ガタン。

音を立てて扉が開く。
流石伝統校といったところだろうか。
改装がされていない屋上は松葉寮の中でも立ち入り禁止となっているのに、捻くれた恋人とその悪友は好んで立ち入る。
危ないからと何度注意してもはぐらかされてしまう。
ぼろい扉を抜けると目の前に広がるのは、一面の青。


と見慣れた後頭部。



空を仰ぐように寝転んでいる姿はあまりにもいつも通りで、そしていつも同じく危うさを秘めていた。
笠井は同じように寝そべる。
太陽の光がいたいくらいで、目の前が一瞬真っ赤になる。



こうやっていつも泣いているのか



ふと思った。






「何へタレぶってんですか?」
笠井が屋上に入ってきたのは気づいていた。
帰ってきた時に出迎えてくれたことにも気づいていた。

でも…今は会いたくなかった。
こんな情けない自分を見せたくなかった。


「…。」
黙秘を通していると隣の笠井からため息が零れた。



「…向こう行けよ。」
振り絞るようにいった。
今の自分が出せる精一杯の声で。
けれど笠井は
「嫌です。」
といとも簡単に返してきた。




笠井もまた、強い。
渋沢や藤代のように天性の才能はないけれど、揺るぎない信念を持っている。
それはやはり俺にはないもので。

心が痛い…。
壊れてしまうかもしれない。

だってあまりにも自分は弱くて情けなくて…


空は閉ざされてしまって 光が差し込む隙間なんてなくて






ふと隣の笠井を見ると、何故か頬を涙が伝っていた。
「笠井…?」
なんでお前がなくんだ?
俺が…俺があまりにも弱いから?
今の俺にはお前の涙を拭う力もないのに…。
「泣くなよ…。」
そういっても笠井はなんの反応も示さなくて。
自分が酷く情けなかった。
「ふざけんなよっ!っんでお前が泣くんだよ!?俺の前で泣くな!!違うとこへ行けよ!!!」
八つ当たりのように怒鳴り散らすことしかできない。
それでもやはり笠井は微動だにせずに、ただ涙を流しつづけていた。
そんな光景をみたくなくて、両手で目を塞いだ。


頼むから俺の見えないところにいってくれ。





不意に手をものすごい力で剥がされた。
目の前には太陽の光と、笠井の顔。
笠井の顔は涙に濡れていて、怒りに歪められていた。

それでも何故かすごく綺麗で、
ぼーっと見つめていると額に衝撃がはしった。


…頭突きをされたらしい。



「かっ笠井?」
頭が割れんばかりにずきずきする。
笠井は平気なのだろうか?
安否を問う前にせきたてられる。
「あんたね。何自分で目塞いでるんですか?ふざけないで下さいよ!!誰が目を塞げって言ったんですか!?」
「はっ?俺?」
「そうですよ。あんたなんですよ。何で勝手に自分ひとりだけで決めるんですか!?」
「えっ…だって―」
「だってもそってもすってもへってもないんですよ!!!」
「いや、そこまで…」
「揚げ足取りは止めて下さい!」
「はい。。。」
俺…一応センパイなんだけど。
それでも笠井の涙でぐしゃぐしゃの顔をみたらそんなこといえなくて。

「泣くなよ。」
そういって笠井の目じりを指で拭う。
そうしたらもっと涙の量は増えて…
「…出来るじゃないですか。」
「えっ?」
「涙、拭えるじゃないですか!?」
俺の首筋に顔を埋めて笠井は言った。
そういえば、そうだ。
気が付いたら手がでてた。
「…無意識?」
「そうですよ。あんたの取り柄といったらその本能しかないでしょう!何頭でぐじぐじ考えてるんですか!!」
いや、なんか酷いこと言われている気が…
「何で、全部一人で考えちゃうんですか?ふざけないでください。」
笠井の嗚咽が耳に響く。
まるでお前も泣けよ、といわれているみたいで。


泣けるわけないじゃないか。
心ではそう思っているのに…
目頭が熱くなった。
今度は笑みなんてでてこなかった。
「っ…」
顔を見られるのが嫌で、笠井の頭を押さえ込んだ。

笠井の匂いに今頃安心させられた。





30分程泣いたところで笠井を抑えていた手を離す。
(物心ついてからの)人生初泣きのお陰で頭が痛い。
笠井はというと無理な姿勢をとっていたため腰が痛いと腰をさすっている。
さっきまでは何も言わなかったくせに…。
恨めしそうにこちらを見つめるその瞳も今はものすごく愛しい。



「さんきゅ…な。」

照れを隠すかのようにそっぽ向いていう。
「初めてお礼言われました。」
と笠井は微笑む。
その笑顔がすごく眩しくて温かくて
「俺の太陽は笠井かな。」
なんて思ったりした。
「はっ!?何言ってるんですか!!キモィ…。」
「おっまえな…っ!!!」
「でもそんなところも好きですよ。」
唇はやはり温かくて、やっぱりお日様の匂いがした。





自ら天井を決めるにはあまりに若すぎて、

自分の可能性を一途に信じるには挫折を知りすぎていて。



そんな僕らだからこそ誰かの支えが必要なんだ。






「笠井。」
「はい?」
「都大会頑張ろうな。」
笠井の目がほんの少し大きくなる。
「…。」
「笠井?」
「…当たり前じゃないですか。」



空を見上げると蒼い蒼い青。
太陽はいつでも僕らを照らしていてくれて。
隣には一筋縄ではいかない愛しい恋人がいて。


結構何とかなるんじゃねぇか?


なんて珍しく前向きな気持ちになったりした。





「あっ笠井。お前多分時期キャプテンだぜ。」
「はっ無理に決まってるじゃないですか。」
「限界は自分できめるもんじゃないんだろ?」
「っ!!!このタロ目!!!」





「青春だねぇ。」
「えぇ。青春ですね〜。」
「青春だな。」
屋上の入り口からこっそりと覗いていた一軍メンバーに三上と笠井はまだ気づかない。
「とりあえず、三上はもう大丈夫だな。」
「あれ?キャプテンたくのこと信じるんじゃなかったんすか?」
「いや、一応だな…ごにょごにょ…。」
「ま、終わりよければ全て良しってことでしょ。」
「上手い!中西センパイ!!」
「(どこが上手いんだろう…)」
「ん?何か言った?ネギちゃん。」
「いっいや別に!!!」



とりあえず、愛する恋人と仲間思いのチームメイトに支えられた三上亮は幸せ者なのかもしれない。




「あっこっからはネギちゃんはみちゃ駄目。」
「うわっ何で目隠しするんだよ!!!」
「藤代…俺たちも部屋に戻るぞ(照)」
「えっ…もっと見たいっす!」




命短し恋せよ少年
あかき唇褪せぬ間に!!!
(オチ!?)


END




タロ目…エロ目&タレ目。

え〜。三上センパイ選抜オチの話ですが、今の私にはこれがいっぱいいっぱいです。
また、書きたいです。
とりあえずはこれで!(にっこり)
きっとこれからもっと成長します。
はい。きっと!!!

未成年のテーマに沿ったかしら…(どきどき)