(番外編)人とくるまのテクノロジー展2008
今年も招待券がきたので行ってみました。
●去年に続きパシフィコ横浜でおこなわれた「人とくるまのテクノロジー展2008」に
行ってきました。
やはり環境対策技術が中心でしたが、あまりそういうの関係なしに個人的に興味の
あったものを載せておきます。
●三次元カムエンジン その1
これはスズキのもので、もうだいぶ前から参考出品としていろんなショーで展示されて
いるものですが、まだ実用化には至らないようです。


一般的にミラーサイクルというと吸気バルブを「遅閉じ」することで実質的な圧縮行程を
減らしておこなうものが有名ですが、吸気バルブを「早閉じ」することでも同じ結果、つまり
アトキンソンサイクルと同じ効果が得られます。
早い話、吸気行程中にすでに吸気バルブを閉じてしまい、圧縮行程に入ってもシリンダー内
の負圧状態が正圧に転じるまでは実質的に圧縮行程に入らないというわけです。
ちなみにその場合、バルブが全閉の状態でピストンが下降するのはポンピングロスの増大に
繋がりそうな気もしますが、その後の圧縮行程ではその負圧が逆にピストンを引き上げる力と
して作用するので相殺されるどころか、うまく利用すればフライホイールと同様な効果が得ら
れるわけで、これは気筒休止エンジンで休止しているシリンダーのバルブが全閉なのと同じ
理屈です。 そういう意味では早閉じのほうがパワーロスが少ないとも言えます。
●三次元カムエンジン その2
上記スズキのものがカムとタペットが球面タペットによる点接触であるのに対して、こちら
はカム面にならってスイベルするロッカーアームを介しての面接触なので耐摩耗性について
は有利だと思われます。 ただフリクションは大きそうですが。

●バリオカム タペット部
ポルシェが採用している可変カム機構のカットモデルがあったのでいちおう写真を撮って
おきました。 このシステム、コンパクトではあるのですが直打式なのでリフト量がカム
に支配されるため、VTECなどに比べると可変の自由度は低いです。

●日産 VVEL
バルブトロニックやバルブマチックなどのようにリフトカーブ、リフト量を連続可変させる
システムです。 すでにスカイラインで採用されています。
ただ、これだけでスロットルバルブレスにできるところまではいってません。

●組み立て式カムシャフト
これは韓国メーカー等に採用されているらしいですが、たしかに軽量でコストは下げられる
かもしれませんが、精度的、剛性的には見た目やや不安を感じます。

●分割式クランク/カムシャフト用ローラーベアリング
参考出品されていた分割式のニードルローラー。 回転音はメタルより若干大きくなるよう
ですが、一番のメリットは停止状態から回り出すときの摩擦の少なさにあります。
一般的なプレーンベアリングはエンジンが回転していて流体潤滑状態が維持されていれば抵抗
も摩擦も少ないのですが、反面、停止状態から始動したり、また、回転を止めるときなど、
油膜が切れて境界潤滑状態になる際には摩擦抵抗も増え、磨耗も増加します。
そういった際にこのようなローラーベアリングを採用することで、頻繁な始動、停止をくり
返すエンジンにとってはかなりの省燃費とともに寿命の向上に繋がるのではないかと思います。
ただ、耐荷重性能はメタルに比べると劣ると思いますので、適用するとすると比較的排気量の
小さいアイドリングストップつきエンジンや、ハイブリッドのエンジンに向いていると言えます。

このエンジンの場合、カムシャフトベアリングのアウターレースは斜め(V字形)に分割されて
いたのですが、クランクベアリングのアウターレースは平行に分割されていたので、このまま
ではローラーがこの分割部を通過する度に打音が発生するものと思います。 実用時には斜めに
カットする必要があるでしょう。
●トロイダル CVT
日産のセドリック/グロリアで採用されて1代限りで姿を消したトロイダルですが、NSK社内
では開発は続いてるようで、去年も小型化されたものをデモしていましたが、今年はこれを
FF用のしかも左右のドライブシャフト間に採用し、要するにミッションとデフ、トルクスプリット
の機能をこれ1つで満たすものとして展示されていました。
ハンドルを切るとそれに応じて左右のトロイダルが別々に適切な変速をして差動と同時に
適切なトルク配分をするというものです。 もちろん、オープンデフのような片輪の空転も
ないわけです。 実用性は別として面白いものだと思いました。

