでくれておるお陰でな、妾は皆無だと認識しておる」
之雄「・・・山間ってコトは雪深い土地なんだ・・・」
エリル「ウィンター・スポーツが盛んだな。春は麗らかだが短い、夏は避暑地
    にもってこいぞ。秋は駆け足で過ぎ去る、冬は確かに雪に閉ざされる
    が豪雪という程ではない、気温はかなり低いがの・・・」

俺の質問に母国を熱っぽく、雄弁に語るエリル。そんな姿に無性にエリルの
母国を見てみたくなった俺が居た。

622 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/24 13:09 ID:???
>>610 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルが『あふっ』と口に手を当てて欠伸を噛み殺した。時計を見ると22時を
回っている。お眠の時間か?。当然、シングル・サイズの布団だ。一人暮らし
だから、余分な布団なんぞ無い。やむを得ンなっ、俺は毛布とマットレス組、
エリルは掛け布団と敷き布団組の2つに寝床を分ける事にした。

エリル「返事を聞いておらぬのに、臥所を共にする訳にはいかぬからな」
之雄「・・・布団を並べて敷いているンだ、大して変わりゃしねェよ・・・」
エリル「夜這いするでないぞ?」
之雄「するかよっ!!」
エリル「・・・そう断言されると、それは、それで少し残念な気もするな・・・」
之雄「どっちだよっ!?」
エリル「したいのか?」
之雄「・・・させてくれるのか?」
エリル「するのは構わぬが、妾は拒絶する」
之雄「・・・だろ?。だから、しない」
エリル「まぁ、夜這わられる事自体は悪い気はせぬ。隣で寝ている年頃の男に
    欲情もされぬとあっては、女にしてみれば情けない限りであろう?」

623 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/24 13:13 ID:???
>>622 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「軽蔑とかしないのか?」
エリル「何とも思っておらぬ男にある夜突然夜這いされれば、そういう感情
    は湧くであろうが、相手はそなただ」
之雄「・・・(そこまで言うか、畜生。ああっ、倫理が、理性が恨めし過ぎるっ!!)」

俺の心の葛藤をよそに、モソモソと布団に潜り込むエリル。んじゃ、寝るか。
部屋の明かりを消し、俺も布団に潜り込んだ。

エリル「・・・この香り・・・。・・・?」
之雄「布団が野郎臭ェってか?」
エリル「・・・そういう意味ではないっ。父上の香りに似ておると思うたのだっ」
之雄「・・・そう?。まぁ、腐っても親子だしな・・・。・・・。・・・おやすみ、エリル」
エリル「・・・。・・・そなたが真の言葉と行動で誠意を見せてくれたならば、妾は
    喜んで抱かれようぞ、・・・之雄。・・・おやすみ・・・」
之雄「・・・・・・・・・っ!?」

俺は心臓に匕首を叩き込まれる様な衝撃に襲われた。エリルの方を見ると、既に
安らかで規則正しい寝息を立てている。長旅で疲れていたんだな・・・コイツ。

632 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/25 11:36 ID:???
>>623 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

思いもしない出来事のお陰で気疲れしたらしい。瞼を閉じると直ぐに俺の意識
はプッツリと途切れ、眠りに落ちていった。
・・・ぼすっ!!。・・・何かが当たったらしい。その衝撃で目を覚ました俺。外は
まだ暗い。枕元の目覚まし時計を見ると、2時前だ。やれやれ、こんな時間に
起こされるとは。俺を襲った謎の衝撃。犯人は分かり切っていた、エリルだ。
見事なまでの寝相の悪さだった。俺が寝ている布団とエリルが寝ている布団
を1mほど離しておいたのだが、掛け布団で簀巻き状なったエリルが俺の方
に転がって来たのだ。最初は「ワザとか?」とか思って頬をツツいてみたが、
こそばゆがって小さく身をよじる程度の反応しか示さなかった。・・・ホントに
寝てら。・・・まぁ、俺も寝相がいい方じゃないからな。ここは互譲の精神、
俺はエリルを跨いで寝床を交換し、再び瞼を閉じた。
・・・ぼすっ!!。あれから30分も経ってないぞっ?。・・・我慢、我慢。俺はそう
自分に言い聞かせて先程まで横たわっていた自分の寝床にとんぼ返りする俺。
・・・ぼすっ!!。またかよ、糞っ。目が冴えちまうっ。次は無いぞ、ゴルァっ!!。
・・・ぼすっ!!。ふざけているのかっ、コイツはっ!?。いい加減、頭にきた俺
はエリルの額めがけて『ぱちぃん』とデコピンを1発かました。

633 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/25 11:39 ID:???

>>632 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

左手で寝惚け眼を、右手で額を撫でながらエリルが言った。

エリル「・・・夜這いは受け入れられぬと申したであろう?・・・」

言うと思ったよ。俺はキッパリと否定した。

之雄「違うわっ、ヴォケっ!!。お前の寝相が悪くて寝たそら無ェんだ、
   何とかしろっ!!」
エリル「・・・そんな言い訳じみた事を。子供とてもう少しマシな嘘を吐くぞ・・・」

『フフフ』と微笑を浮かべるエリルの額に、もう1発デコピンをお見舞いした。
『はうっ!?』と息を飲み込むエリル。流石に痛かったのか、両手で額を押さえて
コロコロと転がりながら自分の寝床に戻った。

之雄「それでよしっ。もう戻ってくるなっ」

さて、寝るか。

642 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/26 13:36 ID:???
>>633 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルが寝惚け眼をこすりながら布団から頭を出した。ストレートのブロンドが
寝癖で酷い有様だ。

エリル「・・・おはよう。朝が早いな、そなたは・・・」

朝御飯仕度をしながら俺も『おはよう』と返す。・・・朝が早い?。・・・時計の針は
7時を指したところだ。昨日、布団に入ったのが22時前。こんなモンじゃないか?。

之雄「もうちょっと待っていろ、朝食が完成するから・・・」
エリル「寝坊をして済まぬ。妾が作るべき立場であるのに・・・」

・・・。昨日の夕食を作ったのと、ほぼ同じ理由で今日の朝食も俺が作った。
朝っぱらから忙しなく『ああじゃない、こうじゃない』なんて言って気苦労
したくないからだ。エリルに布団を畳ませ、出させた卓袱台の上に俺とエリル
のご飯、味噌汁、卵焼きとカリカリに焼いたベーコンのオカズを乗せた。

エリル「おおぅ。和洋折衷であるな?」
幸雄「・・・いや、普通の日本の朝食だと思うぞ?」

643 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/26 13:38 ID:???
>>642 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

俺・エリル「・・・いただきます・・・」

お互い、両掌を合わせてペコリと一礼した。エリルは器用に箸を使い、食事を口に運ぶ。

之雄「・・・日本人ですら、箸の持ち方がヘタな奴がいるってのに、上手いモンだ」
エリル「・・・煽てるでない」

とは言うものの、満更でもなさそうな表情が見て取れた。

之雄「・・・なぁ、今気付いたんだが、食べる前に『お祈り』とかしないの?」
エリル「ん?。せぬぞ。王族から特定の宗教に傾倒してはならぬ。そう教え
    られたし、妾もそう思う。前にも言ったかの?、母国アルテニアは
    宗教の自由、信仰の自由を認めておる」
之雄「色々と王族ってのは制約がつくモンなんだな・・・」
エリル「臣民に象徴として敬われている者の生まれついての義務と思えば、
    なんら苦ではない。第一、今時『特権階級が臣民から搾取し、贅の
    限りを尽くして面白可笑しく人生を送る』なんて前時代的なシステム
    で国家が健全に機能出来ようものか」

644 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/26 13:40 ID:???
>>643 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「その言葉、『半島のN国』の将軍様に聞かせたいな」
エリル「・・・コホン。ま、まぁ、妾も、そう、今は、大きい声で言える立場
    では無いなのだが、な・・・」

・・・そりゃ、そうだ。国王の孫娘がだ、極秘裏に日本へ出国し、腹違いの兄
と同居してるンだからな。俺が納税者だったらブ〜垂れるよ、マジで。

之雄「アルテニアには日本食、日本料理のレストランなんかある?。そんな
   ワケ無いか・・・」
エリル「・・・残念ながら無い。日本に来たのだ、そなたを連れて帰国する迄に
    是非とも『スシ』『ソバ』『テンプラ』の3つは必ず食してみたい
    と思っておる」
之雄「・・・『スシ』か。下着の買い物ついでに回転寿司でいいなら昼飯、ソレ
   にするか?。(・・・1皿100円で20皿も喰うまい、大丈夫だろ・・・)」
エリル「本当かっ、妾は構わぬぞっ?男に二言はあるまいなっ!?」

ぱっ、と明るい表情を浮かべるエリル。しまった、安請け合いしちまったか?。

651 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/27 11:55 ID:???
>>644 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

俄然、食べる速度を上げるエリル。・・・昼食まで、あと5時間はあるっつーの。
・・・しかし、生で魚を食べた事なんてあるのか?。

之雄「なぁ、故郷じゃ魚を生で食べる習慣ないだろ?」
エリル「うむ。無いな。アルテニアは主に芋と肉が食されておる」
之雄「食べた事のある魚料理はやっぱりムニエルとか?」
エリル「そうだな、口にした魚料理と云えばムニエルくらいだな。・・・あ。
    父上がな、母国の川で釣ったマスを薫製にして食べさせてくれた
    事があった。あれは美味だったな・・・」
之雄「親父が?。・・・冒険野郎だな。現地調達した食材を加工するなんてさ」
エリル「母上はそこに惹かれたのであろうな・・・そうそう、我が国の郷土料理
    のな、ジャガ芋と羊肉を煮込んだスープは逸品ぞ?。レシピは知って
    おるから、キッチンに立たせて貰ったら是非馳走するぞ?」
之雄「そりゃ楽しみな反面、ちょっと不安かな?」
エリル「・・・どういう意味か?」

