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日蓮大聖人御書全集
0601~0700
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0671 0672 0673 0674 0075 0676 0677 0678 0679 0680
0681 0682 0683 0684 0685 0686 0687 0688 0689 0690
0691 0692 0693 0694 0095 0696 0697 0698 0699 0700

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12       北辰          ┌ 衣食 0600
13   梵・帝釈・日・月・四天等   ┌┴ 寿命
14       衆星         │┌ 肉眼
15                  │├ 天眼
16    一切の四天下の衆生の眼目 ―─┼└ 恵眼
01                  ├─ 法眼 0601top
02                  └─ 仏眼
03   有に非ず地を離るが故に、空に非ず有を照すが故に有、辺に非ずして中に処するが故に、 而も空・空に処する
04 が故に、 而も有・有を養うが故に、 来らずして北に至るが故に、而も来りて南に来るが故に、一ならず四州を照
05 すが故に、異ならず一日なるが故に、断ならず常なるが故に、常ならず一処に住せざるが故に。
06    記の三に云く部方等と雖も義は円極なる故に・故に今之を引く、
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和漢王代記
01     ┌伏羲            ┌少昊
02   三皇┼神農            ├顓頊 三墳五典
03     └黄帝          五帝┼帝嚳
04                    ├尭王   男九人女一人
05    夏               └舜王
06     ┌第一文王┐
07    殷├第二武王┼周公旦
08     ├第三成王┘
09     ├第四昭王の御宇二十四年甲寅に当る五色の光気南北に亘る大史蘇由之を占う四月八日は仏の御誕生なり
10     ├中間七十九年なり
11    周┼第五穆王の五十二年壬申に当る二月十五日御入滅 十二の虹南北に亘る大史扈多之を占う
12     ├三十七有り或は八
13     │    ┌一儒教───五常 文武等なり
14     │    │        孔丘   顔回
15     │  三教┼二道教───仙教
16     │    │        老子
17     │    └三釈教───一代五十余年
01    秦│  始 皇     0603top
02     │  次生皇  ┌儒教
03     │       ├道教
04     │ ┌三教───┴釈教
05    漢└─├前漢───十四代
07       │   仏の滅後一千一十五年に当るなり
08       │又周の第四の昭王二十四年より後漢の第二光武に至る一千一十五年に当るなり   
09       ├後漢光武皇帝永平十年丁卯
10       └一千一十五年に当て摩騰迦竺法蘭の二人の聖人四十二生経 小乗教 十住断結経 大乗経を以て白馬
11 に負せて漢土に渡す
12    魏─── ─雙観経渡る
13        ┌正法華経十巻渡る─法護三蔵亘す
14     ┌西晋┴妙法華経渡る───七巻或は八巻 羅什三蔵亘す
15    晋┤  ┌三論宗渡る
16     └後秦┼阿弥陀経亘る
17        └華厳経亘る
18    宋────観経亘る
19     ┌───大涅槃経亘る
20     │          一  二  三  四   五  六  七
21     │┌──三時四時五時 五時 一音 半満 三教 四宗 五宗 六宗
01    斉┼┤    江南なり 江北なり     0604top
02     │└──南三北七の十師
03     └───曇鸞法師浄土宗を立つ
04     ┌───禅宗渡る 達摩大師なり
05     │┌──摂論亘る 南北
06    梁┼┴──地論亘る 南北
07     ├───別時意趣の法門出来す
08     └─末
09                   観音の化身なり道宣の感通伝に出ず
10         南岳大師亦恵思禅師と云う
11     ┌─始  ├六根浄の人日本の浄宮太子是なり
12     │    └天台大師の御師なり
13   陳 ┤  ┌―日本に伝教大師と生る
14     \ │  ┌ 亦智者と云い
15      天台大師┼ 亦智顗と云い
16     / │  └ 亦徳安と云う
17     │  └―此の御時南三北七並びに前五百余年の人師三蔵所立の十師の義を破し始めて五時・八教・三観・六
18     │    即・十境・十乗を立て小釈迦と号す、進では天竺の論師にも超え退ては震旦の人師に勝るなり、玄
19    隋│    義の三に云く 故に章安大師の云く 「天竺の大論尚其の類に非ず震旦の人師何ぞ労しく語るに及
01     │    ばん此れ誇耀に非ず法相の然るのみ」 又智証大師授決集也云く「天台世に出で 仏意快く暢ぶ豈万
02     │    教再び世間に演るに非ずや」     0605top
03     └─── 笈多と崛多の両三蔵添品法華経を渡す
04     ┌─── 道綽善導此の世に在り
05     ├─── 華厳宗
06     │    後漢の世自り唐の神武皇帝の開元十八年庚申に至る 六百六十四載に渡す所の経律論五千四十八巻
07    唐┤    訳者百七十六人なり妙楽は是の世の人なり
08     ├─── 法相宗は玄奘三蔵西天自り之を渡す
09     ├─── 真言宗は善無畏三蔵・金剛智三蔵之を渡す
10     └─── 法相宗 真言宗の二宗は天台之を見ず・妙楽大師之を見て天台宗に対当して勝劣を論ず・又日本国
11             の伝教慈覚智証之を諍う
12    宋
13   天台の玄義の十に 南北の十師を破して云く「但聖意幽隠にして教法弥難し、 前代の諸師或は粗名匠に承け或
14   は思い袖衿より出ず 阡陌縦横なりと雖も孰か是なるを知ること莫し、 然るに義雙立せず理両存すること無し
15   若し深く所以有り 復修多羅と合する者は録して而て之を用ゆ文無く義無きは信受すべからず」 籤の十に云く
16   「一として全く是なること無きを以ての故に一一に難破す」玄の三に云く「軽慢止まざれば舌口中に爛る」又云
17   く「法華は衆経を総括す」籤の三に云く「已法華已前華阿方般等の一切経今無量義経なり当涅槃経等の法華已後
18   の一切経なりの妙ココに於て固く迷えば舌爛れて止まざるも猶華報と為す謗法の罪苦長劫に流る」南三北七並び
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01   に華厳宗の法蔵・澄観・真言宗の弘法等は法華経よりも華厳経を勝るとするなり、 又三論の嘉祥は法華経より
02   も般若経を勝るとす、又法相の慈恩等は 法華経よりも深密経を勝るとす、 又真言宗の善無畏三蔵・金剛智三
03   蔵・不空三蔵等は法華経よりも大日経を勝るとするなり、此等の宗宗の相違如何相違如何。
04   授決集に云く円珍 智証大師
05   文は大経に出でたり人の之を会する無し、光盲の前に在れども他に於ては無用なり、 仏分明に五味の喩を説き
06 五時の教に喩えたもう云云、 訳ありてより来講者路に溢るれども 未だ曾て五味を談ずるの義を解せず己が胸臆に
07 任せて趣爾囈語す 何ぞ象に触る衆盲の者に異らんや、 天台世に出で仏意快く暢ぶ豈に万教再び世間に演るに非ず
08 や、南北の講匠経論を釈する者・各教時を立つれども 百にして一も是なること無し 只教部の前後頓漸権実大小の
09 ソ妙・寛狭・進否に迷うに縁りてなり・大教の網を張りて 法界の海を亘し人天の魚を済て涅槃の岸に置く斯くの如
10 くするすら其の遺漏を恐る況や諸師の輩羅の一目なり 何れの時か其の鳥を得ん、 若し万蔵を暗ずと雖も此の理趣
11 を会せざれば年を終るまで他の宝を計りて自ら半銭の分無く虚しく諍論を益し長水に水を添うのみ。
12   授決集に法相宗の慈恩大師を破して云く、五性宗に云く未熟法華論の前に未熟の文也と云うは、応に不熟と云う
                                                    べし
13 、○今謂く汎く法華を講ずるには須く此の義を以て正と為すべし若し爾らずんば経を破し論を破し罪五逆に過ぎたり
14 基公を除きて外は 人の彼の不熟の義を伝うる無し、 ○若し強て之を執せば公私十方の信施消し難し消し難し若し
15 消せずんば 何ぞ三途を免れん爾を供養せん者は 三悪道に堕せん謗法の罪報は法華般若の諸大乗経に一切明かに説
16 けり智者披く可し、○爾これを信受す可し無間を招く莫れ。
17   授決集円珍真言の諸宗を徴して云う
18   真言.禅門.華厳.三論.唯識.律業.成.倶の二論等,○若し法華.涅槃等の経に望むれば是れ摂引門なり文,又云く
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01 大底他は多く三教在り円の旨至て少きのみ 弘法大師の二教論に喩して曰く 今斯の経文に依るに仏五味を以て五蔵
02 に配当す、総持を醍醐と称し四味を四蔵に譬う震旦の人師等諍つて醍醐を盗み各自宗に名く。
             乳
03         ┌一爼 多 覧ア ナ ン 経 ┐
           │  酪          │
04         ├二毘 那 耶ウ ハ リ 律 ┼小乗
          │  生           │
05   六波羅経五蔵┼三阿 毘達磨カセンエン 論 ┘
          │  熟     文 殊
06         ├四般若はら蜜蔵────-┐
          │  醍醐     金剛蔵 ├大乗
07         └五惣持だらに蔵────-┘
08           ┌一爼多覧乳
09           ├二毘那耶酪
10           ├三阿毘達磨生
11   弘法大師此の経に│      ┌華
12   依つて五蔵を立つ│   熟  ├方
13           ├四般若はら蜜┼般
14           │      ├法華
15           │   醍醐 └涅槃
16           └ 五だら尼蔵─大日の三部経
17   二教論に云く加以ず釈教東夏に漸し微自り著に至り漢明を始めと為し周文を後と為す、 其の中間翻伝する所皆
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01 是れ顕教なり 玄宗代宗の時金智広智の日密教欝として起り盛に秘趣を談ず、 新薬日に浅くして旧痾未だ除かず楞
02 伽の如きに至つては 法仏説法の文智度性身妙色なり 句憶に馳せ而も文を会して 自宗を駆り而も義を取る惜いか
03 な古賢醍醐を嘗めず
04   日本
05   神代十二代┬天神 七代
06        └地神 五代
07   人代百王
08   第一神武天皇    之を略す
09   第十四仲哀     八幡大神の父なり
10   第十五神功皇后   八幡大菩薩の母なり
11   第十六応神天皇   今の八幡大菩薩なり    略
12   第三十欽明天皇   歴記に云く欽明天皇の治天下十三年己申歳冬十月一日 百済国聖明王自り仏像経等始めて
13   日本国に送る
14   第三十一敏達天皇┌厩戸王子──四天王寺を造る
15   第三十二用明───聖徳太子は用明の御子也
16             └上宮太子守屋を切り四十九院を立つ南岳大師の後身なり救世観音の垂迹なり
17   第三十三崇峻
18   第三十四推胡 女帝
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01   第三十五舒明
02   第三十六皇極 女帝
03   第三十七孝徳
04   第三十八斉明 女帝
05   第三十九天智
06   第四十 天武    
07   第四十一持統 ┌倶舎宗
08   第四十二文武 ├律 宗
09   第四十三元明 ├成実宗
10   第四十四元正 ├法相宗
11     ┌─六宗─┼三論宗
12     │    └華厳宗
13   第四十五聖武
14     │ │     亦禅宗有り並びに一切経有り
15     │ └─聖武天皇東大寺の大仏を造る
16     └─欽明自り聖武に至るまで 二百四十余年なり、 震旦国自り鑒真和尚渡り律宗を亘す、 次に天台宗の
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01       玄文止等を渡す、又東大寺の小乗戒壇を立つ
02   第四十六孝謙 聖武の女
03   第四十七淡路 廃帝
04   第四十八称徳 孝謙又即位也
05   第四十九光仁 桓武の父なり
06       ┌─ 欽明自り二百六十余年に及ぶ
07   第五十桓武──── 延暦三年に奈良の都自り長岡の京に遷り、延暦十三年長岡の京自り平の京に遷る、延暦二
08    十五年御崩去.延暦四年叡山を立つ伝教大師最澄なり延暦二十年叡山八講を始め南京の十人を請ず,延暦二十一
09    年の正月十九日 高雄に於て 南京の十四人と 最澄と宗論あり、同二十九日 六宗の十四人謝表を桓武聖王
10    に奉る、 延暦二十三年入宋 同二十四年御帰朝、 此の御時始めて伝教大師天台宗を立て 四十余年の文を
11    以て 六宗を破り 始めて法華の実義之を顕し、欽明自り二百余年の邪義 之を改む、 又六宗の碩徳たる勤
12    操・徳円・長耀等の十四人・桓武皇帝に謝表を奉りて邪見を翻す。
13    弘法大師空海は延暦二十三年御入宋 ・大同元年御帰朝、伝教大師は山階寺の行表僧正の御弟子 ・弘法大師
14    は石淵の勤操僧正の御弟子なり。
15   第五十一平城
16   第五十二嵯峨    弘仁十三年六月四日伝教大師御入滅・同十一日慈覚大師戒壇を立つ。
17   第五十三淳和
18   衆
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01   秀句に云く「法華経を賛すと雖も還つて法華の心を死す」文。
02   選択集に云く法然造捨閉閣抛、善導礼讃に云く「十即十生百即百生」又云く「百の時に希に一二を得千の時に希
03   に三五を得」又云く「千中無一」道綽の安楽集に云く大集月蔵経を引く「我が末法の時の中の億億の衆生行を起
04   し道に臨むも未だ一人の得る者有らず、当今末法は是五濁の悪世なり唯浄土の一門のみ有りて通入す可きの路な
05   り」恵心の往生要集に云く「利智精進の人は未だ難しと為さず予が如き頑魯の者豈敢てせんや」
06       ┌根本大師
07   伝教大師┼山家
08       └天台の後身なり
09   守護章に「正像稍過ぎ已つて末法太だ近きに有り法華一乗の機今正に是れ其の時なり」又云く「一乗の家には都
10   て用いざれ小乗権大乗四十年なり但し開し已つて助道に用いたるを除く」
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一代五時図    文応元年    三十九歳御作   於総州
01   大論に云く十九出家三十成道と ┌智儼
02     権大乗   三七日 ┌戒 ├杜順
03   華厳経─────華厳宗─┼定 └法蔵
04           二七日 └慧 ─澄観
05     小 乗   十二年 ┌成実宗──戒定慧
06   阿 含─────────┼倶舎宗──戒定慧
07               └成実宗──戒定慧
08     権大乗  ┌―大 集 経      └──鑑真和尚
09   方 等────┼―深 密 経─法相宗───戒定慧┬玄奘
10     三十年  ├―楞 伽 経─禅 宗      └慈恩
11          │┌観  経┐ 
12          ├┼雙 観 経┼浄土宗─────善導
13          │└阿弥陀経┘
14          │┌金剛頂経┐
01          └┼大 日 経┼真言宗─戒定慧      0613top
02           └蘇悉地経┘
03             提婆菩薩造
04     権大乗  ┌百     論 ┐     戒定慧
05   般 若────┼中論竜樹菩薩造 ├三論宗┐  嘉祥寺
06          ├十二門論  同 │   └────────吉蔵大師 
07          └大  論  同 ┘
08   無量義経に云く「方便力を以て四十余年には 未だ真実を顕さず、又云く無量無辺不可思議阿僧祇劫を過れども
09 終に無上菩提を成ずることを得ず 所以は何ん菩提の大直道を知らざるが故に 険逕を行くに留難多きが故に」と、
10 又云く「大直道を行くに留難無きが故に」と。
11       八箇年
12   法華経─────法華宗─────天台宗──戒定慧   
13 「世尊は法久しくして後かならず当に真実を説き給うべし、 種種の道を示すと雖も其れ実には仏乗の為なり、 正
14 直に方便を捨てて但無上道を説く、 今此の三界は皆是れ我が有なり 其の中の衆生は悉く是れ我が子なり而も今此
15 の処は諸の患難多し唯我一人のみ能く救護を為す 復教詔すと雖も而も信受せず、 若し人信ぜずして此の経を毀謗
16 せば則ち 一切世間の仏種を断ぜん ○其の人命終して阿鼻獄に入らん、 ○将に魔の仏と作りて我が心を悩乱する
17 に非ずや舎利弗の疑二の巻、妙法華経○皆是れ真実多宝証明の文」
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01    涅槃経六に出ず     ┌法に依つて人に依らざれ
02            ┌法四依┼義に依つて語に依らざれ
03            │   ├智に依つて識に依らざれ
04       一日一夜 │   └了義経に依つて不了義経に依らざれ
05   涅槃経──────┤        ┌五品───天台等
06       八十入滅 │   ┌初 依─┴六根
07            │   ├第二依──初地已上─竜樹菩薩等
08            └人四依┼第三依
09   天竺 十四五六巻      └第四依──等覚菩薩
10   ┌十住毘婆沙論に云く────┐竜樹菩薩造
11   │   ┌─────────┘羅什三蔵訳
12   │  不退地──┬難行道 譬えば陸路を歩行せば苦なれども
13   │   斉世  └易行道 水道を船に乗れば則ち楽なるが如し
14   │        十仏・百三十余菩薩並に阿弥陀仏等
15   ├曇鸞法師本三論宗の人なり浄土論註二巻を作る
16   │   唐世
17   ├道綽禅師善導の師なり安楽集二巻を作る
18   │安楽集に云く 「大集月蔵経に云く我が末法の時の中の億億の衆生起行修道すとも 未だ一人も得る者有らじ
19   │ 当今末法は是れ五濁の悪世なり唯浄土の一門のみ有つて通入すべき路なり」と
