同居人イルミのビックリ発言。 お好み焼き。
「お好み焼きって、どうやって作るの?」
私、今、寝てたんだけど。
声がしたから目を開けた、ら。
キャベツ(1/2)左手、包丁右手に持った、イルミがいた。
目の前に。
「ひぃぎゃあああ!!」
ちいさいキャベツのかけら、顔に落ちてきたんですけどお兄さん。
髪の毛、顔にかかったんだよね。それが一番怖かったかな。
でも、しっとりしてすべすべだから、今となってはいい経験。
「びっくりしたぁ」
「いや、オレのがビックリしたと思う」
顔洗う為に洗面所に来ている私の後ろから、イルミの声がする。
がしゃがしゃ。音がするけど、なにしてんのカナ。
ヘアバンドで前髪を上げて、顔をばしゃばしゃ。
タオルで水をぬぐって。
「大きい声出してごめん、ね?」
「うん、包丁もっててごめん」
あ、謝るんだ。
彼の方を向くと、包丁もキャベツも持ってなかった。
胸に抱えてるのは、スパゲティ茹でる時使うお鍋。
とりあえず、キッチンヘ。
「そういえばお好み焼き?何でお好み焼き食べたいの?」
あ、キャベツと包丁。置きっぱなしかよ。
冷蔵庫入れとこう。
「いや、食べたいわけじゃないけど」
不思議な人です。
女みたいな男です。
なんか混ぜてます。
「作れるようになりたいんだよね」
「そっか」
返事をしたものの。
私、お好み焼き作れないよ?
若干冷や汗を背中に感じながら、日曜日のお昼に思いを馳せる。
ウチ、お父さんがプロ並の味出すのよね。
だから、お父さん意外作らない。
そんなエピソード。
「あたしも作れないんだけど、材料とかは粉の袋に書いてあるよね」
「…、関西人でしょ?」
「チガイマス」
多分。
「じゃあ、材料買いに行こう」
寝起きパジャマの女の台詞。
眉を書きなさい、と聞こえるような。
「あ、買ってあるよ」
安心。
スッピン外出しなくてすんだょ。
ていうか、コンビニとかスーパーとか近いとそのまま行っちゃうんだな。
「さっすがイルミ!」
あれ?でも、材料。
なくない?
「あとは、焼くだけなんだよね」
「は?」
さっきからこねくり回してる、鍋。
抱えて。
うん、と?
「だって、材料かいてあるし」
「え、じゃあ」
その鍋、もしや。
イルミの胸元、鍋の中身まで見てなかったけど。
「、あと出来るでしょ?」
関西人だもんね。
はい、とちょっと人肌にぬくもった鍋を渡される。
中には、お好み焼きのタネが。
「あのう、あたし何のために起されたんでしょうか」
「焼く担当」
あんたやったらできるやろ。
操作系のくせにぃ〜
「ハイハイ」
起きちゃったし、なんもしないのもやだし。
上手い事焼きましょう!!
「あ、イルミ」
油とキッチンペーパーを手に持って気付く。
「何?」
豚肉をきってるイルミが振り返る。
だから、包丁までこっち向けないで。
「鉄板は?」
「180℃で熱してるけど」
リビングに、ちょっと大きめの鉄板。
「用意周到だね」
よし。焼いていこう。
「ね、イルミ焼くよっ豚肉はやく〜」
「あ、待って。一文字は?」
コトン、とテーブルに豚肉の入った陶器のお皿が置かれる。
「なにそれ」
焼きに入る私。生地を鉄板に敷くと、ジュウと音がなる。
いい音!
その上にぺっぺと豚肉を乗せる。
「返しのこと、一文字って言うんでしょ?」
がちゃがちゃとキッチンでフライ返しあさりする彼。
後姿見てると、新妻みたいですよ?
