話題の「トヨタ流アルミテープチューニング」を試してみました(その1)
オカルトチューンっぽくもありますが開発は科学的に真面目におこなわれたものです

●今ネットで大きな話題になってるのですぐわかると思いますが、これはトヨタ自動車が開発した技術で、
バンパーなどのプラスチック部品やガラスに貼ることで静電気を除去するためのアルミテープです。
詳しくは下記リンクURL参照。
→http://response.jp/article/2016/09/14/281774.html
●クルマやバイクが走行すれば当然、空気との摩擦が起こりそこに静電気が発生します。 金属部品なら
それは端部から放電しますが、導電性のないプラスチックやガラスにはその静電気が帯電して、それが
走行中のボディ表面の気流を乱してとくに高速域での走行安定性が悪化したり、空気抵抗が増えたりと
ネガティブな作用として働いてしまうのです。 そこで、そういった部品に導電性のあるアルミテープ、
それも放電効果を高めるためにエッジの多い形状のものを貼ることで帯電を除去、これにより走行性能
が向上するというのです。

なんかすごくオカルトっぽい話に聞こえますが、すでにこれは1年以上前からトヨタ車の一部やレクサス車
に純正装着されており、国際特許も取得済みで、トヨタ自身も風洞実験やコンピューターシミュレーション、
実走行での検証などを記者発表しています。 量産車は1円でもコストカットしたいわけですから、こんな
テープでも科学的立証と効果がなければ純正採用するはずがありません。ましてや「カイゼン」などコスト
にうるさいメーカーであるトヨタならなおさらです。

↑実際にトヨタ車のフロントバンパー裏に純正で貼ってある静電気放電用アルミテープ。
そしてトヨタ自動車自身も「市販のアルミテープでも充分なので皆さんもぜひ試してみてください」と言って
います。 こうなると今後、街中でアルミテープを貼ったクルマが増えそうな気がしますね(笑)
ただこれ、わざわざ外から見える部分にこれ見よがしに貼る必要はなく、例えばバンパーの裏側とか見えない
部分に貼るだけで充分なのです。実際、トヨタ、レクサスの純正でもすべて表からは見えない部分に貼られて
いますし。要は放電できればいいのですから。
もちろん、これはオートバイにも応用できます。例えばフルカウルのバイクならカウルの裏側に貼れば良いわけ
です。
そして大事なのはそのアルミテープの形状。放電は鋭角部ほど効率良くなるはずなので、なるべくエッジが
効いている形状にすることが有効なはず。 実際、トヨタ純正のアルミテープも角部が多くなるような形をして
います。私が自作するとしたら弁当によく入っているバランみたいなギザギザ形状にしてみたいかな。 当然、
そのパーツに相応する面積もある程度必要でしょう。
いずれにしても、これは科学的裏付けもあるということで私もすごく気になりますし、安価に手軽に試せること
なのだから「オカルトと決めつけて最初から否定するのではなく、疑いながらもまずはやってみて評価すべき」
と考え、まずはもっとも疑問のある部分から実験してみました。
●個人的にもっとも疑問な「ステアリングコラムカバー」へのアルミテープチューニング

↑今回の発表で私が一番疑問を抱いたのがこのステアリングコラムカバーへのアルミテープの効果。
バンパーやガラス、スポイラーなどの外装部品なら走行中の空気との摩擦によって生じる静電気の除去という
理屈は理解できますが、この内装部品であるステアリングコラムカバーにアルミテープチューニングを施す
ことによって「ステアリングの接地感の向上、ロードインフォメーションの向上など」様々なメリットが生ま
れると言うのにはどう考えても疑問を抱かざるを得ません。

↑トヨタ86のマイナーチェンジ後仕様にはこのようにサイドガラスとともにステアリングコラムカバー内側
に純正でアルミテープが貼られています。 これには何らかの意味があることは間違いないでしょう。
●ということで、今回は手始めにこの一番効果に疑問のある(と言うか理屈が理解できない)ステアリング
コラムカバーへのアルミテープチューニングを試してみたいと思います。
●用意したアルミテープ

↑ホームセンターで購入したニトムズの「光沢アルミテープS」。 100均のアルミテープでもいいので
しょうけど、より確かな製品を使いたかったのでこれにしました。値段は700円ほどです。
●まずはテープの導電性の確認から
テープの素材自体はアルミニウムなので当然電気は通しますが、それを貼り付ける粘着剤が電気を通さな
ければ意味がありません。そこでまずは導電性の実験をします。

↑両面をスコッチブライトで軽く磨いた10円玉を用意します。もちろん別に10円玉でなくても5円玉でも
1円玉でも構いません。 10円玉を選んだのは単に銅がいちばん電気抵抗が少ないからという理由です。

↑その10円硬貨の両面に適当な大きさに切ったアルミテープを貼り付けます。

↑そしてテスターを用意して両面からテスターの先端を当てて電気抵抗を見るのです。

↑どうですか、アルミテープの上からでも見事に「0Ω」です。 これでニトムズのアルミテープは貼り付け
た状態でも問題なく電気を通すことが確認できました。
注釈)指で直接端子を持っているので人体を通じて導通してるのではという疑問もあるかと思いますが、人体
の電気抵抗はMΩ単位もあるのでこの実験では無視して構わないレベルです。
●実際に車のステアリングコラムカバーへの装着作業に入ります

