メッキリアバンパー
試験的にリアバンパーをメッキしてみました。

↑メッキ加工した純正リアバンパー。 下面より。

↑こちらは上面より。
●今回はちょっと試験的な意味もあって中古の純正リアバンパーをメッキしてみました。
JA11までの金属製バンパーと異なり、JA22になって前後ともバンパーは軽量化と歩行者保護のために樹脂に
なりました。
そのためたとえば電解メッキしたくても、金属にクロームメッキするようには簡単にはいかず、サンディング
および下地塗装、無電解ニッケルメッキをおこなってから、やっと通常のメッキ工程に移ります。
この樹脂へのクロームメッキというのは量産であれば非常に単価は安いのですが、単品でおこなうとなると
逆に非常に高価なものになります。
そこで、当方でも仕事でよくおこなっている代替クロームメッキとも言える方法のひとつで、安価にクローム
メッキとほぼ同じ外観にできる方法としてスパッタリングメッキという方法があります。
今回のバンパーはその方法にておこないました。
ちなみに、スパッタリングメッキはクロームメッキとは逆で、単品ではクロームメッキよりも安いのですが、
逆に大量生産となると歩留まりの悪さ(安定した品質が得にくい)からかえって高価になります。
ですので、当方でも主に量産前の試作品への参考仕上げや、個人やショップレベルの単品、ごく少数の数量
への施工がメインとなります。
ただ、今後は環境問題などの理由から、量産品でもクロームメッキの代替としてこのスパッタリングメッキ
は欠点を克服することで量産品でも見直されてくるかと思います。
スパッタリングは有害な廃液を出さないので、現に主力メーカーもそれに向けて検討しているようです。
それで、今回なぜ「試験的」としたかというと現時点ではスパッタリングはクロームメッキよりもサイズ制限
が厳しいのです。
設備の大きさの関係で、端部までメッキがまわるのはせいぜい長さ1200mm程度までで、それ以上になる
と端部のとくに絶ち面方向はメッキがのらないか、粗くなります。
ですので、通常のお客さんの品物ではリスクが高いのでおこなわないのですが、今回は私物でもありますので
割り切って1300mm長あるこのバンパーをメッキして端部までメッキがつくか試してみようと思ったわけです。
●工程
ご存知のようにこの種の樹脂パーツはもともとザラザラのシボ仕上げ(サメ肌)が施してあるので、そのまま
メッキした場合、このザラザラのせいで汚らしくなります。
しかも今回のように中古品ベースの場合はあちこちについた細かい傷や汚れがさらに仕上がりを悪くします。
ですので一般的にはまず全体をペーパー等でサンディングし、その上にPPプライマー(PP樹脂ですので)
を塗布、その上にさらにグレープライマーを塗り、ここで下地磨きをし、その上にさらにウレタン塗料で
通常通りの塗装光沢面にして、それからやっとメッキ工程に入るという非常に手間ひまかかることを行ない
ます。 メッキの仕上がりは何より下地で決まるのです。 当然、金額も通常の塗装の倍くらいになります。
ですが、今回は仕事でもないですので、こうした仕事であればおこなう面倒な工程は省いて、中古バンパー
に直にPPプライマーと下地塗装を軽く1層だけおこなってメッキしました。(要は時間がなかった…)
逆に言うと、この程度の「手抜き工程」でどの程度の仕上がりになるのかというのを見てみたいという
のもありましたので(笑)
それで、仕上がりは上の写真のようになりまして、近付いてみるとたしかにアラすぎますが、だいたい
1メートル〜1.5メートルも離れればまず問題のない程度の外観にはなったかと思います。
ちなみに、昔はよくタクシーなんかメッキバンパーが多くて、後ろにつくとライトの反射で眩しかった
経験もあります。 今回の場合もそれは気にしたのですが、形状的に意外と後部垂直の平面部が少ない
ので、そんなには迷惑にはならない範囲ではないかと思っています。
●取り付け

純正バンパー取り外したところですが、意外とこのサイド部分が錆びていることがありますので、
裏側などもチェックしたほうがいいかも知れません。 私の車は問題ありませんでした。