俺が『・・・さぁ?』と言って肩を竦めてみせると、エリルは『ぴくり』と片方
の眉を吊り上げた。

652 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/27 11:56 ID:???
>>651 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「大方、キッチンに立った事のない妾を小馬鹿にしておるのであろう?」
之雄「・・・滅相も御座いませんな」
エリル「ふんっ。余りの美味しさにほっぺたが落ちても知らぬからな?」
之雄「ええ、楽しみに待っていますとも・・・」
エリル「・・・そなたの手は借りぬ。後ろで見ておれば良いっ」
之雄「その前に包丁の使い方をお教えしなければなりませんなっ」
エリル「・・・っ!!。きぃ〜〜〜〜〜〜っ!!」

アハハ、可愛いヤツだなぁ。そんな遣り取りを小一時間繰り返した。
エリルは御飯、味噌汁、オカズを残さず綺麗に食べ終え、『カチャリ』と箸を
置くと両掌を合わせて一礼した。

エリル「馳走になったな。日本の朝食、堪能させて貰った。『米』には驚いた。
    砂糖を加えておらぬのに、こんなに甘みがあるとは思わなんだ。それ
    に『味噌汁』。見てくれは泥水の様だが、深みのある味わいは他に
    追随を許さぬな。之雄の料理の腕、見事だっ」

・・・。『泥水』って・・・、随分な表現の仕方だなぁ・・・。

653 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/27 14:59 ID:???
>>652 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

ベランダから外の景色を眺めながら食後の一服。煙草の匂いが部屋の物に付く
ので極力ここで吸うようにしている。・・・生活が苦しくなったら、煙草代から
切り詰めにゃならんかな・・・?。1日に約1箱、月にして8000円ちょっと。
買い置きが1カートンある、向こう1ヶ月はコレで我慢すれば5000円の節約
になる。身体にも良い事だし、節煙するかな・・・。

エリル「何を物思いに耽っておるかっ!?」

俺の背後に忍び寄ったエリルがいきなり背中に抱き付いてきた。
・・・コ、コイツ、胸が無ェっ!!。

之雄「いや、なに、『人生設計』について考えていたんだよ・・・」
エリル「うむ。やはり子供は多い方が良いか?。サッカー・チームが組める
    くらいは子宝に恵まれたいものぞ・・・」
之雄「・・・。『明るい家族設計』ではありません」
エリル「ん?。財政事情の事か。手持ちが無く、本当に済まぬと思っておる・・・」
之雄「大丈夫、なんとかなる・・・と、思いたいな・・・。・・・ヲっ!?」
エリル「どうした、之雄っ?。素っ頓狂な声を出して・・・」

654 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/27 15:01 ID:???
>>653 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

煙草の火を揉み消した俺は、背中にエリルを抱き付かせたまま部屋の隅に
向かい、そこに埋もれているであろう、ある『物』を探した。それはもう
ムスカ大佐が『黒い石』を探すみたいに。

エリル「何を探しておるのだ?」
之雄「あったっ!!」

忘れ去られたのように埃が被った直径15cm高さ20cmの円筒形の物体。コレは
今の俺にとっての『超絶対防衛ライン』であり、『9回の裏の攻撃。同点で
満塁、カウントは2アウト、2ストライク3ボール。ヒットを打ってサヨナラ』
であり、土俵際の『うっちゃり』であり、オーラスのハコ寸前でダマテン
『子の国士無双、13面待ち』なのだ。俺は愛おしげに被った埃を手で払った。

エリル「之雄、それは?」
之雄「・・・フフフ。これはな、俺が高校に入学して間もなくここに一人暮らしを
   始めた頃に、余った小銭をコツコツと貯めた、いわば『失われた聖櫃』
   『パンドラの箱』とも云うべきものなのだよ・・・」

655 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/27 15:02 ID:???
>>654 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

ゴクリと生唾を飲み込むエリル。イマイチ理解しかねていらっしゃる様子だ。

之雄「・・・済まないが、台所の流し台の引き出しから『缶切り』を持ってきて
   くれないかな?」

俺は手をギコギコと動かすジェスチャーをする。エリルは台所に向かうが、途中
で足を止め、不安そうな表情を浮かべて俺の振り返って言った。

エリル「・・・ほ、本当に良いのか?。開けてしまって・・・」
之雄「・・・ん?。全然」

俺の素っ気ない態度にエリルは呆気にとられていた。小首を傾げて台所に
向かい、流し台の引き出しを『ガチャガチャ』と引っかき回して戻ってきた。

エリル「之雄っ。『缶切り』とはコレかっ!?」

・・・『栓抜き』なんだな、ソレは。

668 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/28 21:52 ID:???
>>655 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「これはあい済まぬ」

再び流し台の引き出しを『ガチャガチャ』と引っかき回して戻ってきた。

エリル「これであろう?」

エリルは俺の眼前に、螺旋状に巻かれた細い鉄棒にT字の取っ手が付いた
道具を突き出した。

之雄「・・・それは『コルク栓ぬ・・・」
エリル「解っておる、冗談ぞっ」

クスクスと笑いながら『コルク栓抜き』を引っ込め、『缶切り』を俺に
手渡すエリル。・・・かなり意外だな、ボケてからかってくるなんてな。
王族だからボケや冗談、悪ふざけからは無縁じゃないかって思っていた
ので、正直言って新鮮な驚きだった。そして無邪気な笑顔が眩しかった。

669 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/28 21:52 ID:???
>>668 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「どうした、之雄。リアクションが乏しいぞ?。・・・もしかして、
    怒った、のか・・・?」

表情を曇らすエリル。手渡された『缶切り』でギコギコと金属製の『貯金箱』
を切開しながら答える俺。

之雄「うんにゃ。エリルがさ、この手のボケをかますとは、これぽっちも
   思っていなかったんでな・・・」
エリル「冗談を言わぬ、解せぬ朴念仁が上に立たれたのであっては下の者達
    は堅苦しいだけであろう?」
之雄「おう、まぁ、そうだな・・・(つまらん冗談を連射されるのも困るが・・・)」
エリル「・・・おっ!?。そろそろ天板を切り終えるのではないのかっ!?」

『貯金箱』の少しだけ切り残した天板を引き起こすと、『ぎ、ぎ、ぎ』と
軋んだ音が立った。・・・塵も積もれば山となる。その格言、信じたいっ。
思い切って『貯金箱』の中身を床にブチまける。『ちゃら、ちゃら、ちゃら』
と比重が軽めの硬貨同士が擦れ合う金属音が俺の鼓膜に響く。
・・・そ、そんなっ、バカなっ!!。

670 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/28 21:55 ID:???
>>669 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「之雄っ、一杯入っておるぞっ!?」

興奮した面持ちのエリル。声も少し上擦っている。
一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、十円玉、
一円玉、一円玉、一円玉、十円玉、一円玉、一円玉、百円玉、一円玉、一円玉、
一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、五円玉、一円玉、五円玉、
一円玉、一円玉、一円玉、一円玉、十円玉、一円玉、一円玉、一円玉・・・・・・。
アルミ製の硬貨が殆どだった。次いで十円玉、五円玉、百円玉、五十円玉、
五百円玉と続く。・・・思い出した。生活が苦しい時に百円玉と五百円玉を爪楊枝
で突っつき落としてたよ、俺・・・。ガッカリして空になった貯金箱を後ろに放り
投げる。・・・うぅっ、ショックだ。・・・最初っから無かったモンだと思えば、
気が多少は楽になる。これはこれで少しは足しになるしな・・・。

エリル「・・・のう、之雄。『髭眼鏡の老紳士』が描かれた紙が、『貯金箱』の
    底に引っ掛かっておるぞ?」

エリルは手にした『貯金箱』を覗き込んで言った。・・・なっ!?。『新渡戸稲造』
かァっ!?。・・・『パンドラの箱』だ、本当に希望が1つ入っていたよ・・・。

681 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:35 ID:???
>>670 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・思い出した、バイトの初給料最後の生き残りだ・・・。『貯金箱』に折り
畳んで入れたら、引っ張り出させなくなって、そのまま放置したヤツだ。
『ぴしっ』とお札のシワを伸ばして、天にかざした。・・・おお、救世主よっ。

エリル・俺「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ・・・」

エリルと一緒にジャリ銭を数える。一円玉×729枚、五円玉×11枚、十円玉
×72枚、五十円玉×8枚、百円玉×16枚、五百円玉×2枚。五千円札×1枚、
合計にして9504円。・・・おおっ、四捨五入すれば壱万円ではないかっ。財布の
中には福沢諭吉が1名、夏目漱石が5名。・・・バイトの給料日が3週間後か。
・・・途端に寿司を喰うのが惜しくなった、が、約束を反故にするのは流石に
マズいか・・・、『寿司は最後の贅沢』を理由に今後の食生活を切り詰めれば
いい。ディスカウント・ストアに行けば、下着と靴下、服の上下も2着は
買えるな、あとは当座の食材を買い込む・・・これで限界だな。
・・・平日の午前中から未成年の外国の少女と買い物か、他人の目にゃ、さぞ
かし奇妙に映る事だろうて・・・。

683 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:48 ID:???
>>681 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

出掛け前の『お約束的なトラブルの展開』を防止する為、エリルが申し出た
『皿洗い』は丁重にお断りした。流石に昨日から何もさせて貰えないエリル
が少しばかりスネたので『夕食からは任せる』と約束した。
掃除、洗濯は後回しにして、10時過ぎにアパートを出た。俺の腕に組み付き
先を急ごうとするエリル。随分とはしゃいでンなぁ。

之雄「・・・楽しそうだな、エリル」
エリル「それは、もうっ」
之雄「・・・だがな、昼飯、寿司を喰うにゃまだ早過ぎるぞ?」
エリル「そなた・・・、妾はそれ程に食い意地は張っておらぬっ」
之雄「んじゃ、なんで?」
エリル「・・・それは・・・だな、・・・これは『デート』であろう?。日本に来た
    翌日に思い人と肩を並べて一緒に買い物に出られるとは。と思うと、
    嬉しくて、な。つい・・・」