01   │ 唐世       0615top
02   ├善導玄義一巻.序分義一巻.定善義一巻.散善義一巻.観念法門一巻.往生礼讃一巻.般舟讃一巻・法事讃上下已上
03   │  九巻隠岐院の御宇建仁年中今に五十余年なり
04   └法然 源空
05   選択集 一巻
06    ┌未だ一人も得る者有らず千の中に一も無し
07    │浄土三部経を除くの外法華経等の一切・阿弥陀仏を除く一切の仏菩薩一切の神祇等
08   難行──聖道──雑行
09    ├天台法華宗等八宗を捨閉し閣抛す
10   易行──浄土──正行
11    └阿弥陀仏は十即十生百即百生
12     六百三十七部二千八百八十三巻
13     捨閉閣抛
14   雙観経に云く「設い我仏を得んに十方の衆生至心に信楽し 我が国に生れんと欲し乃至十念して若し生ぜずんば
15 正覚を取らじ唯五逆と誹謗正法とを除く」と、 道綽の未有一人得者、善導の千中無一・法然の捨閉閣抛・此等は豈
16 謗法に非ずや、 法華経第二譬喩品に云く「若し人信ぜずして 此の経を毀謗せば則ち一切世間の仏種を断ぜん或は
17 復顰蹙して 而も疑惑を懐かん汝当に此の人の罪報を説くを聴くべし 若しは仏の在世若しは滅度の後に其れ斯の如
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01 き経典を誹謗すること有らん 経を読誦し書持すること有らん者を見て 軽賎憎嫉して而も結恨を懐かん此の人の罪
02 報汝今復聴け其の人命終して阿鼻獄に入らん 一劫を具足して劫尽きなば更生れん 是くの如く展転して無数劫に至
03 らん地獄従り出ては当に畜生に堕つべし」 涅槃経第十に云く「問う一闡提とは其の義云何、 仏云く純陀若し比丘
04 及び比丘尼優婆塞優婆夷有つて麤悪の言を発し 正法を誹謗し是の重業を造りて永く改悔せず 心に慚愧無からん是
05 くの如き等の人を名けて一闡提の道に趣向すと為す、 若し四重を犯して五逆罪を作り 自ら定めて是くの如き重事
06 を犯すと知つて 而も心に初より怖畏慚愧無く肯て発露せず彼の正法に於て永く護惜建立の心無く 毀呰軽賎して言
07 過咎多からん、 是くの如き等の人も亦一闡提の道に趣向すと名く、 若し復説いて仏法衆無しと云わん是くの如き
08 等の人も亦一闡提の道に趣向すと名く、唯此くの如き一闡提の輩を除きて其の余に施さば一切讃歎すべし」と
09           ┌一殺生
10           │二偸盗
11   上品は地獄に堕つ│三邪婬
12   中品は餓鬼に堕つ│四妄語
13   下品は畜生に堕つ│五綺語 ┌八貪
14   十     悪 ┤六悪言 ├九瞋
15           │七両舌 ├十癡
16           └────┘     ┌一 殺  父┬ 養父母
17         ┌殺生          ├二 殺  母┘
18         ├偸盗     五   逆┼三 殺阿羅漢 凡夫上人
01   四    重┼邪婬          ├四 出仏身血 木画像等     0617top
02         └邪婬          └五 破和合僧
03                          └───四人已上凡夫僧
04   此等は皆一業引一生なり故に一度悪道に堕すれば還つて二度悪道に堕せず、 謗法は一業引多生なれば一度三宝
05 を破すれば度度悪道に堕する是なり、 伝教大師の守護章に云く 「不正義の一切学人は信受すべからず所以は何ん
06 其の師の堕つる所弟子も亦堕ち檀那も亦堕つ金口の明説何ぞ慎まざるべけんや慎まざるべけんや」と。
07      ┌第一弟子  長楽寺多念     隆 観   南無房一切鎌倉の人人
08      ├第  一  こさか       善慧房   当院洛中一切諸人
09   法 然┼第一聖光  筑紫九国一切諸人
10      ├一条覚明  今の道阿弥等
11      ├成  覚  一念
12      └法  本  一念
13    已上弟子八十余人
14   乃至日本国の一切念仏者並に檀那等、又一切の天台・真言等の諸宗の人人 又法然が智分を出でず各各其の宗を
15 習えども 心は皆一同に念仏者なり、法華経を読めども真言を行ずれども 皆助業となし念仏を以て正業と為す謗法
16 の失脱るべからず。
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一代五時図
01     竜樹菩薩造
02   大論に云く十九出家浄飯王の太子 三十成道悉達太子
03        権大乗   ┌杜順法師  
04      ┌六十巻┐   ├智儼法師 
05  ┌華厳経┤   ├華厳宗┼法蔵大師 
06  │   └八十巻┘   └澄観法師 
07  │     三七日          ┌世親菩薩
08  │       ┌増一阿含経┐┌倶舎宗┴玄奘三蔵
09  │    小乗経├中 阿含経┼┼成実宗 迦梨跋摩
10  ├阿含経────┼長 阿含経┤└律 宗 道宣律師
11  │    十二年└雑 阿含経┘ │    ┌二百五十戒  僧
12  │               └─小乗戒┼五 百 戒  尼    
13  │                    ├五   戒  男女
14  │                    └八 斎 戒  男女
01  │         五巻  ┌瑜伽論 弥勒菩薩造   0619top
02  │       ┌深密経──┴唯識論 世親菩薩造   
03  │    権大乗│                  ┌玄奘三蔵
04  ├方等部────┤ 六十巻           法相宗┴慈恩大師
05  │    三十年│大集経               ┌曇鸞法師
06  │       │     ┌雙 巻 経        ├道綽禅師
07  │       │浄土三部経┴観  経     浄土宗┼善導和尚
08  │       │     └阿弥陀経        └法 然 房
09  │       │大 日 経──七巻          ┌善無畏三蔵 
10  │       │金剛頂経──三巻          ├金剛智三蔵
11  │       │蘇悉地経──三巻          ├不空三蔵
12  │       │               真言宗┼慧果和尚
13  │       │                  ├弘法大師
14  │       │                  ├慈覚大師
15  │       │                  └智証大師   
01  │       │     ┌四巻          ┌達摩大師    0620top
02  │       └楞 伽 経─┴十巻          ├慧可 
03  │                          ├僧璨
04  │                          ├道信
05  │ 権大乗   ┌百論 提婆菩薩造       禅 宗┼求忍
06  ├般 若────┼中論 竜樹菩薩造           └慧能
07  │ 四十巻   ├十二門論 同              ┌興皇
08  │       └大智度論 同         三論宗─嘉祥大師
09  │                            └吉蔵
10  │   無量義経 七十二歳
11  │   四十余年には未だ真実を顕さず、 方便の力を以て四十余年には未だ真実を顕さず、無量無辺不可思議阿
12  │ 僧祇劫を過れども 終に無上菩提を成ずることを得ず、 所以は何ん菩提の大直道を知らざるが故に険逕を行
13  │ くは留難多きが故に、大直道を行くは留難無きが故に。
14  │        ┌顕露宗
15  │ 実大乗    ├最秘密宗
16  ├法華経 ────┼仏立宗
01  │ 八箇年     ├法華宗   0621top
02  │        └天台宗
03  │    世尊は法久しくして後に要当に真実を説き給うべし・正直に方便を捨てて但無上道を説く・種種の道を
04  │  示すと雖も其れ実には仏乗の為なり、 今此の三界は皆是れ我が有なり其の中の衆生は悉く是れ吾が子なり
05  │  而も今此の処は諸の患難多し唯我れ一人のみ能く救護を為す復教詔すと雖も而も信受せず、 若し人信ぜず
06  │  して此の経を毀謗せば則一切世間の仏種を断ぜん、或は復ヒン蹙して疑惑を懐かん汝当に此の人の罪報を説
07  │  くことを聴くべし・若しは仏の在世若しは滅度の後其れ斯の如き経典を誹謗すること有らん 経を読誦し書
08  │  持する有らん者を見て 軽賎憎嫉し而も結恨を懐かん・此の人の罪報を汝今復聴け其の人命終して阿鼻獄に
09  │  入らん一劫を具足して劫尽きなば更生じ是の如く展転して 無数劫に至らん・此に於て死し已つて更に蟒身
10  │  を受けん其の形長大にして五百由旬ならん、 若し是の善男子善女人我が滅度の後に能く竊に一人の為にも
11  │  法華経の乃至一句を説かん当に知るべし 是の人は則如来の使なり如来の所遣として 如来の事を行ずるな
12  │  り、 薬王若し悪人有つて不善の心を以て一劫の中に於て現に仏前に於て常に仏を毀罵せん其の罪尚軽し若
13  │  人一の悪言を以て在家出家の法華経を読誦する者を毀呰せば 其の罪甚だ重し・薬王今汝に告ぐ我が所説の
14  │  諸経而も此の経の中に於て 法華最も第一なり・我が所説の経典無量千万億にして已に説き今説き当に説か
15  │  ん而も其の中に於て 此の法華経最も為難信難解なり・若し法師に親近せば速かに菩薩の道を得ん是の師に
16  │    随順して学せば 恒沙の仏を見上ることを得ん、 爾の時に宝塔の中より大音声を出して言わく 善哉
17  │  善哉釈迦牟尼世尊能く平等大慧教菩薩法仏所護念の妙法華経を以て 大衆の為に説き給う是の如し是の如し
18  │  釈迦牟尼世尊の所説の如きは皆是れ真実なり・諸余の経典数恒沙の如し此等を説くと雖も 未だ難しと為す
01  │  に足らず若し須弥を接つて他方無数の仏土に擲げ置かんも 亦未だ難しと為さず・若し仏の滅度に悪世の中
02  │  に於て能く此の経を説かん是れ則ち難しと為す、 諸の無智の人の悪口罵詈等し及び刀杖を加うる者有らん
03  │   我等皆当に 忍ぶべし 悪世の中の比丘は邪智にして心諂曲に未だ得ざるを為れ得たりと謂い我慢の心充満
04  │  せん或は阿練若に納衣にして空閑に在つて自ら真の道を行ずと謂いて 人間を軽賎する者有らん利養に貪著
05  │  するが故に白衣の与に法を説いて 世に恭敬せらるること六通の羅漢の如くならん・常に大衆の中に在つて
06  │  我等を毀らんと欲する故に 国王大臣婆羅門居士及び余の比丘衆に向つて誹謗して我が悪を説いて是れ邪見
07  │  の人外道の論議を説くと謂わん・濁劫悪世の中には多く諸の恐怖有らん 悪鬼其身に入つて我を罵詈し毀辱
08  │  せん・濁世の悪比丘は仏の方便随宜所説の法を知らず悪口して嚬蹙し数数擯出せられん、 大神力を現し広
09  │  長舌を出して上梵世に至らしむる諸仏も亦復是の如く広長舌を出し給う。
10  │      ┌依法不依人文殊.普賢.観音.地蔵等.竜樹菩薩.善無畏.弘法.慈覚.法蔵.嘉祥.善導等なり
11  │ 一日一夜 ├依義不依語   ┌観経等
12  └涅槃経───┼依智不依識   ├大日経等
13    八十入滅 ├依了義経 法華経 ├深密経等
14         └不依不了義経──┼華厳経等
15                  └般若経等
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一代五時鶏図
01        寿命三百年
02        羅什訳
03   百論千巻  法雲自在王如来   観自在王如来
04        仏滅後六七八
05   大論に云く十九出家三十成道
06     三十万巻        竜樹菩薩 第十一馬鳴菩薩の御弟子付法蔵の第十三
07     大悲方便論  十万巻    └猛
08     大 心 論  十万巻
09     大無 畏論  十万巻
10     ┌実大乗                 ┌杜順和尚
11    ┌┴権大乗         立五教摂尽一代 ├智儼法師
12    │  二七日       華厳宗──────┴法蔵大師
13   華厳経 二七日                  ├香象大師
14    │                       ├賢首法師
15    └─結経梵網経  大乗戒之を出す         └華厳和尚
0624top                 定経
01    ┌小 乗   ┌長 阿 含┐  ┌倶舎宗定経
02    ├十二年   ├中 阿 含┤  │ 律
03   阿含経─────┼増一阿含┼──┼成実宗
04    │      └雑 阿 含┘  │ 戒
05    └結教遺教経 小乗戒之を出ず └律 宗
06       ┌大乗          ┌或云法華巳前
07     ┌─┼或説時不定     ┌─┴或云法華巳後  弥勒菩薩説
08     │ ├或一六年    ┌深密経         一百巻  無著菩薩筆
09     │ └或八箇年    │ │五巻  瑜伽論
10   ┌方等部         │ │     世親菩薩造
10   │ 権大乗        │ │    唯識論
11   │            │ │     三十頌
12   │            │ │
13   │            │ │┌有相宗 三時を立て一代を摂尽す┌玄奘三蔵
14   │            │ └法相宗──────────────┴ 慈恩大師
15   │            │  六経十一論
16   │            ├瓔珞経
17   │            │  結経
01   │            ├楞伽経──禅宗──達磨大師    0625top
02   │            │ 或は諸法無行経 或は金剛般若経 或は大円覚経 或は首楞厳経
03   │            │ 或は云く一切経 或は云く教外別伝
04   │            │  ┌─────一巻七枚
05   │            │ 菩提心論──┬或云竜樹造
06   │            │       └或云不空造
07   │            │  七巻
08   │            │┌大 日 経──┬──善無畏三蔵
09   │            ││ 三巻   │
10   │            ├┼金剛頂経  │    真言宗
11   │            ││ 三巻   │  顕密二道を分ち五蔵を立て或は十住心を立つ
12   │            │└蘇悉地経  └──金剛智三蔵・不空三蔵・一行阿闍梨
13   │            │  或は云く 方等部   
14   │            │  或は云く 華厳部 
15   │            │  或は云く 般若部 ┌曇鸞法師
16   │            │  或は云く 法華部 ├道綽禅師
17   │            │  或は云く 涅槃部 ├善導和尚
18   │            │  或は一代諸経の外 ├恵感禅師
19   │            │ 雙観経       ├小康法師
20   │            ├観  経──浄土宗──┴法  照
01   │ 三十年        └阿弥陀経   0626top
02   │ ┌或は云く二十一年   │├難行 
03   │┌┴或は云く十四年    └┼易行 
04   ││             ├聖道
05   ││  ┌大品 般若     ├浄土
06   ││  ├光讃 般若     ├雑行
07   ││ ┌┼金剛 般若     ├正行   ┌百  論  竜樹菩薩造
08   ││ │├天王問般若     ├諸行   ├中  論  同
09   ││ │└摩訶 般若     └念仏   ├十二門論  同
10   ├般若経─────────────────┴大  論  同
11   │ └仁王般若 結経
01   │ ┌或は四論宗という    ┌浄影    0627top
02   └三論宗─────────┬─┼興皇
03     ├或は法性宗と云う  │ ├嘉祥寺の吉蔵大師
04     └或は無相宗と云う  │ └道朗
05                └三時を立て一代を摂尽す、或は二蔵を立て或は三転法輪を立つ
06               ┌華厳三七日・阿含十二年・方等般若三十年・已上四十二年なり
07               ├法界性論に四十二年
08  無量義経に云く方便力を以ての故に 四十余年には未だ真実を顕さず、 又云く無量無辺不可思議阿僧祇劫を過る
09 も終に無上菩提を成ずるを得ず、 所以は何ん菩提の大直道を知らず 険逕を行くに留難多きが故に、 又云く大直
10 道を行けば留難無きが故に。
11      ┌諸宗依憑宗     世尊法久後要当説真実
12    ┌─┼仏 立 宗     ┌廃也┌或は前三教と云い或は前四教前四味と云うなり、或は先の三教の円教に
13    │ ├天 台 宗     │  │摂尽するを云う。
14    │ └法 華 宗     正直捨方便但説無上道
15   法 華 経              ┌四時・七教・五時・八教
16    │ │ ┌秘密宗          │     ┌唯一仏乗
17    │ └─┴顕露彰灼宗   雖示種種道・其実為仏乗
18    └普賢経  結経     将非魔作仏・悩乱我心耶
19      └叡山戒壇      叡山戒壇 久黙此要・不務速説
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01                     ┌華厳経・大日経・深密経・楞伽経・大品経・般若経等
02                     │   ┌ 無量義経
03                     │   │  ┌涅槃経等
04   「我が所説の経典は無量千万億にして已に説き今説き当に説かん 而も其の中に於て此の法華経最も為難信難解
05   なり」、 記の六に云く「縦い経有つて諸経の王と云うとも已今当説最為第一と云わず、兼但対帯其の義知んぬ
06   べし」、玄の三に云く「舌口中に爛る」、籤の三に云く「已今当の妙此に於て固く迷えば舌爛れて止まざるは猶
07   華報と為す謗法の罪苦長劫に流る」、又云く「諌暁止まず」
08          結経              ┌法四依第六巻 ┌人四依
09     ┌像法決疑経             ┌依法不依人────┘
10     │  一日一夜            │依義不依語
11   涅槃経──────────────────┤ ┌仏智┌菩薩等識
12    │     ┌─七十九・八十・八十一  │依智不依識
13    └八十御入滅┴─八十二・百五・百二十  │ ┌法華経┌爾前の経経
14                        └依了義経不依不了義経
