午後2時少し前にロビーに降り、入口に最も近い所の長いすに腰掛けていると、色黒で小柄の人の良さそうなおじさんが 「ユー (you) ・・・」 と行って迎えに来てくれました。
おじさんの後についてホテル入口の階段を降りると、そこには米国TV映画コンバット (Combat) に出てきそうな深緑のジープが一台駐車しておりました。
私たちは幌の付いた後部に乗車し、ジープが勢いよく走り出します。
ふと運転席の計器板を見ると、速度計の針がゼロ以下で止まったまで全く動きません。
速度はトゥクトゥクに比べずっと早く飛ばします。
これまで通ったことの無い内陸への道をかなりの速度で突っ走ります。
起伏があって車道の幅が狭く車の多い幹線で、後ろから白人のおじさんの乗ったバイクが後を追ってきます。
私と息子がおじさんの乗ったバイクの方を見ていると、このジープのはき出す薄い白色の廃棄ガスがおじさんの顔にまともに吹き付けています。
おじさんは手で煙たいというジェスチャーを、後部座席の私たちに送ってきます。
私は追い越せというジェスチャーを帰しますが、曲がりくねった道路は狭くて対向車も多く、おじさんは追い抜くことができません。
そのような触れ合いでしたが、私と息子はバイクのおじさんと互いに笑みを交わし、やがて彼は別の道に曲がって行きました。
ジープは40分近く走って、ずいぶんと島の内陸部へ入って行きました。
やがて一見原っぱみたいで山も近いサファリ (safari) に到着しました。
サファリとは狩猟旅行や探検旅行という意味です。
入口でタイ人のおねえさんに暖かく迎えられました。
彼女は早口の英語でサファリの内容を簡単に説明します。
間もなくして私たちのサファリが開始されました。
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最初は象に乗ります。 人間より背の高い一頭の象が、象使いと一緒に、岸辺から結構深さのある小川の中を歩いて来ます。 小川の岸辺にちょうど象の背中の高さぐらいに、木材で作った乗場兼降り場が設けてあります。
私たち三人は子供を真ん中にして、象の背中にくくり付けてある簡単な椅子に、象の背中から首の方へ脚を投げ出すようにして座りました。
視線が高くなり、象が歩くにつれて椅子と体が揺れます。
椅子の前には掴まるようなものではない頼りないロープが一本張ってあるだけで、一番右に座った私は右側の手すりを握りしめます。
写真は私たちが乗った象の背中から、前を行く象の隊列を映したもので、左側に帽子をかぶった象使いの後頭部が見えます。
足をそのまま下に降ろすと、象の首の上にスニーカー (運動靴) を置くことになり、なにか可哀想で足裏に余り体重をかけないようにしておりました。
この先で象は小川から土手を上り始めました。
象が片足を土手の中腹にかけたため、私たちは大きく後ろ側にのけぞり、振り落とされるような感覚を味わいます。
象は大変賢く、もう一方の大きな足を雨でぬかるんだ土手の中腹にかける際に、足先を地盤に軽く二度ほど置き直して確かめてから体重を乗せ、よっこらしょと土手を上りました。
その先は広い原っぱと山の麓になっています。
途中で何度もシャワー(にわか雨)が降り、象使いはその都度私たちの椅子の下から器用に傘を取り出し差し掛けてくれました。
平地の草原をしばらく散歩し、途中で一度象から降ろしてもらい休憩します。
象乗り自体には他のコースもあるようで、ジャングルの入口の山道を象に乗って登っていく別のグループが見に入りました。
私は気づきませんでしたが途中で、半ズボンのポケットに入れていた使い捨てカメラを地面に落下させたようです。
幸いに私たちの後から象に乗って来た年輩の白人のご夫婦が気付かれて拾って頂きました。
そのカメラが紛失していれば、上の写真は存在していません、ありがとうございました。
象乗りに出て気づきましたが、どうやら今日のこの遊びのグループで、日本人は私たちの家族三人だけのようです。
