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もうひとつの北上川
1988.10.15−18


雑誌『Outdoor』1989年No.71に僕たち3人が2隻のカヌーに乗り込み
北上川をツーリングしたときのレポートが掲載されました(この頁の最期にあります)
タイトルは『みちのく・北上川に 初めてのカヌーツーリング』西尾
ここでは雑誌では紹介できなかった写真も含めて紹介します


<北上川へ>
上野発の夜行列車「八甲田」に乗り、北上川へ
向かう上野駅では列車到着までの時間をいろいろなことをして過ごす


文庫本を取り出し読書をする西尾。
でも酔っぱらいが話しかけてきて、その相手に
疲れて寝てしまう(左上)

カメラでハンティングゲームをする角田と池田
相手にしっかりとられた方が負け
つまり角田の負け(上)

ホームでパドリングの練習をして、駅員に
「そんなに長い物を振り回さないでください」
と注意され、照れながら帰ってくる角田(左の左)
到着する列車に何かしらのちょっかいを出さない
と気が済まない(左の右)





盛岡駅「八甲田」の前で(左)
もう空が明らんできている
この後北上川に向かう
池田が背負っているのがカヌー
折りたたみ式のファルトボート

<石沢クンとの出会い>


早朝盛岡駅に到着する
小雨が降る中タクシーで明治橋付近へ
空模様を気にしながらカヌーを組み立てる

カヌーが3年ぶりという西尾も
苦労しながらも形になってきた

角田は準備もせず・・・

出発の準備が整う頃には
すっかりカヌー日和に
準備をしている近くには、何人かの漁師さん
投網で何かを捕っている
捕っているのはサケ

そのうちの一人が、興味深そうに話しかけてきた
「県庁所在地までサケが上ってくるのはここだけ」
と誇らしげに話してくれた

なんでも息子さんが横浜で働いているそうで
「何かの縁だから」と生きたサケを一匹くれた
漁師さんにちなんで「石沢クン」と命名

「今夜はごちそうだ」「本当に食べちゃうの?」
「どう料理しようか」「逃がしてあげようか」
いろいろな会話が交わされた

石沢クンは、ひもをエラから口に通し縛り
西尾艇に結んである
こうしておけば数日は生きている・・・はずだった

こうして3人と1匹の川下りが始まった


<みちのくの昼下がり>

岩手山をバックにポーズをとる西尾 人の気も知らないで余裕の角田

こうして出発した川下りではあったが、
湖の経験しかない僕は、内心かなりビビッていた
川の流れは以外と速い
実はこのときが川デビューの日

ペアを組む角田は全くの素人。でも余裕シャキシャキ。この余裕はどこから来るのか?
唯一の経験者の西尾は、湖だけ出なく川の経験が1回ある
しかし3年のブランクがある

おそるおそるカヌーに乗り込み
川の流れに乗ると飛ぶように進む というよりただ流されている感じだった

しばらく進むと、前方に瀬を発見
初めての瀬にみんなに緊張が走る
カヌーを寄せ、船上ミーティングを始める
「岸から下見しようか」「行けるんじゃない」と
好き勝手なことを言うが、西尾が戦陣を切ることに

しかし徐々に慣れてくると、流れのないところ(瀞場)では物足りなくなる
小さな瀬が現れるのが楽しみになる



しばらくすると「ピー ピー」というおとがどこからともなく聞こえてきた
あたりを見渡すと、川に沿って走る道路の電柱にある
スピーカーから流れているようだ
「何でもないよ」「鳥の声を流しているんじゃない」『警報?」
と好き勝手なことを話していると やがて・・・
「ダムを放流しました」という女性のアナウンス
ダム放流から30分くらいして増水すると聞いていたので
急遽高台に避難をすることになる

しかし30分以上たっても一向に水位があがる気配がない
「来たら来たでいいや」という、いつもののんきさで
出発することになる
我々のツーリングは、いつもこのいい加減さで物事が決まる