15        ┌主上   ┌二天┬魔醘修羅天
16       ┌┼天尊───┘  └毘紐天    ┌大梵天
17       │└世尊            ┌─┼第六天
18      ┌主───────────────│ └帝釈天
19      ││┌法王            │ 
20      ││├国王            │
01      │└┼人王            │ 天竺    0629top
02      │ └天王            ├─┬師子頬王
03      │                │ └浄 飯 王
04      │八虐に違す           │ 震旦
05      │                │ ┌三  皇
06   釈尊─┼師───────────┐   ├─┼五  帝
07      │└師匠         │   │ └三 王 等
08      │ 七逆に違す      │   │ 日本国
09      │ 涅槃疏云 章安釈   │   └──神武天皇
10      │ 一体の仏主師親と作る │ 外道師 ┌迦 毘 羅
11      │            ├三仙───┼漚楼僧伽
12      │五逆に違す       │ 六 師 └勒 沙 婆
13      └親──┬八親      │ 外典師 ┌尹  喜
14          └六親      ├四聖───┼務  成
15                   │┌周公旦 ├老  聃
16                   └┼孔 子 └呂  望
17                    └顔 回
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01   ┌ 世尊 三界特尊┌ 二十五有    ┌理性の子 結縁の子
02   今此三界・皆是我有 其中衆生・悉是吾子
03                    文句の五に云く 一切衆生等しく仏性有り 仏性同じきが故に等しく是れ
04                    子なり
05   而今此処・多諸患難 唯我一人能為救護
06              └玄の六に云く 本此の仏に従つて初めて道心を発し亦此 の仏に従つて不退の地に住す
07   文句の六に云く「旧は西方の無量寿仏を以て長者に合す今は之を用いず、西方は仏別に縁異り仏別なる故に隠顕
08 の義成ぜず縁異る故に子父の義成ぜず 又此の経の首末全く此の旨無し 眼を閉し穿鑿せよ、舎那の著脱近く尚知ら
09 ず弥陀は遠きに在り何ぞ嘗て変換せん」云云、 記の六に云く「西方等とは弥陀・釈迦の二仏既に殊なり豈弥陀をし
10 て珍玩の服を隠さしめ 乃ち釈迦をして弊垢の衣を著せ使めん状、 釈迦珍服の隠す可き無く弥陀唯勝妙の形なるに
11 当る、況や宿昔の縁別に化導同じからざるをや、 結縁は生の如く成就は養の如し生養の縁異れば父子成ぜず、 珍
12 弊途を分ち著脱殊に隔る消経事闕けて調熟の義乖く当部の文永く斯の旨無し、 舎那著脱等とは 舎那の動ぜずして
13 而も往くに迷う、 弥陀の著弊は諸教に文無し、 若し平等意趣を論ぜば彼此奚ぞ嘗て自ら矜らん、縦い他を我が身
14 とするも還つて我が化を成す我他の像を立つれば乃ち他の縁を助く人 之を見ざれば化縁便ち乱る、 故に知んぬ夫
15 の結縁とは並に応身に約することを 我昔曾て二万億等と云うが如し、 況や十六王子始縦り今に至つて機感相成し
16 任運に分解す、是の故に彼の弥陀を以て此の変換と為す可からず」
17         種熟 東方有縁   ┌主
18         ┌第一 阿 閦 仏─┼師
01          │ 脱       └親   0631top
02         │ 種熟 西方有縁┌主
03    大通の太子├第九阿弥陀仏──┼師
04   十六王子──┤ 脱      └親
05       沙弥│ 種熟 娑婆世界┌主
06         └第十六釈迦牟尼仏┼師
07           脱       └親
08   記の九に云く「初此の仏菩薩に従つて結縁し還た此の仏菩薩に於て成熟す」、玄の六に云く「仏尚自ら分段に入
09   つて仏事を施作す有縁の者何ぞ来らざるを得ん譬えば百川の海に潮す応須が如し縁に牽れて応生すること亦復是
10   くの如し」、又云く「本此の仏に従つて初めて道心を発し亦此の仏に従つて不退地に住す」
11       ┌本尊 ┌倶舎宗
12   劣応身釈迦如来─┼成実宗
13           └律 宗
14   盧舎那報身────華厳宗の本尊
15    ┌勝応身に当る
16   釈迦如来─────法相宗の本尊
17    ┌勝応身に当る
18   釈迦如来─────三論宗の本尊
19    ┌法身 胎蔵界
20   大日如来─────真言宗の本尊
21    └報身 金剛界
0632top
01          劣応
02    ┌天台は応身 勝劣
03   阿弥陀仏─────浄土宗の本尊
04    └善導等は報身
05   五百問論に云く「若し父の寿の遠きを知らず復父統の邦に迷わば徒に才能と謂うとも全く人の子に非ず、三皇已
06   前は父を知らず人皆禽獣に同じ」
07     ┌華厳のるさな真言の大日等は皆此の仏の眷属たり
08    ┌久遠実成実修実証の仏
09   天台宗の御本尊
10    └釈迦如来
11        ┌応身──有始有終
12   始成の三身┼報身──有始無終┬─真言の大日等
13        └法身──無始無終┘
14        ┌応身―┐
15   久成の三身┼報身―┼無始無終
16        └法身―┘
17   華厳宗・真言宗の無始無終の三身を立つるは天台の名目を盗み取つて自の依経に入れしなり。
0633top
釈迦一代五時継図
01   大論に云く十九出家・三十成道・八十入滅文、此の論は竜樹菩薩の造・寿命三百年・三十万偈の論師なり、付法
02 蔵の第十三仏滅後七百年の人なり。
03      ┌説処は中天竺摩竭提国の寂滅道場菩提樹下・七処八会
04      ├仮立実報土・別・円の二教を説く
05      ├三七日の説なり三七日は法華の説 二七日は華厳の説
06   華厳経┼兼と名く
07      ├権大乗なり乳味と名く頓大の機の為に説く
08      ├頓教と名く亦秘密教有り 亦不定教有り擬宜と名く
09      └結経は梵網経なり
10           ┌馬鳴菩薩──起信論を造る
11        ┌天竺┼天親菩薩──十地論を造る
12        │  └竜樹菩薩──十住毘婆沙論を造る
13   華厳宗祖師┤  ┌杜順和尚
14        │  ├法蔵大師
15        └漢土┼智厳法師
16            └澄観法師
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01   此の華厳教というは所謂仏摩訶陀国寂滅道場菩提樹下にして始めて正覚を成じたまいし時七処八会に於て法恵・
02 功徳林・金剛幢・金剛蔵の四菩薩に加して頓大の根性の為に因陀羅網・無障礙土の相を現じ別円の両教・住行向地の
03 功徳・法界唯心の理を説き給う所謂華厳経なり、此の経には四十一位を明す謂く十住・十行・十廻向・十地・仏果な
04 り、此の経には新古の二訳有り 六十華厳は旧訳なり八十華厳は新訳なり、 梵網経を以て華厳の結経と為す、 此
05 の華厳は化儀は頓部化法は別円なり、 成道の最初に此の教を説き給う 譬えば日出でて先づ高山を照すが如し厚殖
06 善根は斯の頓説を感ず、 頓説本と小の為にせず彼の初分に於ては 永く声聞無し後分には 即ち有り復た坐に在り
07 と雖も聾の如く聾の如し、 経文に云く「即ち傍人を遣わして急に追うて将に還さんとす乃至悶絶して地にタオる」
08 云云。
09      ┌説処は波羅奈国鹿野苑・同居土の説
10      ├但三蔵教を説く・但と名く
11      ├十二年小乗を説く・酪味と名く
12   阿含経┼三乗の根性の為に説く・漸教と名く亦秘密教有り 亦不定教有り
13      ├誘引と名く
14      ├結経は遣教経なり
15      └倶舎宗・成実宗・律宗
16   此の阿含は是小乗教なり、仏・成道五十七日を経て梵王の請に赴き波羅奈国の鹿野苑に於て陳如等の五人の為に
17 三蔵教の四諦の法論を説き給う、 謂く四阿含等の小乗経を説くなり、 増一阿含には人天の因果を明し、長阿含に
18 は邪見を破し、中阿含には真寂の深義を明し、 雑阿含には禅定を明す、遣教経を以て結経と為す、 化儀は漸の部
0635top
01 の初め化法は三蔵教なり、 三乗の根性の為に此の阿含教を説く経の次第に依れば日の次に幽谷を照すが如し、 浅
02 行を偏えに明せば当分に漸を解る三蔵本大の為ならず座に在りと雖も多タ婆和す、 経に云く 「将に其の子を誘引
03 せんと欲して方便を説く密かに二人の形色憔悴せる威徳無き者を遣わす」云云。
04      ┌説処は欲色二界の中間・大宝坊・同居土の説なり
05      ├蔵通別円の四教を説く
06      ├十六年の説なり三井寺の義説時不定なり山門の義権大乗・生蘇味
07      ├対と名く
08      ├四教の機の為に説く・漸教と名く亦秘密教有り亦不定教有り
09      ├弾訶と名く
10      ├結経は瓔珞経なり
11   方等部┼深密経 法相宗玄奘三蔵 慈恩大師
12         ├楞伽経 禅宗 達磨   ┌曇鸞法師
13      ├観  経┐        ├道綽禅師
14      ├雙 観 経┼浄土宗──祖師─┼善導和尚
15      ├阿弥陀経┘        └法然上人
16      ├大 日 経┐         ┌善無畏三蔵
17      ├金剛頂経┼真言宗──祖師─┼金剛智三蔵
18      └蘇悉地経┘         └不空三蔵
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01   此の方等教は謂く 鹿苑の後般若の前四教の機に対し処処に四教の法を説いて 唯だ二乗を弾呵し 菩薩を称揚
02 す、所謂密厳経.厚厳経・思益経・方等経・楞伽経・浄名経等なり、瓔珞経を以て結経と為す、化儀は漸部の中.化法
03 は四教なり、 説教の次第に依れば日の次ぎに平地を照すが如し 影万水に臨み器の方円を逐い波の動静に随つて一
04 仏土を示すに浄穢不同ならしめ一身を示現するに巨細各異なり、 一音の説法・類に随つて各解なり、 恐畏し歓喜
05 し厭離し断疑す 神力不共の故に見に浄穢有り聞に褒貶有り 嗅に胆蔔と不胆蔔と有り華に著身と不著身と有り浄名
06 方等の如し、経文に云く「是を過ぎて已後、心相体信じて入出難り無し」文。
07      ┌説処は鷲峯山・白鷺池等の四処十六会・同居土の説なり
08      ├権大乗なり
09      ├帯と名く
10      ├熟蘇味と名く
11      ├十四年の説なり 三井寺の義 三十年の説 山門の義
12   般若部┼漸と名く亦秘密教有り 亦不定教有り
13      ├淘汰と名く
14      ├結経は仁王経なり── 已上四十二年なり
15      ├百  論┐
16      ├中  論┼─三論宗──祖師┬嘉祥大師
17      └十二門論┘        └吉蔵大師
18  此の大般若経は唐の玄奘三蔵の所訳是れ新訳なり、此の経は一部六百巻二百六十五品・六十億四十万字・一万六百
0637top
01 三十八紙なり、 此の般若経は方等の後・法華の前・四処十六会の中に於て 後三教の機の為に広く諸部の般若を説
02 く、所謂光讃般若経.文殊問般若経・金剛般若経・能断金剛般若経・大品般若経.小品般若経・放光般若経・天王問般
03 若経・大般若経等なり、 仁王般若経を以て結経と為す、唯だ化儀は漸教の後・化法は通別円なり、此の般若経の時
04 も二乗の念処道品は皆是れ摩訶衍と説いて亦身子・須菩提をして菩薩の為に般若を転教せしむ。
05   玄義に云く「大人は其の光用を蒙り嬰児は其の精明を喪う 夜遊の者は伏匿し作務の者は興盛す」故に文に云く
06 「但菩薩の為に其の実事を説いて我が為に此の真要を説かず、 三人倶に学すと雖も 二乗は証を取る具に大品等の
07 如し」経文に云く「爾の時に窮子即ち教勅を受けて衆物を領知し乃至而も一飡を悕取するの意無し」云云。
08   仏自ら四十余年の諸経を破し給う事、 無量義経説法品に云く「我先に道場菩提樹下に端座すること六年にして
09 阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得たり 仏眼を以て一切の諸法を観るに宣説すべからず 所以は如何諸の衆生の
10 性欲不同なることを知れり 性欲不同なれば種種に法を説き種種に法を説くことは方便力を以てす 四十余年には未
11 だ真実を顕わさず」云云、 又云く「文辞は一なりと雖も義は各異なり」云云、 伝教大師の無量義経の注釈に云く
12 「性欲不同なれば種種に法を説くとは 是れ能被の教を挙ぐるなり 釈迦一代四十余年の所説の教略して四教及び八
13 教あり所謂樹王の華厳・鹿苑の阿含.坊中の方等・鷲峯等の般若・演説一乗.大小の菩薩の歴劫修行・小乗の三蔵教・
14 大乗の通教・大乗の別教・大乗の円教.頓教・漸教・不定教.秘密教是くの如き等の前四味各各不同なり是の故に名け
15 て種種の説法と為す」云云、 又云く「但随他の五種性等門外の方便・差別の権教・帯権の一乗を説いて未だ随自一
16 仏乗等・露地の真実・平等の直道・捨権の一乗を顕わさず・是の故に説いて方便力を以て四十余年・未だ真実を顕さ
17 ずと言う」と云云、 無量義経に云く「若し衆生有つて是の経を聞くことを得ば 則ち為れ大利なり所以は如何若し
18 能く修行すれば 必ず疾く無上菩提を成ずることを得ればなり、 其れ衆生有つて聞くことを得ざる者は当に知るべ
0638top
01 し是等は為れ大利を失えるなり、 無量無辺不可思議阿僧祇劫を過ぐれども 終に無上菩提を成ずることを得ず所以
02 は如何菩提の大直道を知らざる故に 険逕を行くに留難多きが故に」云云、 注釈に云く「疾く無上菩提を成ずるこ
03 とを得ずとは未だ直道一乗の海路を解せず 未だ純円六度の固船に乗らず 未だ実相方便の順風を得ず是の故に横道
04 の三乗嶮路の歩行留難多き処・懃苦妄想夢裏の大河なり 是の故に説いて 疾く無上菩提を成ずることを得ずと言う
05 なり」云云、 秀句の下に云く「法華経を讃むと雖も還つて法華の心を死す」云云、 無量義経に云く「次に方等十
06 二部経・摩訶般若・華厳海空を説いて菩薩の歴劫修行を宣説せしかども」云云、伝教大師秀句の下巻に云く「謹しみ
07 て無量義経を案ずるに云く 方等十二部経とは法相宗所依の経なり 摩訶般若とは三論宗の所依の経なり華厳海空と
08 は即ち華厳宗の所依の経なり但歴劫修行を説いて未だ大直道を知らず」云云、 天台大師玄義の五に云く「成道より
09 以来四十余年未だ真実を顕わさず 法華に始めて真実を顕わす」相伝に云く仏の年七十二歳にして 法華経を説くと
10 云云、慧心僧都の一乗要決の下に云く「仏既に説いて言く 法華真実なり前は未だ真実を顕わさず 何ぞ強ちに仏教
11 に背いて法華の怨嫉と為るや」云云、 記の八に云く「略して経題を挙げて玄に一部を収む故に仏欲以此妙法等と云
12 うなり」釈籤一に云く「次に経題を釈す初めには妙法の両字は通じて本迹を詮す蓮華の両字は通じて本迹を譬う」
13      ┌説処は霊山虚空の二処三会・実報土の説
14      ├実大乗
15      ├八箇年の説
16      ├又開会の妙典とも純円一実の説とも一円機の説とも云う
17   法華経┼醍醐味
18      ├円教
01      ├頓・不定と秘密無し    0639top
02      ├結経は普賢経
03      └仏立宗──法華宗──天台宗
04          ┌一に霊山会 序品より法師品に至る十品
05   二処三会の儀式┼二に虚空会 宝塔品より神力品に至る十一品
06          └三に霊山会 嘱累品より勧発品に至る七品
07        ┌序品より十四品は迹門なり 開権顕実と名く
08   本迹の両門┴涌出品より十四品は本門なり 開近顕遠と名く
09  此の法華経は第五時の教なり、無量義経を開経と為し観普賢経を結経と為す、化儀は会漸帰頓・会三帰一・化法は
10 純円なり、 般若の後雙林の前純ら一の円機に対して真実を説くなり、 日光普ねく照すに土圭の測影縮ならず盈な
11 らざるが如し低頭挙手・皆仏道を成ず汝は実に我が子・我は実に汝が父唯だ如来の滅後を以て之を滅度す、 此の第
12 五時の教は是れ日中にして四時に非ず 是醍醐にして四味に非ず是れ定にして不定に非ず 是れ顕露にして秘密に非
13 ず三乗・五乗・七方便・九法界を会して一仏乗に入らしむ所以に迹門には二乗初住の位に叶て無生忍を得・成仏の記
14 を受く 八歳の竜女は男子に変成して即身に無垢の成道を唱う、 本門には二世の弟子増道損生の益を得・凡そ三周
15 四説不可思議なり方便品に云く 「世尊の法久くして後要ず当に真実を説くべし」又云く 「未だ曾て説ざる所以は
16 説時未だ至らざるが故なり今正しく是れ其の時なり決定して大乗を説かん」云云、 又云く「乃至一偈に於ても皆成
17 仏すること疑無し十方仏土の中・唯一乗の法のみ有つて 二も無く亦三も無し仏の方便の説を除く」又云く「諸仏世
0640top
01 に出る唯此の一事のみ実なり 余の二は則ち真に非ず」、 普賢経の記に云く「故に正説に云く唯此の一事のみ実に
02 して余の二は 則ち真に非ずと斯れに多義有り、 一には非頓非漸の妙法を指して一事実と為し而頓而漸を余二の権
03 と為す、 二には三教の仮名を呼びて非真と為し一円の実理を指して一実と為す、 三には四味を以て非真と為し醍
04 醐を以て一実と為す」と、方便品に云く「終に小乗を以て衆生を済度せず」云云、又云く「若小乗を以て化すること
05 乃至一人に於てもせば我則ち慳貪に堕せん 此の事不可と為す」又云く「正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く」
06 と、 玄の九に云く「廃三顕一とは此れ正しく教を廃す其の情を破すと雖も 若し教を廃せざれば樹想還つて生ず教
07 を執して惑を生ず是の故に教を廃す正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く十方仏土の中唯だ一乗の法のみ有り 二
08 も無く亦三も無し」云云、玄義の一に云く「華落は権を廃するを譬え蓮成は実を立するを譬う」文に云く「正直に方
09 便を捨てて但だ無上道を説く」云云、 伝教大師の顕戒論に云く「白牛を賜う朝には三車を用いず 家業を得る夕べ
10 には何ぞ除糞を用いん」故に経に云く「正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く」と、 方便品に云く「我が昔の所
11 願の如く今已に満足す」云云。
12   玄義の十に云く「即ち方便の一乗を廃して唯だ円実の一乗なり故に云く我本と誓願するが如き今已に満足す」方
13 便品に云く「当来世の悪人仏一乗を説き給うを聞いて 迷惑して信受せず法を破して悪道に堕せん」と云云、 又云
14 く「法を聞き歓喜し讃めて乃至一言を発す 則ち為れ已に一切三世の仏を供養するなり」譬喩品に云く「今此の三界
15 は皆是れ我が有なり其の中の衆生は悉く是れ我が子なり 而も今此の処は諸の患難多し 唯我一人のみ能く救護を為