↑私のJA22ジムニーのステアリングコラムカバー。 トヨタ86と同じように下側のカバーの内側にアルミ
テープを貼るため分解します。

↑コラムカバーを外すのは簡単です。タッピングビス3本とM5ネジ3本をドライバーで外すだけです。
●アルミテープ放電シートの製作
前述したように、効率良く静電気を放電させるためには切ったアルミテープをただ貼ればいいのではなく、
ある程度の面積と、エッジの多い形状にすることが重要です。 たとえばスパークプラグの中心電極を
イメージしてください。電極が細いほど少ない電気エネルギーでも放電が起きやすくなるのと同じです。

↑私なりに考えてこういう形状に切り出しました。 クシ状にしたのはトヨタ純正のテープと同様、
一種のアンテナ効果を狙ってのものです。そして各部の角を面取りしてできるだけ鋭角部を多くして
放電効果を高めるように考えて工夫しました。 この形状がベストかどうかはわかりませんが、少なく
ともただ四角く切ったテープを貼るよりはずっと効果的なはずです。

↑切り出したアルミテープをコラムカバー内側に貼り付けます。もちろん、貼る前にはシリコンオフなど
で脱脂しておくことを忘れずに。しかしこんなんで本当に何かが変わるのか…疑問は拭いきれませんね。

↑アルミテープを貼ったコラムカバーを再び元どおりに組み付けます。これで準備完了です!
●それでは実際に走行してのインプレッションといきましょう!

↑おっと、その前にまず基本としてタイヤの空気圧がいつも通りかをチェックしておきます。 ここで
空気圧が0.1kg/cm^2でもバラついていたら、あるいはいつもと違っていたら正確なインプレッションが
できませんからね。ここは重要です。
それでは、走り出します…が、気のせいでしょうか、駐車場を出る際の段差を降りるときのフロントタイヤ
から伝わってくる感覚がすでに「何か違う」感じです。すごくソフトな印象なのです。 そして細い路地を
走って大通りに出ると「やっぱり違う」。 ステアリングに重みというか、どっしり感があり、路面の凸凹
やうねりにハンドルが取られないのです。そう、直進性がすごく良くなってる感じで、フラつき感がまったく
ありません。 逆にステアリングを切ったときはパワステ(JA22は電動パワステです)の重みが今までより
重くなったと言うか、直進時とコーナリング時のメリハリがハッキリとしていて走りにシャープさが増した
感じになりました。 路面の凸凹から伝わってくるインフォメーションは今までと同じなのに、今まではその
凸凹にいちいちステアリングが取られていたのがほとんど消えたため、運転がとても楽になりました。
たとえば、私のジムニーはMTですので、当然シフトチェンジ時は片手でステアリングを握ることになりますが、
こういうときに荒れた路面だと今までは瞬間的にせよハンドルを取られていたような場面でもハンドルが取ら
れないようになったのです。 なぜこういう変化が出たのかは不明ですが、とにかく、原理はわかりませんが
確かにトヨタが言っていたようにフロントタイヤの接地感の向上とステアリングの安定感の向上は感じられ
ました。 それも決して高いスピード域での話ではなく、一般道の40km/hから60km/h程度のスピード域
でもその違いは充分にわかるほどです。

↑タウンスピードの領域でもフロントタイヤの接地感の向上はたしかに感じられました。本当に不思議です。
●高速道路でのインプレッション
ためしに高速にも乗って適度に飛ばしながらレーンチェンジなどをおこなって車の挙動などを試してみました
が、そう、これはフェンダーストレイキを装着した時に感じた変化によく似ています。 うねりやわだちの
多い路面でも直進安定性が向上し、それでいてステアリングを切ったときのしっかり感も向上している。
こんな背が高くホイールベースの短いジムニーのようなクルマだからこそこうした変化がより一層顕著に感じ
られるのだと思います。

●今回のアルミテープチューニングの総評
結論から先に言えば「確かに変化は感じられました。もちろん良い方向にです」。 しかし私にはこれが
どういう原理、理屈が作用してそうなったのかは現時点では科学的な説明は残念ながらできません。ここが
非常に歯痒いというか納得のいかないとこですね。

ただひとつ言えることは「トヨタの言うことは正しかった」としか言いようがありませんね。 さすがは
世界一の自動車メーカーです。まさに脱帽と言うところです。

↑今回はまずステアリングコラムカバーのみのアルミテープ施工でテストしましたが、これだけでも大きな
変化が感じられたのですから、F、Rバンパーやフロントおよびサイドウインドウ、そしてリアスポイラー
などにも効果的に貼ればきっと高速域では大きな効果が期待できる気がします。 すぐにおこなうかどうかは
わかりませんが、貼る位置や大きさ、形状などを検討して近いうちにまたテストしてみたいですね。
<おことわり>
今回のアルミテープチューニングのような微妙なものはそれが「体感できる人と体感できない人」が必ず
います。ですので、これをおこなって何も変化が感じられなかったからといって私にクレーム言われても
困ります。 世の中にはたとえばサスセッティングで前後の車高バランスを5mm変えただけで分かる人と
分からない人、タイヤの空気圧を0.1kg/cm^2変えて分かる人と分からない人がいます。そういうレベルの
話だと理解してください。 しかし、車の味付け、チューニングというのは本来こういうものだと思います。