●大型トラック用ハイブリッドシステム
さすがに大きいです。 私は以前の会社ではモーターや発電機の製造ラインの機械の製作も
していましたし、プリウスなどのハイブリッドモーターのラインのものもやっていましたが、
さすがにここまで大径のステーターのものは見たことはありませんでした。

●電気式スーパーチャージャー
いわゆる「電動ターボ」です。
ただし、これだけで全域でターボの代用ができるわけではなく、プライマリーコンプレッサー
として排気ターボが稼動するまでの「つなぎ」としての役割を重視しているようです。
たとえるなら、VWのTSIシステムがSCと排気ターボを併用していますが、このSCを電動ターボ
に置き換えた感じと捉えると良いでしょう。 もちろん電動ターボのほうが機械ロスが少ないぶん
燃費などには有利ではないかと思います。
もちろん、そのぶんオルタネーターの駆動負荷が大きくなると思いますが、大容量のキャパシタ
と組み合わせるなどで瞬間的な大電流に対応するなどの方法もあるかと思います。
個人的には軽自動車のような限られた排気量で少しでも大きな低回転トルクが欲しいエンジンに
向いているシステムなのではないかという気がします。
最高出力を上げるためではなく、低速トルクを増強するのが主目的と考えたほうがいいでしょう。


●三菱 可変ターボチャージャー
これは主にガソリン用で、早い話、可変A/Rタービンハウジングです。

●こちらも三菱ですが、主にディーゼル用で、排気タービン周囲にあるフラップの角度を
変えてノズルのようにして排ガスのエネルギーの小さいときは絞ってガス流速を上げて、
逆に排ガスのエネルギーの高いときは開いて抵抗を小さくするものです。
これはすでにかなり実用化されています。

なお、これらの機構について「排気のカーボン等で固着することはないのか?」と質問して
みましたが、たとえば発電機などのように一定回転、一定負荷のような運転ではそれもありえる
が、自動車のように負荷や回転数が常に変化する用途では常に動いているので問題はないという
ことでした。
●マツダ ロータリーエンジン 16X
言わずと知れた13Bに代わるマツダの新設計次世代REです。
13Bに比べると径方向を大きく、厚みを狭くした、言わばロングストロークREです。
ツインインジェクターで、1つはポートに、1つは燃焼室にインジェクターがあります。

●マツダ ガソリン/水素併用ロータリー

ロータリーの場合、直噴といってもレシプロと違って回転に伴い燃焼室の位置そのものが
移動していくため、直噴インジェクターの最適位置についてはどこがもっとも有効なのかを
見極めて配置するのが難しいのではないかと思います。
場合によっては点火プラグ同様、リーディング側、トレーリング側と2箇所のインジェクター
配置などもありえるかも知れません。
●トヨタ4.5L V8ディーゼル
ランクル用のヘビーデューティーなディーゼル。 ただし日本国内では未発売です。
現状で売ろうと思えば売れるのでしょうけども、日本および米国では来年あたりに厳しい
排ガス規制が始まる予定ですので、現状のEURO4クリア程度ではこの厳しい日本および
米国の規制をクリアできないため、今すぐに出しても意味がないというのもあると思います。
個人的にも現状のEURO4程度ではまだ甘いと思いますので、「クリーンディーゼル」を
名乗るのならどのメーカーも日米のこの新ディーゼル規制をクリアしてからにして欲しいと
思います。
しかし1500rpmほどで60kg-mを楽に超えるこのエンジンの大トルクはランクルにとって
は魅力でしょう。

●多段AT
レクサス8速AT、ベンツ7速AT、日産7速ATのカットモデルがそれぞれ展示されていました。

↑レクサスの8速AT。 去年も見ましたが非常にコンパクトです。

↑ダイムラークライスラーの7速AT。 いわゆる7Gトロニックです。
おまけ
●NGKのブースにプラグの接地電極の向きについての展示がありました。
電極の向きを適切な方向へ揃えることである程度の効果があることは知られていますが、
これも「環境技術」のひとつとして紹介されていました。

●低ころがり抵抗タイヤ
これを見て昔のタミヤRCの「サンドイッチタイヤ」を連想した人はそれなりの年齢か(笑
まさにそれを実車でやってしまったのがこのタイヤです。
