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釧路川ひとりぼっち
1992年8月23日〜30日

今回は、カヌーで釧路川を下る。
釧路川は、源流から海までカヌーで下れる数少ない川。
出発点は屈斜路湖。
あこがれの北海道の川をこれから下ります。



北海道へのアプローチ
日本エアシステムで、一路釧路空港へ。
カヌーは1日目の宿の摩周国際ホテルに宅急便で届けておきました。

出発前、旅の計画をたてる。
国土地理院発行50,000分の1の地図を
つなぎ合わせる。
屈斜路湖から太平洋まで、実に7枚。畳約1枚分

河川長は105km
流域面積は2,510ku
羽田空港で搭乗を待つ。
パドルを持った人を見つけたので「川下りですか?
僕も釧路川を下りに行くんです」と話しかけるが
無愛想なやつで会話にはならなかった。
機内から
窓の外は一面なめらかな雲
雲海はきれいだけど、地上の天気が気になります。
空港からバスに乗り釧路へ移動。
その後電車で1日目の宿へ。




出発地コタン

1日目に泊まったホテルの職員
屈斜路湖までの行き方を尋ねたら
「もうすぐ仕事が終わるから、お送りしますよ」
と自分の車で僕とカヌーを運んでくれた。

道中、いろいろ観光案内もしてくれた。
年に何回かは鹿が車に轢かれるとか。
轢かれるというより衝突といった方が
正しく、車も使い物にならなくなるそうです。

コタンに到着
ここにはアイヌ民俗資料館や
民芸品店がある。

店にはいると民族衣装姿の
おばさんがムックリという
民族楽器を演奏してくれた。

ムックリは竹に切り込みを入れ
ひもを結んだ簡単な楽器。

簡単そうに演奏しているが、
やってみるとなかなか音が出ない。



屈斜路湖は、
火山活動でできた盆地に水が溜まってできた
日本最大の面積を誇る「カルデラ湖」です。

湖畔には温泉がこんこんと湧き出ます。
入浴できるところもあり、
地元の人や観光客が入っていた。

強酸性の温泉が湖に流れ込み屈斜路湖を
生き物の住めない「死の湖」にしてしまいました。

現在では流入河川からの真水のお陰で
酸性度も下がり、
10種を越える魚類が湖に戻ってきているそうです。

左上:屈斜路湖の水中。

上:は網で捕った小魚。種類はわかりません。

左:湖畔に丸太を削ったアイヌのカヌーがあった。

左下:黄色い包みはカヌー。これから組み立てる。

下:完成したカヌー。いざ釧路川へ!





いよいよ釧路川へ


カヌーの左に見えるのが固定カメラ。
手元でシャッターが切れるようレリーズがついている。

手前に見えるのが防水ケース入り地図




屈斜路湖 コタン〜弟子屈

左:屈斜路湖を南西方向にしばらく行くと
   眺湖橋が見えてくる。

左下:眺湖橋が釧路川のスタート地点。

下:橋をくぐると、いよいよ釧路川です。



カヌーに固定したカメラで撮影。

曲がりくねっていて、
めまぐるしく風景が変わります。


上流部には立ち枯れの木が多く時には行く手を阻むものも。
水は透き通りきれいだが、川底は泥状で足が埋まってしまう。
岸はカヌーをつけ上陸できるところもなく、
ここで沈(転覆)したらどうしようと不安になる。

もうすぐ弟子屈。
人工物が急に多くなる。
残念な反面、ちょっと安心。
そろそろ日が暮れる。
今日のキャンプ地を探す。





弟子屈の朝

キャンプ地は橋の下。
雨はしのげるし、交通量も少ないため
静かで快適なキャンプ場です。
地面がコンクリートで固いのが難点。
でも平らなので、以外と寝心地はいい。

上:さみしい朝食。レトルトご飯と焼き鳥の
  缶詰ひとつ。

左:夕べ川の中を覗くと、何かうごめくものが・・・
  これはこの付近(北海道東部)にしかいない
  「ウチダザリガニ」。
  アメリカ合衆国から食用に輸入したものが川に
  逃げ出し繁殖したとか。

  今でも屈斜路湖畔のホテルでは調理したものを
  出してくれるとか。
  冷たい水でないといきられないので北海道以外
  では生きられない。
キャンプサイトの周辺を散策。