ビクっとして足を止める俺。・・・『デート』?。・・・全然、そんな事は思いも
しなかった、俺は劇的に変質した生活の初歩をどう進めるか、そればっかり
を考えていた。・・・そうだよな、そういう見方もあるんだよな。

684 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:49 ID:???
>>683 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

まず最初は銀行に行った。なにせ、あのジャリ銭の山を大きくまとめなければ
ならない。一々会計ごとに『ジャラ、ジャラ』と細かく支払っていたら、日が
暮れてしまう。硬貨ごとに分けて入れたビニール袋を窓口で両替してもらう。
『初デート』で行った初めての場所が『銀行』か。そうそう無いだろうなぁ。

エリル「ふむ。銀行の雰囲気は母国と大して変わらぬな」
之雄「やっぱり、通貨はユーロなの?」
エリル「今は独自の通貨だが、来年ユーロに切り替える。変化の波に乗らねば
    緩やかな衰退しか待っておらぬのでな」
之雄「なんか、凄い大局的な視点だな・・・」
エリル「王族からして『知らぬ、分からぬ』では話にならぬ。後にそなたにも
    覚えて貰わねばならぬ事が山程あるぞ?」

俺の瞳を覗き込んで微笑むエリル。・・・やれやれ、絶対に俺と結婚する気だ。
両替を終え、俺とエリルは銀行を後にした。

エリル「次はどこぞ?」
之雄「この先のショッピング・モールで昼まで衣類を見ようか?」

685 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:50 ID:???
>>684 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

色々なテナントが軒を連ねる、この町で最も大きいショッピング・モールに
来た。○○円以上買い物をしたら3時間無料という広大なパーキングを兼ね
備え、更には隣りにある大型ディスカント・ストアと駅とも遊歩道で繋がって
いる為、交通機関のアクセスが良い。
平日の午前中、主婦を中心にそこそこの人数が行き来をしていた。

エリル「のぅ、之雄・・・」

そう言ってエリルが俺の服の袖を引っ張る。

之雄「どうした?」
エリル「ホラ、あそこ。幼子達が水遊びをしておるぞ?」

ショピング・モールの中心部ある公園に水遊びが出来る噴水付きの人工の
小川がある。主婦連中が立ち話をしているその横で、オムツ一丁の幼児
5、6人が『きゃあ、きゃあ』と黄色い声をあげながら、水を掛け合って
遊んでいる。

686 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:52 ID:???
>>685 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「・・・なんだ、エリル。ショタか?」

まぁ、エリルは『ショタ』なんて言葉は知るまい。そう高を括って言ったの
だが、エリルは意味は知らなくとも俺の言葉の微妙なニュアンスを酌み取り、
自分に対して好ましからざる表現をされたのだと察知したみたいだ。唇を
尖らせ、上目使いで『じと〜』と俺を睨む。・・・鋭いっ!。・・・賢いっ!。

之雄「そ、その、な、なんだ、可愛い子達だな!?、うんっ」
エリル「・・・・・・・・・」

慌てて取り繕おうとしたのだが『ぷい』とそっぽを向くエリル。

之雄「・・・悪かったよ、謝る。ゴメン」
エリル「・・・ぞんざいな謝罪の言葉だな・・・」
之雄「・・・済みませんでした、ごめんなさい・・・」
エリル「うむ、許す。以後、気をつけよ」

コクンと大きく頷く俺。知らない言葉で茶化されるのは嫌いなようだな、エリルは。

687 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:53 ID:???
>>686 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

やっぱり幼児を見て『子供は好きか?』『子供は何人欲しい?』という主旨の
話だった。俺は子供は嫌いじゃない、むしろ好きな部類に入ると思う。しかし、
だ、付き合っている自覚が殆ど無い異母兄妹に子供の話をされても、イマイチ
『ピン』と来ないのだ。それを解ってくれているのか、エリルはその話の返答
を俺に必要以上に要求しなかった。
エリルと俺はショピング・モールを暫くグルグルと歩いて見て回った。普段
では絶対に入らない様な、女の子向けの店に入ったりした。外国の少女の入店
に店員の反応が明らかに違い、別の意味で気恥ずかしさがあった。
一通り見て回った後、周囲眺めたエリルは感嘆の声をあげた。

エリル「しかし、大きいショッピング・モールであるな。この規模の施設が
    3つもあれば母国の日用品が全てまかなえる・・・」
之雄「・・・母国の人口は一極集中なのか?」
エリル「人口の50%は首都近郊に集中しておる。店もその殆どが個人経営ぞ」
之雄「ふぅ〜ん、大量生産、大量購入、大量消費とは無縁って感じだな、一昔
   の日本もそんなだったんだよな・・・。・・・お、そろそろ、お寿司の時間
   だな、行こうか?」
エリル「うむっ、行こうぞっ!!」

688 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:54 ID:???
>>687 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

ショッピング・モールの飲食街の一角にある回転寿司に来た。1皿100円なの
にも関わらずネタの良さが評判の回転寿司で、休日ともなれば親子連れの客
でごった返す。平日の今日でも昼時はほぼ満席だった。

エリル「・・・ほほう、寿司が店内をグルグルと巡っておるな。『回転』と銘
    打っておるから、てっきり妾は寿司の乗った下駄か、寿司が入った
    桶がその場でクルクルと回転しておるかと思うたぞ?」

そう俺に耳打ちするエリル。・・・まぁ、想像と現実なんて、そんなモンだよ。
店員に『ヘェいっ、らっしゃいっ!!』と声を掛けられて、2つ空いている
カウンター席に隣同士で座る俺とエリル。

之雄「昼時だから寿司の回転、・・・補充、な・・・が早いから、寿司のネタが
   乾燥しているって事は殆どないケド、回っている寿司を拾うより板前
   さんに頼んで作って貰った方がいいぞ?。食べたいヤツを頼めばいい」

そう言ってお品書きをエリルに手渡した。暫くの間、眉間にシワを寄せながら
お品書きと睨めっこしていたエリルがぽっつり呟いた。

689 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/02/29 18:56 ID:???
>>688 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・あ、あのな、之雄。・・・済まぬ、妾、な、日本語の読み書きが
    出来ぬのだ・・・。そ、その、何と書いてあるのか、読めぬ・・・」
之雄「・・・う、嘘だろ?。だって堪能じゃん、日本語・・・」
エリル「・・・嘘では無い、会話は父上と母上に習って、ほぼ完璧だがの・・・」
之雄「・・・こいつは予想外だ・・・」

う〜ん。それじゃ看板が読めないっと事だっ。陳列してある商品に書かれて
いる文字も読めないって事だっ、メモを渡して買い物に行かせるのも無理って
事だっ。俺はアルテニア語なんて書く事も喋る事も出来ない。・・・はてさて、
これは大変な事になったぞっ!?。

エリル「・・・でも、食べたい物は決まった、頼んで良いか?」
之雄「・・・ああ、解った。・・・で、どれだ?。どれが食べたい?。俺が頼んで
   やるぞ、教えてくれ・・・」
エリル「ああ、それに関して問題は無いぞ、之雄。板前殿、各種寿司を1皿
    ずつ全部頼むっ」
板前「あいよっ!!」
之雄「・・・っ!!。(マジかっ!?)」

697 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/01 21:51 ID:???
>>689 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・そりゃ、『食べたいヤツを頼めばいい』とは言ったが、全部かよ、オイ・・・。

エリル「・・・頼み過ぎた、か?」
之雄「・・・い、いや、好きなだけ喰えよ・・・」

頼んだ寿司が矢継ぎ早に出てくる。にぎり寿司はマグロの大トロを皮切りに、
中トロ、赤身、カンパチ、アジ、サバ、コハダ、鯛、ヒラメ、シャコ、蒸し
エビ、甘エビ、タコ、イカ、ゲソ、ホタテ、赤貝、アワビ、タマゴ。軍艦
巻きで、イクラ、ウニ、ツナマヨ。巻物で、マグロ、かんぴょう、きゅうり、
納豆、おしんこ。そんでもって更に『美味しかった』と言って、大トロと
ヒラメ、イクラを1皿ずつ追加して、計30皿。
ほっぺたをヒマワリの種を頬袋に目一杯詰め込んだハムスターの様に膨らませ、
口に手を当ててモゴモゴと咀嚼しながら至福の笑みを浮かべるエリル。
・・・お前、食い過ぎっ。そのちっこい身体のドコに60カンも入るんだよっ!?

