自己愛





「神様っていると思いますか?」


「…………は?」
突然の質問の意味を飲み込むのに十秒。その意図を考えるのに倍かかった。否、いくら考えても答えはでない。
いきなり部屋を訪れたこの少年は何を考えているのか?
出てきたのは何とも間抜けな返事だけだった。
それに腹をたてたのか、笠井は眉を寄せて嫌味のようにゆっくりといいなおす。。
「だから、神様ですよ。神様っていると思いますか?」
いるかいないかといわれれば……
「……いるんじゃね?」
「何処に?!」
思考に思考を重ねてやっとのことで返答しても、間髪入れず質問が重ねられる。
笠井の表情は真剣だ。


――一体今度は何に影響されやがった…



三上は苦虫を潰したような顔をする。
笠井は影響をうけやすい。というよりも1をしって10を考える。それだけならいいのかもしれないが、この愛くるしい後輩の思考回路ははっきりいって三上には理解不能だ。
いきなり突拍子のないことを言い出したときでも、笠井の中にはきちんとした筋がある。
だから今回も何かあるはずだ。と、ここまでは三上も推測出来るが、毎回ここで手詰まりになり笠井の冷たい視線をあびることになる。
毎回そうなっては堪らないと、脳みそをフル回転させる。こういったものは連想ゲームと同じようなものだ。
神様といえば……。
「何処にって……!――」
「まさか天下の司令塔様が神様は空にいましゅ!なんていうんじゃないですよね。」
「……。」
図星をさされ、黙ることしか出来なくなる。天に向かってたてられた人差し指を不自然にしまう三上をみて、笠井はつまらなそうにため息をついた。







「…………俺ん中だよ。」





呆れられているのが悔しくて、咄嗟に閃いたことを口にした。
「……え。」
惚けた顔をする笠井に、追求されてはたまらないと、早口でまくしたてる。
「だから俺ん中!寧ろ俺が神様!神様の存在決めるのは俺!だから神も俺!!これでいいだろっ!」
頼むからこれで納得してくれよと、笠井をじっとみつめる。先程から反応はないが、この表情をしているときは考え込んでいるのだとわかっているので声をかけない。何分か経ったところで笠井はようやく口をきいた。
「……やっぱり三上先輩って俺様ですよね。」
「はぁ?」
「ちょっとだけ見なおしました。」
それは褒めてんのか貶してんのかと突っ込みをいれたかったが、笠井の満足そうな顔をみてやめた。
「敬――」
「ちょっとだけですけどね。」
「……っ。」
ははっと笑って笠井は部屋をでていった。







「何だったんだ、一体……。」
一人残された三上は、誰に対してでもなく呟いた。
「神様は自分の中にいる」この答えから一体何がうまれたというのか、三上には全く見当もつかないが、何となく自分のだした答えが気に入っていたのも事実である。


神は自分の中……


つまり善いことも悪いことも、決めたのは神様ではなく、自分なのだ。
誰の所為にもできない。そう思うと無性に気持ちが楽になった。もしかしたら笠井もそうだったのではないか。
突然の質問の意図は分からないが、それで笠井も自分もいい気分になれたなら意味がある。そう思うことに三上はした。
だって神様は自分だから。自分がいいと思えばそれでいいのだ。
























イブキの弁明。
言い訳ともいう。。。
私も神は自分だと思って生きてます。
宗教的ではなく、気持ち的に。
だって私が認めない限り、神も他人も世界すら存在しないんだから。
041020