(番外編)強化アクチュエーターとEVCについて

ブーストを上げる&安定させる方法について考えてみます。


●ブーストアップ&ブーストの安定性を上げるための一般的な方法としては、EVCに代表されるブースト

コントローラーを装着する方法と、アクチュエーターを強化品に換える方法があります。

ちなみに私のクルマはタービンを換えてあることもあり、スズキスポーツの強化アクチュエーター(調整式)

とHKS EVC-EZの組み合わせです。

とくに軽自動車に使用されるようなサイズが小さく、レスポンス重視のタービンはちょっとブーストを上げ

ようとしただけでも不安定になったり、マフラー等、排気系の効率の変化でも敏感に反応してしまうために

このへんの対策は必須になります。

また、シリンダー数が少ないことも排気の脈動が大きいことになりますので、これもブーストを不安定に

しやすい要素ともなります。

 

●強化アクチュエーターとブーストコントローラーの2つは「どちらがいいか?」ということでよく比較

されるのですが、根本的に違うものであることを理解して使用する必要があります。

ただ単にブーストを上げたいだけなら調整式強化アクチュエーターをつけて、目的のブーストまで上げる

ようにすればそれでいいでしょう。

でも、ブーストの立ち上がりにこだわりたい場合は、強化アクチュエーターにしただけではたいして立ち上

がりは速くなりません。 そこでブーストコントローラーの必要性が出てきます。

 

●アクチュエーターの仕事は、タービンハウジングに設けられているバイパスポート(ウェイストゲート)を

規定圧力がかかった際に開かせて、そこから排気ガスをバイパスさせ、タービンを回す圧力を調整して、それ

以上ブーストが上がらないように制御します。

このアクチュエーターはブーストの圧力で動きますが、所詮は内部のスプリングの圧力とのバランスで制御し

ているので、規定ブーストに達するかなり前からジワジワと開いていきますので、そこから排気ガスの圧力が

漏れ、そのせいでブーストの立ち上がりもわりとマイルドな感じになります。

この特性はたとえ強化アクチュエーターでも同じことで、ノーマルに比べればたしかにブーストの立ち上がりは

改善されるのですが、基本的な特性はかわりません。

 

●ですが、このアクチュエーターの配管の途中にブーストコントローラー(※ここで言うブーストコントローラー

はすべて電気式のものを指します。機械式についてはここでは考えなくて結構です)を挟むと、一定の圧力に達する

まではアクチュエーターに圧力を送らないようにし、ブーストが立ち上がるギリギリまでウェイストゲートを開かせ

ないようできるため、立ち上がり時の排気ガス圧力のロスを最小限にしてやることで、ブーストの立ち上がりの

速さが向上します。

そして一定の圧力に達した時に一気にバルブを解放することで素早くアクチュエーターを作動させるわけです。

 

●と、ここまで書くとブーストコントローラーは理想的な動きをするように見えますが、実際にはこの「一気に

開く」のには無理があり、これをやるとオーバーシュートやハンチングなど、ブーストを安定させるのは難しくなり

ます。 つまり、実際はギリギリまで閉じて一気に解放ではなく、少し前から開くように調整します。

 

●ここでブーストコントローラーの制御方法が重要になります。 現在の主流はステッピングモーターを使用した

ものと、ソレノイドバルブを使用したものに大別されます。

ステッピングモーターのタイプは、ニードルバルブを使用してその流量を直接制御しますが、ソレノイドバルブの

タイプは開/閉の2段階のみですので、このON/OFFのスイッチングのスピードで結果として流量を制御しようとする

言わばインジェクタと同じ原理です。

感覚的に言いますと、ステッピングモータータイプはアナログ的な連続制御、ソレノイドバルブタイプはデジタル的

な2段階制御とも言えます。(実際にはステッピングモーターも段階的ではありますが、非常に細かい制御です)

どっちがいいか…につきましては、ここでは書きません。 機種によって特性も違うでしょうし、またエンジン仕様

との相性もあるでしょうから。

ただ、私はブーストコントローラー=EVCという人間なので、ステッピングモータータイプを支持しています。

こっちのほうが理論的に納得できることと、ソレノイドタイプは基本的にゲイン調整という面倒な作業がある為です。

ソレノイドタイプはかかる負荷の違いによって立ち上がりや安定性が変化してしまって、レスポンスを重視すると

安定性が犠牲になり、安定性を重視するとレスポンスが犠牲になるという相反する条件をバランスさせるのが面倒

なのがあまり好きになれない理由です。

中にはギア別にこのへんの特性を変えて設定できるようなブーストコントローラーもありますが、これとて結局は単一

の設定では負荷の変動に対して満足に立ち上がりのコントロールができないソレノイド式の欠点を補うためにあるもの

で、それをいかにも機能的に宣伝しているに過ぎないものです。

 

●ブーストのタレと強化アクチュエーター

ジムニーではあまりありませんが、よく高速、高回転で引っぱっていくに従いブーストが下がってくる現象、いわゆる

ブーストのタレというのがあります。

これを防止したいので強化アクチュエーターやEVCをつけるという話を聞きますが、たしかに原因がアクチュエーター

にあり、排圧によってウェイストゲートバルブが開いてしまうような場合には有効なのですが、たとえばターボチャー

ジャーそのもののサイズ(コンプレッサー風量の限界および排気側の抜けの悪さによる流量の限界)が原因であれば、

強化アクチュエーターをつけてもどうしようもありません。

ですので、ブーストのタレる原因がどこにあるのかをよく考えたうえで、適切な対処方法を選ぶ必要があります。

ちなみに、私がノーマルタービンブーストアップ仕様で乗っていたときは、EVC-EZのみで、ノーマルアクチュエーター

でまったく安定性は問題ありませんでした。

 

●結論

ブーストが上がって、安定させたいという場合は、強化アクチュエーターのみでいいでしょう。 また、ノーマルの

アクチュエーターにバネを追加する等の方法でも安価でよろしいかと思います。

ですが、立ち上がりそのものを良くしたいと思うのなら高性能な電気式ブーストコントローラーは必須です。

とにかく、アクチュエーターを強化することと、EVC等を使用することでは結果としてはその機能はダブることは

ありますが、基本的な考え方ではその役割と目的が違うことをご理解いただければと思います。

 

<追記>

「ホースを交換することでブーストアップするというのはどういうことか?」という問い合わせがありましたので

書きますが、あれは要するにアクチュエーターに行くホースの途中からごく少量、空気を漏らす(圧を逃がす)こと

で、結果、アクチュエーターの作動圧力を下げて実際のブーストよりも低い圧力をアクチュエーターに送ることで

より高いブースト圧でウェイストゲートを開かせることでブーストアップするというものです。

ですので、方法としてはホースの中間に空圧機器用の「スピードコントローラー」や、「金魚バルブ」等をつけて

エアーを漏らす量を調整して最終的なブースト圧を設定するというものです。

たしかにこの方法でもブーストは上がりますが、これは強化アクチュエーター(または追加スプリング)よりも

ブーストの立ち上がり方が不安定になりやすいですし、周囲の大気圧の違いによっても設定値が狂ってくるので

あまりお薦めはしません。 ですが手軽な方法ではあります。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~