エリル「之雄っ、『寿司』がこれほど美味しい食べ物とは思わなかったぞっ?
    それに、この『ガリ』というヤツ、ザワークラウトみたいで良いな。
    ・・・?。余り食べておらぬな、そなた・・・」

698 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/01 21:52 ID:???
>>697 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「・・・ん?、ま、まぁ、な・・・」

5皿止まりの俺。懐具合ってのもあったのだが、大食家が横に居たお陰で、
それを見ているだけでこちらもお腹が一杯になった。

エリル「やはり、妾が頼み過ぎたのだな・・・。・・・済まぬ、食べさせて貰って
    いる身分でありながら・・・。許してくれ、之雄・・・」

エリルは本当に済まなそうに沈んだ表情をする。・・・ああっ、もうっ、そんな
顔すンなっ。

之雄「美味かったんだよな?、それならいい。初めて喰ったんだしな。気に
   するな。お粗末様」
エリル「馳走なったな、之雄っ。妾は大っ大満足だっ!」

お互い食後に熱い緑茶を『ズズ〜』飲み終え、会計を済ませた。回転寿司屋
から出て、歩きながら俺はエリルに当分の間は贅沢が出来ないと説明すると
エリルは二つ返事で納得してくれた。

699 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/01 21:53 ID:???
>>698 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

昼食の後はエリルの衣類を買って歩いた。派手なパンティを広げて『こんな
のはどうか?、妾に似合うか?』と大きな声で訊かれるセクハラを受けたり、
試着室に入ったエリルに『着替えを手伝おうか?』と訊いてカーテンを開ける
真似をしてみたりと、楽しみながら買い物をした。
・・・これまで買い物と云えば、1人で食料品を買いに行く他は男友達と服を
買いに行く程度だったな。異母兄妹と『デート』か。不思議な気分だな・・・。
ハーフとは思えない異国人の容姿を持った『妹』。成り行きで同居を始めた
が、この先どうなるのか・・・。・・・やっぱり、俺次第なんだろうなぁ・・・。
はしゃぎ、笑って買い物を楽しんでいるエリル。一緒に居て楽しいと自覚した
自分に正直、困惑した。今、俺はエリルをどう思っているか?。まぁ、仕草
なんかは可愛いと思う。・・・まぁ、まだ、明確な答えを出すには早過ぎるか。
エリルのパンツ、ブラジャー、靴下、洋服の上下と当座の食料品を買い、帰路
についた。当然、重い物は俺が持っている。

エリル「・・・随分と浪費させてしまったな。本当に済まぬ・・・」
之雄「腹を括ってここまで来たんだ。・・・それなら、浪費した分、頑張って
   貰うだけだ・・・。宜しく頼むぜ、エリルっ」
エリル「・・・っ!!。妾に任せろ、之雄っ」

711 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/02 22:13 ID:???
>>699 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

アパートに帰りマターリした後、エリル、俺の順に風呂を済ませた。

エリル「今度こそ妾が食事を作るぞっ」

風呂から上がった俺にエリルは高らかに宣言した。・・・やる気満々だな・・・。

之雄「今日の夕食の準備はやる事が限られてるぞ?」
エリル「何故だ?。また妾に作らせぬ気か?」
之雄「そういう意味じゃない。お前を責める訳じゃないから、良く聞けよ?
   昼の寿司で若干生活費がオーバーしそうなんだ、そこで、まず切り
   詰める対象の第1候補が『食費』だ、ここまではOK?」
エリル「うむっ」
之雄「『食費』を切り詰めるには、1食当たりに掛けられる金額を減らさ
    なければならない・・・」
エリル「異論ない。全く以て、その通りだ」
之雄「・・・で、だ。朝炊いた御飯が残っている、それのみを用いた1品料理
   で今日の夕食を済ます。御理解頂けるかな?」

712 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/02 22:14 ID:???
>>711 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「理屈は解るぞ?、が、やはり、妾が食事を作れぬ事に変わりは無い
    ではないか・・・」

スネ始めるエリル。・・・ぬっ、ここで押し切られてたまるかっ!。

之雄「黙れ若造っ!!。料理人の身体の一部とも云える調理器具の置き場
   すら把握出来ておらぬヒヨッコが、我が家の台所に初めて立った
   分際で早速『食事を作る』などと言い出すとは、身の程知らずも
   いい加減にせいっ!!」
エリル「・・・うっ、くっ・・・」

悔しそうに言葉を呑むエリル。この後、優しくフォローしておく。

之雄「・・・包丁で手切ったりしたら大変だぞ?。順番踏もうよ、何も全く
   食事の準備をさせないって訳じゃないから、さ」
エリル「・・・うむ、そうだな、そなたの言う事は一理ある。従おう・・・」
之雄「物分かりが良くて助かるよ、エリル」

713 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/02 22:15 ID:???
>>712 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

右手で俺はエリルの頭をナデナデしてやると、その手の甲を人差し指と
親指で『ギュウ〜』とツネる。

エリル「子供扱いするでないっ」

・・・それは申し訳御座いませんなっ。

之雄「では、エリル。丼を2つ出して軽く水洗いしてくれ」
エリル「・・・・・・・・・。準備出来たぞ、之雄っ」
之雄「次は電子ジャーの蓋を開け、しゃもじで丼に御飯を盛る」

手付きが全然なってないので、エリルの背中に密着し、手を取って教える。
密着した時、エリルから風呂上がりの石鹸の良い香りがして、心臓がドキ
ドキした。・・・オカシイな?、同じ石鹸や、シャンプー、リンスを使って
いるのに、全く違う香りに感じるぞっ。

エリル「・・・?。どうした、之雄?。盛った後、どうするのだ?」

714 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/02 22:16 ID:???
>>713 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルの声に我に帰った。

之雄「・・・んっ!?、あっ、おうっ、そしたら、冷蔵庫に入ってるバターを
   御飯の上に乗せる。バターは既にブロック状に切ってあるから」
エリル「・・・こうで良いのか?」
之雄「よっしゃ、グッドっ。んでもって、丼を、これ『電子レンジ』って
   いう『温め機』な、これに入れて2分にダイヤルをセットし加熱」
エリル「・・・チン、と鳴った。出来た様だぞ?」
之雄「丼を向こうの部屋の卓袱台に持っていく。熱いぞっ!、火傷するな
   よっ!。おおっと、醤油を忘れずにな」
エリル「・・・うむ。・・・で?。コレに醤油をかけるのか?」
之雄「そうだ。これが余り御飯の定番メニュー『バター醤油御飯』だっ」

『いただきます』を一緒に言って、『タタタッ』と醤油を垂らして味付け
したバター御飯を口に掻き込む俺とエリル。

エリル「なかなか美味いな・・・、シンプルな割には」
之雄「シンプル・イズ・ベストってな良く言ったモンだよ・・・ウマ〜っ」

722 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/03 21:35 ID:???
>>714 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルに食後の後片付けを試みさせてみる。ギットリとバターが丼に付着して
いるので、お育ちが良過ぎる娘っ子は敬遠しそうな洗い物なのだが、エリルは
勇ましく腕まくりをし、流し台の前に立った。・・・ふむっ、心意気は良しっ。
先程の食事の準備時にエリルに説教を垂れた時と同じ口調・・・海原雄山節・・・で
食器洗いの何たるかを叩き込む俺。

之雄「器有っての料理。器をぞんざいに扱う者の料理なぞ高が知れているっ。
   更に言うならば、料理人とって『料理』というものは、食器を洗い
   終えて初めて完成なのだっ。解るかっ、エリル!?」
エリル「うむっ」

俺のバカ話しを真面目に聞き届けるエリル。可愛いヤツ・・・。

エリル「では、どう洗えば良いのだ?、之雄っ」
之雄「スポンジを手に取り、多少水を含ませたら、液体洗剤を僅かばかり
   染み込ませ、丼を擦る。バターの油分である『ヌメヌメ』が取れたら
   流水で濯ぎ、水を切って食器籠に乗せる。以上だ」
エリル「では、食器洗いに参るっ」

723 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/03 21:36 ID:???
>>722 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「では、行けっ。・・・あ、そうそう、箸とジャーの釜も丼と同じように
   洗えばいいから。それと、我が家の数少ない食器だから、割るなよ?。
   まぁ、100円ショップで買えなくもないが・・・」
エリル「安心しろ、之雄。そこまで妾は鈍くさくあらぬ・・・・。・・・ああっ!?。
    ・・・・・・・・・なんちゃって。ビックリしたか?」
之雄「・・・しねぇよ。いいから、さっさと洗えっ」
エリル「むぅ〜っ、ツレないな、そなたは・・・」
之雄「・・・んじゃ、先に寝るよ、俺。後は自分で考えてやれよ?」
エリル「解った、済まぬ。早く洗うから待ってくれ・・・」

シャコシャコと洗い物をこなしていくエリル。水を切った後の食器に洗い残し
が無いかチェックをする俺。

エリル「・・・どうだ?、しっかり洗えておるか・・・?」
之雄「・・・・・・・・・。うん、OK。綺麗なモンだ。これならお願い出来るな」
エリル「本当かっ!?、ならば今後も妾に任せろっ」
之雄「ああ、頼むよ、エリル」

730 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/04 16:58 ID:???
>>723 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルに初めて米を洗わせてみる事にした。

之雄「あまり乱暴に洗うと米が割れるから、優しくな?」
エリル「うむ。優しくな・・・」

釜に2合の生米と水を入れた後、台所用合成洗剤に手を伸ばすエリル。
・・・っ!?。慌てて俺は洗剤の容器を手にしたエリルの腕を掴む。

之雄「何すんの?、ソレ・・・」
エリル「うん?、米をな、洗剤を用いて洗おうと思ったのだが?」

・・・。洗剤は使いませんっ。

731 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/04 18:03 ID:???
>>730 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

俺が居間で雑誌を読んでいると、エリルが血相を変えて飛び込んできた。

エリル「之雄っ!!。大変だっ!!。済まぬっ!!。許せっ!!」
之雄「・・・なんだよ、なにが、どうした?」
エリル「見よう見真似で洗濯機を動かしたら・・・、兎に角、来てくれっ!!」

グィグィと俺の袖を引っ張る。やれやれ、と重い腰を上げて洗濯機を
見に行くと、洗濯機から膨大な量の泡が溢れ出ていた。

之雄「洗剤の入れ過ぎかよっ!?」
エリル「済まぬっ、コレを入れたのだが、量が多過ぎたか!?」

エリルの手には台所用合成洗剤が。

之雄「・・・それ、違う・・・」
エリル「え?、あ、『油汚れに〜♪』とCMで・・・」

・・・だからぁ、違うって・・・。

732 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/04 18:43 ID:???
>>731 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルが家に来て半月が過ぎた頃・・・。

エリル「・・・のう、之雄。お願いがあるのだが・・・」

俺の前に『ちょこん』と正座してモジモジしているエリル。

之雄「なんだよ、改まって。寿司は当分無理だぞ?」
エリル「・・・そうではない。・・・その、何も言わずに1000円、いや、500円を
    貸してはくれまいか?」
之雄「あのな、ウチに余裕が無いのは知っているだろ?。当座の食料品、生活
   必需品なら買ってある。それ意外の物買う余裕は無いの。解る?。用途
   不明金を捻出する訳にはいかないんだ・・・」

エリルは『む〜』と考え込んだ後、蚊の鳴くような小声で言った。

エリル「・・・そ、その、だ、な・・・、子供を設ける準備に必要な物だ・・・」
之雄「・・・っ!?。コンドームかっ!?」
エリル「違うっ、生理用品だっ!!。馬鹿っ!!」

733 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/04 18:45 ID:???
>>732 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

あっちゃ〜っ。そうだっ、それは買ってないっ。

之雄「・・・ゴメンっ!。悪いっ!。気付かなかったっ!!」
エリル「・・・うぅっ、妾に、年頃の婦女子に恥をかかせおってっ!!。そなたが
    買って参れっ!!」
之雄「えっ!?。・・・いや、・・・それは、・・・エリルが必要な物だろ?」
エリル「行って参れっ!!。そたなのお金であるぞ!?。買って参れっ!!」

・・・ああ、もう、手ェ付けられねェし、訳分かんねェや。財布をポケットに
突っ込み、玄関で靴を履いた。

之雄「解った、行ってくる」
エリル「早く戻れ。よいな?」

『ばたん』と玄関の扉を閉めた後、重大な事を聞き忘れた俺は踵を返した。
扉を半分開き、顔だけ覗かせてエリルに訊いた。

之雄「・・・で、どっちなんだお前は?。タンポン?。ナプキン?」

734 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/04 18:47 ID:???