16 す」云云、文句の六に云く「旧は西方の無量寿仏を以て、以て長者に合す今之を用いず西方の仏・別に縁異なり仏・
17 別なり故に隠顕の義成ぜず 縁異なるが故に子父の義成ぜず又此の経の首末全く此の旨無し閉眼穿鑿せよ」、 疏記
18 の六に云く「弥陀・釈迦二仏既に殊なり況や宿昔の縁別に化導同じからざるをや 結縁は生の如く成熟は養の如し生
0641top
01 に出る唯此の一事のみ実なり 余の二は則ち真に非ず」、 普賢経の記に云く「故に正説に云く唯此の一事のみ実に
02 して余の二は 則ち真に非ずと斯れに多義有り、 一には非頓非漸の妙法を指して一事実と為し而頓而漸を余二の権
03 と為す、 二には三教の仮名を呼びて非真と為し一円の実理を指して一実と為す、 三には四味を以て非真と為し醍
04 醐を以て一実と為す」と、方便品に云く「終に小乗を以て衆生を済度せず」云云、又云く「若小乗を以て化すること
05 乃至一人に於てもせば我則ち慳貪に堕せん 此の事不可と為す」又云く「正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く」
06 と、 玄の九に云く「廃三顕一とは此れ正しく教を廃す其の情を破すと雖も 若し教を廃せざれば樹想還つて生ず教
07 を執して惑を生ず是の故に教を廃す正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く十方仏土の中唯だ一乗の法のみ有り 二
08 も無く亦三も無し」云云、玄義の一に云く「華落は権を廃するを譬え蓮成は実を立するを譬う」文に云く「正直に方
09 便を捨てて但だ無上道を説く」云云、 伝教大師の顕戒論に云く「白牛を賜う朝には三車を用いず 家業を得る夕べ
10 には何ぞ除糞を用いん」故に経に云く「正直に方便を捨てて 但だ無上道を説く」と、 方便品に云く「我が昔の所
11 願の如く今已に満足す」云云。
12   玄義の十に云く「即ち方便の一乗を廃して唯だ円実の一乗なり故に云く我本と誓願するが如き今已に満足す」方
13 便品に云く「当来世の悪人仏一乗を説き給うを聞いて 迷惑して信受せず法を破して悪道に堕せん」と云云、 又云
14 く「法を聞き歓喜し讃めて乃至一言を発す 則ち為れ已に一切三世の仏を供養するなり」譬喩品に云く「今此の三界
15 は皆是れ我が有なり其の中の衆生は悉く是れ我が子なり 而も今此の処は諸の患難多し 唯我一人のみ能く救護を為
16 す」云云、文句の六に云く「旧は西方の無量寿仏を以て、以て長者に合す今之を用いず西方の仏・別に縁異なり仏・
17 別なり故に隠顕の義成ぜず 縁異なるが故に子父の義成ぜず又此の経の首末全く此の旨無し閉眼穿鑿せよ」、 疏記
18 の六に云く「弥陀・釈迦二仏既に殊なり況や宿昔の縁別に化導同じからざるをや 結縁は生の如く成熟は養の如し生
0642top
01 譬喩品に云く「初め仏の所説を聞いて心中大いに驚疑す 将に魔・仏と作つて我が心を悩乱するに非ずや」宝塔品に
02 云く「爾の時に宝塔の中より 大音声を出して歎めて言く 善哉善哉釈迦牟尼世尊能く平等大慧教菩薩法仏所護念の
03 妙法華経を以て大衆の為に説き給うこと是くの如し 是くの如し釈迦牟尼世尊所説の如きは皆是れ真実なり」 又云
04 く「釈迦牟尼仏・快く是の法華経を説き給え我是の経を聴かんが為の故に而かも此に来至せり」と云云、又云く「大
05 音声を以て普く四衆に告ぐ 誰か能く此の娑婆国土に於て広く妙法華経を説かん 今正しく是れ時なり如来久しから
06 ずして当に涅槃に入り給うべし仏・此の妙法華経を以て 付属して在ること有らしめんと欲す」法師品に云く「薬王
07 若し人有つて何等の衆生か 未来世に於て当に作仏することを得べしと問わば 応に示すべし、是の諸人等未来世に
08 於て必ず作仏することを得んと何を以ての故に 善男子善女人法華経の乃至一句に於て受持し読誦せん」云云、 宝
09 搭品に云く「諸余の経典数恒沙の如くならん、 此等を説くと雖も未だ難しと為るに足らず 若し仏の滅後悪世の中
10 に於て能く此の経を説く 是則ち難しと為すと」提婆品に云く「仏諸の比丘に告げ給わく未来世の中に若し善男子・
11 善女人有つて妙法華経の提婆達多品を聞いて浄心に信敬して 疑惑を生ぜざらん者は地獄・餓鬼・畜生に堕ちずして
12 十方の仏前に生ぜん、 所生の処には常に此の経を聞き若し人天の中に生れば 勝妙の楽を受け 若し仏前に在らば
13 蓮華より化生せん」又云く「当時の衆会皆竜女の忽然の間に変じて男子と成つて 菩薩の行を具して即ち南方無垢世
14 界に往き宝蓮華に坐して等正覚を成じ 三十二相・八十種好あつて普く十方一切衆生の為に妙法を演説するを見る」
15 又云く「爾の時に娑婆世界の菩薩.声聞・天・竜・八部.人と非人と皆遥かに彼の竜女の成仏して普く時の会の人天の
16 為に法を説くを見て心大いに歓喜し 悉く遥かに敬礼す」分別功徳品に云く「阿逸多是の善男子・善女人は 我が為
17 に復た搭寺を起て 及び僧坊を作り四事を以て衆僧に供養することを須いず、 所以は如何是の善男子・善女人是の
18 経典を受持し 読誦する者は已に塔を起て僧坊を造立し衆僧を供養すと為す、 則ち為れ仏舎利を以て七宝の塔を起
0643top
01 て高広漸小にして梵天に至る」と云云、 神力品に云く「仏滅度の後に能く是の経を持たんを以ての故に諸仏皆歓喜
02 す」云云、 又云く「我が滅度の後に於て応に斯の経を受持すべし是の人仏道に於て決定して疑有ること無けん」云
03 云、薬王品に云く「能く是の経典を受持すること有らん者も 亦復是くの如し一切衆生の中に於て亦第一と為す」云
04 云、普賢経に云く「煩悩を断ぜず五欲を離れず三昧に入らざれども 但誦持するが故に」云云、又云く「其れ大乗方
05 等経典を読誦する有らば 当に知るべし此の人は仏の功徳を具して 諸悪永く滅して仏慧より生ずるなり」云云、一
06 経の始めの如是我聞を釈する文句の一に云く「如是とは所聞の法体を挙ぐ」と則ち妙法蓮華経是なり。
07      ┌一日一夜の説
08      ├権大乗
09   涅槃経┼説処は跋提河の辺
10      ├常住四教を説く
11      ├同醍醐味
12      └結経は像法決疑経
13  此の涅槃経は一日一夜の説三蔵教.通教・別教・円教を明す、亦は醍醐味とも名く、釈尊拘尸那城・力士生地.阿利
14 羅跋提河・沙羅雙樹の間に於て 二月十五日の晨朝・面門より種種の光を放ち給う十二由旬の内十方の大衆を集めて
15 涅槃経を説き給う即ち三十六の涅槃経・旧訳の四十の涅槃経なり、像法決疑経を以て結経と為す、 亦クン拾教と名
16 け亦扶律顕常と云う、 化儀は漸部・化法は四教なり法華の時 猶未解の輩有り更に後番五味を以て余残の機を調熟
17 し給う、 涅槃の時四教の機同く・仏性を見る秋収冬蔵の如し、 唯四機有り倶に常住を知る故に法華と合して同醍
18 醐味と為すなり、 凡そ一往此くの如く配立すと雖も 万差の機縁に随つて時節の長短不同なり或は華厳の時長は涅
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01 槃の時に至る阿含・方等・般若も亦爾なり云云、 涅槃経の六に「法に依て人に依らざれ義に依つて語に依らざれ智
02 に依つて識に依らざれ 了義経に依つて不了義経に依らざれ」と云云、 又「亦如来随宜の方便所説の法の中に執着
03 を生ぜざる是を了義と名く 不了義とは経の中に一切焼然なり一切無常なり 一切皆苦なり一切皆空なり一切無我な
04 りと説くが如し是を不了義と名く 何を以ての故に是くの如きの義を了すること能わざるを以ての故に 諸の衆生を
05 して阿鼻獄に堕せしむ」云云、 十七の巻に云く「如来は虚妄の言無しと雖も 若し衆生の虚妄の説に因つて ○」
06 文、又云く「虚妄の法則ち是れ罪と為す是の罪を以ての故に地獄に堕す」云云。
07   一、小乗の戒を破する事
08   涅槃経の三の巻に云く「仏迦葉に告げ給わく 能く正法を護持する因縁を以ての故に是の金剛身を成就すること
09 を得・迦葉我往昔に於て護法の因縁を以て 今是の金剛身を成就することを得て常住にして壊せず、 善男子正法を
10 護持する者は五戒を受けず威儀を修せず応に刀剣・弓箭・鉾槊を持して持戒清浄の比丘を守護すべし」云云、 同十
11 七に云く「仏性を見るが故に大涅槃を得・是を菩薩の清浄の持戒にして世間の戒には非ずと名く」と云云、 又云く
12 「是の経を受持して戒を毀る者は則ち是れ衆生の大悪知識なり我が弟子に非ず是れ魔の眷属なり」云云、 法師品に
13 云く「若し是の深経・声聞の法を決了する是れ諸経の王なることを聞いて」云云、安楽行品に云く「又声聞を求むる
14 比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷に親近せざれ亦問訊せざれ 若しは坊中に於ても若しは経行の処若しは講堂の中に在
15 ても共に住止せざれ」云云、 伝教大師の顕戒論の中に云く「貧人の食は是れ輪王の毒なるが如し、 故に二乗の者
16 の持戒精進は即ち菩薩の破戒懶惰なり 故に応に親近すべからず、来らば為に法を説け親使・利養・恭敬をネガわざ
17 れ」と云云、秀句の下に云く「小乗の持戒は則ち菩薩の煩悩なり」云云、 宝塔品に云く「此の経は持ち難し若し暫
18 くも持つ者は我則ち歓喜す諸仏も亦然なり、 是の如きの人は諸仏の歎め給う所なり 是則ち勇猛なり是則ち精進な
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01 り是を戒を持ち頭陀を行ずる者と名く、 則ち疾く無上の仏道を得と為す能く来世に於て 此の経を読み持たんは是
02 真の仏子なり」云云、 竜樹菩薩の大論に云く「自法愛染の故に 他人の法を毀呰す持戒の行人と雖も地獄の苦を脱
03 れず」云云、涅槃経の十二に云く「仏迦葉に告げ給わく若し菩薩有つて破戒の因縁を以て則ち能く人をして大乗経典
04 を受持し愛楽せしむることを知つて 又能く其れをして経巻を読誦し 通利し書写し広く人の為に説いて阿耨多羅三
05 藐三菩提を退転せざらしめんと、 是くの如き為の故に故さらに戒を破ることを得」云云、安然の広釈に云く「能く
06 法華経を説く是を持戒と名く律儀を持すと雖も善法を摂せざれば猶木石の衣鉢を帯持せるが如し」云云、 弘決の四
07 に大論の十九を引いて云く「諸の比丘・仏に問いたてまつる 阿蘭若の比丘死しぬ今何の処にか生ずる・仏の言く阿
08 鼻獄に生ず諸の比丘大いに驚く、 坐禅持戒するに便ち爾るを至すや仏答えて言く多聞・持戒・禅未だ漏尽の法を得
09 ず」云云、伝教大師云く「今より已後声聞の利益を受けず菩薩は二百五十戒を捨て畢んぬ」云云、涅槃経の四に云く
10 「我涅槃の後・無量百歳に四道の聖人も悉く復涅槃せん 正法滅して後像法の中に於て当に比丘有べし 貌持律に像
11 て少しく経を読誦し飲食を貪嗜し 其の身を長養し袈裟を服すと雖 も猶猟師の如く細めに視て徐かに行くこと猫の
12 鼠を伺うが如し、 常に是の言を唱う我羅漢を得たりと、 諸の病苦多く糞穢に眠臥す・外には賢善を現し内には貪
13 嫉を懐く唖法を受けたる婆羅門等の如し、 実に沙門に非ずして沙門の像を現し 邪見熾盛にして正法を誹謗し及び
14 甚深秘密の教を壊り各自意に随つて反つて経律を説く」云云、 同九に云く「善男子・一闡提有り羅漢の像を作し空
15 処に住して方等大乗経典を誹謗す諸の凡夫人・見已つて皆真の阿羅漢なり是れ大菩薩摩訶薩なりと謂えり」
16   一、善導和尚自害の事
17   類聚伝に云く「導・此の身諸苦に逼迫せられて情偽反易し 暫くも休息すること無し、乃ち所居の寺の前の柳樹
18 に登つて西に向て願つて云く 仏の威神驟以て我を摂し観音・勢至も 亦来て我を助け給え、此の心をして正念を失
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01 わざらしめ驚怖を起さず弥陀の法の中に於て 以て退堕を生ぜざらんと願し 畢つて其の樹の上に極り身を投じて自
02 ら絶えぬ」
03   一、仏自害・断食・身根不具を禁ずる事
04   涅槃の七に云く「若し説いて言えること有らん 常に一の脚を翹げて寂嘿として言わず淵に投じて火に赴き自ら
05 高巌より墜ち嶮難を避けず毒を服し食を断じ灰土の上に臥し自ら手足を縛つて衆生を殺害せん、 方道・咒術・旃陀
06 羅の子・無根・二根及び不定根・身根不具ならん、是くの如き等の事・如来悉く出家して道を為すことを聴し給うと
07 いわば是を魔説と名く」云云、 涅槃経の六に云く「大乗を学する者は 肉眼有りと雖も名けて仏眼と為す耳鼻五根
08 も例して亦是くの如し」云云、 像法決疑経に云く「諸の悪比丘・我が意を解せず己が所見を執して 十二部経を宣
09 説し文に随つて義を取り決定の説と作さん、 当に知るべし此の人は三世の諸仏の怨なり 速かに我が法を滅せん」
10 云云、涅槃経の十四に云く「如来・世尊は大方便有り無常を常と説き・常を無常と説き・楽を説いて苦と為し・苦を
11 説いて楽と為し・不浄を浄と説き・浄を不浄と説き・我を無我と説き・無我を我と説き・非衆生に於て説いて衆生と
12 為し.実の衆生に於て非衆生と説き・非物を物と説き・物を非物と説き・非実を実と説き・実を非実と説き.非境を境
13 と説き・境を非境と説き.非生を生と説き・生を非生と説き・乃至・無明を明と説き・明を無明と説き.非色を色と説
14 き・色を非色と説き・非道を道と説き・道を非道と説く」云云。
15          ┌父は月浄転輪王・鼓音声陀羅尼経の説なり
16   法華宗の阿弥陀┼浄土宗の阿弥陀 誓願は執持名号往生極楽
17          └正覚は十劫已来なり 
01          ┌父は大通智勝仏なり      0647top
02   法華宗の阿弥陀┼誓願は常楽の説・是妙法蓮華経なり
03          └正覚は三千塵点劫なり
04  薬王品に云く「若し女人有つて是の経典を聞いて説の如く修行せば此に於て命終して即ち安楽世界・阿弥陀仏・大
05 菩薩衆の囲繞せる住処に往き蓮華の中宝坐の上に生ず」云云、 疏記の十に云く「若し女人有つて等とは此の中只是
06 の経を聞くことを得、  説の如く修行すと云う即ち浄土の因更に観経等を指すことを須いざるなり、 問う如何が
07 修行する答う既に如説修行と云う即ち経に依て行を立つ 具さに分別功徳品の中直ちに此の土を観ずるに 四土具足
08 するが如し故に此の仏身・即三身なり」云云、 「自在所欲生」云云、方便品に云く「舎利弗・如来但一仏乗を以て
09 の故に衆生の為に法を説く余乗の若しは二若しは三有ること無し」云云、 安楽行品に云く「無量の国中に於て乃至
10 名字を聞くことを得可からず」 陀羅尼品に云く「汝等但能く法華の名を 受持せし者を擁護せんすら福量る可から
11 ず」釈籤の一に云く「名は即ち是体・文字解脱なり」又云く「次に経題を釈す初めには妙法の両字は通じて本迹を詮
12 す蓮華の両字は通じて本迹を譬う」 疏記の一に云く「妙法の唱は唯だ正宗のみに非ず 二十八品倶に妙法と名くが
13 故に、 故に品品の内に咸く体等を具し句句の下に通じて妙名を結す」云云、 薬王品に云く「若し復人有つて七宝
14 を以て三千大千世界に満て て仏及び大菩薩・辟支仏・阿羅漢に供養せん是の人の得る所の功徳此の法華経の乃至一
15 四句偈を受持する其の福最も多きに如かず」 又云く「能く是の経典を受持すること有らん者も 亦復是くの如し一
16 切衆生の中に於て亦為れ第一なり」 又云く「此の経は能く一切衆生を救う者なり 此の経は能く一切衆生をして諸
17 の苦悩を離れしむ 此の経は能く大いに一切衆生を饒益して 其の願を充満す」と勧発品に云く「若し復是の経典を
18 受持する者を見て 其の過悪を出さば若しは実・若しは不実にもあれ此の人は 現世に白癩の病を得ん、 若し之を
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01 軽笑すること有らん者は 当に世世に牙歯疎き欠け醜脣平鼻・手脚繚戻し眼目角ライ・身体臭穢にして悪瘡・膿血・
02 水腹・短気・諸の悪重病あるべし、 是の故に普賢若し是の経典を受持する者を見ては 当に起つて遠く迎えて当に
03 仏を敬うが如くすべし」 涅槃経の十三に云く「我爾の時に於て思惟し坐禅し 無量歳を経れども亦如来出世の大乗
04 経の名有ることを聞かず」 文句の五に云く「所以は経に出でたり人の語を信ずること勿れ」 同三に云く「たとい
05 百千種の師あつて一一の師・百千種の説を作すとも 是れ権ならざるは無し、 如来の所説有る尚復是れ権なり況や
06 復人師をや、寧ろ権に非ざることを得んや前に出す所の如きは悉く皆権なり」
07   一、念仏者・謗法罪を作る事
08   法然の選択に云く「道綽禅師・聖道・浄土の二門を立て聖道を捨てて正しく浄土に帰するの文、初めに聖道門と
09 云うは之に就いて二有り、乃至之に准じて之を思うに応に密大及実大を存すべし、然れば則ち今真言・仏心・天台・
10 華厳・三論・法相・地論・摂論・此等の八家の意正しく此に在り、浄土宗の学者先ず須らく此の旨を知るべし、設い
11 先ず聖道門を学するの人なりと雖も 若し浄土門に於て其の志有らん者は須らく聖道を弃てて浄土に皈すべし、 善
12 導和尚・正雑二行を立て雑行を捨てて 正行に皈するの文、 第一に読誦雑行と云うは上の観経等の往生浄土の経を
13 除いて已外大小乗・顕密の諸経に於て受持し読誦するを悉く読誦雑行と名く、 乃至・第三に礼拝雑行と云うは上の
14 弥陀を礼拝するを除いて 已外一切諸余の仏菩薩等及び諸の世天等に於て 礼拝し恭敬するを悉く礼拝雑行と名け、
15 第四に称名雑行とは 上の弥陀の名号を称するを除いて 已外・自余一切の仏・菩薩等及び諸の世天等の名号を 称
16 するを悉く称名雑行と名け、 第五に讃歎供養雑行と云うは 上の弥陀仏を除いて已外一切諸余の仏菩薩及び諸の世
17 天等に於て 讃歎し供養するを悉く讃歎供養雑行と名く、 乃至、 此の文を見るに弥須らく雑を捨てて 専を修す
18 べし、 豈百即百生の専修の正行を捨てて 堅く千中無一の雑修雑行を執せんや、又云く貞元入蔵録の中に始め大般
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01 若経六百巻より終り法常住経に至るまで 顕密の大乗経惣べて六百三十七部・二千八百八十三巻なり 皆須らく読誦
02 大乗の句に摂すべし 夫れ速かに生死を離れんと欲せば 二種の勝法の中且らく聖道門を閣いて選んで浄土門に入れ
03 浄土門に入らんと欲せば 正雑二行の中に且らく諸の雑行を抛つて選んで 正行に皈すべし」云云、大論に云く「自
04 法愛染の故に他人の法を毀呰す 持戒の行人と雖も地獄の苦を脱れず」云云、 法華経に云く「当来世の悪人は仏の
05 一乗を説き給うを聞いて迷惑して 信受せず法を破して悪道に堕せん」又云く「法を破して信ぜざるが故に 三悪道
06 に墜ちなん」 雙観経に云く「設い我仏を得るも 十方衆生の至心に信楽して 我が国に生ぜんと欲して乃至十念せ
07 んに若し生ぜずんば正覚を取らじ 唯五逆と誹謗正法を除く」 譬喩品に云く「若し人あつて信ぜずして 此の経を
08 毀謗するときは則ち一切世間の仏種を断ず 其人命終して阿鼻獄に入り 一劫を具足して劫尽きて更に生ぜん是くの
09 如く展転して無数劫に至らん」 文句に云く「今経に小善成仏を明かす此の縁因を取つて仏種と為す、 若し小善成
10 仏を信ぜずんば則ち一切世間の仏種を断ずるなり」云云。
