風邪を引いた。
おなかが痛かった。
うん、激痛。
イチゴ。
「いたたた、いたいたいた」
本気でもう、死ぬ覚悟をした。
一瞬で、死にたくないって思ったけど。
「何?どうした?」
寝室で喚き散らす私に、ゆっくりヒソカが近づいてきた。
のが、見えた。
「お腹痛い…」
ずっきんずっきん、何でかしらないが腰を突き上げるような痛み。
これ、十二指腸潰瘍かも。
なんて思いながら、ゆっくりヒソカを見上げる。
「病院、行っておいでよ」
「行けないよ動けないもん」
何言い出すんだアンタゎ!
あたしは一般人!一般人ん!!
密かに私は横抱きで病院に連れて行ってくれることを夢見た。
「じゃあ、お医者さん呼ぼうか」
そう言って、電話をかけに私のもとから離れていく。
なんじゃそら。あ、いててて。
「風邪ひいてらっしゃった?」
「はい」
呼んでもらったお医者さんはもうギリギリ現役のおじいさん。
でも、腕はいいらしい。
ちゃっちゃと診察してくれて、あっという間に病名発覚。
「感染性の腸炎だね。まぁ、薬飲んだら治ります」
「はぁ」
今まで健康だけが取り柄だったのに。
ちょっと凄そうな病名に一瞬引く。
「旦那さん、あんたイチゴ買っておいで」
「イチゴ?」
「果物がいいんだよ」
「あ、そうなんだ」
じゃあ、ちょっと行ってくるよと出かけるヒソカ。
イチゴ食わなきゃしんじまうのかい私??
よっぽど真っ青だったんだろう、お医者さんが私の肩に手を置いて。
「大丈夫だよ奥さん。病名は凄くても腸が風邪引いただけだから」
意味わかんない慰めはよしとくれよじいさん。
でも、なんかあんま凄い病気じゃない事を知って、良かったナァって思えた。
ヒソカの先生選びは大当たりでした。
先生は薬を置いて、ヒソカが帰ってくるより先に帰ってしまいました。
お薬代は今月の生活費を入れた袋から出しました。
それからお薬(食後って書いてあるけど)を飲んで。
あ、元気復活。
と、旦那様のお帰り。
「、顔色良くなったね」
「ヒソカお帰り。お薬飲んだらすごく楽になったよ!」
健康が嬉しくて、思わず抱きつく。
えへへ。あ〜幸せ。
「へぇ、よかったね」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
「ん?その箱何?」
缶ビールの24本ケースみたいな大きさのダンボールを抱えてる。
そこには『とよのか』と書いてあり…?
「ああ、イチゴって、結構するんだね」
結構する?値段が?
まあ、リンゴやみかんよりは200円位高いけど。
ハイと手渡される。ダンボールを。病人に?
え、持てって?
「無理だよ!持てないよ!!コレ、何?」
「イチゴ」
しぶしぶダイニングキッチンに箱を置くヒソカ。
開けると、普段スーパーに並んでいるイチゴ1パックが横に3つ。
たてにも3つ。ぎっしり入ってた。
「買いすぎ」
「え?多い?」
そう言われたので、1パック(最初の1個は取り出しにくい)を手にとった。
「コレで、一家庭分だよ」
「少なくない?」
イチゴ今までどんだけ食べてたの?
「少ない位のがいいじゃない」
次の楽しみがあるから。
「そうだね。じゃあ」
パックの上のフィルターをはがすヒソカ。
あ、もう食べるの?まだ冷やしてないのに。
思ったけど言わないで、席を立つ。
「うん、洗ってくるね」
「え、洗うの?」
ちょっとびっくりした顔で見上げてきた。
「何言ってんの?!洗う洗う!!」
私のがびっくりしたけど。
私のイチゴの食べ方はちょっとコツがある。
洗って、ヘタを包丁で落として、砂糖をかける。
お皿をダイニングに持っていってから、フォークがないのに気付く。
取りに行く。と、後ろから声が聞こえた。
「、何それ。その白いの」
白いの?
フォークを掴んでゆっくりリビングに戻る。
しろいの?白いの…。
ああ、それか。
「砂糖。砂糖だよ」
イチゴを摘まんで、砂糖をふるい落としてる。
甘いの嫌いじゃなかったと思うけど。
「練乳は?」
食べながら、聞いてきた。
練乳?どっからその単語が。
あ。もしかして、砂糖かけない人種?
「練乳派なの?」
「ボクはね」
砂糖派って、マイナーなのかな。
おいでおいでをされたので、ヒソカのひざの上に座る。
「、口開けて」
ねえ、フォークあるのに手づかみ?
まあ、いいけど。嬉しいし。
「あー」
むぐ。
もくもくもく。
微妙に手まで含んじゃった気もするけど。
「あ、ゴメン。砂糖払っちゃった」
気にしてないみたいだし、いいのかな。
「んー!甘美味(あまうま)!!」
「それはよかった」
ヒソカにもあまうまプレゼント。
「砂糖、の少ない。…やつがいいかな」
聞くからに拒否してる感じ。
真っ白のイチゴプレゼントしようとしたのに。
「おいしいんだよ?いっぺん食べてみて??」
砂糖落ちるから、お皿ごと口元に近づける。
ギリギリまで粘ってたけど。
「…わかったよ」
ぱく。指まで咥えた。
あ、あたしも同罪か。でも。
イヤイヤ食うなよぉ!ホントうまいんだってば。
噛んでみ?噛んでみって!
ジャム一歩手前みたいな(?)かんじで。
「…ジャリジャリゆうね」
横にあったホットミルク(私の!!)で流し込んでるみたいな。
なんかヒドイなぁ。
「ジャリジャリ嫌い?」
ごくん。
て、のどが鳴ってた。丸呑みしたんですか?
「練乳派だからね」
改めて、砂糖を払いながらイチゴを食べ始めるヒソカ。
「そっか」
なんかもぉ、いいや。
食べ方だって10人10色。
「ヒソカ、それあたしのホットミルクだよ。風邪うつるよ」
お薬の力ってすごいね。
さっきまでわんさか苦しんでたのに、今じゃもうバカみたいな事で盛り上がれるよ。
「わすれてた」
いつもの、『知ってるよ』って顔で否定する。
確信犯だ。
きっと、ヒソカは風邪引かないんだろうな。
どうだかな。
今度はヒソカが風邪引いたら、私がイチゴ買いに行きますよ。
そして、たくさんのイチゴが家の冷蔵庫に残ったわけですが。
「、練乳買ってきたよ」
砂糖をかけようとして、スプーンを持った手をヒソカに止められる。
ぐぐ、動かない。嫌よ練乳は!!
砂糖と比べてカロリーが段違いなのよ!!
「太るから!!絶対太るから!!」
だからイヤあ!!
「太っても好きだよ」
私の手にあるスプーンから砂糖をグラニューケースに戻し。
ひどい。
買ってきたという、450g(多いから!絶対多いから!!)の練乳を。
「そんな口説かれ方しても…」
時間稼ぎ。のつもり。
いや、でも結構うれしいかもしれない。
ああ、練乳かけられた。
え、かけすぎじゃない?イチゴの赤いのが見えないよ?!
「ボクの勝ち」
だから、今度は君が練乳イチゴを食べなよ。
みたいな笑いだ。
ていうか、練乳漬け?どんだけ甘党よ。
「うう。頂きます…」
でも、一個しか食べないからね。
end...
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アトガキ
大丈夫!
コレのおかげで
風邪の日=ヒソカ=イチゴ
になりましたから。
どっちかってぇと、サーモン派なんすけど(?)
17.05.05(子供の日!!)