向かい岸にあったペンションBiraoの
奥さんと記念写真。
まだできたてのペンションです。
車で3分くらいの所にある美羅尾山から
名前を捕ったそうです。

キャンプをしていると言ったら
「お風呂に入っていったら」と勧めてくれました。
遠慮せずお風呂をいただき、
さっぱりさせていただきました。
昨日、僕より後に下ってきた3人組の学生が
朝早く出発しました。
キャンプサイドに戻ると屈斜路湖から下ってきた
夫婦と犬3匹と会いました。
今日はここまでと言ってました。





弟子屈〜標茶

ペンションBiraoの
奥さんに川の情報を聞く。
この先は水も少なくてカヌーは無理だから
もう少し下流から始めた方がいいと言われた。

地図では行かれそうなのでそのまま下ることにしました。

弟子屈のまちの中。
確かに推量が減ってきました。
この付近は川の3面がコンクリートで固められ
岸に上がることが出来ません。
上がる手段はこんなはしごのみ。
これではカヌーを引き上げることが出来ません。
少々後悔しながら、そのまま下ることにしました。
さらに下ると、消波ブロックの堰。
中央もカヌーでは下れないため
ポーテージ(カヌーを下りて堰羅を越えること)した。
気づかずに突っ込んでいたら
カヌーは壊れていたかも。
カヌーの視線は低いのですごい迫力です。



この後、水量は若干増え流れは速くなったが、
水深の浅い状態が続く。

前方の空も雲行きが怪しくなってきた。

川底には大きなとがった岩が見えている。
いやな予感がしていたので注意深く進む。が・・・
突然「ガツン」という衝撃が・・・
その直後、カヌーの底からドクドクと勢いよく水が
湧きだしてきた。
よく見ると、岩がフレームに当たりフレームにヒビが!
その衝撃で船体布に穴があき、そこから水が流れ
込んできた。
一辺が1pほどのL字型の穴。
みるみるうちに水が船内にたまってきた。
雨もぽつぽつと降り出して、不安が高まります。
わき出る水に恐怖を感じながら、
ようやく着岸できるところを見つけ
カヌーを修理。
船内の水を出し、破れた部分を
縫い合わせる。(左)
作業に熱中していて、ふと背後に何者かの
気配を感じ振り向くと・・・

ここは牛の水飲み場!
ライフジャケットはオレンジ色。
「牛が襲ってきたらどうしよう」と怯えながらも
後ずさりしながら写真を一枚。
気づいたときには写真よりもっと近かったんです。

仮縫いの応急処置を済ませ、
逃げるように出発しました。
それだけでもだいぶ水の進入は少なくなりました。
右上の写真のガムテープは後で貼ったもの。
この日のキャンプも橋の下。
夕方から雨が降り出したので橋があったのは
助かった。

橋の近くにはたいがい町がある。
物資の調達も可能なのです。





標 茶 〜 細 岡

標茶の町。大きな町ですが、人通りは少なかった。
コスモスがたくさん咲いていました。 岸の向こうに人の姿が見えます。
「この先に障害物などないですか?」と話しかけた。
「川を下ったことはないからわからないよ」と言われ
それもどうだなと思い先を進みます。
辺りは牧場らしい。牛たちが水浴びや水飲みに来ている。
かなり内陸なのに海鳥がたくさん羽を休めていた。 陸に上がれるところがあったので上陸してみた。
湿原の中に道が通っている感じ。何もない。


五十石橋の下流から釧路湿原に入る。
一面の湿原の中、川はまっすぐ。
人気もなく音もない。
ここで溺れても誰も助けてもらえないと心細くなる。
そんなとき遠くに電車の音が!
人がいると思うと少し安心する。
しばらく漕ぐと村らしき光景が! 地図にもある家。でも誰も住んでいない廃墟でした。


細岡の夕日。
今日はここでキャンプする。
水がなくなったので、近くにあった農家にもらいに行く。
水道はなく、貯水タンクからもらう。
「この前水をもらいに来た人が、蛇口をしっかり閉めなかったから
タンクの水が全部なくなっちゃったんだよ」と怒りながらも分けてくれた。

この辺りはヤブ蚊が非常に多い。
外にいるとあっという間に蚊が集まってくる。
かゆくておかしくなりそうになる。
かゆみ止めの薬を手のひらにのばし、全体に塗る。
虫除けのスプレーはほとんど効かず、スプレー式のかゆみ止めが欲しい。