>>733 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・あ、え、うん・・・その・・・」
之雄「なんだよ、はっきり言ってくれないと買って来られないよ?」
エリル「・・・・・・・・・ナプキン・・・」

・・・へぇ、ナプキン派ね。流石に恥ずかしい遣り取りだったのか、エリルの
顔は紅潮しまくっていた。

之雄「んじゃ、行ってきま〜す」

近所のドラッグ・ストアに到着。・・・しかし、男の身で生理用品を買う事が
ここまで恥ずかしいモノとは思わなかった・・・。レジのお姉さんとは視線を
合わせない様に微妙にソッポを向いて会計を済ませた。

この日より、俺のアパートのトイレにはトイレット・ペーパーに並んで
ナプキンが、そして蓋付きの小箱が置かれる事となった。

740 名前:12ファンキーズin練馬 :04/03/06 06:18 ID:???
>>734 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

とある天気の良い日の午前中、俺がバケツとタオル、ブラシと洗剤を引っ張り
出すと、エリルが不思議そうな顔をして尋ねてきた。

エリル「それ、どうするのだ?。何を洗うのだ?」
之雄「ああ、これ?。バイクを洗うんだよ、天気が良いからな」
エリル「そなた、バイクを所有しておるのか?」
之雄「排気量250tのスクーターだけど・・・。そういや、言ってなかったな」
エリル「うむ、聴いておらん。それなら、先日一緒に買い物に行く時、バイク
    に乗っていけば楽だったのではないのか?」
之雄「ヘルメットがな、1つしか無いんだよ・・・」
エリル「日本ではヘルメットの着用義務があるのか?」
之雄「おう、まぁ、な。一昔前は無かったんだが」
エリル「・・・。のう、之雄っ。・・・もう1つヘルメットを買えば、一緒に行動
    出来る範囲が飛躍的に増大するであろうっ!?。後生だ、買っては
    くれまいかの?」

瞳を『うるうる』させて頼み込んでくるエリル。そんな目で俺を見るなっ。
・・・解ったよ、まぁ、前向きに検討っせて貰うよ、トホホホホホ・・・。

743 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/06 20:11 ID:???
>>742 それは追々書こうかと思っておりますですヨ。
>>740 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

俺がスクーターを覆っているシートを外すと、ピュアブラックの車体が姿を
現した。エリルが驚嘆の声を上げる。

エリル「ほほうっ、曲線と直線が織りなす芸術的なデザインだ。『HONDA』
    の『フォルツァ』か?」
之雄「正解。意外だな、詳しいなぁ」
エリル「なに、我が国の警察の交通機動隊の白バイに250ccのスクーターを
    導入する事になってな、『YAMAHA』と『HONDA』のスクーターで
    トライアルを行なったのだ」
之雄「・・・へぇ。で?、どっちを制式採用したの?」
エリル「極めて甲乙つけ難かったのだが、トライアルの結果、決定を下した。
    結局『HONDA』のスクーター『フォルツァ』を採用したのだ」
之雄「単車は『HONDA』、車は『TOYOTA』、AV機器は『SONY』だな、俺は」
エリル「確かに。大衆車の4割が『TOYOTA』車、AV機器も『SONY』製を
    相当数取り扱っておるな。そうそう、母国の郵便局員も『HONDA』
    『カブ』に乗っておるぞっ」

747 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 10:35 ID:???
>>743 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

アパートの裏の駐輪場、駐車場には丁寧に水道とホースが備え付けてある。
ダバダバと車体に水を掛け、洗剤をスポンジに染み込ませた。ゴシゴシと
車体を泡立てて擦る俺にエリルが話し掛けてきた。

エリル「・・・これも洗剤の種類が違うな・・・」
之雄「まさか、単車を洗うにも台所用合成洗剤を使うと思ってやがったのか?」
エリル「・・・う、うむ。・・・しかし、用途に応じていちいち洗剤を変えるのは
    面倒であろう?。なんか、こう、合理的な洗剤は無いものか?。例え
    ばだな、濃度を変えるだけでシャンプー、ボディ・ソープ、食器洗い、
    洗濯、車の洗車、全てに転用出来る『環境に優しい植物性の洗剤』
    とか・・・。のぅ?」
之雄「・・・・・・・・・。作れるモンなら、とっくにドイツ辺りが作っているだろ?。
   聞いた事が無いよ」
エリル「・・・で、あろうのう・・・。洗剤を用いて『もの』を洗うという習慣の
    ある人間の永遠のテーマであるな」

洗剤1つでそんなに深く考えた事なんか無ェな・・・。ほんとに王族なんだな・・・。

748 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 10:36 ID:???
>>747 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

今度はブラシでホイールを洗う。買ってからというもの、面倒がって1度
たりともホイールを洗った事がない。ごってり黒い塵がこびりついている。

エリル「そなたの後ろに乗せられて、夕日沈む湘南の海岸線をただひたすら
    走り続けたいものだ・・・」

前輪のディスクブレーキ側のホイールを洗うのに七苦八苦している俺をよそに
瞳を輝かせてロマンティックな妄想に耽る少女、エリル。・・・まぁ、現実可能
だな、走る事自体は。

之雄「・・・どこから仕入れててきたネタだ?」
エリル「そなたがバイトで留守中の時に見ていたドラマでやっておったぞ?
    江ノ島をバックに二人は永遠の愛を誓うのだ。・・・いやん。ばか・・・」

聴いているコッチが恥ずかしくなるわっ!!。しかも、言った自分も照れて
赤面してやがる。・・・阿呆か、お前は?。半ば呆れながら車体の水で泡を
洗い流す俺。

749 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 10:37 ID:???
>>748 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリルは『コホン』と咳払いを1つして言った。

エリル「・・・だからな之雄、妾はヘルメットをもう1つ購入する事を切に
    希望するものぞっ」
之雄「・・・・・・・・・」

ティーポットに紅茶の葉とお湯を入れ、長時間放置した後の抽出されまくった
渋い紅茶を飲んだ様な表情を俺は浮かべた。

エリル「・・・な、なんだ、その間は?」
之雄「えっ?。ああ、愛の告白は兎も角、ツーリングならば行けるかな?
   今度のバイト料が入ったら、買おうか、ヘルメット。半帽なんて
   買わないからな、俺は。ヘルメットは安全なフルフェイス、これ
   グッドライダーの条件。しかしフルフェイスは高価な為、よって
   切り詰め生活が更に続くことは覚悟してくれ」
エリル「・・・うむ、我慢は必要であろう、覚悟の上だ。・・・だが、之雄、
    先程の『間』の答えを聴いておらぬのだが?」

750 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 10:38 ID:???
>>749 の続き。小ネタを連続投下。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

むむっ!?、しつこいヤツめっ。・・・ヘタに誤魔化しても噛み付きっ放しに
なるのがオチか。・・・間を開けたのは失敗だったな。

之雄「いや、だってさ、『永遠の愛を誓う』覚悟が出来てないからさ、
   江ノ島にツーリングしても答えられないな、と思ったんだよ」
エリル「何も初めてのツーリングで江ノ島をバックに答えを求める程、妾は
    答えを急かすつもりは無い。3度目の時でも、4度目の時でも、その
    後のツーリングでも構わぬ。・・・それにこれはあくまでも夢の話だ。
    告白はそなたが心に決めた時ならば、何時何処でも構わぬぞ?」
之雄「・・・お、おうっ・・・」

仕上げで車体の水滴をタオルで丹念に拭き取る。水垢で斑点模様を付ける
つもりは毛頭ない。

エリル「・・・さて、妾はお茶の準備を致すかの?。之雄、飲むであろう?」
之雄「おっ、気が利くねぇ」
エリル「当然だ、そなたの妻になろう者ぞ、妾は・・・」

754 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 19:31 ID:???
>>750 の続き。今回はエリルの視点で。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「んじゃ、行ってくる。この時間から勧誘が来るとは思えんが、俺じゃ
   なかったら絶対に出るなよ?。今日の昼間の様に洗剤を10箱貰って
   新聞の購読にサインしそうになっちゃ敵わンからな、マジで・・・」
エリル「・・・済まぬ。二度とあのような過ちは犯さぬ・・・」