帰りに今度は土手から小川に降りますが、これがまたスリルがありました。
何しろ背中の私たちは前につんのめりそうになるのを、椅子の手すりに捕まって必死に耐えなければならないからです。
とにかく30分強の時間だったでしょうか、断続的なシャワーでスニーカーの中まで濡れましたが、始めて象に乗るという楽しい体験が完了しました。
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象乗りの次は水牛です。
水牛は思ったよりおとなしい家畜で、東南アジアでは今でも耕耘機の代りとして水田で働いているのを見かけることがあります。
写真の水牛の後ろに見えている木の構造物は、この水牛に乗るための乗降口です。
私の妻が水牛に乗りました。
妻によれば、写真のおじさんは水牛と観光客のために、日本の某メーカー製のスプレー式殺虫剤を持っておられたということです。
子供は遠慮しましたが、次に白人のご婦人が乗られてご主人に写真を撮ってもらっていました。
水牛がいた場所のすぐ横に木製の観覧席が設けられており、観光客はそこに集まってきました。
ここでサファリ入口で迎えてくれた案内のおねえさんが登場して説明します。
子供に少し説明しようとしましたが、おねえさんの英語が早口で途中からよく聞き取れませんでした。
まず最初に、種類は分かりませんでしたが猿が登場し、正面に設けてある椰子の木に登り、上部にある椰子の実 (ココナッツ) を片方の手でくるくる回し下に落下させる演技を上手にこなしました。
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その後に、かわいい子象が出演しました。
子象といっても、背の高さは1メートル60センチぐらいあります。
子象が足を上げたりの演技をした後、おねえさんが観客席に向かって、子象にタイ式マッサージをされたい方を募集し、写真は最初の男性がカーペットの上に下向きに横たわり象の前足でマッサージをしてもらっています。
次の白人女性は「私スリムになるわ」と言い残し勇敢に降りて行きました。
写真で子象の足先がいかに大きいかが分かります。
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案内のおねえさんは更に観客席に向かって、「子象と綱引き (tug of war) をしますので、皆さん参加して下さい」と呼びかけます。
観客席にいた私と息子それに男達と一人のご婦人が参加して子象と綱を引きあいますが、私たちにはとてもかなうものではありませんでした。
私は綱引きの後で子象の体に触れてみましたが、先ほど象に乗って気ずいたのと同じく、象の皮膚にはまばらですが毛が生えています。
写真で綱を引いている観光客は、全員がスニーカーや踵を止められるサンダルを履いて半ズボン姿です。 このスタイルがプーケット島だけに限らず、熱帯の東南アジアを訪れる欧米人観光客の現地での標準的な服装です。 対照的に子象のおしりの横に写っている白い帽子を被った案内のおねえさんは、長袖でジーンズの服装です。 写真で地面はシャワーのため濡れています。
次はカヌーに乗るためにジープで川へ移動します。 同じジープに沖縄から来られたという30台前半の白人のご夫婦と同乗します。 ジープは最初の象乗りの場所から20分以上走って草むらに入り、雨でぐちゃぐちゃになった泥道に停車しました。 泥道の先に川が流れ、そのほとりにわりと大きな倉庫風の木造家屋が一軒だけ立っています。 この建物はカヌーと用具の保管場所のようで、木製の船着き場と一体になっています。
先に出発したカヌーが帰って来るまでしばらく時間がありましたが、断続的に激しいシャワーが降り建物内で雨よけをしました。
カヌー (canoe) とは軽量・小形の手漕ぎ舟の総称で、パドル (paddle) という櫂 (かい) で漕ぎます。