11   一、真言師・謗法罪を作る事
12   秘蔵宝鑰の上に云く十住心とは、
13   一 異生羝羊心 凡夫悪人    二 愚童持斎心 凡夫善人
14   三 嬰童無畏心 外  道    四 唯薀無我心 声  聞
15   五 抜業因種心 縁  覚    六 他縁大乗心 法 相 宗
16   七 覚心不生心 三 論 宗    八 如実一道心 法 華 宗
17   九 極無自性心 華 厳 宗    十 秘密荘厳心 真 言 宗
18   又云く「他縁以後は大乗の心なり大乗において前の二は菩薩乗・後の二は仏乗なり此くの如きの乗乗は自乗には
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01 仏の名を得れども後に望むれば戯論と作る」云云、 又云く 「人を謗じ法を謗ずれば定めて阿鼻獄に堕ちて更に出
02 ずる期無し、 世人斯の義を知らずして舌に任せて輙すく談じて 深害を顧みず寧ろ日夜に十悪五逆を作るべしとも
03 一言一語も人法を謗ず可からず」云云、 大日経に云く「仏・不思議の真言相道の法を説くに一切の声聞・縁覚を共
04 にせず 亦普く一切衆生の為にするに非ず」 法華経の二に云く「汝等若し能く此の語を信受せば 一切皆当に仏道
05 を成ずることを得べし 是の乗微妙にして清浄第一なり」云云、 又云く「此の法華経は是れ諸の如来第一の説・諸
06 説の中に於て最も甚深為り」 又云く「此の法華経は諸仏如来の秘密の蔵 ・諸経の中に於て最も其の上に在り」六
07 波羅蜜経に五蔵・五味を説く、 私に云く此の経は天台御入滅已後百余年に 天竺より漢土に来れり爾れば見ざる経
08 の醍醐を盗むと書くは謬失なり 弘法の二教論の下に云く「喩して曰く今斯の経文に依らば 仏五味を以て五蔵に配
09 当し惣持を醍醐と称し四味を四蔵に譬え給えり、 振旦の人師等醍醐を諍い盗んで各自宗に名く 若し斯の経を鑒み
10 ば則ち掩耳の智割剖を待たじ」云云、 又云く「毘盧遮那経の疏に順ぜば 阿字を釈す」云云、 私に云く毘盧遮那
11 経疏供養法の巻は竜樹入滅已後八百年の造疏なり、 而るに菩提心論に此の事を引き載せたり 故に知んぬ菩提心論
12 は竜樹の釈に非るなり又云く 「唯真言法の中にのみ即身成仏するが故に 是三摩地の法を説く諸教の中に於て闕い
13 て書せず」云云。
14   一、真言は別仏の説に非る事
15   大日経の一の巻の五仏は中央は大日如来と説く 同五巻の五仏は中央は毘盧遮那と説く第一の巻の五仏は中央は
16 釈迦牟尼仏と説く、 文句の九に云く普賢観は法華を結成す文に云く 釈迦牟尼仏を毘盧遮那と名くと、 乃ち是れ
17 異名なり別体なるに非ざるなり、  安然の教時義に云く「真言宗の本地毘盧遮那は即ち天台宗の妙法蓮華経最深密
18 処同仏なり」、智証大師の授決集に云く「真言.禅門.華厳.三論.唯識・律宗・成・倶の二論等は若し法華・涅槃経等
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01 の経に望むれば是れ摂引の門なり」云云、 金剛頂経に云く 「婆伽梵釈迦牟尼如来・一切平等に善く通達するが故
02 に一切方を平等に観察して四方に坐し給う不動如来・宝生如来・観自在王如来・不空成就如来」云云、 大日経普通
03 真言蔵品の四に云く「時に釈迦牟尼世尊宝処三昧に入つて自心及び眷属の真言を説き給う」文、 大日経の第二に云
04 く「我昔道場に坐して四魔を降伏し 大勤勇の声を以て衆生の怖畏を除く、 是の時梵天等心喜共に称説す此れに由
05 つて諸の世間号して大勤勇と名く 我本不生を覚る」云云、 前唐院金剛頂経の疏に云く「成仏已来甚大久遠なり未
06 だ所経の劫数を説かざる所以は 経に於て各傍正の義有り故に彼の法華の久遠の成仏も亦 是れ此の経の毘盧遮那仏
07 と異解す可からず」云云、 仏法伝来の次第に云く「大師智拳印を結びて南方に向う面門俄かに開けて金色の毘盧遮
08 那と成り即便ち本体に還帰す」云云、 涅槃経の七の巻に仏迦葉に告げ給わく 「我般涅槃して七百歳の後是の魔波
09 旬・漸く当に我が正法を壊乱すべし、 乃至化して阿羅漢の身及び仏の色身と作らん 魔王此の有漏の形を以て無漏
10 の身と作りて我が正法を壊らん」云云。
11   一、禅宗謗罪を作す事
12   円覚経に云く「修多羅の教は月を標す指の如し」文方便品に云く「或は修多羅を説く衆生に随順して説く大乗に
13 入るに為れ本なり」 梵天王問仏決疑経に云く「梵王・霊山会上に至つて 金色の沙羅華を以て 仏に献り仏群生の
14 為に法を説き給えと請す 世尊坐に登り華を拈して 衆に示して青蓮の目を瞬す 天人百万悉く皆措くこと罔し独り
15 金色の頭陀・破顔微笑す、世尊の言く吾に正法眼蔵・涅槃妙心・実相微妙の法門有り文字を立てず教外別伝・摩訶迦
16 葉に付属す」云云、 是は中天竺なり仏の御入滅は北天竺拘尸那城なり、 涅槃経の一に云く「爾の時に閻浮提の中
17 の比丘・比丘尼・一切皆集る唯尊者摩訶迦葉・阿難の二衆を除く」 同経の三に云く「若し法宝を以て阿難及び諸の
18 比丘に付属し給う久住することを得ず 何を以ての故に 一切声聞及大迦葉は悉く当に無常なるべし彼の老人の他の
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01 寄物を受くるが如し、 是の故に無上の仏法を以て諸の菩薩に付属すべし」云云、 像法決疑経に云く「諸の悪比丘
02 或は禅を修すること有るも経論に依らず、 自ら己見を逐うて非を以て是と為し 是れ邪是れ正を分別すること能わ
03 ず、 遍く道俗に向つて是くの如き言を作さん我能く是を知り我能く是を見ると、 当に知るべし此の人は速かに我
04 が法を滅せん 乃至地獄に入ること猶箭を射るが如し」云云、 弘決一の下に云く「世人多く坐禅安心を以て名けて
05 発心と為す、 此の人都て未だ所縁の境を識らず所期の果無ければ 全く上求無し大悲を識らざれば全く下化無し、
06 是の故に発心は大悲より起るなり」云云、 天台の止観の五に云く「又一種の禅人他の根性に達せずして 純ら乳薬
07 を教ゆ体心踏心・和融覚覓若しは泯若しは 了斯れ一轍の意なり障難万途紛然として識らず 纔かに異相を見て即ち
08 是れ道と判ず 自ら法器に非ず復他に匠たるを闕く盲跛の師徒二り 倶に堕落す瞽蹶の夜遊甚だ憐愍す可し」云云、
09 弘決の一に云く「世人.教を蔑にし理観を尚ぶ者アヤマれるかなアヤマれるかな」方便品に云く「諸法実相.所謂諸法
10 .如是相.如是性.如是体.如是力.乃至.如是本末究竟等」云云、妙楽大師の金ペイ論に云く「実相は必ず諸法・諸法は
11 必ず十如・十如は必ず十界・十界は必ず身土なり」云云、 疏記の十に云く「直ちに此の土を観ずるに四土具足す故
12 に此の仏身即ち三身なり」云云。
13   一、権実証拠の事
14  玄義の二に云く「則ち百法界.千如是有り束ねて五差と為す一に悪・二に善・三に二乗・四に菩薩.五に仏なり、判
15 じて二法と為す前の四は是れ権法・後の一は是れ実法」云云、 釈籤の二に云く「九界を権と為し仏界を実と為す」
16 云云、 秀句の下に云く「定性と不定性は位の高下に依り 成仏と不成仏は経の権実に依る」文句の九に云く「漸頓
17 の益は虚なり」云云、 記の九に云く「権を稟けて界を出るを名けて虚出と為す」云云、玄義の九に云く「化他の因
18 果は仏菩提を致すこと能わず 是の故に取て並べ用いず化他の権実も亦 他をして極に至らしむること能わず亦取る
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01 応らず」云云、 止観の三に云く「権の権は実の権に非ず 実の権と成ることを得可し権の実は実の実に非ず実の実
02 と成ることを得べからず」云云。
03   一、権実分別の事
04   一に玄義の一に云く「蓮の為の故に華・実の為に権を施すを譬う、権は即ち是れ苗・文に云く種種の道を示すと
05 雖も其れ実には仏乗の為なり」云云、 二に又云く「華敷は権を開するを譬う 蓮現は実を顕すを譬う権実共に稲な
06 り文に云く方便の門を開いて 真実の相を示す」云云、 三に又云く「華落は権を廃するを譬う蓮成は実を立つるを
07 譬う実独り真米なり文に云く 正直に方便を捨てて但無上の道を説く」云云、 釈籤の一に云く「開廃倶時なり開の
08 時已に廃するが故なり」云云、 又云く「開の時即ち廃す」 又云く「既に実を識り已れば永く権を用いず」云云。
09   一、破三顕一の事
10   方便品に云く「一仏乗に於て分別して三と説く」云云、 玄義の九に云く「廃三顕実」又云く「施権」方便品に
11 云く「二も無く亦三も無し仏の方便説を除く」云云 涅槃経の二十三に云く「実には三乗無し顛倒心の故に 三乗有
12 りと言う、 一実の道は真実にして虚ならず顛倒心の故に一実無しと言う」云云、 方便品に云く「尚二乗無し何に
13 況や三有らんや」云云。
14   一、入如来慧の事
15   法華経に云く「是の諸の衆生世世より已来常に我が化を受く 此の諸の衆生始めて我が身を見て我が所説を聞い
16 て即ち皆信受して如来の慧に入る先より修習して小乗を学する者を除く」云云、 文句の九に云く「根利にして徳厚
17 く世世已来常に大化を受け始めて 我が身を見て即ち華厳を稟けて如来慧に入る 菓熟して零ち易し」云云、釈籤の
18 十に云く「当に知るべし法華は部に約するときは則ち華厳般若を破す」云云。
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01   一、余深法中の事
02   嘱累品に云く「若し衆生有て信受せざらん者には 当に如来の余の深法の中に於て示教利喜すべし」文句の七に
03 云く「示教利喜・示は即ち示転・教は即ち勧転・利喜は即ち証転なり」、玄義の六に云く「余とは方便を帯するなり
04 深とは中道を明すなり 方便を帯して中道を明すは即ち別教なり」云云、 又云く「但為に実を弘むるに而も衆生信
05 ぜず須らく実の為に権を施すべし」 釈籤の六に云く「有深復余とは即ち別教の法なり 入地を深と名け地前を余と
06 名く」云云、 文句の十に云く「汝能く余深の法を以て仏慧を助申せば即ち善巧に仏の恩を報ず」云云、疏記の十に
07 云く「以偏助円は 則ち此の意なり此の経の上下・一切皆然なり人 之を見ずして三乗有りと謂うは謬れり」云云。
08   一、三種教相の事
09   玄義に「教相を三と為す一に根性の融不融の相.二に化導の始終不始終の相.三に師弟の遠近不遠近の相」云云、
10 釈籤の一に云く 「前の両意は迹門に約し後の一意は本門に約す」云云、 寂滅道場を以て元始と為す方便以下の五
11 品の意なり。
12   第一、根性融・法華不融爾前の相
13   華厳・阿含.方等・般若・法華各得道有り種熟脱を論ぜず、釈籤の一に云く「又今文の諸義は凡そ一一の科.皆先
14 ず 四教に約して以て麁妙を判ずるときは則ち前三を麁と為し後一を妙と為す 次に五味に約して以て麁妙を判ずる
15 ときは則ち前四味を麁と為し醍醐を妙と為す、 全く上下の文意を推求せずして直ちに一語を指して 法華は華厳よ
16 り劣れりと謂えるは幾許のアヤマりぞやアヤマりぞや」云云。
17   華厳は一麁一妙 相待妙───麁妙を判ず
18   阿含は単麁   無妙
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01   方等は三麁一妙 相待妙───麁妙を判ず
02   般若は二麁一妙 相待妙───麁妙を判ず
03   法華は二妙有り 相待妙は──麁妙を判ず
04           絶待妙は──麁を開して妙を顕わす
05  釈籤の十に云く「唯法華に至つて前教の意を説いて今教の意を顕わす」、玄義の二に云く「此の妙・彼の妙・妙の
                                     義殊なること無し約教.相待.前三を麁
06 と為し後一を妙と為す但方便を帯すると方便を帯せざるを以て異と為すのみ云云」・約部・相・前四味を麁と為醍醐
07 を妙と為す同十に云く「初後の仏慧・円頓の義斎し」一往の釈、文句の五に云く「今の如く始の如く今の如し二無く
08 異無し」云云、 弘決の五に云く「惑者未だ見ず尚華厳を指す 唯華厳円頓の名を知つて彼の部の兼帯の説に昧し全
09 く法華絶待の意を失う」云云、 釈籤の二に云く「故に諸味の中・円融有りと雖も全く二妙無し」と同三に云く「若
10 し但四教の中の円を判じて之を名けて妙と為す 諸経に皆是くの如きの円の義有り 何ぞ妙と称せざる故に復更に部
11 に約し味に約して 方に今経の教も円・部も円なることを顕わすべし、 若し教に約せざれば則ち教の妙を知らず若
12 し味に約せざれば則ち部の妙を知らず、 爾前の相待妙とは前三を蔵通別麁と為し後一円を妙と為す」云云、法華の
13 相待妙とは前四味華厳・阿含・方等・般若を麁と為し醍醐を妙と為す三千塵点大通を以て元始と為す。
14   第二、化導始・中間終・霊山の初住不始終の相 化城喩品の意なり
15   種熟脱を論ず種は大通なり熟は中間乃至今日の四味なり 脱は今の法華なり玄の一に云く「異とは余教は当機益
16 物にして如来施化の意を説かず此の経は仏の教を設け給う元始巧みに衆生の為に頓・漸・不定・顕・密の種子を作す
17 を明す」云云、 釈籤の一に云く「漸及び不定に寄すと雖も余教を以て種と為さず 故に巧為と云う」止観の三に云
18 く「若し初業に常を知るを作さずんば三蔵の帰戒羯磨悉く成就せず」と、 弘決の三に云く「今日の声聞・禁戒を具
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01 することは良に久遠の初業に常を聞くに由る 若し昔聞かずんば小尚具せず況や復大をや」云云、 弘決の三に云く
02 「若し全く未だ曾て大乗の常を聞かずんば既に小果無し誰か禁戒の具・不具を論ぜんや」云云、 又云く「羯磨不成
03 と言うは所謂・久遠必ず大無んば 則ち小乗の秉る法を成ぜざらしめん 本無きを以ての故に諸行成ぜざること樹の
04 根無ければ華果を成ぜざるが如し、 時機未だ熟せずんば権に小の名を立つ汝等の行ずる所是れ菩薩の道、 始めて
05 記を得て方に大人と名くるに非ず」 釈籤の一に云く「法譬二周得益の徒は 往日結縁の輩に非ること莫し」云云。
06     ┌五百塵点久遠を以て元始と為す寿量品の意なり
07     ├五百塵点霊山の中間
08   第三に師弟の遠近・不遠近の相
09     ├種熟脱を論ず
10     └種は久遠・熟は過去・脱は近く世世番番の成道今日の法華なり
11   玄義の一に云く「又衆経に咸く云く道樹に師の実智始めて満じ道樹を起て始めて権智を施す今の経は師の権実・
12 道樹の前に在て久久に已に満すと明かす、 諸経に明かす二乗の弟子は実智に入ることを得ず 亦権智を施すこと能
13 わず、今の経に明かす弟子の入実は甚だ久し、 亦先より解して権を行ず、 又衆経は尚道樹の前の師と弟子との近
14 近の権実を論ぜず況や復た遠遠をや、 今の経は道樹の前の権実長遠なることを明かす 補処世界を数うるに知らず
15 況や其の塵数をや」 経に云く「昔未だ曾て説ざる所今皆当に聞くことを得べし 慇懃に称讃すること良に所以有る
16 なり、 当に知るべし此の経は諸教に異ることを」釈籤の一に云く 「二乗猶小果に住す故に不入と云う豈に能く他
17 を化せんや、故に権を施さず、 次に今経を明かす満願等の如き・先に已に実に入る説法・第一なり、故に先より解
18 して 権を行ずることを」弘の七に云く 「過去に種を下すは現在に 重ねて聞いて成熟の益を得、 未だ曾て種を
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01 下さざるは現在に種を成じ 未来に方に益す故に三世の益皆法輪に因る」 と薬草喩品に云く「汝等が所行は是れ菩
02 薩の道なり漸漸に修学して悉く当に成仏すべし」云云、記の一に云く「一時・一説・一念の中・三世・九世・種熟脱
03 の三あり」弟子品に云く「諸の比丘諦かに聴け仏子所行の道善く方便を学ぶが故に 思議することを得可からず衆の
04 小法を楽つて而して大智を畏るることを知る、 是の故に諸の菩薩・声聞・縁覚と作る無数の方便を以て諸の衆生の
05 類を化す」云云、 又云く「内に菩薩の行を秘し外に是れ声聞なることを現す少欲にして生死を厭えども実には自ら
06 仏土を浄む、 衆に三毒有ることを示し又邪見の相を現ず我が弟子 是くの如く方便して衆生を度す」云云、方便品
07 に云く「大乗に入る為れ本なり」云云、分別功徳品に云く「願わくば我未来に於て長寿を以て衆生を度せん」云云、
08 玄義の七に云く「但本極の法身・微妙深遠なり仏若し説かずんば 弥勒尚暗し何に況や下地をや何に況や凡夫をや」
09  云云、 伝教大師の秀句の下に云く「浅は易し深は難し釈迦の所判なり浅を去つて深に就くは丈夫の心なり天台大
10 師は釈迦に信順して法華宗を助けて震旦に敷揚し 叡山の一家は天台に相承して法華宗を助けて 日本に弘通す」云
11 云、 又云く「謹みて法華経法師品の偈を案ずるに云く 薬王今汝に告ぐ我か所説の諸経而も此の経の中に於て法華
12 最も第一なり已上経文当に知るべし斯の法華経は諸経の中の最為第一なり」と、釈迦世尊宗を立つるの言は法華を極
13 と為す金口の校量なり深く信受す可きか。
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一代五時継図
01   大論に云く百巻・竜樹菩薩の造・如来滅後七百年出世の人なり十九出家・三十成道・八十涅槃
02   涅槃経に云く八十入滅 阿含経亦此の説有り云云、
03      ┌兼 説処は中天竺・寂滅道場菩提樹下
04      ├権大乗
05      │   ┌別教┐ ┌六十巻 旧訳・仏陀跋多羅三蔵の訳
06      ├三七日┤  ├─├八十巻 新訳・実叉難陀三蔵の訳
07   華厳教┤   └円教┘ └四十巻
08      ├乳味
09      ├結経は梵網経
10      ├  ┌他受用報身如来───旧訳の説
11      └教主┼毘盧遮那如来────新訳の説
12         └所居の土は仮立・実報土又は蓮華蔵世界と云う
13              愚法・二乗教
14           ┌ 一に小乗教 一切の小乗経を摂す
15           ├ 空
01            ├ 二に大乗始教 方等部の経を摂す    0659top
02   華厳宗五教を立つ┤  不空
03           ├ 三に大乗終教 般若涅槃経を摂す
04           │  三乗の中の絶言の理を説く
05           ├ 四に頓教 一切経中の頓悟成仏の旨を摂す
06           │  別教一乗
07           └ 五に円教 華厳・法華を摂す
08        ┌馬鳴菩薩──起信論を造る
09     ┌天竺┼竜樹菩薩──十住毘婆沙論を造る
10     │  └天親菩薩──十地論を造る
11     │  ┌杜順和尚──終南山の住・文殊の化身云云
12     │  ├智儼法師──至相寺の住
13     ├唐土┼法蔵大師──京兆・凉山大華寺の住 又賢首大師と云い 又康蔵大師と云う
14   祖師┤   └澄観法師──清涼山大華寺の住又清涼国師と云う
15     │  ┌審祥大和尚─大安寺の住新羅国の人日本最初伝
16     │  ├慈訓小僧都
17     │  ├明哲律師
18     └日本┼良弁僧正 東大寺の本願
01         ├等定大僧都    0660top