妾の頭に『ポン』と置いて『留守を任せる』とだけ言うと、スクーターに跨り
コンビニの深夜バイトに行った。ドアの鍵を掛け、パジャマに着替えた妾は布団
に潜り込む。時計は午後11時半を過ぎている。帰ってくるのは明日の8時過ぎか、
寂しいな。・・・よもや、あのような新聞のセールスマンが居るとは思わなんだ。
ちょうど之雄が留守の時に尋ねてきて、玄関先で洗剤を気前よく積み重ねては、
言葉巧みに勧誘してきたのだ。初めは『3ヶ月間だけ取ってよ?』と言ったので、
丁重に断ると『それじゃ、1ヶ月分の購読料はサービスでオジさんが持つから』
とか『ビール券はムリだから商品券がいいかな?』とか、様々な手を講じて
きたのだ。妾とて、この手の輩には用心しておったのだが、少しでも生活の
足しになればと、購読料と貰う商品の価値を比べて、向こうのギリギリを引き
出し掛けた処で、之雄が帰ってきた。之雄は新聞のセールスマンを追い払い
に掛かった。初め温厚だったセールスマンのガラが悪くなり出したのだ。

755 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 19:32 ID:???
>>754 の続き。視点変更続行中。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

妾はそこで己の過ちに気付いた。そう旨い話がある訳が無い。この後ズルズル
と契約更新されるに違い無いと。数分の遣り取りの後、半ば怒った之雄が、
語気荒をしたセールスマンを追い返し、この騒動は終わった。その直後に之雄
に大目玉を喰ろうたが、それは妾の不徳が為した事、素直に詫びた。之雄は
『こういう事があると教えなかった俺も悪かった』と優しく言って締め括り
苦笑いを見せた。心底、妾は事の顛末がどうなるのか恐怖した。ガラの悪い
セールスマンに一歩も引かず、追い返した之雄が男らしく、この上なく頼もしく
思えた。やはり妾の目に狂いはなかった・・・。あの様にこれからもずっと之雄に
護って貰えたらな・・・。之雄の勇姿を思い出して身体が熱くなった。そっと股間
に指を這わすと、僅かに湿り気を帯びていた。・・・濡れておる?。パジャマの
ズボンとパンツを膝まで下ろし、更に奥へ指を進める。肉の割れ目に沿って
なぞると、快感が沸き上がり身体が震えた。・・・気持ちいい・・・。もっとっ。
もっとっ!。優しくかつ早く指を動かして貪欲に快感を貪った。打ち寄せる快感
の波を堪えようと内股に力を入れる。・・・嘘っ!?。快感は逆に増した。・・・もう
止められぬ。内股に力を入れたまま、一心不乱に右手の中指を真ん中にして
人差し指、薬指を揃えて割れ目をなぞり続けた。徐々に何か熱いモノが込み
上げて来る・・・。

756 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/07 19:33 ID:???
>>755 の続き。視点変更続行中。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

布団に潜って息を殺す。・・・我慢出来ぬ。興味本位で余った左手の人差し指で
陰核をいじってみた。『・・・っ!!』電撃に打たれた様な快感が身体を突き抜け、
妾は声にならぬ声で呻き、上半身が仰け反った。股間はより一層湿り気を帯び
『くちゅ、くちゅ』と粘膜質の音は大きいものとなった、まるで耳元で立て
られている音の様に。だらしなくも開いた口からは、唾液が垂れ、頬を伝い
枕を濡らした。両手の指を用いて己の股間をまさぐり、必死に快感を貪る。
更に内股に力を入れて快感を増加させる。・・・っ!!、あ、アソコから、何かが
出てきそうだっ!!。『ぴんっ』と両足を伸ばし、快感に全身が痙攣した・・・。
・・・これが自慰行為とオルガスムスなるものか・・・。肩で息をしながら、己の
秘所から分泌された体液が付着した指を眺めた。・・・之雄・・・。・・・暫く快感
の余韻に浸っていたが、自慰行為で疲れたのか、パジャマのズボンとパンツを
膝まで下げたまま、不覚にも寝入ってしまった。

之雄「・・・お・・・よう・・・。おはよう。朝だぞ、エリルっ」
エリル「・・・ん?、朝か。・・・之雄、おは・・・、・・・っ!!??」

布団から出ようとして慌てて思い止まった。・・・ふぅ・・・。・・・危うし、危うし。
パジャマのズボンとパンツを上げ忘れておったな・・・。

759 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/08 12:39 ID:???
>>756 の続き。視点、再び之雄に。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

バイトを午前8時キッカリ上がらせて貰った。いつもはバイト仲間と9時近く
まで駄べっているのだが・・・。バイトしているコンビニからアパートまでは、
バイクを飛ばして信号に引っ掛からなければ5分も掛からない距離だ。
アパートの駐輪場に着きバイクにシート掛けた。昨日は夜中の12時近くまで
起きてたからな、エリルは。まだ寝ているかな?。階段を昇り、扉の鍵を
開け、音が立たないよう慎重に扉を開いた。寝床にしている居間のカーテンは
閉じられたままで、室内は薄暗い。エリルの寝ている布団は『こんもり』と
盛り上がっている。まだ寝ているのか・・・。御飯は昨日エリルがタイマーを
セットしていたので炊き上がっている。後は味噌汁とオカズか。手を洗い
準備を始める、冷蔵庫の中の食材を確認してオカズはウィンナーとスクランブル
・エッグに決定した。なにせ、ン年もの間、作っているワンパターンメニュー、
小馴れたモンだ。ものの数分で完成、冷めないウチにエリルを起こしに掛かる。

之雄「おはよう。おはよう。朝だぞ、エリルっ」

『ユサユサ』と掛け布団越しにエリルの身体を揺さぶる。

760 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/08 12:41 ID:???
>>759 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・ん?、朝か。・・・之雄、おは・・・、・・・っ!!??」

『のろのろ』と布団から這い出ようとしたエリル。しかし、再び布団の中に
引っ込んで、『もそもそ』と何かやっている。

之雄「・・・何やってんだ?。朝飯だぞ?」
エリル「・・・う、うむ。すこし待て、待つがよいっ・・・」

・・・?。卓袱台を出して御飯、味噌汁、ウィンナーにスクランブル・エッグを
並べる。エリルもやっとの事、布団から出てきた。

之雄・エリル「いただきます」
之雄「布団の中で何してたの?。その歳でオネショって事は無いだろうな?」
エリル「ばっ、ばかを言うでないっ。着替えておらぬであろうっ!?。そ、その
    ・・・寝相が激しくて・・・パ、パジャマのズボンが下がっただけ、だ・・・」

エリルは顔を紅潮させて必死に反論するものの、何故か段々語尾が萎んでいく。
・・・嘘なんだか、本当かんだか・・・。・・・可愛いヤツだなァ・・・。

773 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 01:34 ID:???
ヤン妹が逝ったっ!?。Z武スレ乱立の所為かっ!?。

>>760 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

とある日の夜。俺が居間でテレビを見ていると、夕食の洗い物、後片付けを
終えたエリルが声を掛けてきた。

エリル「では、之雄。一番風呂を貰うぞ?」
之雄「おう」
エリル「重ね重ね言うが・・・」
之雄「・・・覗かねェっつうの。い〜から、さっさと入ってくれ・・・」
エリル「・・・つれないな、そなたは・・・」
之雄「んじゃ、覗いてやろうか?」
エリル「いや、結構だ」
之雄「・・・・・・・・・」

この会話は風呂に入る前に必ずする挨拶みたいなモノになっている。エリルは
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入った。

774 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 01:35 ID:???
>>773 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・○△○×っ!!。・・・□×△○△□×□っ!!」

エリルが風呂場で英語・・・いや、ドイツ語?、・・・そんな感じの言葉で何か
叫んでいる。・・・おおっ、ウチに来て初めてアルテニア語を聞いたかも・・・。
するとエリルが血相を変えてバタバタを居間まで走ってきた。・・・しかも、
素っ裸で・・・。やはり胸は慎ましいものだった。乳輪、乳首は薄いピンク色。
アソコは毛が薄く、ぴったりと閉じた割れ目が透けて見えた。初めて見る
エリルの裸体に俺は言葉を失った。
呆然としている俺にお構い無しで『ぐいぐい』と袖を引っ張り、異国の言葉
を喋り続けるエリル。

エリル「□○△っ!!。・・・×○□×○、之雄っ!!。○×△っ!!」
之雄「落ち着けエリル、日本語で喋ってくれ。な?」
エリル「○×□っ!?。・・・あ、す、済まぬ、取り乱してしまった。その、だな
    ・・・風呂場に奇怪な、見るのもおぞましい昆虫が居るのだっ・・・」

エリルはそう言って、俺を風呂場に連れて行く。

787 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 19:06 ID:???
>>774 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

脱衣所まで来たところで、目のやり場に困った俺はエリルにバスタオルを
手渡す。取り敢えず、身体に巻き付けとけっ。

エリル「・・・っ!?。△□×○っ!!」

バスタオルを手渡されて、ようやく自分が素っ裸って事に思い出すエリル。
エリルは白磁の様な白い肌を茹で蛸の様に真っ赤させ、バスタオルを胴に
巻き付ける。・・・遅いなぁ、その分、目の保養にはなったがな・・・。
そんなエリルを尻目に、俺は『どれどれ?』と風呂場を覗き込んだ。エリル
に悲鳴を上げさせたヤツの正体は、っと・・・。風呂場の隅っこにエラく大きい
8本足の虫が居た。・・・蜘蛛だ。ええっと、確か、たかあし蜘蛛・・・?。いや、
あしだか蜘蛛だな、糸で巣を張らない蜘蛛では日本最大ヤツだっかな?、屋内
に棲み、蠅やゴキブリをとっ捕まえて食う、見てくれは悪い益虫さんだ。中学
の時に部室にいて大騒ぎした記憶がある。その時はその蜘蛛、メスの子持ちで
ウジャウジャと子蜘蛛が部室に散らばり、それを片付けるのにイヤな思いを
したな・・・。蜘蛛は厳密に言うと生物学的には、昆虫に分類されていないような
気がするんだが・・・。

788 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 19:07 ID:???
>>787 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「○×□○△っ!!」