オール (oar) とはボートの側面に固定する櫂です。
どうやら私たちのグループは全員で11名のようです。
カヌーに乗る準備として、靴と靴下を脱いで素足になりました。
それから救命胴衣を着け、その上からフード (hood) 付きのかっぱを被ります。
乗り込むのは細長い型の木造カヌーで、縦方向に7〜8人は乗れそうです。
一艘目は明るい男性4人組で、一人づつ縦方向に座ってパドルを漕ぎながら出発しました。
ひょうきんな仕草や冗談で、我々を笑わせながら出発して行きました。
二艘目は沖縄から来られたご夫婦と別の60過ぎのご夫婦の組み合わせで出発し、私たちは三艘目のカヌーでこのグループのしんがりとなります。
私が最初に舳先側に乗り、次に子供と妻が乗り込んで、一番後ろに係員であるタイ人の娘さんが同乗してくれました。
各自に渡されたパドルで漕ぎだしました。
何という名前の川か分かりませんが、およそ10メートルから20メートルぐらいの川幅があります。
降り続く雨のため川幅一杯に水かさが増し、熱帯の常緑広葉樹などの樹木の間をゆったりとした流れを形成しています。
川の水は透明でなくわずかな黄土色の土の色が付いていますが、人為的に汚染された川ではありません。
そのままでも川下にゆっくりと流れて行きますが、私たちのカヌーが一番後の出発ですので、私は余り前に遅れまいと一生懸命パドルを漕ぎました。
20分ぐらいの川下りが終りかけると、やがて川幅が広くなり目の前に大きな湾が出現しました。
湾の中に少し進むと、先に出発した二艘とエンジン付きの大きめの木造船が待っていて、私たちはエンジン付きの船に乗り移ります。
波はほとんどなく、簡単に乗り移ることができました。
全員が乗り移った木造船は、三艘のカヌーを綱で牽引しながら下ってきた川をさか上り、時折強く降る雨の中を最初の乗場へ戻って来ました。 船の乗場から、もう一度ジープに乗って象乗場へと戻ります。 ジープの中で妻と沖縄から来られた奥さんとが、お互いのスニーカーが雨でぐしょぐしょだということを、英語と日本語及びアイコンタクトとジェスチャーで話しておりました。
私たちが参加したのは 「4 in 1 (フォーインワン)」 というサファリですが、象乗り・水牛乗り・猿と子象の演技・カヌーの四つの活動が一つになったサファリということです。
象乗場へ戻って来てサファリは終了です。
私たちは手洗いを済ませた後、サファリ入口の広場で少し時間をつぶすことにしました。
先ほど演技した子象が入口に紐で繋がれていて、妻と子供はバナナを与えておりました。
傍らに土産物を売る小さな売店があります。 中に入るとTシャツとか帽子・キーホルダーなどを売っています。 店内に三人ぐらいの売子の娘さんがいましたが、そのうちの一人が私たちを見て 「♪ 象ーさん、象ーさん、お鼻が長いのね・・・♪」 と日本語で歌い出します。 彼女は一生懸命歌っていたのでしょうが、私たちは何かしら白けたような気分になり、店内を一通り見ただけで外に出ました。
まもなくホテルから乗って来たジープが戻って来ましたので、それに乗車してホテルへと向かいます。 速度計の針は相変わらずゼロ以下で止まったままでした。
ホテルへ戻って私はシャワーを浴び、ぐしょぐしょのスニーカーを乾かします。 夕食どきになって、電気ポットで暑い湯を沸かし、日本から持参した即席お茶漬けを食べます。 梅干と一緒に食べると、これが何とも言えないおいしさで妻と子供は大いに満足しました。
午後8時半頃に夜食を食べるために、1階のプールサイドのレストランへと降ります。
この時間になりますと、モンスーンのせいで半袖シャツではわずかですが肌寒さを感じます。
この前に私が食べたタイ風味のワンタン麺にタイ独特の薬味を加えて頂きました。
さっぱりとした味で、日本人の口にもよく合います。
私たちの食べ終える頃には、他の客はほとんどいなくなっていました。