02        └道雄僧都 海印寺の住
03      ┌一向小乗 波羅奈国・鹿野薗    ┌一に増一阿含 人天の因果を明す
04      ├十二年説             ├二に中阿含  真寂の深義を明す
05   阿含経┼酪味           四阿含経┼三に雑阿含  諸の禅定を明す
06      ├但三蔵教             └四に長阿含  諸の外道を破す
07      └結経は遺教経
08      ┌有部顕宗六百頌       ┌天竺の人なり
09   倶舎宗┼倶舎論三十巻・三乗法を明かす┼世親菩薩の造・如来滅後九百年の人なり
10      │              └新訳
11      └経部密宗十万頌・天親菩薩の造・天竺には婆薮畔豆と云うなり
12              └旧訳
13        ┌玄弉三蔵
14        ├光法師
15        ├宝法師
16     ┌唐土┼神泰
17     │  ├円暉
01     │  ├恵暉    0661top
02   祖師┤  └道麟
03     │  ┌善報
04     └日本┴伝灯満位の勝貴延暦廿五年法相宗に付す・私に云く余抄に云う延暦十三年官付云云
05      ┌訶梨跋摩三蔵・天竺の人此に師子鎧と云う
06   成実宗┼成実論十六巻二十七賢聖の位を明す二百二品
07      └如来滅後九百年
08        ┌羅什三蔵
09     ┌唐土┼僧叡
10   祖師┤  └智蔵・開善寺の僧
11     └日本─伝灯満位の賢融 延暦二十五年三論宗東大寺僧に付す余抄に云く延暦十三年云云
12   律宗─如来成道五年の後律を説く・僧祇律之を説く、或は十二年の後・須提によつて戒律を制す四分律之を説く
13         ┌一 曇無徳部
14         ├二 薩婆多部
15   五部を明かす┼三 弥沙塞部
16         ├四 婆麁富羅部
17         └五 迦葉遺部
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01   五篇七聚を立つ      ┌一には波羅夷
02    │   └───────┼二には僧残
03    ├一には波羅夷篇    ├三には偸蘭遮
04    ├二には僧伽婆尸沙篇  ├四には波逸提
05    ├三には波逸提篇    ├五には波羅提提舎尼
06    ├四には波羅提提舎尼篇 ├六には突吉羅
07    └五には突吉羅篇    └七には悪説
08        ┌毱多三蔵
09     ┌天竺┴仏滅後三百年
10   祖師┼  ┌道宣律師
11     ├唐土┴弟子鑒真和尚
12     └日本─鑒真和尚は唐土の人なり、東大寺戒壇院を立てし人なり。
13      ┌蔵通別円──十六年説時不定
14      ├対
15   方等部┼権大乗
16      ├生蘇味
17      └結経は瓔珞経
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01                   ┌解深密経
02    又有相宗と云う      ┌─┼瑜伽論百巻・弥勒説・無著筆
03   法相宗─────── ─ ─┤ └唯識論
04    惣じては一切経に依り別し│        ┌有初 又有相教とも云う
05    ては六経・十一部に依る └三時教を立つ空昔┼又無相教とも云う
06                         └中今又中道教とも云う
07        ┌弥勒菩薩──如来滅後九百年に出づ
08        ├無著菩薩
09     ┌天竺┼世親菩薩
10     │  ├護法菩薩
11     │  └戒賢論師──摩訶陀国の大那爛陀寺の人
12   祖師┤              ┌昉法師
13     │              ├尚法師
14     │  ┌玄弉三蔵──弟子四人─┼光法師
15     ├唐土┼慈恩大師       └基法師
16     │  └智周法師
17     │  ┌智鳳
18     │  ├義淵
01     │  ├空晴    0664top
02     └日本┼ 真喜
03        ├善議
04        └勤操
05      ┌観経  一巻── 畺宋の代
06      ├雙観経 二巻── 康僧鎧の訳 魏の代
07   浄土宗┼阿弥陀経一巻── 鳩摩羅什の訳 後秦代
08      └浄土論 一巻── 天親菩薩の造 菩提流支三蔵の訳・天竺の人なり
09     ┌天竺──菩提流支三蔵
10     │  ├─曇鸞法師 難行・易行を立てて一切の経論を摂するなり
11     │  ├─道綽禅師 聖道浄土の二門を立てて一切の経論を摂するなり
12   祖師┤唐土┼─善導和尚 正雑の二行を立てて一切の経論を摂するなり
13     │  ├─懐感禅師 群疑論を造つて一代の聖教を判ずるなり
14     │  └─小康法師  
15     │   已上、五人唐土の人なり
16     └日本──法然上人 選択集一巻 捨閉閣抛入開入皈
17   禅宗┬如来禅──楞伽経・金剛般若経等に依る、又は教禅とも云う
18     └祖師禅──教外別伝不立文字云云
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01     ┌西天の二十八祖   別紙に之有り
02     │    ┌菩提達磨禅師──天竺の人なり
03   祖師┤    ├恵可禅師
04     │    ├僧璨
05     └東土六祖┼道信
06          ├弘忍
07          └恵能
08   真言宗┬─胎蔵界── 七百余尊
09      └─金剛界── 五百余尊
10   大日経六巻 卅一品善無畏三蔵の訳開元四年 中天竺の人なり
11    供養法の巻を加えて七巻なり、一巻五品
12   金剛頂経三巻一品金剛智三蔵の訳開元八年 南天竺の人なり
13   蘇悉地経三巻 卅四品善無畏三蔵の訳
14   菩提心論一巻七丁竜猛菩薩の造・不空の訳・或は不空の造
15        ┌大日如来
16        ├金剛薩埵
17     ┌天竺┼竜猛菩薩
18     │  └竜智
19     │   已上天竺の人なり
01     │  ┌善無畏三蔵    0666top
02     │  ├金剛智
03     ├唐土┼不空
04   祖師┤  └恵果
05     │  ┌弘法 又空海と云う
06     │  ├真雅
07     │  ├源仁
08     │  ├聖宝
09     │  ├淳祐
10     └日本┼元杲
11        ├仁海
12        ├成尊
13        ├義範
14        └範俊
15             ┌一に爼多覧蔵乳味経蔵阿難の結集
16             ├二に毘那耶蔵酪味律蔵優婆利
17         ┌五 蔵┼三に阿毘達磨蔵生蘇味論蔵迦旃延
18         │   ├四に般若波羅蜜多蔵熟蘇味文殊華厳・方等・般若・法華・涅槃等を摂するな
01         │   └五に陀羅尼蔵醍醐味金剛蔵大日経・金剛頂経・蘇悉地経を摂す  0667top
02   弘法大師義立┤               ┌一異生羝羊住心凡夫悪人
03         │               ├二愚童持斎住心凡夫善人
04         └十住心────────────┼三嬰童無畏住心外道
05       ┌理趣般若経一巻惣じて八部の般若有り├四唯蘊無我住心声聞
06      ┌┼大品般若四十巻 羅什三蔵の訳旧訳 ├五抜業因種住心縁覚
07      │└大般若経六百巻 玄弉三蔵の訳新訳 ├六他縁大乗住心法相宗
08       │┌通別円              ├七覚心不生住心三論宗
09      │├帯                ├八如実一道住心法華宗
10       │├権大乗              ├九極無自性住心華厳宗
11      │├十四年の説或は三十年の説     └十秘密荘厳住心真言宗
12   般若部┴┼熟蘇味
13       └結経は仁王経
14      ┌百  論二巻 提婆菩薩の造
15   三論宗┼中  論四巻 竜樹菩薩の造
16      └十二門論一巻 竜樹菩薩の造
0668top
01     大論を加えて四論宗とも云う。
02 二蔵┬一に声聞蔵          ┌一に根本法輪
03   └二に菩薩蔵      三転法輪┼二に枝末法輪
04                   └三に摂末帰本法輪
05        ┌文殊
06        ├馬鳴
07        ├竜樹
08     ┌天竺┼提婆
09     │  ├竜智
10     │  ├清弁
11     │  └智光
12   祖師┼  ┌羅什
13     ├唐土┼道朗
14     │  └法朗
15     │  ┌吉蔵 亦嘉祥大師と云う嘉祥寺の僧なり
16     │  ├観勒僧正 百済国の人なり
17     │  ├恵潅 高麗国の人なり
18     └日本┼善議
19        └勤操
0669top
01       ┌妙法蓮華経 羅什三蔵の訳
02       ├正法華経  法護三蔵の訳
03      ┌┼添品法華経 闍那笈多の訳
04      │└薩吽分陀梨法華   新訳
05      │┌八箇年の説
06      │├実大乗
07   法華経┼┼醍醐味
08      │├純円の説
09      │└結経は普賢経 曇無蜜多の訳 宋代
10      │┌法華宗┐
11      │├仏立宗┼四教五時を立てて一代教を摂す
12      └┼天台宗┤ │  │ 
13       └依憑宗┘ │  │
14           │ └───────────────┬華厳 寅時
15   ┌───────┘                 ├阿含 卯時
16   └┬ 一に三蔵経 諸部小乗の実有の所説を摂す     ├方等 辰時
17    │                        ├般若 巳時
18    │                        └法華 午時
01    ├ 二に通教 諸部の如幻即空の旨を摂す    0670top
02    ├ 三に別教 諸部の大乗並びに歴劫行の所説を摂す
03    └ 四に円教 諸部の大乗経の速疾頓成の所説を摂す
04        ┌ 大覚世尊
05     ┌天竺┴ 竜樹菩薩
06   祖師┤  ┌ 天台大師
07     ├唐土┼ 章安大師
08     │  └ 妙楽大師
09     └日本─ 伝教大師
10      ┌ 一日一夜の説
11   涅槃経┼ 醍醐味
12      └ 結経は像法決疑経       ┌ 一北地師
13   涅槃宗の祖師              ├ 二菩提流支師
14     ┌ 一虎丘の岌法師         ├ 三光統法師
15   南三┼ 二愛法師          北七┼ 四護身の法師
16     └ 三法雲法師 光宅寺の僧なり   ├ 五耆闍の法師
17                       ├ 六北地の禅師
18                       └ 七北地の禅師
0671top
01       法華の外は小乗の事
02   寿量品に云く小法を楽う徳薄垢重の者是の人の為に我少きより出家して 阿耨多羅三藐三菩提を得たりと説く云
03 云。
04   文句九に云く始成を説きたもうことは皆小法を楽える者と為すのみ云云。
05   疏記に云く但し近成を楽う者・楽小の者と為すは華厳の頓部・諸味の中の円なり文。
06   天親菩薩の法華論に云く一往三蔵を名けて小乗と為し再往は三教を名けて小乗と為す文。
07   文句の九に云く小を楽う者は小乗の人に非ざるなり、乃ち是近説を楽う者を小と為すのみ文。
08   疏記の九に云く楽小法とは久近を以て相望して小と為す文。
09   秀句の下に云く仏滅度の後の六・七百年の経宗論宗九百年の中の法相の一宗は 歴劫修行を説いて衆生を引摂す
10 是の故に未顕真実なり云云。
11   伝教大師の依憑集に云く新来の真言家は則ち筆受の相承を泯し旧到の華厳家は則ち影響の規模を隠しジン空の三
12 論宗は弾呵の屈耻を忘れて称心の心酔を覆し、著有の法相宗は僕陽の帰依を非して青竜の判経を撥す云云。
13   秀句の下に云く誠に願くは一乗の君子 仏説に依憑して口伝を信ずること莫れ、仰いで誠文を信じて偽会を信ず
14 ること莫れ、 天台所釈の法華宗は諸宗に勝る寧ろ所伝を空うせんや、 又云く謹みて無量義経を案ずるに云く次に
15 方等十二部経.摩訶般若.華厳海空を説いて菩薩の歴劫修行を宣説す已上経文大唐の伝に云く方等十二部経とは法相宗
16 の所依の経なり、 摩訶般若とは三論宗の所依の経なり、 華厳海空とは華厳宗の所依の経なり倶に歴劫修行を説い
17 て未だ大直道を知らず文。
18   妙楽大師の弘決の九に云く法華以前は猶是れ外道の弟子なり文。
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01   伝教大師の守護章の上に云く妙法の外更に一句の経無し文。
02   智証大師授決集の上に云く経に大小無く理に偏円無からん一切人に依らば仏説無用ならん、 若し然らずんば文
03 に拠て伝う可し 己が父は国王に勝ると執すること莫れ、 又他に劣ると謂うこと莫れ、然も家家の尊勝・国国の高
04 貴大小各分斉有り、 土を以て金と為せば家家に之有り金を以て金と為せば有無処を異にす、久成の本・開権の妙・
05 法華独り妙に独り勝る、 強いて抑えて之を喪し仏説を哽塞す如来を咎む合し伝者を非すること莫れ、 又云く国国
06 とは五味、家家とは四教八教なり文。
07   天台の玄義の十に云く若し余経を弘むるには教相を明さざれども 義に於て傷むこと無し、法華を弘むるには教
08 相を明さざれば 文義闕くること有り、 但聖意幽隠にして教法弥弥難し前代の諸師或は名匠に祖承し或は思い袖衿
09 より出ず 阡陌縦横なりと雖も 孰れか是なることを知ること莫し、 然るに義雙び立たず 理両つながら存する無
10 し、若し深く所以有りて復修多羅と合する者は録して之を用ゆ文無く義無きは信受す可からずと。
11   一、開会の事
12   寿量品に云く諸の経方に依つて好き薬草の色香美味皆悉く具足するを求めて擣篵和合す文。
13   文句の九に云く経方とは即ち十二部経なり薬草は即ち教の所詮の八万の法門なり、香美味とは戒定慧なり、 空
14 観は擣くが如く仮観は篵うが如く中観は合するが如し文。
15   大経に云く衆流海に入りて同一鹹味故に海味と云う文。
16   玄の三に云く諸水海に入れば同一鹹味なり、諸智・如実智に入れば本の名字を失すと文。
17   一、是諸経之王と云う事
18   信解品に云く並びに親族・国王・大臣を会す。
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01   文句の六に云く国王とは一切漸頓の諸経なり。
02   疏記の六に云く諸の小王を廃して唯一の王を立つ是の故に法華を王中の王と名く文。
03   一、法華已前の説を権と云う事
04   玄義の三に云く涅槃の聖行品に云く追つて衆経を分別す 故に具に四種の四諦を説くなり、 徳王品に追つて衆
05 経を泯す文。
06   釈籤の三に云く涅槃に追と言うは退なり却つて更に前の諸味を分別す、 泯とは合会なり法華より已前の諸経皆
07 泯す此の意は則ち法華の部に順ずるなり文。
08   弘の三に云く彼の経の四教皆常住を知る故に本意は円に在りと文。
09   玄義の四に云く法華の意を得る者は涅槃に於て次第の五行を用いざるなり文。
10   一、常好坐禅と云う事
11   安楽行品に云く亦師と同ずることを楽わず常に坐禅を好む文。
12   普賢経に云く専ら大乗を誦し三昧に入らず文、 又云く其の大乗経典を読誦するもの有らば諸悪永く滅して仏恵
13 より生ずるなり文。
14   一、天台宗阿弥陀の事
15   弘決の二に云く諸教の讃する所多く弥陀に在り故に西方を以て一准と為す文、私に云く此の釈・文殊説・文殊問
16 の両経に依るなり、常坐三昧の下。
17   止観の二に云く弥陀を唱うるは即ち是れ十方の仏を唱うる功徳と等し但専ら弥陀を以て法門の主と為す、 要を
18 挙げて之を言わば歩歩・声声・念念唯阿弥陀仏に在り文、 私に云く此の釈般舟三昧経に依るなり常行三昧の下・口
0674top
01 説モクの下。
02   又云く意に止観を論ぜば西方阿弥陀仏を念ず此れを去ること 十万億仏刹と文、此の釈般舟三昧経の文に依るな
03 り常行三昧の下。
04   又云く陀羅尼咒を誦し三宝十仏を請じ摩訶祖持陀羅尼を思惟せよ文、 此の釈は方等陀羅尼経に依る半行半坐の
05 三昧の下。
06   又云く三宝・七仏・釈尊・弥陀・三陀羅尼・二菩薩・聖衆を礼せよ、 此の釈は諸経に依る非行非坐三昧の下。
07   玄義の九に云く諸行は傍の実相を以て躰と為し体行倶に麁なり文、 又云く諸経の方法に依る常行等の行は傍を
08 以て体と為す体行倶に麁なり文。
09   已上四十余年の経釈
10   止観の二に云く別に一巻有り法華三昧と名く是れ天台大師の著す所なり、世に流伝して行者之を宗ぶ、 此れ則
11 ち説モクを兼ぬ復別に論ぜざるなり文。
12   法華三昧に云く 道場の中に於て好き高座を敷き法華経一部を安置し亦未だ必ず形像・舎利並に余の経典を安ず
13 ることを須いず唯法華経を置け文。
14   止観の二に云く意の止観とは普賢観に云く専ら大乗を誦して三昧に入らず日夜六時に六根の罪を懺す、 安楽行
15   品に云く諸法に於て行ずる所無く亦不分別を行ぜざれ文。
16   法華経に云く乃至余経の一偈をも受けざれ文。
17   又云く復舎利を安ずることを須いず文。
18   一、天台念仏の事
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01   止観の六に云く見思の惑即ち是れ仏法界なりと覚して法身を破せざるを念仏と名くと文。
02   止観二に云く意止観とは普賢観に云く専ら大乗を誦し 三昧に入らず日夜六時に六根の罪を懺す安楽行品に云く
03 諸法に於て行ずる所無く亦不分別を行ぜざれ。
04   秀句の下に云く能化の竜女・歴劫の行無し所化の衆生も亦歴劫無し文。
05   一、法華成仏の人数の事
06   二の巻舎利弗は華光如来.三の巻迦葉は光明如来.須菩提は名相如来・迦旃延は閻浮那提金光如来・目連は多摩羅
07 跋旃檀香如来・四の巻富楼那は法明如来・陳如等の千二百は普明如来 ・阿難は山海慧自在通王仏・羅喉羅は蹈七宝
08 華如来・五の巻提婆達多は天王如来・摩訶波闍波提比丘尼は一切衆生喜見仏・耶輸陀羅女は具足千万光相如来・娑竭
09 羅竜王の女の八歳の竜女は無照光如来正法華経の説なり提婆品に云く当時の衆会皆竜女を見る忽然の間に変じて男子
10 と成て菩薩の行を具して即ち南方無垢世界に往き宝蓮華に坐して等正覚を成じ三十二相・八十種好普ねく十方一切衆
11 生の為に妙法を演説す文。
12   又云く爾の時に娑婆世界の菩薩.声聞・天竜・八部.人と非人と皆遥かに彼の竜女の成仏して普ねく時の会の人天
13 の為に法を説くを見て心大いに歓喜して遥かに敬礼す文。
