コーチ監督は選手より先に掃除をする
様々なスポーツの練習をしているとケガに遭遇します。これは選手なら誰にでも起こることです。そこで、コーチからケガをした選手に言葉がかけられます。「無理はするな」「気持ちが弱いからケガをした」と2つの言葉うちのどちらかを言われます。ケガといっても、腰痛・膝痛といった接触を原因としない、日頃の無理が重なったケガをしたときにこの2つの言葉をよく耳にします。
いいコーチと言われる人は、「無理はするな」という言葉を、選手の能力に関係なく平等に声をかけるのです。何故なら、選手というのは一人の人間なのです。その人間を大事にしよう・大切な人間であるということを選手に示しているのです。そして、その選手一人を失うことは、チームにとってマイナスになるからです。だから、選手が大きなケガ・疲労骨折を起こしたり、選手が1ヶ月以上練習できない状態にしてしまったりしたら、コーチは選手に優しい・強くなるメニューを考えるようになるのです。だから、コーチは選手をケガから守るようになり、選手はイキイキと練習に励むようになるのです。
悪いコーチはどのようなものなのか。一つ目は、選手の能力に関係なく平等に「気持ちが弱いからケガをした」というコーチ。二つ目は、コーチが気に入った選手・力のある選手には「無理はするな」というが、気に入らない選手・力のない選手には、「気持ちが弱いからケガをした」といった言葉を選手に向かって言うのです。
実際にあった出来事、特に悪いコーチの発言や様子を紹介します。
高校の陸上の先生Aさんについてです。私のチーム出身で高校になっても陸上を続けていたB君・Cさんから相談を受けました。
B「最近、肉離れを起こして走れなくなりました。どうしたらいいですか。」
私「先生に肉離れのことを報告したんでしょ。」
B「それを言ったら、お前の気持ちが弱いからだと怒られました。」
私「まずは医者に診察してもらいなさい。肉離れだろ。無理して走るな。二度と走れなくなるぞ。」
C「実は、私の学校の陸上部はケガ人が多いんです。○さん・○君も・・・ケガしたし。」
私「何でそんなにケガ人が続出するんや。コーチは練習メニューを変更したりしないのか?」
C「言っても聞かない。あの人頑固だから。」
数日後、Bから相談がありました。
B「コーチ、先生に怒られました。」
私「何悪いことしたんや?法に触れることをした?それは怒られるで!」
B「俺は何も悪いことはしてない。俺の肉離れがなかなか治らないという理由で怒られた。」
この言葉を聞いたとき、自分の耳を疑いました。こんなことを考える人間(教師)がいるんだと。
B「お前の行った病院が悪いとかいうて、仕舞いには、たかが肉離れで治るのに時間がかかり過ぎるという理由で、30分も説教された。俺には説教される理由がわからん。」
BはAさんに対して怒っていました。Bの保護者から同様の相談もありました。
次にDさんと中学校の先生Eさんについてです。Dさんは膝が疲労骨折になったのですが、
D「病院に行ったら、疲労骨折と言われて2ヶ月は走るのを止めてくださいと医者に言われました。」
私「そう、だったら医者の言われたとおり、しっかり休みなさい。走らないこと。」
E「Dさん走りなさい(怒)。まだ、走れる。練習をサボるな」
とDさんは怒られたので、走っていましたが、
私「Dは疲労骨折しとんで。医師に止められているから、走らしたら駄目でしょ。」
E「そういうことを言うから、あなたは選手を強くできないのです。あの子はまだ大丈夫です。」
このやりとりが何と、半年くらい続きました。1回だけDさんは危険な行動に出ました。
D「私はE先生の期待に答えることはできません。ここで、医師の制止振り切って走り続けます。そして、2度と走れない体になって自分自身は楽になりたい。」
同じ行動をとった子どもが、もう一人いたそうです。しかし、E先生は何といったかというと、
E「私の教えている練習は、絶対に強くなる。試合前の調整も完璧にしてある。」
と豪語していました。
主に2人の先生について、B・C・Dにあることを調査させました。それは、「A・E先生の職員室の机は整理整頓をされているのか」「掃除の時間に、先生が掃除をしているのか」の2つ。その結果、以下の3つの内容が明らかになりました。
・ 掃除の時間に掃除をしない。
・ 洗車を何ヶ月もしない。
・ 机の上が汚い。(整理・整頓がされていない)
いいコーチになるためには、絶対に必要な条件があることがわかりました。それは、コーチが進んで「掃除をする」なのです。なぜ、掃除をするのか。その理由が、「掃除道(PHP出版・鍵山秀三郎著・一部抜粋)」書かれていました。
1、謙虚な人になれる。
どんなに才能があっても、傲慢な人は人を幸せにすることはできない
2、気づく人になれる。
無駄をなくすためには、気づく人になることが大切。気づく人になることによって、無駄がなくなる。
3、感動の心を育む
自分自身が感動しやすい人間になること。人が人に感動するのは、その人が手と足と身体を使い、さらに身を低くして一生懸命に取り組んでいる姿に感動する。
4、感謝の心が芽生える
人は幸せだから感謝するのではない。感謝するから幸せになれる。
5、心を磨く
心を取り出して磨くわけにはいかないので、目の前に見えるものを磨く。人は、いつも見ているものに心も似てきます。
なぜ、コーチが率先して掃除をしなければいけないのか。とある番組で紹介された言葉を一つ。
「組織はサンマと同じで、頭から腐る」
この言葉で、頭とは誰ですか。コーチや監督ではありませんか。監督やコーチが腐っていると選手も腐るのです。逆に、コーチが光り輝いていると、選手も光り輝くのです。
だから、コーチ監督は、「地域の人や、自分たちが知らない人に応援される組織にしなさい。」と選手に投げかける前に、チームの頭であるコーチ監督が率先して掃除をしてください。
そうすれば、選手をケガから守ることができるようになり、選手を大切にする心が芽生えるのです。