純正バンパーとそのまま交換します。
軽自動車はナンバープレートの封印がないので面倒はありません。
バンパーの交換は難しいことは一切ありませんが、けっこうネジ本数が多いです。
交換してみると、想像していたよりもけっこう印象は変わったと思います。
ちなみに、この型のジムニーのリアバンパーの3分割構造は非常にいいと思います。
これならもっとも擦ってしまう頻度の多いコーナー部を擦ってしまった場合でも、この部分だけ
外して修理、または交換すれば済むので修理の際にとても合理的だと思いますので。
こういうのが機能的デザインと呼べるものだと思います。
●蛇足ですが
ジムニーの社外品では純正バンパーを外して、金属パイプ製のバンパーをつける場合が多くありますが
最近はこのようなバンパーでも基本的には継続車検は問題なくなっています。
ですが、ここで勘違いしてはいけないのは、これはたとえ寸法の基準(いわゆる指定部品で、ある一定の
範囲ならOKと言われるもの)を満たしていても必ずしも車検に通るというわけではありません。
上記でも歩行者保護について少し触れましたが、バンパーというのは接触したときに自車を保護すると
同時に、接触した相手のダメージを最小限にとどめる構造、形状であることが重要です。
最近は安全性の観点から、この相手へのダメージを少なくすることが重要視されてきており、とくに
歩行者との接触の際には重要です。
これは、単に走行中での接触だけでなく、たとえばスーパーやホームセンターの駐車場などでの駐車中
でも、歩行者がつい車の角などに接触してしまった際などにも怪我をさせないことなども考慮する必要
があります。
ですので、たとえ寸法を満たしているからと言って、歩行者を傷つけるような危険な形状で出来ている
ようなもの(鋭角なのはもちろんのこと、たとえRがついていても充分な大きさが取れていないものや
コーナーに保護パッドがないもの、ある程度の力が加わっても変型すらしない頑丈すぎるものなど)は
「危険突起物」とみなされる場合もありますので、こうした場合はいくら製造業者が車検対応と謳って
いても、検査員の判断で車検は通らないこともあると思いますし、私個人的にも街中での使用の安全を
考えるとこうした製品は凶器ともなりますので、むしろ市場から排除すべきと思います。
つまり「寸法的には保安基準に適合していても、形状などで危険物にあたる」こともあるということです。
自作でバンパーを製作する場合などはこうした点にも配慮したうえで製作されたほうが良いでしょう。
ですが、残念ながらジムニー用の社外バンパーはこうした「凶器バンパー」とも言えるものが少なくない
と思います。 社外パーツメーカーも限定的用途での機能を重視するあまり頑丈につくることばかり考えて
このへんのバンパーにとって本当に重要なこと、本来の機能をまるで考えていないところも多いようです。
自動車メーカーも以前はよくカンガルーバンパーをつけた車種を出していましたが、最近は無意味である
ことから少なくなってきましたが、こういう純正部品は比較的薄肉のパイプが多く、変型しやすいように
造られていたり、角部を樹脂でカバーするなど最低限の保護対策はしてありましたので、まだ社外品の
いたずらに丈夫なものよりはいくらかかわいいほうでしょう。
これと類似するものに、最近のGTカーのエアロパーツでも必要以上に横幅のあるウイングやカナード板
なども材質や形状によってはかなり危ないものも(自作品も多いのでしょうが)街中でよく見られます。
バンパーは接触や衝撃で変型することで衝撃を吸収するようにできているわけで、これをやたら頑丈に
つくってしまっては、相手によりダメージを与えることはもちろん、ある程度大きな衝撃が加わった際に
バンパー自体が衝撃を吸収してくれないので、自車のフレームにまでダメージを与えることになります。
競技や公道と繋がっていないクローズドコースで使用するだけならどのようなものでも構わないと思い
ますが、街中での使用を前提とする場合はこのへんの「歩行者に対しての安全性」ということもこれから
の時代は非常に重要になってきますので、きちんと考えた製品造りが必要だと思いますし、それが業者と
しての義務であると思います。