14   一、四十余年の諸の経論に女人を嫌う事
15   華厳経に云く女人は地獄の使なり能く仏の種子を断つ外面は菩薩に似て内心は夜叉の如しと文。
16   又云く一び女人を見れば能く眼の功徳を失う縦い大蛇を見ると雖も女人を見る可からずと文。
17   銀色女経に云く三世の諸仏の眼は大地に堕落すとも法界の諸の女人は永く成仏の期無らんと文。
18   華厳経に云く女人を見れば眼大地に堕落す何に況や犯すこと一度せば三悪道に堕つ文。
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01   十二仏名経に云く仮使法界に遍する大悲の諸菩薩も彼の女人の極業の障を降伏すること能わず文。
02   大論に云く女人を見ること一度なるすら永く輪廻の業を結ぶ、 何に況や犯すこと一度せば定んで無間獄に堕す
03 と文。
04   往生礼讃に云く女人と及び根欠と二乗種とは生ぜず文。
05   大論に云く女人は悪の根本なり一たび犯せば五百生彼の所生の処・六趣の中に輪廻すと文。
06   華厳経に云く女人は大魔王能く一切の人を食す現在には纒縛と作り後生は怨敵と為る文。
07   一、真言を用いざる事
08   伝教大師の依憑集の序に云く新来の真言家は則ち筆受の相承を泯す文。
09   安然の教時義の第二に云く 問う天台宗の遣唐の決義に云く此の大盧遮那経は天台五時の中に於て第三時方等部
10 の摂なり 彼の経の中に四乗を説くを以ての故に云云、 此の義云何ん答う彼の決義に云く伝え聞く疏二十巻有り但
11 未だ披見せず云云、 此は是れ未だ経意を知らざる誤判なり、 何なれば天台第三時の方等教は四教相対して大を以
12 て小を斥い円を以て偏を弾ず、 今大日経は応供正遍知衆生の楽に随つて 四乗の法及び八部法を説きたもう是は一
13 切智智一味云云、若し爾らば法華と同じと謂う可し何に方等弾斥の教に摂するや文。
14   広修維ケンの唐決に云く問う大毘盧遮那一部七巻.薄伽梵.如来加持広大金剛法界宮に住して一切の持金剛者の為
15 に之を演説す、 大唐の中天竺国の三蔵・輸婆迦羅・唐には言う善無畏と訳す、今疑う如来の所説始め華厳より終り
16 涅槃に至るまで 五時四教の為に統摂せざる所無し、 今此の毘盧遮那経を以て何の部何の時何の教にか之を摂せん
17 又法華の前説とや為さん 当に法華の後説とや為さん此の義云何、 答う謹みて経文を尋ぬるに方等部に属す声聞縁
18 覚に被らしむるが故に不空羂索.大宝積・大集.大方等・金光明・維摩・楞伽.思益等の経と同味なり、四教.四仏・四
0677top
01 土を具す 今毘盧遮那経法界宮に於て説くことを顕す、 乃ち是れ法身寂光土なり勝に従つて名を受くるなり前後詳
02 明す可し云云。
03   一、法華と諸経との勝劣の事
04        ┌本門第一 已今当第一なり薬王今汝に告ぐ諸経の中に於て最も其の上に在り又云く我が所説の諸経
                                     此の経の中に於て法華最第一なり云云
05   法華経第一┴迹門第二
06   涅槃経第二 是経出世
07   無量義経第三 次に方等十二部経を説く
08   華厳経第四
09   般若経第五
10   蘇悉地経第六 第一に云く三部の中に於て此の経を王と為す、中巻に云く猶成就せざれば或は復大般若経を転読
                                         すること七遍或は一百遍せよ
11   大日経第七 三国に未だ弘通せざる法門なり
12   一、鎮護国家の三部の事
13   ┌法華経┐┌不空三蔵大暦に法華寺に之を置く
14   ├密厳経┼┼唐の大暦二年に護摩寺を改めて法華寺を立て中央に法華経
15   └仁王経┘└脇士に両部の大日なり
16   ┌法華経┐┌人王三十四代推古天王の御宇聖徳太子
17   ├浄名経┼┼四天王寺に之を置く摂津国難波郡
18   └勝鬘経┘└仏法最初の寺なり
0678top
01   ┌法 華 経┐┌人王五十代桓武天皇の御宇伝教大師
02   ├金光明経┼┼比叡山延暦寺止観院に之を置かる
03   └仁 王 経┘└年分得度者二人┬ 一人は遮那業
04                 └ 一人は止観業
05   ┌大 日 経┐┌五十四代仁明天王の御宇
06   ├金剛頂経┼┼慈覚大師・比叡山東塔の西惣持院に之を置かる
07   └蘇悉地経┘└御本尊は大日如来・金蘇二疏十四巻之を安置せらる
08   一、悲華経の五百の大願等の事並びに示現等
09   第一百十三願に云く我来世穢悪土の中に於て当に作仏することを得べし 則ち十方浄土の擯出の衆生を集めて我
10 当に之を度すべしと文。
11   第一百十四願に云く我無始より来かた積集せる諸の大善根一分我が身に留めず悉く衆生に施さんと文。
12    第一百十五願に云く十法界の諸の衆生無始より来かた造作する所の極重五無間等の諸罪合して我が一人の罪と
13 為す大地獄等に入つて大悲代つて苦を受けんと文。
14   悲華経に云く我が滅度の後末法の中に於て大明神と現じて広く衆生を度せんと文。
15   涅槃経の二に云く爾の時に如来・棺の中より手を出して 阿難を招き密かに言く汝悲泣すること勿れ我還つて復
16 閻浮に生じて大明神と現じて広く衆生を度せんと文。
17   又云く汝等悲泣すること莫れ遂に瞻部州に到つて衆生を度せんが為の故に大明神と示現せんと文。
18   悲華経に云く第五百願に我来世穢悪土の中に於て大明神と現じて当に衆生を度すべし文。
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01   大隅正八幡の石の銘に云く昔霊鷲山に在つて妙法華経を説く衆生を度せんが為の故に大菩薩と示現すと文。
02   行教和尚の夢の記に云く阿弥陀三尊
03   延暦二十三年甲申春、伝教大師渡海の願を遂げんが為に筑前宇佐の神宮寺に向つて自ら法華経を講ず、 即ち託
04 宣して云く我此の法音を聞かずして久しく 歳年を歴たり幸に和尚に値遇して 正教を聞くことを得て至誠に随喜す
05 何ぞ徳を謝するに足らん苟くも 我が所持の法衣有り 即ち託宣の主・斎殿を開いて手に紫の袈裟一を捧げて和尚に
06 上る、 大悲力の故に幸に納受を垂れたまえ、 是の時禰宜祝等各各之を随喜す 元来此くの如きの奇事見ず聞かざ
07 るかなと、彼の施す所の法衣は山王院に在り文。
08   元慶元年丁酉十一月十三日権大宮司藤原実元女七歳にして託宣して云く 我日本国を持ちて大明神と示現す本躰
09 は是れ釈迦如来なり。
10   延喜二年四月二日二歳計りの小児に託宣して云く 我無量劫自り以来度し難き衆生を教化す未度の衆生の為に此
11 の中に在つて大菩薩と示現すと文。
12   一、北野の天神法華経に帰して真言等を用いざる事
13   天神の託宣に云く吾円宗の法門に於て 未だ心に飽かず仍つて遠忌追善に当て須く密壇を改めて法華八講を修す
14 べきなり、 所以に曼陀羅供を改めて法華八講を始め 吉祥院の八講と号す是なり、 彼の院は北野天神の御旧跡な
15 り。
16   一、賀茂大明神法華を信ずる事 一条院の御時年代記に之有り
17   恵心の僧都加茂社に七箇日参篭して出離生死の道は何れの経にか付く可きと祈誠有れば、 示現して云く釈迦の
18 説教は一乗に留り諸仏の成道は妙法に在り菩薩の六度は蓮華に在り二乗の作仏は此の経に在り文。
0680top
01   伝教大師加茂大明神に参詣して法華経を講ず甲冑をぬいで自ら布施し給い畢んぬ。
02   文句の十に云く得聞是経不老不死とは此れ須らく観解すべし不老は是れ楽・不死は是れ常・此の経を聞いて常楽
03 の解を得文。
04   涅槃経の十三に云く 是の諸の大乗方等経典は復無量の功徳を成就すと雖も是の経に比せんと欲す喩と為ること
05 を得ず 百倍千倍百千万億倍乃至算数譬喩も及ぶこと能わざる所なり、 善男子譬えば牛より乳を出し乳より酪を出
06 し酪より生蘇を出し 生蘇より熟蘇を出し熟蘇より醍醐を出し醍醐最上なり、 若し服すること有る者は衆病皆除く
07 所有の諸薬悉く其の中に入るが如し、 善男子・仏も亦是くの如し仏より十二部経を出生し 十二部経より修多羅を
08 出し修多羅より方等経を出し 方等より般若波羅蜜を出し般若波羅蜜より大涅槃を出す猶醍醐の如し、 醍醐と言う
09 は仏性を喩う仏性とは即ち是れ如来なり文。
10   一、金剛峯寺建立修業縁記に云く、 吾入定の間知足天に往いて慈尊御前に参仕すること 五十六億七千余歳の
11 後・慈尊下生の時必ず随従して吾が旧跡を見る可し此の峯等閑にすること勿れと文。
12   一、弘決に云く若し衆生・生死を出でず仏乗を慕わずと知らば魔・是の人に於て猶親想を生ずと文。
13   五百問論に云く大千界塵数の仏を殺すは其の罪尚軽し、 此の経を毀謗すれば罪彼より多し永く地獄に入つて出
14 期有ること無からん、読誦の者を毀呰する亦復是くの如し文。
15   一、広宣流布す可き法華の事
16   伝教大師の守護章に云く正像稍過ぎ已つて 末法太だ近きに有り法華一乗の機今正しく是れ其の時なり何を以て
17 知ることを得ん安楽行品に云く末世法滅時と文。
18   秀句の下に云く代を語れば則ち像の終り末の初め地を尋ぬれば唐の東・羯の西人を原ぬれば則ち五濁の生・闘諍
0681top
01 の時なり、経に云く如来の現在すら猶怨嫉多し況や滅度の後をや、此の言良に所以有るなり文。
02   道暹和尚の輔正記に云く法華の教興れば権教即ち廃す日出れば星隠れ功なるを見て拙を知る文。
03   法華経の安楽行品に云く一切世間怨多くして信じ難し文。
04   薬王品に云く我滅度の後・後の五百歳の中・閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん文。
05   勧発品に云く我今神通力を以ての故に是の経を守護して 如来滅後閻浮提の内に於て広く流布せしめて断絶せざ
06 らしめんと文。
07   文句の一に云く但当時大利益を獲るのみに非ず後五百歳遠く妙道に沾わんと文。
08   一乗要決に云く日本一州・円機純一・朝野遠近同く一乗に帰し緇素貴賎悉く成仏を期す、安然の広釈に云く彼の
09 天竺国には外道有つて仏道を信ぜず 亦小乗有つて大乗を許さず、 其の大唐国には道法有つて仏法を許さず亦小乗
10 有つて大乗を許さず、 我が日本国には皆大乗を信じて一人として成仏を願わざること有ること無し、 瑜伽論に云
11 く東方に小国有つて唯大乗の機のみ有り豈我が国に非ずや文。
12   一、不謗人法の事
13   安楽行品に云く人及び経典の過を説くことを楽わざれ亦諸余の法師を軽慢せざれ文。
14   止観の十に云く夫れ仏説に両説あり一に摂・二に折・安楽行の長短を称ぜざるが如き是れ摂の義なり、大経の刀
15 杖を執持し乃至首を斬る是れ折の義なり、与奪途を殊にすと雖も倶に利益せしむ文。
16   弘決の十に云く夫れ仏法両説等は大経の執持刀杖等は第三に云く善男子・正法を護持する者・五戒を受けず・威
17 儀を修せず乃至下の文は仙預国王等の文なり文。
18   文句の八に云く大経には偏に折伏を論じ一子地に住す何ぞ曾て摂受無からん、 此の経には偏に摂受を明せども
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01 頭七分に破る折伏無きに非ず、各各一端を挙げて時に適うのみ文。
02   顕戒論の中に云く論じて曰く 持品の上位は四行を用いず安楽の下位は必ず四行を修す摩訶薩の言定んで上下に
03 通ずと文。
04   文句の八に云く持品は八万の大士忍力成ずる者此の土に弘経す新得記の者は他土に弘経す安楽行の一品文。
05   疏記の八に云く持品は即ち是れ悪世の方軌安楽行は即ち是れ始行の方軌なり故に住忍辱地等と云う、 安楽行品
06 に云く他人及び経典の過を説かざれ、他人の好悪長短を説かざれと文。
07   一、念仏の一切衆生の往生せざる事並びに難行道次に六道輪廻の事
08   善導和尚の玄義分に云く問うて曰く 未審定散の二善出でて何れの文にか在る今既に教備つて虚しからず何れの
09 機か受くることを得る、 答えて曰く解するに二義有り一には謗法と無信八難及び非人と此等は受けざるなり 斯れ
10 乃ち朽林頑石生潤の期有る可からず 此等の衆生は必ず受化の義無し、 斯れを除いて已外は一心に信楽して 求め
11 て往生を願ずれば上み一形を尽し下も十念を収む仏の願力に乗じて皆往かざると云うこと莫し文。
12   往生礼讃に云く女人と及び根欠と二乗種とは生ぜずと文。
13   一、八難処の事
14   弘決の四に云く北州と及び三悪に長寿天と並びに世智弁聡と仏前仏後と・諸根不具を加う、 是を八難と為すと
15 文。
16   善導の遺言に云く我・毎日阿弥陀経六十巻・念仏六万返・懈怠無く三衣は身の皮の如く瓶鉢は両眼の如く諸の禁
17 戒を持ち一戒をも犯さず未来の弟子も亦然り、 設い念仏すと雖も戒を持たざる者は往生即ち得難し、 譬えば小舟
18 に大石を載せ大悪風に向つて去るが如し、 設い本願の船有りと雖も破戒の大石重きが故に 岸に就くこと万が一な
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01 り文。
02   観念法門経に云く酒肉五辛誓つて発願して手に捉らざれ口に喫らわざれ 若し此の語に違せば即ち身口倶に悪瘡
03 著かんと願せよ文。
04   法然上人の起請文に云く酒肉五辛を服して念仏を申さば予が門弟に非ずと文。
05   観念法門経に云く戒を持ちて西方弥陀を思念せよと文。
06   無量寿経に云く三心を具する者は必ず彼の国に生ずと文。
07   善導の釈に云く若し一心も少ければ 即ち生ずることを得ずと明らかに知んぬ一少は是れ更に不可なることを、
08 茲に因つて極楽に生ぜんと欲するの人は全く三心を具足す可きなり。
09   月蔵経に云く我が末法の時の中の億億の衆生行を起し行を修すとも 未だ一人も得る者有らず、 当今は末法な
10 り現に是れ五濁悪世なり唯浄土の一門のみ有つて通入す可きの路なり文。
11   遺教経に云く浄戒を持つ者は販売貿易し田宅を安置し 人民奴婢畜生を畜養することを得ざれ一切の種植及び諸
12 の財宝・皆当に遠離すること火坑を避るが如くすべし草木を斬伐し墾土掘地することを得ざれ文。
13   善導和尚の所釈の観念法門経の酒肉五辛を禁ずる事の依経をいわば、 無量寿経一に依り二巻十六観経二に依り
14 一巻四紙の阿弥陀経三に依り一巻般舟三昧四に依り十往生経五に依り一巻浄土三昧経六六に依る一巻
15   雙観経の下に云く無智の人の中にして此の経を説かざれ文。
16   一、観経と法華経との説時各別の事
17   善導和尚の疏の四に云く仏・彼の経を説きたまいし時処別時別・教別対機別・利益別なり又彼の経を説きたもう
18 時は即ち観経・弥陀経等を説き給う時に非ず文。
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01   阿弥陀経に云く況や三悪道無し文、無三悪と説くと雖も修羅・人・天之れ有り。
02   四十八願の第一に云く三悪趣無し設し我れ仏を得んに国に地獄・餓鬼・畜生・有らば正覚を取らじ。
03   第二の願に云く三悪道に更えらず極楽に於て又死す可しと云う設し我れ仏を得るも十方の無量不可思議の諸三悪
                                             道には正覚を取らじ
04 文。
05   第三十五の願に云く聞名転女人往生せざる事設し我仏を得んに十方の無量不可思議の諸仏の世界に其れ女人有て
                                                  我が名号
06 を聞いて歓喜信楽して菩提心を発して女身を厭悪せん寿終の後復女像と為らば正覚を取らじ文。
07   一、黒衣並びに平念珠地獄に堕つ可き事
08   法鼓経に云く黒衣の謗法なる必ず地獄に堕す文。
09   勢至経に云く平形の念珠を以ゆる者は此れは是れ外道の弟子なり 我が弟子に非ず仏子我が遺弟必ず円形の念珠
10 を用ゆ可し次第を超越する者は妄語の罪に因つて必ず地獄に堕せん文。
11   一、天台の念仏の事
12       ┌ 一 大意                       本尊は阿弥陀
13       ├ 二 釈名      ┌ 一 発大心      ┌一常坐三昧 ──文殊説経・文殊問経に依る
14       ├ 三 躰相      ├ 二 修大行      │   本尊は阿弥陀
15       ├ 四 摂法  五 略者┼ 三 感大果      ├二常行三昧 ──般舟三昧経に依る
16  止観十章者┼ 五 偏円      ├ 四 裂大網  四種三味┤   本尊は別有
17       ├ 六 方便      └ 五 帰大処      ├三半行半坐三昧─方等経・法華経に依る
18       ├ 七 正観                   │   本尊は観音
19       │                        └四非行非坐三昧─説経・説善・説悪・説無記
20       │                             右四種三昧の次では先段に之を注す
01        ├ 八 果報     0685top
02       ├ 九 起教
03       └ 十 指帰
04   止観の七に云く 若し四種三昧修習の方便は通じて上に説くが如し、 唯法華懺法のみ別して六時五悔に約して
05 重ねて方便を作す今五悔に就いて其の位相を明す文。
06   弘決の七に云く 四種三昧は通じて二十五法を用いて通の方便と為す、若し法華を行ずるには別して五悔を加う
07 余行に通ぜず文。
08   第七の正修止観とは止の五に云く 前の六重は修多羅に依つて 以て妙解を開き今は妙解に依つて以て正行を立
09 つ文。
10   十疑の第四に云く釈迦大師一代の説法処処の聖教に 唯衆生心を専にして偏に阿弥陀仏を念じて西方極楽世界に
11 生ぜんことを求めよと勧めたまえり文。
12   七疑に云く又聞く西国の伝に云く三りの菩薩有り一を無著と名け二を世親と名け三を獅子覚と名く文。
13   八疑に云く雑集論に云く若し安楽国土に生ぜんと願わば即ち往生を得る等文。 
14   一、天台御臨終の事
15   止観の一に云く安禅として化す位五品に居す文。
16   弘決の一に云く安禅として 化す位五品に居す等とは此れ臨終の行位を出すなり、禅定を出でずして端坐して滅
17 を取る故に安禅として化すと云う文、 又云く法華と観無量寿の二部の経題を唱えしむ文、 又云く香湯を索めて口
18 を漱ぎ竟つて十如・四不生.十法界・四教.三観・四悉.四諦・十二縁を説くに一一の法門.一切の法を摂す、吾今最後
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01 に観を策まし玄を談ず最後善寂なり ○跏趺して三宝の名を唱えて 三昧に入るが如し即ち其の年十一月二十四日未
02 の時・端坐して滅に入りたもう文。
03   又云く大師生存に常に兜率に生ぜん事を願う臨終に乃ち観音来迎すと云う、 当に知るべし物に軌とり機に随い
04 縁に順じて化を設く 一准なる可からざることを文、 又云く汝善根を種うるに嬾くして他の功徳を問う盲の乳を問
05 い蹶きたる者の路を訪うが如し実を告げて何の益かあらん文。
06   選択集の上に云く願くは西方の行者各其の意楽に随い 或は法華を読誦して以て往生の業と為し、 或は華厳を
07 読誦し以て往生の業と為し 或は遮那教主及以び諸尊の法等を受持し読誦して 往生の業と為し或は般若・方等及以
