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【書評】
小心者的幸福論 雨宮処凛(あまみや かりん)


 この、雨宮さんの経歴というか、活動内容を知っている人からすると、
「え、この人が小心者とか、信じられない」という台詞が聞こえてきそうだ。
 でも、実際には、小心者で、むりやり(期間限定的にでも)行動的にふるまっているらしい。
そして、こういう話を、行動的に見える人にすると、必ずといっていいほど、「わたしも!」といわれるそうだから、おどろきだ。

 さて、そういうわけで、この本は、気が小さい人が、幸せに生きるにはどうすればいいかという本です。
気が小さくて、心配性で、くよくよ悩むために、なんかうまく生きていけない自分がいる一方で、この世は、無神経なお馬鹿さんが、幅をきかせているように見える・・・いったいどうすれば楽に幸せに生きられるの!?という人のための本。

 この本は、目次がたくさんにわかれていて、そのわかれた章ごとに、筆者の実体験から導き出した考え方というか、わたしはこうやった、みたいなことが述べられている。
 実戦でこういう対処をしてきたよ、という例示といおうか。
 ちょっと変わったレビューのしかただけれども、その目次の内容ごとに、この本を紹介したい。

私が一番「ダメ」だった頃
 ここはプロローグというか、筆者の自己紹介みたいな感じ。
できるだけ好かれないように生きる
 人に好かれようとすると、他人に合わせなくてはならないという考え方が出てくる。
 そうすると、他人に好かれようとするあまり、自分と仲が悪くなる。自分と仲が悪くなるほうが、他人と仲が悪くなるよりもやばい、というのは、すごく共感できた。
 他人から見た「いい子」になろうとするんじゃなくて、自分の良心、信念、したい、やりたい、自分から見た「いい人」になろうとしたほうが、つまり、他人じゃなくて自分を基準にしたほうが、ずっと心の健康にいいし、つらくないと思う。

比較しても意味のない人としかつきあわない
 人と比較するのは、不幸のはじまり。でもどうしてもくらべちゃうという人は、価値感が違う人とつきあうと楽という話。
 そうだよね、ファッションを競い合っていてつかれるなら、ファッションに全然興味ないだれかとつきあうのは楽だ。
 そういう意味でも、価値感の違う人がいる世の中って、生きやすいし楽しいし、ラクだと思う。

社会運動・政治運動などに邁進してみる
 自分が悪いと思うことで、どんどんつらくなってくる。だから、社会が悪いといってくれる人たちに会って、救われる人もいる。

治外法権な存在として生きる
 「ああ、こいつに言っても無駄だわ」、「違いすぎる」、「あいつはちょっと頭がおかしいから…」。
 ここまでいくと、もはや他人に気にされることもなくなるし、余計な干渉も受けない!
 これは盲点だった。こういうことは考えたことがなかった。
 でも、知らず知らずのうちに、ちょっとはみんなも、実践したことがあるのでは? ぼくはある気がする…。

キャラを変え、むりやり行動的になる  期間限定で、環境が変わったときにやると、効果的だそうな。  なるほど、長期休暇の後とかもできそう。期間限定なら、環境が変わらなくてもできるかも!  「月のはじめだけは、活動的なんだ・・・」というキャラづけをしちゃうとか。 「数撃ちゃ当たる」を実践する
 自分のやりたいことで食べるとか、やりたいことができていないとか、そういう場合の対処法、かな?
 とりあえずやってみて、結果がでなけりゃすぐやめる作戦。コツコツにあきたらこれやってみてもいいかも。

  泉ピン子(ドラマ内の)に焦点を合わせて生きる
 あ、この人よりはマシだ、という人を見つけるとラクになる。これは確かにそうですね。
 ちょっと趣味が悪いけど、自分より不幸な人を見るとラクになるというのは、ある。