エリルがあしだか蜘蛛を指差して何か言っている。アルテニア語のオンパレード
だな・・・。言葉のニュアンスとジェスチャーで『追っ払え』って言っていると
推測出来た。今のエリルはムチャクチャ地を出しているなぁ。・・・まぁ、そう
考えると如何に普段、努力して日本語を使ってくれているのかが解るのだが。

之雄「外に追っ払えばいいんだな?。俺とてアレだけ大きいと、正直、殺す
   のは怖いぞ?」

コクコクと頷くエリル。風呂の窓が開きっ放しになっている。恐らく蜘蛛は
そこから入ってきたのだろう。ならば、そこからお引き取り願おうか。
・・・ここでシャワーの登場だ。水温を高めに調節し、全開でシャワーを出して
蜘蛛を追い立てる。熱湯に追いつめられた蜘蛛は堪らず風呂の窓から外に
逃げていった。すんなり出ていってくれて有り難う・・・。俺の背中に隠れて
いたエリルが安堵の溜息を吐く。

エリル「・・・行ったか・・・。・・・す、済まぬ、之雄。手間を掛けさせたな・・・」

789 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 20:34 ID:???
>>788 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

ガラガラと風呂場の窓を閉める俺。また入って来られては困るからな。

之雄「なんの。それより風邪引くから早く入れよ・・・」
エリル「・・・う、うむ。・・・・・・あっ、そなた見たであろうっ!?」
之雄「ん?。ああ、見たな・・・。だが、それはお前が素っ裸で飛んできたから
   だろ?。俺は責められるいわれは無いな・・・」
エリル「・・・うっ。・・・妾の嫁入り前の身体が・・・。・・・絶対にそなたに娶って
    貰うからな・・・」
之雄「あまり新鮮味が無い言葉だな・・・。い〜から風呂に入れっ!!」

ぶぅ垂れるエリルを風呂場へ押し込む。俺も風呂に入りたいンだよ、全くっ。
・・・エリルが風呂から上がり、入れ替わりで緒が入る。下洗いを済ませ湯船に
浸かる。あ〜、イイ湯だ。目を瞑りくつろいでいる俺の脳裏に浮かんだのは
エリルの裸だった。『色気』からは程遠い体型ではあったが、それなりに
出っ張っているトコは出っ張っていて、引っ込んでいるトコは引っ込んでいた。
・・・胸の事はスルーだが。髪の色とアソコの毛の色、同じ色だったな。当然の
事なのにも関わらず思わず感心する俺。

790 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/09 20:35 ID:???
>>789 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

髪と同じ色の陰毛は薄く、股間の割れ目がくっきりと見て取れたのは、正直、
衝撃だった。男の性器みたいに露出されていない分、割れ目に隠された部分
を色々と想像をしてしまう。・・・『形は?』『色は?』・・・。そんな事を
考えていると、俺の股間がガチガチに勃っていた。・・・いくら腹違いの妹
とは云え、欲情するのは無理もないか・・・。言い訳じみてはいるが、エリル
がウチに来てから禁欲生活が続いている。よってオナニーもご無沙汰だ。
オナニーは家の内外でするのは不可能。このままでは夢精も時間の問題だ。
しかし、エリルに洗濯をして貰っている以上、洗濯するパンツの数を把握
されているので、速攻でバレるな。それで何を言われるか解ったモンじゃ
ない。そんな俺に残された楽園はトイレか風呂場の2つになる訳だが・・・。
・・・凄いな、パンパンだよ、チンコが。湯船の中でクニクニと弄ってみる。
こりゃ、シゴけば直ぐイっちまいそうだな。『キュっ、キュっ』と力を
入れてシゴいてみる。腕の動きで波立った湯船のお湯が『チャプ、チャプ』
と鳴る。今がチャンスかな?。湯船から上がった俺は椅子に座り、シャワー
を出しながら、目を瞑ってチンコをシゴいた。当然、オカズは先程見た
エリルの全裸だ。脳内でエリルの顔→胸→股間の順で何度と無くリピート
させる。情けなくも、欲情の方が自慰行為を行なう後ろめたさより勝って
しまった。

796 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/10 08:50 ID:???
>>790 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

シャワーを出しっ放しにしてシゴきだしてから数分が経った、強弱を付けたり、
ボディ・ソープを使い滑りを良くしてみたが、射精に達する気配が無い。
・・・風呂場じゃイかないか・・・。勃起したままの股間をそのままに、髪と身体
を洗い、再び湯船に浸かる。相変わらず勃ちっ放しだ。『何をしたいんだよ、
お前は』・・・自分の股間に語り掛ける。勃ったならイってくれ、イかないン
だったらさっさとシボめ、気が変になりそうだよ、全く。なかなか、どうして
言うこと聞いてくれない気紛れな器官だな・・・。・・・暇だな。腰を突き上げて
水面から亀頭だけを出してみる『・・・潜望鏡上げ〜、下げ〜・・・』。・・・何を
やってんだ、俺は・・・。・・・もういいや、出よ。コレでシボまなかったら、開き
直りだ、クソっ垂れめっ。出したシャワーを冷水に切り替える。『すぅ』と
息を飲み込み、シャワーを股間に浴びせる。『・・・ぐぉっ!?』。流石にツラい、
喉の奥から苦悶の声が漏れる。しかし、その甲斐あってか『ショボ、ショボ』
と股間がシボんでいく。・・・なんだかなぁ・・・。脱衣所でパジャマを着ながら
不完全燃焼と自己嫌悪の狭間で悶々とする俺。シボみはしたが欲求不満なの
は変わらない。その一方で、同居人の裸を思い出しながら性欲を満たそうと
自慰行為をした浅ましさ。・・・どうしたモンか。

797 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/10 08:52 ID:???
>>796 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

・・・・・・・・・。考えても、しょうがない。なるようになればいいか・・・。第一、
今までが奔放過ぎたんだな。一人暮らしをいい事に、その辺にエロ本を放り
投げてそのままにしていたくらいだからな・・・。生殺し状態だが我慢すれば
いい事だ。この調子でいけば、夢精する事になるだろうな。最後に夢精した
のって何年前かな?。そうなっても男の生理現象なんだから諦めるしかない。
コソコソ隠れてオナニーして自己嫌悪に浸るよか、エリルにパンツを取り替え
ているトコを目撃される方が遙かにマシだ、精神的に、な・・・。
・・・。一緒に生活するって事はこういう事なのかな・・・?。そんな事を思い
つつ『ゴシゴシ』とタオルで髪を拭きながら居間に戻る。

エリル「そなたにしては随分と長風呂であったな?」
之雄「・・・。ん?。なに、いつ何時、お前に逆夜這いを掛けられてもいいよう
   に身体を綺麗にしておこうと思ったんだよ・・・」
エリル「・・・なっ!?、そんな訳あるまいっ!!。逆ぞっ!?」
之雄「はいはい、寝ましょうね。俺はいつでもOKだぜぃ?」

必死に完全否定するエリルをほっといて、部屋の明かりを落として『ゴソゴソ』
と布団に潜る俺。そう簡単に寝付けるとは思っていない、が、我慢は出来るさ。

807 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 00:52 ID:???
>>797 の続き。200を切ったな、そろそろ終わらせる方向に持っていくか・・・。
    〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

バイト料が入ったので、もう1つヘルメットを買う為に、エリルを連れて、
この間のショッピング・モールの横にあるディスカウント・ストアへ行った。
その店はバイク関係のスペースが大きめに取ってあり、色々な会社の様々な
種類のヘルメットが陳列してある。

之雄「まぁ、値段も予算内だな・・・。好きなのを選べ。だけど、半帽はダメ
   だぞ?、顎がガード出来ないからな。フルフェイスにしろよ、俺の
   後ろに乗る絶対条件だ」

半帽被っていて転倒し、アスファルトと前歯をガチンコ勝負させて負けた
友達の話を聞かせてやると、エリルは真剣になってフルフェイスの中から
品定めをする。様々なフルフェイスのヘルメットを被っては鏡を見てを
切り返すエリル。数十分後、悩んだ末にエリルはワインレッドのフルフェイス・
ヘルメットを選び出した。

エリル「・・・之雄、これで良いか?」

808 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 00:54 ID:???
>>807 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「おっ、いい色だ。お前の雰囲気にピッタリだな」
エリル「えへへ、煽てるでない。・・・照れるであろう?」

・・・いや、もう、その顔は照れ笑い丸出しだよ、エリル。
ヘルメットの会計を済ませ、ついでに日用品、食料品を買い込んで俺とエリル
は家路についた。・・・早速、明日はツーリングだ。その為には前日からちゃんと
休んでおかなければな・・・。
俺とエリルは夕食を食べ終え、風呂に入り、布団に潜り込んだ。寝る前の少し
の間、お互いに色々な事を1つずつ質問し合うのが、最近の日課になっている。
今晩、エリルが訊いてのは、当然、明日のツーリングの事だった。

エリル「明日はどのようなルートで湘南まで行くのだ?」
之雄「そうだな、ウチからだと・・・246号に乗っかって大和市まで、そこから
   467号に入って藤沢市を抜けて鎌倉市に行く。江ノ島は藤沢市にあるん
   だけど、鎌倉を観光してからにしようよ。鎌倉から藤沢方面に134号を
   進むと江ノ島と富士山が良い感じで見えるんだ」
エリル「鎌倉か、歴史のある町と聞いておるぞ?。観光か、楽しみだな・・・」

809 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 00:56 ID:???
>>808 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「今度は俺の番だな。エリルの誕生日はいつだ?」
エリル「・・・。やっと訊いてくれたか。10月6日で15歳を迎える」
之雄「・・・10月6日。・・・あと6ヶ月後か。14歳かぁ、俺、14歳の頃、何してた
   かなぁ・・・。中2だったかな?」