08 び涅槃経等を解説し書写して以て往生の業と為す是れ則ち浄土宗観無量寿経の意なり文。
09   又云く問うて曰く 爾前経の中何ぞ法華を摂するや、 答えて曰く今言う所の摂とは権実偏円等の義を論ずるに
10 非ず、読誦大乗の言は普く前後の大乗諸経に通ず文。
11   観無量寿経に云く爾の時に王舎大城に一りの太子有す阿闍世と名く、 調達悪友の教に随順して父の王の頻婆沙
12 羅を収執して幽閉して七重の室内に置く文。
13   法華経の序品に云く韋提希の子阿闍世王・若干百千の眷属と倶なり文。
14   恵心の往生要集の上に云く夫れ往生極楽の教行は濁世末代の目足なり道俗・貴賎誰か帰せざらん、 但顕密の教
15 法其の文一に非ず 事理の業因其の行惟れ多し 利智精進の人は未だ難と為さず、 予が如き頑魯の者・豈敢てせん
16 や、是の故に念仏の一門に依つて聊か経論の要文を集め之を披らき之を修するに覚り易く行じ易し文。
17   恵心往生要集を破し二十三年已後に一乗要決を作る、 一乗要決の上に云く諸乗の権実は古来の諍なり 倶に経
18 論に拠つて互に是非を執す、 余寛弘丙午の歳冬十月・病中に歎じて曰く 仏法に遇うと雖も未だ仏意を了せず若し
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01   終に手を空うせば後悔何ぞ追ばん、爰に経論の文義賢哲の章疏或は人をして尋ねしめ或は自ら思択す、全く自宗
02 他宗の偏党を捨てて専ら権智・実智の深奥を探るに 遂に一乗は真実の理・五乗は方便の説なることを得る者なり、
03 既に今生の蒙を開く何ぞ夕死の恨を遺さん文。
04   一、念仏は末代に流布す可き事
05   雙観経の下に云く当来の世に経道滅尽せんに 我慈悲を以て哀愍して特に此の経を留めて止住すること百歳なら
06 ん、其れ衆生有つて斯の経に値う者は意の所願に随つて皆得度す可し文。
07   往生礼讃に云く万年に三宝・滅して此の経住すること百年、 爾の時に聞いて一念もせば皆・当に往生を得べし
08 文。
09   慈恩大師の西方要決に云く末法万年に余経悉く滅して弥陀の一教のみと文。
10   方便品に云く深く虚妄の法に著して堅く受けて捨つ可からず是くの如き人度し難しと文。
11   堅恵菩薩の宝性論に云く過去謗法の障り不了義に執著すと文。
12   方便品に云く若し余仏に遇わば此の法中に於て便ち決了することを得んと文。
13   玄の七に云く南岳師の云く初依を余仏と名く無明未だ破せず之を名けて余と為す、 能く如来秘密の蔵を知つて
14 深く円理を覚す之を名けて仏と為す文。
15   涅槃経疏十一に云く人正法を得るが故に聖人と云うと文。
16   像法決疑経に云く常施菩薩・初成道より乃至涅槃・其の中間に於て如来の一句の法を説くを見ず、然るに諸の衆
17 生は出没・説法度人有りと見ると文。
18   二十五三昧・二十五有の略頌に曰く四州・四悪趣・六欲並びに梵世・四禅・四無色・無想・五那含文。
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01   一、漢土南北の十師天台大師に帰伏する事
02   国清百録の第四に云く千年と復五百と 復実に今日に在り南岳の叡聖天台の明哲昔は三業を住持し今は二尊に紹
03 継す豈止だ甘露を振旦に灑ぐのみならん 亦当に法鼓を天竺に振うべし、 生知妙悟なり魏晋より以来典籍風謡実に
04 連類無し云云、乃至禅衆一百余僧と共に智者大師を請し奉る。天台大師,俗性は陳氏,字は徳安,諱は智顗,頴川の人な
                                     り、後則ち南ケイ州華容県に遷居す。
05   一、伝教大師の一期略記に云く桓武天皇の御宇,延暦廿一年壬午正月十九日伝教大師最澄高尾寺に於て,六宗と諍
           い責め破り畢ぬ。仍つて勅宣を下され帰伏の状を召さる、六宗の碩学共に帰伏の状を奉りて云く
06 漢明の年・教・震旦に被り礒島の代に訓本朝に及ぼす、 聖徳の皇子は霊山の聖衆にして衡岳の後身なり経を西隣に
07 請い道を東域に弘む、 智者禅師は亦共に霊山に侍し 迹を台岳に降し同く法華三昧を悟り以て諸仏の妙旨を演ぶる
08 者なり、 竊に天台の玄疏を見れば釈迦一代の教を惣括して 悉く其の趣を顕わし処として通ぜざること無し独り諸
09 宗に逾え殊に一道を示す、 其の中の所説の甚深の妙理・七箇の大寺六宗の学匠昔未だ聞かざる所・曾て未だ見ざる
10 所・三論・法相の久年の諍い渙焉として氷の如く釈け昭然として既に明かなり雲霧を披いて三光を見るが猶し、 聖
11 徳の弘化より以降今に二百余年の間・講ずる所の経論其の数惟れ多し 彼此理を争つて其の疑未だ解けず、 此の最
12 妙の円宗猶未だ闡揚せず、 蓋し以れば 此の間の群生 未だ円味に応ぜざるか、 伏して惟れば 聖朝久しく如来
13 の付嘱を受け深く純円の機を結ぶ 一妙の義理始めて乃ち興顕す、 六宗の学衆初めて至極を悟る、 謂つべし此の
14 界の含霊而今而後悉く妙円の船に載つて早く彼岸に済ることを得と、  如来の成道四十余年の後乃ち法華を説いて
15 悉く三乗の侶をして 共に一乗の車に駕せしむるが猶し、 善議等慶躍の至りに堪えず敢て表を奉つて陳謝以て聞す
16 云云。
17   秀句の下に云く当に知るべし已説の四時の経・今説の無量義経・当説の涅槃経は易信易解なることを随他意の故
18 に、此の法華経は最も為れ難信難解なり随自意の故に、 随自意の説は随他意に勝る、 但し無量義を随他意と云う
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01 は未合の一辺を指す余部の随他意に同じからざるなり文。
02   文句の八に云く已とは大品以上の漸頓の諸説なり今とは同一の座席謂く無量義経なり当とは謂く涅槃なり、 大
03 品等の漸頓は皆方便を帯すれば 信を取ること易しと為す 今無量義は一より無量を生ずれども無量未だ一に還らず
04 是亦信じ易し、 今の法華は法を論ずれば一切の差別融通して一法に帰す 人を論ずれば則ち師弟の本迹倶に皆久遠
05 なり、 二門悉く昔と反すれば信じ難く解し難し、 鋒に当る難事をば法華已に説く涅槃は後に在れば則ち信ず可き
06 こと易し、 秘要の蔵とは隠して説かざるを秘と為し一切を惣括するを要と為す 真如実相の包蘊せるを蔵と為す、
07 不可分布とは法妙にして信じ難し深智には授く可し 無智は罪を益す故に妄りに説く可らず、 昔より已来未だ曾て
08 顕説せずとは三蔵の中に於ては二乗の作仏を説かず、 亦師弟の本迹を明かさず、 方等般若には実相の蔵を説くと
09 雖も亦未だ五乗の作仏を説かず、 亦未だ発迹顕本せず頓漸の諸経皆未だ融会せず故に名けて秘と為す、 此の経に
10 は具に昔秘する所の法を説く 即ち是れ秘密蔵を開するに亦即ち是れ秘密蔵なり、 此くの如きの秘蔵は未だ曾て顕
11 説せず、 如来在世猶多怨嫉といわば四十余年には即ち説くことを得ず 今説かんと欲すと雖も而も五千尋いで即ち
12 座を退く仏世すら尚爾り、何に況や未来をや理化し難きに在り。
13   楞伽経に云く我得道の夜より涅槃の夜に至るまで一字をも説かず文。
14   止観の五に云く是の故に二夜一字を説かずと文、 又云く仏二法に因つて此くの如きの説を作したもう 縁自法
15 と及び本住の法を謂う、 自法とは彼の如来の得る所我も亦之を得文、 又云く文字を離るるとは仮名を離るるなり
16 文。
17   法華に云く但仮の名字を以て衆生を引導したもう文。
18   玄義の五に云く恵能く惑を破し理を顕す・理は惑を破すこと能わず、理若し惑を破せば一切衆生・悉く理性を具
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01 す何が故ぞ破せざる、若し此の恵を得れば則ち能く惑を破す故に智を用つて乗体と為す文。
02   弘の五に云く何の密語に依つて此くの如き説を作したもう、仏の言く二の密語に依る・謂く自証法・及び本住法
03 なり、 然るに一代の施化・豈権智被物の教無からんや、 但此の二に約して未だ曾て説有らざる故に不説と云うの
04 み文。
05   籤の一に云く三に廃迹とは後の如く前の如し文を引く中・初に諸仏の下同を引く・為度の下正しく廃迹を明す、
06 廃し已れば迹無し故に皆実と云う、実は只是れ本・権は只是れ迹・若し同異を弁ぜば広く第七の巻の如し文、 籤の
07 一に云く捨は只だ是れ廃・故に知んぬ開と廃は名異躰同なることを文。
08   止の六に云く和光同塵は結縁の始め八相成道は以て其の終りを論ずと文。
09   弘の六に云く和光の下・身を現ずるを釈するなり 四住の塵に同じ処処に縁を結び浄土の因を作し利物の始めと
10 為す、衆生機熟して八相成道す身を見・法を聞き終に実益に至る文。
11    天照大神の託宣に云く
12   往昔勤修して仏道を成じ求願円満遍照尊・閻浮に在つては王位を護り衆生を度せんが為に天照神。
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三論宗御書
01   三論宗の始めて日本に渡りしは三十四代推古の御宇治す十年壬戌の十月・百済の僧・観勒之を渡す、日本記の太
02 子の伝を見るに異義無し、 但し三十七代との事は流布の始めなり、 天台宗・律宗の渡れる事は天平勝宝六年甲午
03 二月十六日丁未・乃至四月に京に入り 東大寺に入る天台止観等云云、 諸伝之に同じ、 人王第四十六代孝謙天皇
04 の御宇なり聖武は義謬りなり書き直す可きか、 戒壇は以て前に同じ、 大日経の日本に渡れる事は弘法の遺告に云
05 く「件の経王は大日本国高市郡久米道場の東塔の下に在り」云云、 此れ又元政天皇の御宇なり、 法華経の渡り始
06 めし事は人王第三十四代推古の四年なり、太子・恵慈法師に謂つて曰く「法華経の中に此の句・落字」と云云、太子
07 使を漢土に遣わし已前の法華経・此の国に有るか、 惟れ知んぬ欽明の御宇に渡る所の経の中に 法華経有るなり、
08 但し自ら御不審有る大事は所謂日本記に云く 「欽明天皇十三年壬申冬十月十三日辛酉 百済国聖明王始めて金銅釈
09 迦像一躯を献ず」等云云、 善光寺流記に云く 「阿弥陀並びに観音・勢至・欽明天皇の御宇治天下十三年壬申十月
10 十三日辛酉・百済国の明王・件の仏・菩薩・頂戴」と云云、相違欲(已下欠)
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十宗判名の事
01        拙度宗          華厳宗  迷経宗       
02   倶舎宗  半字宗          真言宗  グ范宗     
03        下劣宗          法華宗  仏立宗       
04   成実宗  驢牛和合乳宗                      
05   律 宗  驢乳宗          禅 宗  趙高宗 殺二世王 
06                          梟鳥宗 禽    
07   法相宗  逆路宗          浄土宗  破鏡宗 獣    
08                          不孝宗       
09        背上向下宗                       
10   三論宗  捨本附末宗
0693top
五行御書
01      不殺生戒  肝臓      不飲酒戒          不妄語戒  脾臓
02      眼  根          舌  根          身  根
03      酢  味          苦  味          甘  味
04      東  方          南  方          中  央
05   木  青  色      火   赤  色       土  黄  色
06      青             夏             土  用
07      青  雲          赤  雲          黄  雲
08      魂             神             意   
09      歳  星          ケイ惑星 鎮  星
0694top
01      不偸盗戒  肺臓      不邪淫戒
02      鼻  根 耳  根
03      辛  味          カ ン 味
04      西  方          北  方
05   金  白  色       水  黒  色
06      秋             冬
07      白  雲          黒  雲
08      魄             志
09      大 白 色          辰  星
0695top
浄土九品の事
01     難行易行・聖道浄土・雑行正行・諸行念仏、
02   法然房の料簡は諸行と念仏と相対なり、
03   二義、一には勝劣・一には難易┐
    ┌─────────────┘
04   │    ┌廃立
05   │┌ 一に諸行を廃して念仏に帰せんが為に而も諸行を説くなり
06   ││    ┌助正
07   └┼ 二に念仏を助成せんが為に而も諸行を説くなり
08    │    ┌傍正
09    └ 三に念仏諸行の二門に約して各三品を立てんが為に而も諸行を説くなり
10      若善導に依らば初を以て正と為すのみ
11       ┌読誦大乗  ┌至誠心・深心・廻向発願心なり
12     ┌上品上生┐   三種の心を発して即ち往生す
13     │  仏 復三種の衆生有り往生を得べし┐
14     │六 法 ┌─────────────┘
15     │  僧 └─ 一には慈心にして殺さず諸の戒行を具す
16   上品┤念 戒    二には大乗方等経典を読誦す──┐
17     │  施    三には六念を修行す      │
18     │ ┌────────────────────┘
01     │ │     ┌法然の料簡に云く  0696top
02     │ └───華厳経・方等経・般若経・法華経・涅槃経・大日経・深密経・楞厳経等の一切の大乗経は読誦
03     │     大乗の一句に摂尽す
04     │ ┌解脱一義
05     ├上品中生
06     │ └善く義趣を解し第一義に於て──法然の料簡に云く──華厳の唯心法界 ・法相の唯識 ・三論の八
07     │  不 ・真言の五相成身 ・天台の一念三千 ・皆解第一義の一句に摂尽す
08     └上品下生
09       └法然の料簡──深信の因果に十界の因果を摂尽す
10     ┌中品上生──五戒八戒乃至諸戒を摂尽す
11     │    >四阿含経・倶舎・成実・律宗は此の二品に摂尽す
12   中品┼中品中生──八斎戒
13     │          ┌儒教道教は此の一品に摂尽す
14     └中品下生──孝養父母の行なり仁慈
15                ├外典三千余巻
16     ┌下品上生      └┬老子経
17     │ ├観経       └孝 経
01     │ └此くの如きの愚人多く衆悪を造るも十念せば往生す   0697top
02   下品┼下品中生──或は衆生有て五戒 ・八戒及び具足戒を毀犯す、 此くの如きの愚人は僧祇物を偸み現前僧
03     │      物を盗む不浄に法を説いて懺愧有ること無し
04     │ ┌下品下生は 五逆重罪の者なり而かも能く 逆罪を除滅するは余行に堪えざる所なり、 唯念仏の力
05     │ │のみ能く重罪を滅するに堪る有り、故に極悪最下の人の為に而かも極善最上の説を説く等云云
06     └下品下生──五逆罪の人・十念往生
07              撰択に云く「念仏三昧は重罪すら消滅す 何に況や軽罪をや余行は然らず或は軽を滅し
08              て重を滅せざる有り、或は一を消して二を消せざる有り」等云云
09   捨閉閣抛
10    ├法華経等の一切経
11    ├釈迦仏等の一切諸仏
12    └天台宗等の八宗・九宗の世天等
13   浄土三部経阿弥陀仏よりの外なり
14   安楽集に
15    末だ一人も得る者有らず唯浄土の一門のみ有て通入の路なるべし
16   往生礼讃に云く
17    千中無一十即十生百即百生
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01                 ┌長楽寺南無
02          ┌ 一弟子──隆寛──多念
03          │      ┌故嵯峨法王の御師
04          │ 一弟子──善恵──小阪──道観
05     ┌建仁年中│ 一弟子──聖光 故打宮入道修観
06   ┌後鳥羽院御宇│ 法 連  │        極楽寺殿の御師
07   源空─────┤ 法 本  │ 筑紫
08   └法然房   │      └念阿弥陀仏
09    顕真座主  │    ┌諸行往生
10    八人の碩徳 │ 覚 明┼一  条
11          │    └道 阿 弥
12          │┌─嵯 峨
13          │聖 心
14          │成 覚┐ 
15          └法 本┘
16         ┌頼顕僧上の御師
17         │薗城寺の長吏
18       公胤大弐僧上 浄土決疑集三巻を造て法然房の撰択集を破す、随機の諸行皆往生を為すべし等云云
19         ┌故宝地房法印証真の弟子
20         │上野清井者
01          └定真堅者──断撰択二巻を作る随機諸行往生  0699top
02   品三下 輩下     ┌証真の嫡弟 竹中法師
03    人悪値┘     ┌宗源法印  隆真法院
04          証義者┤┌証義者 大和の荘
05      人善┐    └俊鑁法印 椙生
06   夫凡乗小 │     └三塔の総学頭
07       輩中           三千人の大衆
08   品 三 中 │           五人探題   聖覚
09      小値┘                  貞雲
10                           竜証
11           ┌華 厳 宗
12           ├とがのをの
13          明恵房 摧邪輪三巻を造る随機諸行往生
14   根善        ┌深密経に依る
15   夫凡乗大 大値┐ ┌法相宗──三時教をもて一代を摂尽し返て深密経を以て法華経を下す
16          輩上├三論宗──二蔵三時をもて一代を摂尽し返て妙智経を以て法華を下す
17        三上┘ ├華厳宗──五教をもて一代を摂尽し返て華厳経を以て法華を下す
01        大乗五宗┼真言宗──五蔵をもて一代を摂尽し返て大日経等を以て法華経を下す   0700top
02            └天台宗──四教五時をもて一代を摂尽す
03   県の額を州に打ち牛跡を大海に入る
04               ┌伝教大師此の義を許すや不や
05            夫れ三時の教は勝義の領解・一部の聞は義生の機宜・猶三部を闕く何ぞ一代を摂せん、華厳
06            云く・三論云く・真言等云云

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