昼食をとるため上陸地点を探す
前方に川の上を横切るワイヤーを発見
「渡し」のようである
渡しのあるところなら民家に近いだろうと
いうことで上陸してみることにする
上の写真で線のように見えるのがワイヤー
上陸するとのどかな田園風景が広がる
稲は刈り取られ乾燥させている
予想とおり小さな商店もあり昼食を購入
河原で昼食をとる
石沢クンの状態を確認する僕
このときはまだ元気でした
この後石沢クンに惨事が!
昼食後はペアを変えて出発 時々現れる小さな瀬
目の前をサギが横切っていきました いろいろな生き物を発見するたびに
目を奪われます


<川の上の出会い>

進行方向の水平線上に何かを発見!
パドルを動かす手が早くなります
しばらくするとその正体が判明

ゴムボートに乗った二人組でした
しばらく船上ミーティングで自己紹介や
川の情報交換をしました
ゴムボートは二人乗りでも大人が二人が
乗るとかなり窮屈そう。
キャンプ道具も積んでいるから
とても快適には見えませんでした。が・・・
西尾は、すでにボートに心を奪われて
いるようでした

記念撮影も済ませ「またどこかの川で
会いましょう」という合い言葉で
お別れすることに

川で出会った二人組から届いた手紙
このほかに、釣ったサクラマスの薫製
を送ってくれた(下)
旅は終わっても、こういうことがあるから
おもしろい
ゴムボートを追うことに夢中になり
みんな疲れ気味
手頃な河原を見つけて一休み
こうしているうちにゴムボート組にまた
抜かれてしまった

どこでも寝られるのが我々三人の取り柄です

手紙と一緒に送ってもらったサクラマスの薫製



<石沢クンの最期>

北上川の川下りに付き合ってくれた
石沢クンの様子がおかしいことに気づいた
のは、三度目に休憩で上陸した時だった

おそらく西尾が上陸する際、カヌーで石沢クン
を引いてしまったのだ
でも西尾はそれを認めようとしない

結局夕方には、息はなく、供養のため
みんなで食べることに・・・
でも、元気だったら食べられなかったでしょう!?
「まな板の上の石沢クン」(左)
料理法を考える西尾
落ちていた板が、まな板になりました(上)
石沢クンの頭を落とし腹を割き何か危ない(右)
旅にたき火は付き物
このあたりは流木が多くいくらでも薪が手に入る
「石沢クン風サケのホイル焼き」のできあがり
たき火の中に石沢クンの顔が
目が恨めしい(上)


変わり果てた石沢クンを手に記念写真(左上)


就寝前、濡れてしまったシュラフを
たき火で乾かす西尾
近づきすぎて火の粉でシュラフが穴だらけ(左)
出発前の準備 頭の上をたくさんの鳥が飛んでいきます
目的地の花巻朝日橋付近
だいぶ景色も様変わり
大きな煙突や立派な道路も見えています


<それぞれの帰路>

タクシーに乗り「温泉に入れる宿はないですか」
と尋ねると、大沢温泉に案内してくれた
ここは旅館と湯治場(自炊部)に分かれている

運転手さんが交渉してくれて、なんとか泊めて
もらえることになりました
お金がない我々は当然湯治場へ
湯治場の洗面台
洗濯も出来るようになっている
コイン式ガス台
お金を入れて一定時間ガスが出る
バスの中から見えた北上川
2日かけて下ってきた上流方向
余裕があれば続けて下りたかった下流
この先海までは150qほどある
当初の計画では太平洋まで行くつもりだった

この後バスは新花巻駅に到着
ここから新幹線に乗り上野駅へ
車内では松茸弁当を食べ、旅の余韻に浸っていると
いつの間にか車窓の外は緑が少なくなり
家やビルが多くなっていた
上野から横浜に向かう車内では
みんなすっかり無口になっていた

横浜駅西口 
初めてのリバーツーリングのそれぞれの思い出を胸に
三人バラバラの帰路についた


<雑誌『Outdoor』1989年No.71に掲載された西尾の投稿>



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