・・・14歳。・・・中学校。・・・学校?。俺の中で新たな疑問が沸き上がった。

之雄「エリル、学校はどうした?。家庭教師かもしれないが、勉強は?」
エリル「・・・っ!?。ん?、之雄、寝る前の質問は1つだけの約束の筈だぞ?」

エリルのはぐらかし方に違和感を感じた俺は布団から半身を起こす。

之雄「これは別だ。隠し事は無しだ、お前はいつもそう言っているだろう?。
   正直に答えてくれ。勉強はどうなっているんだ?」
エリル「・・・・・・・・・」

エリルは無言のまま、出していた頭を『もそもそ』と布団の中に引っ込めた。
・・・エリル『らしくない』な・・・。・・・これは何かある・・・。

813 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:05 ID:???
>>809 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「王族は学問免除って訳にゃいくまい。日本に来るなら留学って方法も
   あった筈だよな?。・・・勉強が嫌いなのか?・・・言い辛い事なのか?」
エリル「・・・・・・・・・」

一瞬、悪寒が走った。まさか、俺に会う事を口実に母国から逃げ出して来た
ンじゃないだろうな?。俺の中で疑念が膨れ上がる。

之雄「別に、勉強をしに母国に帰れだの、日本の学校に留学しろだの、耳に
   タコが出来そうな事は言わない、約束する。どうなんだ、エリル」

疑念に駆られて荒くなった語尾に、エリルの潜り込んだ布団が『ビクっ』と
動く。暫く沈黙が続いた後『ひょっこり』顔を出して『本当か・・・?』と
訊いてきた。無言で大きく頷く俺。エリルは重々しく口を開いた。

エリル「・・・学業は、・・・放り投げてきた・・・。・・・勉強は嫌いではないぞ?。
    ・・・むしろ、好きなくらいだ・・・」
之雄「・・・じゃあ、なんで?」

814 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:06 ID:???
>>813 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

エリル「・・・妾の代からな、王族も学区の学校へ進学する事になったのだ。それ
    までは、母上の代までは家庭教師の元で学業を修め、大学へ進学する
    のが恒例だった・・・」
之雄「・・・うん」
エリル「・・・幼稚園の頃は意識しなかったが、小学校を経て、中学校に入って
    確信したのだ、妾が居ると周りの者は『息が詰まる』のだと・・・」
之雄「・・・・・・・・・」
エリル「・・・王族なのだ、誰もが妾を知っておる。そして気を使う。気を使わん
    でも良いと言ってもな・・・。クラスメイトが冗談や下品な話で大笑い
    しているところに行くと、ピタリと止んでしまう。果ては『お耳汚し
    して、失礼しました』なんて謝られる始末だ。勉強でも、テストでも
    そうだ、妾とは点数の話なんか絶対にしない、『殿下には及びません』
    と言われてしまう、友達同士では見せ合っておるのにな・・・。そう、
    友達として見てくれなかったのだ、皆は。クラスメイトでしかなかった
    のだ、妾はっ。妾が発言すると、絶対に反対する意見は出なかったっ、
    皆が皆っ、妾の顔色を窺うのだっ、教師も含めてなっ!!」

815 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:09 ID:???
>>814 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

絶叫に近い声で思いの丈をブチまけるエリル。・・・涙を堪えている・・・。
・・・エリルの気持ちが解る、なんて図々しい事は云えない。しかし、王族に
生まれて、そう振る舞わなければならない彼女に哀れみを禁じ得なかった。
同じ歳の普通の子と接触したが故に、自分を取り巻く環境が特異過ぎた事
への反発。絶望的なまでの孤独。恐らく、友達と呼べる存在は皆無だろう。
・・・これでは投げ出したくなるわな。精神的に参る。どこへ留学しても似たり
寄ったりだ。彼女の心は癒されまい。俺はといえば、100満点のテストの答案
を友達と1桁で争い一喜一憂していたり、阿呆な発言でクラス中から叩かれ
たり、クラスの中に溶け込んでいた。・・・そうか、そんなに違うモンなんだ・・・。
俺は布団から出て、エリルの枕元に胡座をかいた。

之雄「・・・そうだったのか、イヤな事を訊いたな・・・」
エリル「・・・気にするでない。妾こそ、こういう事は早めに言うべきであった。
    ・・・妾は一人っ子、同じ歳の親族は居らぬ。ある日、妾は己に最も
    近い存在を知った、そなたの幼少の頃の写真を見て思いを馳せておった
    のだ。何の気兼ねも無く、物を言い合える人物であれば、と。そして、
    日本に来て、それは現実ものとなったのだ、之雄・・・」

816 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:10 ID:???
>>815 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「・・・っ!!」

俺は疑念を持った自分を恥じた。彼女は俺を心の頼りに出てきたのだ。それに
応えてやらねばならない。

エリル「・・・流石にそなたの妾に対する接し方も最初は堅苦しかったが、直ぐに
    馴れたな。・・・初めてはさることながら、未だに『お前』や『エリル』
    と呼び捨てで声を掛けられるとドキドキするぞ?」

泣き顔から、うって変わって、はにかみながら言うエリルの表情に、俺の
心の芯が熱くなった。エリルの頭を撫で、頬に手を添える。ブロンドの髪は
『しっとり』としていて、頬は張りがあって瑞々しかった。頬に触れられた
エリルはくすぐったそうに、でも、気持ち良さそうにしている。喉元を撫で
られてゴロゴロと喉を鳴らす猫のように。

817 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:11 ID:???
>>816 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

之雄「・・・・・・・・・。・・・おやすみ、明日を楽しみに、な。エリル・・・」
エリル「・・・明日のツーリング、楽しみにしておるぞ・・・」

俺とエリルは暫くお互いの瞳を覗き込み合った。碧眼の奥の深みに魂が吸い
込まれるような錯覚に陥りそうなった。
・・・よしっ!。俺は素早く身を屈めてエリルの頬にキスし、部屋の明かりを
消して自分の布団に潜り込んだ。

エリル「なっ、なっ、なっ、何をするっ、之雄っ!?」
之雄「・・・な、『何』って、『おやすみのキス』だ。初めてだがなっ」

言葉にして指摘されると余計恥ずかしい。

エリル「・・・ず、狡いぞっ、不意打ちなぞっ!!。卑怯者っ!!」
之雄「さっき見つめ合った時に了解を得たと思ったんだがな・・・。・・・アイ・
   コンタクトで通じ合わないようでは、俺達の仲もまだまだだな・・・」
エリル「こら〜っ!、寝るな〜っ!。話は終わってはおらぬっ!!」

818 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 11:12 ID:???
>>817 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

『グイグイ』と俺が被った掛け布団を引っ張るエリル。

エリル「そなたっ。妾の頬にっ、このっ、勝手にキスをするなど・・・っ!!」

今度は俺が『ひょっこり』布団から顔を出す。

之雄「嫌だったか?。それは悪い事をしたな。布巾を持ってるか?」
エリル「・・・あ、いや、そういうワケではない、その、心の準備というモノが
    あるであろう?・・・。それは、キスは盗むモノという言葉もあるが・・・」
之雄「・・・おおっ、そうだ。俺にも『おやすみのキス』をしてくれよ、エリル」

俺は目を瞑って『ん〜』と唇をすぼめて伸ばすと、エリルは『ぽす、ぽす』と
枕で俺の顔を殴打する。アッハッハァ〜、痛くねェや。

エリル「・・・。このっ、・・・バカ・・・」

枕による殴打を止め、俺の頬に軽くキスをするエリル。おあいこだな、これで。

823 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/11 23:55 ID:???
>>818 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

次の日の朝。天気は快晴、ツーリング日和だ。エリルの朝の早い事、早い事。
俺が起きた時には、既に昼に食べるお弁当が完成していた。・・・行った先で
適当な食い物屋を見つけて昼食を済まそうと思っていたが、手作り弁当に
勝るモノは無いわな、有り難く頂くとしよう。
簡単に朝食を済ませ、お弁当をリュックサックに入れて駐輪場に向かう。
ガソリンは前日に満タンにしておいた、タイヤの空気圧もOK。さて、行き
ますかっ。250ccのスクーター、フォルツァのスタンド畳み、まず俺がシート
に座る。その後に、エリルを後ろのシートに座らせる。

之雄「んじゃ、行くぞ?。しっかり腕を俺の胴に回しとけ。落ちるなよ?」
エリル「あい解った。死んでも放さぬぞっ。では出すがよいっ」

お互いにヘルメットのバイザーを下ろし、頷き合った。キーをオンにして、
セル・スターターを回すと、エンジンが掛かり、規則正しい排気音を奏でる。
アクセルを絞ると、爽快なスタートを切るスクーター。ギア・バイクでは
味わえないスムーズな加速。・・・目的地は江ノ島、片瀬海岸だ。

826 名前:12ファンキーズ ◆f5mROIKMUU :04/03/12 09:00 ID:???
>>823 の続き。〜エリル王孫女殿下の優雅な1日〜

車を縫うように追い越して一般道を20分、国道246号線を静岡方面に進み、
国道467号を藤沢方面に向かう。国道467号は海岸線を走る国道134号に
繋がっているが、いきなり海岸線に出てて、最初の目的地である鎌倉市
街地に向かうのでは、エリルへの『湘南海岸』と云うインパクトが薄れ
てしまう、途中で内陸側の県道へルートを変更する。
エリルにとっては生まれて初めてのツーリングだそうな。珍しいモノを
見つけると、自分のヘルメットを俺のヘルメットに押し当てて、大きな声で
質問してくる。俺の方は運転中なので、通り過ぎてから余所見をする訳には
いかない。視界に入るエリルが興味を示しそうなモノをチェックしておく。

エリル「人も車も多いな、之雄」
之雄「島国に1億ン千万人も住んでいるからなァ。それに首都圏だし・・・」

午前8時頃に出発し、鎌倉市に入ったのが10時ちょい過ぎだった。鎌倉と
いっても観光名所は大仏さんと鶴岡八幡宮、銭洗弁天ぐらいなモンか?。
ルートは鶴岡八幡宮→銭洗弁天→大仏さんだな。

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