「あ。何いってんの?コテでしょコテ!」
一瞬飛んでたよあたし。
「コテ?髪の毛巻くやつ?」
動きを止めて、こっち振り向く。
「うんと、それとまた別なんだけどね」
見つかんないみたいだから、探すの手伝いに行く。
「これでしょ?」
銀色のフライ返し。
てか、用意してまな板の上においてあるじゃん。
なんかかわいい。
「あ、それ。てか、もう焼いてる?」
「うん」
ジャーとちょっと水でゆすいで、リビングへ。
キッチンペーパーこっちに置いてたんだよね。
イルミもついて、リビングへ。
「水気切ってから…こう」
お好み焼き(半分生)と鉄板の間にコテを差し込む。
「てやぁ」
「あ。」
べちゃ。
「失敗するよって、言おうとしたんだけど」
「遅いよ」
半分中身が飛んでしまいました。
「貸して。こっち、オレがやる」
そう言われて、しぶしぶコテをイルミに渡す。
ぱたふ。
「簡単だね」
「それ、ひどいよ?」
超上手にひっくり返しやがった。
「あ、この形悪い方が食べてね」
飛んだ中身を中に押し込む作業すら簡単そうにする。
不器用でごめんねっ!
「わかってるよ〜」
「嘘。俺が食べる」
じゃあ、何で言ったんだろう。
あ、なんか今ちょっと愛を感じた。
「だって、こっちのが大きいし」
「…ヒドイ」
ホントひどい。
アタシよりきれいなトコでもヒドイのに。
いや関係ないか。
「嘘だよ。がひっくり返したんだし。食べますよー」
「イヤイヤなの?!」
目を見て言いなさい。
「ハハ。食べたくない物食べるわけないだろ」
そう言いながら、どんどん焼いていくイルミ。
ねぇ、2人でこんなに食べれる?
お好み焼き粉の袋には「5人分」とかいてあったり。
気付けよ。
イルミはやっぱどっか抜けてる。
「ねぇ、イルミ」
さっききれいに焼いてたイルミのお好み焼きを頂いた私。
現在二枚目あとちょっと。。
「なに?あ、歯に青海苔ついてるよ」
うあ、やだな。
「そういうの、食べ終わってから言ってよ。恥ずかしいなぁ」
「そう?じゃあ後で歯磨かなきゃね。で、何?」
ちらり、と私が横を見ると、イルミもつられてそっちを見る。
お皿に山積みされた、お好み焼きたち。5枚も残ってる。
「アタシもうお腹いっぱいだよ」
コレでも頑張って2枚食べた。
「うん、オレももういいかな」
イルミは4枚も食べてた。そりゃもういいよね。
「残り、冷めたら冷凍しよう」
左手がお皿を遠ざける。
「でも、当分食べる気ないよオレ」
目線をお皿からそらすイルミ。
「あたしも」
一生分焼いたよね。(気持ち)
食後。
「でも、コテ二本あったら出来たと思うよ!」
「オレは無理だったと思う」
洗い物しながら、必死で弁解。
「出来たと思うよっ」
後ろでイルミは冷凍するお好み焼きをラップで包む作業中。
「じゃあやってみる?」
てことは、もう1回焼くってこと?
冷凍庫を開ける音がして、ゴトゴトいって、閉まる。
うーん。
「いや、それはもういいかな」
「うん、オレも思った」
お好み焼きを乗せていたお皿が、シンクに運ばれる。
「次はたこ焼きかな」
イルミは布巾を持って、リビングの台拭き。
「明石焼きのがいい」
「なにそれ」
一瞬止まってこっちを見上げる。
「知らないの?」
「作れないんだろ」
「うん」
でもおいしいんだよ、と言った。
ばっかりに。
今度は明石焼きフィーバーが待ち受けているのでした。
end...
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アトガキ
何がかきたかったんすかね。
焼いて食って、片付けて?
生活感!生活感を求めてたの!!
冷凍お好み焼きは、ヒソカに振舞われます。
17.5.4