「死ぬほどいい人」に学び、自らも優しくなる
 この本では、筆者はわりと、自己責任論を信じてたんだけど、社会運動にかかわるほかにも、すっげーいい人たちとふれあうなかで、他人をかえりみない自分が恥ずかしくなった、みたいなことを言っていた。
 ちょっとこの章は、うまくここで伝えられる気がしないので、この章だけでもちょっと読んでみてほしい。
 情けは人のためならず・・・って感じ?
 あと、「『貧困は自己責任ではない』なんていわれると、『自分はこんなにがんばってきたのに!』と実存レベルでの不快感がこみあげてくる」という筆者が、人って信じてもいいんだと思い、他人に自己責任を問うこともなくなり、自分も生きやすくなったという話がある。自分がしんどいと、ラクしてる人に嫉妬するけど、そうしたら自分もますますつらくなる・・・でも、その連鎖を、他人に優しくすることで断ち切ることができるのかな、と思った。でもそれってすごいことだよね。他人に目をむけることで自分のつらさが減るという・・・。

友達より同志を作る
 下手に話をあわせなければならない人間よりも、共通の目的や話題が最初からある人間のほうがつきあいやすい。
 これはそうだな、と思う。たとえば、リンクにある「文芸ジャンキーパラダイス」なんかは、それがすべてではないけれど、JOJOを通したつながり、というのがあって、それは同志的関係だなと思う。

猫に学ぶ
のら猫に学ぶ
ゆるく生きてる人に学ぶ
 「生きてるだけで十分」、「向上心は必ずしも必要ない」、「がんばらないとかえってストレスがなく快適」・・・。
 まとめるとこういう感じなんだけど、「ゆるく生きてる人に学ぶ」のひかりちゃんの話は面白すぎる。
 そっか、人間の可能性って広いんだな、と思うよ。

「遊ぶために生まれてきた」と思い込む
 「いい子」になるより、楽しもうぜ、というか、働くために生まれてきたんじゃない、というか。
 ちょっとここらへんのことは、じっくり言葉にしてみたいところ。

自分の人生でもっとも悲惨な時期と比べ、今はマシだと自分を慰める
 この人よりはマシだ、の自分版かな。ここに出てくる村崎百郎氏の本は、つらいときには、確かに使えそうな感じ。
 「自分を傷つけようとするやつは許さない」とか、「他人は全員利用するか殺す対象くらいの認識で攻撃的に生きていれば他人からの憎悪など屁でもない」とか、「殺されるブタが殺しにきてるやつ(=自分)を好きになるわけない」とか、そういう感じの台詞が引用されている。でも、こういう気持ち、わかるなあ。

自分より小心者としかつきあわない
 筆者もこれは身もふたもないけど・・・みたいなことを言っているが、小心者は、まわりに気を使うので、一緒にいて快適だし、おたがいが不快にならないようにするし、それでいて、自分の意見も言えたりするなら自信もつくし…案外、これはいいんじゃない?って思った。

マヌケな親戚軍団に学ぶ
 変な親戚は、大人も別に立派じゃないんだという考えをもたせてくれる場合もある。

ハッピーサーティー
 30をすぎると、つらさが減る。なぜなら若さゆえの敏感性が減り、対処法もわかってくるからだ!みたいな話。

「どうでもいい」を味方にする
 どうでもいい、大したことではない…すべての悩みをこれで切り払うことで、ゆとりが生まれ、案外ものごとがいい方向へ進むという、おそるべき魔法の呪文について記した章。これはけっこうおすすめ。
 前、上にもあげた「文芸ジャンキーパラダイス」で紹介されていたんだけど、ためしてガッテンで、怒らない方法をやったときに、おぼうさんがものすごく怒らないことがわかって、その方法を聞いたら、いらっとしそうになったら、すぐさま、「これは大したことではない」と言い聞かせることで、怒りをとめているという話があった。それにすごく似ていると思う。
 言葉は別の言葉でもいいんだろうけど、怒る前に、そんなに怒るほどのことじゃないと言ってしまうことで冷静になり、かえって物事に対処できるようになる、というのは、すごく便利な方法だと思う。

自分を無理やり正当化する
 自分の都合のよい解釈をすることで、余計なストレスを減らす作戦かな。


 こんな感じで、いつもとは、ちょっと違った紹介をしてみました。
 もし、どれかひとつでも、びびっ、と来たなら、ちょっと読んでみるのも、いいんじゃない? だってこのレビューでうまくまとめられた感じがしないのだもの。