0088 春の水辺の魚たち |
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水ぬるむ季節、高浜の愛郷橋から霞ケ浦を望むと、恋瀬川の河口に釣り舟が何艘も浮かんでいます。アシ原にいくぶん薄緑のベールがかかり、水面からの風が春の香りを運んできます。 この時期、霞ケ浦の魚たちの多くは、産卵の季節です。その代表格はフナで、田んぼや水路に遡上する様子をノッコミと呼んでいます。湖岸のアシ帯や小川の水草に卵を産み付けに来るとき、フナは大量に簡単に捕れました。 春の小川に同じようにいたのは、タナゴでした。この産卵は、ひと味違っています。イシガイやドブガイなどの二枚貝のエラに産卵し、稚魚はその口から巣立ってきます。固い貝殻に守られるため、かつては小川に群れるほどいました。 しかし、現在は護岸工事などにより水辺の植物が減少し、水質汚濁のため貝類は激減し、フナもタナゴも驚くほど数が減っています。減少した魚は,そのほかにもたくさんいます。 ナマズはきわめて珍しい存在となり、その代わり養殖種の北米産チャネルキャット・フィッシュが増え続けています。通称アメリカナマズと呼ばれ、細長い魚体は二ホンナマズとは趣を異にしています。また、味がよいのでナマズ料理として専門店に卸されています。 最近の傾向として、霞ケ浦水系はアユが増えワカサギが限りなく減少。逆水門によって海に出られなくなったアユが、恋瀬川などの上流で産卵し、湖と川を行き来する陸封型のアユとして、平成4年ごろから増えてきました。一方、霞ケ浦の象徴ともいえるワカサギは、ここ数年で往時とは比較にならないほど減少しました。漁獲量が少ない上、これまでの1割以下の収穫が続き、ワカサギの将来に暗い陰を落としています。その代わりというのも変ですが、ワカサギに姿・味ともに似ている南米産のペヘレイが増えています。フライなどの料理は淡泊で風味があり、おいしい魚として定着しっつあります。しかし、ワカサギに似ているといっても成魚は最大30Cmほどになり、そうなると骨が太く大味だといいます。 変貌する水辺の風景。その影響は魚の世界にも現れているのです。
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