0047大きな石の仁王像 |
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旧鹿島鉄道「しかむら駅」跡(小美玉市)から北へ800mほど行くと、雑木林におおわれていた空が開け、目の前に谷津田が帯状に広がってきます。田んぼへ向かう坂道の右手に、こんもりとして静かな聖域があります。そこを守るように、入口に2体の大きな石像が立っていました。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の仁王像です。右の阿形は吠えるようにして左手に金剛杵を構え、左手の畔形はぐつとにらみつけて立ちはだかっています。 かつて、ここには安楽寺という広大な敷地を持つ寺があり、地蔵堂と釈迦堂、阿弥陀堂が建ち並んでいました。仁王像のある場所には仁王門が建ち、その奥に阿弥陀堂がありました。仁王門は、江戸時代後期に阿弥陀堂とともに消失し、それ以来2体の仁王像が野に立ちつくしているのです。 仁王像はそれぞれ高さ1・7m、重量3トンで、伊豆石で作られています。小美玉市栗又四箇の沼田家には、これについての興味深い棟札が残っていました。 「元禄五壬申歳九月吉祥 二王江戸運送 施主 高浜村篠目八郎兵衛より上る」 これによれば、仁王像は元禄5年(一六九二) に高浜の大手河岸問屋・篠目八郎兵衛によって搬送寄進されたことになります。合計6トンの石像は、高瀬船で江戸から利根川を経て霞ケ浦を入り運ばれてきたのです。 300年もの間、霞ケ浦流域の様々な盛衰を見つめてきたその姿。そこには、何ものにも動かされない静かで重い悟りが宿っているようです。
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