0041染谷の十二座神楽

龍神山の中腹に、染谷の佐志能神社が祭られています。毎年419日は、伝統の舞い・染谷十二座神楽が神社に奉納される日です。急傾斜の坂道を、祭りに集う人たちが登っていきます。高台にある佐志能神社の境内では、大勢の善男善女が十二座神楽の始まるのを待ちわびている様子です。舞台となる拝殿には,しめ縄と幕が張られ、でんと置かれた大太鼓と小太鼓が、神楽の始まりを予告しています。黒い烏帽子と白装束に身を包んだ3人の男性が、太鼓の前に立ち、ドーンという音が響くと、風雅な笛の音がそれに加わりました。その囃子に誘われて、拝殿の奥から天狗の面の猿田彦が、槍を持って現れました。

 市指定の有形文化財である十二座神楽は、江戸時代の中期にその起源を持つ里神楽です。一時は、この伝統の舞いも後継者が途絶え、存続を危ぶまれていましたが、昭和56年から復活し、染谷十二座神楽保存会が毎年神楽を披露するようになりました。

 2番目の舞い「長刀使い」が始まりました。長刀を振りかざし、祈るような仕種で四方をはらい清めます。

 続いて矢大臣・剣の舞い・豆まき、6番目には手に鍬を持った夫婦の狐がユーモラスな仕種で踊る「狐の田うない」 です。農作業のこつけいなやりとりを演じる姿は、まさに里神楽らしいのどかな光景です。

 種まきが終わると、次は巫女(みこ)の舞で、二人の可愛い少女が手に鈴と榊を持って優雅に踊ります。神楽の中では、唯一面を使わない場面です。

 鬼のモチまきが始まると、境内は急に騒がしくなりました。カゴいっぱいの紅白のモチがまかれ、皆が楽しそうにそれを拾います。

 みきの舞い・恵比寿の舞い、そして大団円を迎える 「天の岩戸」と続きます。

 連綿と伝えられた素朴な伝統の舞いには、ふるさとの心が息づいています。


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