細 岡 〜 釧路


朝の細岡 カヌーの上を何かの動物が歩いていました。
左上:学生4人組。
    2人ずつゴムボートで川下りをしています。

上中央:電車でスケッチをして回っている青年。

右上:夫はカヌー、妻は車で旅を楽しんでいます。

左:埼玉から来た二人組。
   この日はこの二人と一緒に川を下ることに
   しました。


上:行く手の水面に障害物を発見。
   (わかりにくいですが)

左:正体は「鮭止め」。
  格子状の柵が川幅いっぱいに設置されてます。
  これがあるため鮭は遡上出来ず、雪裡川の
  方に向かい、  そこで捕獲されてしまいます。

  おかげでカヌーは通れず、岸に一度上がらなく
  てはなりません。
しばらく行くと岩保木水門が見えてきました。
新釧路川と旧釧路川をつなぐ水門で、完成から一度も開けられていないそうです。
釧路川が洪水や釧路港の土砂堆積の原因となっていたため、
大正10年から昭和6年にかけて治水工事が行われ、岩保木水門が誕生しました。
釧路川を使った木材の運搬のためにも利用される予定だったとか。


このあたりには軽石がたくさん浮かんでいます。
火山の噴火で飛ばされたもの?です。
上左右:山はなくなり、海鳥が多くなってきました。
        海が近い証拠です。

左:前方に橋。
   交通量も多く、大きなトラックも通っている。
   岸も回収された部分がほとんど。
   こうなると川旅はおもしろくなくなります。

   この後カヌーをたたみ宅急便で自宅へ送り
   川渡は終わりました。

   この日は釧路市内に宿をとり、翌日は根室に
   向かいます。 


釧路駅近くの和商市場
新鮮な海の幸を始め北海道の
美味しいものがなんでもそろっています。
この日は釧路駅から徒歩5分くらいの所の
松美館という旅館に泊まりました。
上の写真は市場で買ったお弁当と蟹の甲羅揚。
そしてサービスでもらった花咲ガニ。





日本本土最東端の地

この日は電車(根室本線)に乗って根室まで
行きました。
所要時間は2時間50分程度。

下:納沙布岬行きのバス

左下:東根室駅は日本最北端の駅。
    終点は根室だが、少し西に戻るような
    形になるため。

下:根室駅から納沙布岬まではバスに乗って
  行くことになる。

車内で食べた駅弁の包み紙。
北海道にもかきの産地があったんですね。

花咲ガニの食べ方のチラシがありました。
本土最東端の地。
冬は流氷でいっぱいになるらしい。
納沙布の観光ドライブインで食べた花咲ガに。
少し小振りですが2匹で500円と格安でした。
           最東端の駐在所
昆布が干してありました。
海で昆布漁をしている舟を多く見かけました。
最東端の岬。
日本で一番早く朝日が見える所です。
帰りの車内。
女子高生がたくさん見える。

この車内でお年寄りが具合が悪くなった。
電車に乗っている人は皆顔見知りのようで、
みんなが入れ替わり話しかけていた。
同じ電車に乗っていた保健婦らしき人が駆け寄り
対応をして一安心。
一番近い駅に救急車を呼び病院に行く様子。
地域のつながりが強いんだなぁと感じた。
電車の中もひとつのコミュニティです。





釧路港付近で

左:釧路市水産資料展示室 マリントポス釧路の
  入場券。

  場内には釧路の漁業の紹介や漁業の近代

  などの紹介がされています。

左下:釧路の生き物の剥製

下:北方海域の魚の説明図
右上:マリントポス釧路の中にあった
釧路漁港の再現模型。
上:釧路漁港の競りの様子

下:現在の釧路漁港の様子



釧路港に蟹捕りかごを仕掛けている人がいました。
ちょうど引き上げるところだったので見せてもらいました。
獲物は栗ガニ、ヤドカリの他ウグイ?や気持ち悪い魚が捕れていました。
近くに海鳥が寄ってきていておねだりをしているようでした。
 
下:煉瓦作りの倉庫が並んでいます。上:釧路市内にあるマンホール。釧路湿原がデザインしてあり
ます。


この後、1日余裕があったので、弟子屈のペンションBiraoに泊まりました。
そのとき函館から来ていたご婦人と知り合いました。
いまでも手紙のやりとりだけでなく、北海道の産物を贈ってもらったり
中華街の中華まんやお菓子を贈ったりというおつきあいが続いています。
これも旅の楽しみのひとつです。

北海道の自然や人や味にふれた、大満足の旅でした。





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