BIGトルクII

また燃料ドーピングを試してみました


●以前にKUREのスーパーパワーブースターを試したときには高負荷時にノッキングが発生

してしまい、それ以来燃料添加剤の類は使っていませんでしたが、今回、また懲りずに試し

に使ってみました。

↑BIGトルクII。 たまたま寄った東急ハンズで見つけました。

この製品はとくに「低速トルク重視」との謳い文句ですので、私のようにHT07-A/R12の

ような大きめのタービンでノーマルより痩せた低速トルクの改善に少しでも効果があったら

面白いかもと思って買ってみました。 とくに4000rpm以下での効果を謳っています。

また、このBIGトルクIIというのはオクタンブースター、つまりオクタン価を上げる作用

も持つとのことですので、以前のスーパーパワーブースターの時と違い、ノッキングに対し

てもある程度は安心できるのではないかというのも試してみたくなった理由のひとつです。

なお、このBIGトルクIIは主に低中速域の強化を謳っていますが、全域でトルクアップをすると

いうBIGトルクXという製品もあります。 昔あったペトロナムという製品の代替版のようです。


●添加剤以前に重要で見落としがちなもともとのガソリン品質について。

スーパーパワーブースターでもこの製品でも、この手の添加剤に共通することとして、

燃焼速度を上げる効果をもっているらしいので、その燃焼速度の上昇に対してオクタン価

が追いついているかどうかが重要になります。

燃焼速度の上昇にオクタン価が追いついていればノッキングは起こりませんが、逆の場合

はノッキングが起こってしまいます。 つまり、要求オクタン価に満たない場合です。

そこで重要になるのは「元々のガソリンのオクタン価」になるわけです。

いちおう、JIS規格ではハイオクガソリンの最低オクタン価は96となっていますが、

市場では同じ「ハイオク(プレミアム)ガソリン」でもオクタン価にはバラツキがある

のが現実で、詳しくは後述しますが、悪質なガソリンスタンドではそれを下回っている

場合も十分考えられ、これが問題を起こすかどうか(ノッキングを起こすかどうか)の

別れ目となります。

 

たとえば、添加剤でオクタン価が「3」上がるとします。

それを混ぜるガソリンのオクタン価が「96」であれば合計でオクタン価は99になりますが、

元々のガソリンのオクタン価が「92」しかなければ添加剤を入れても「95」にしかなら

ないことになります。 この僅かなオクタン価の差が問題を起こすことに繋がります。

つまり、元々入っているガソリンがオクタン価の高い「高品質」なものなのか、オクタン価の

低い「低品質」なものなのかによって添加剤の効能が変わってくるということです。

たとえば、同じ添加剤を同じ量入れたのにトータルのオクタン価が99のほうではノッキングは

起きないが、オクタン価95のほうではノッキングが起きてしまうというような感じです。

なお、この場合のノッキングですが、明らかにカリカリ、キンキン、あるいはチリチリといった

明確なものでだけではなく、運転者があまり気がつかないいわゆるトレースノック〜ライトノック

程度が常時発生しているような状態でも危険で、この状態で長く運転しているとエンジンが異常に

熱を持ち、過熱状態、いわゆるオーバーヒートすることがあります。

(前モデルのヴィッツRSターボで、レギュラーガスを入れたことで過熱から発火事故にまでなった

例がありましたが、これもオクタン価不足によってエンジン内部でこれと同様な状態が引き起こされ

たか、或いは排気温度の異常な上昇が原因ではないかと思われます)ですのでハイチューンエンジン

ほど、ガソリンそのものにも気を遣ったほうが良いと言えます。

 

とくに注意しなければならないのは過激な安売り競争をしているスタンドで、悪質なスタンドの

ハイオクガソリンは原価を下げるため、ガソリンよりずっと安価な灯油を混入した悪質なガソリン

(一応、法律上ではタンクローリーのタンク共用などの際に混入することを見越して4%までは灯油

が混ざっても良いことになっています。 悪質なスタンドではこの法律を悪用してわざと灯油を混

ぜているとの話も聞きます)もあるという話なので、できれば避けたほうが安全かもしれません。

灯油が混ざるとオクタン価はガクンと下がりますのでチューニングしたエンジンにはとくに危険です。

ノーマルエンジンならメーカーがはじめから「市販されている最悪の品質の燃料を想定して」セッティ

ングしていますので大きな問題は生じませんが、何らかのチューニングをおこなったエンジン、とくに

点火時期や燃調、ブースト圧を変更した場合はあまり安価なガソリンは避けたほうが良いと思います。

「高品質なガソリン+添加剤」であればその恩恵を受けてよりパワーアップセッティングができます

が、「低品質なガソリン+添加剤」の場合は恩恵どころかノッキングの発生により、最悪はエンジン

を壊すことにも繋がってしまう危険があるのです。

→ガソリンとノッキングについてはこちらのページでも書いています。

 

↑裏の注意書き


●ガソリンへの混合

このBIGトルクIIの混合割合は、ガソリン30〜60リッターに対して100ccとなっております。

つまり、1/600〜1/300の割合となります。 まずはもっとも少ない割合、即ち1/600から試し

てみました。(なぜ最も少ない割合からおこなったのかは最後にその理由を書きます)

また、説明書きにもありますが燃料と馴染ませるために入れてから数日おくと良いということです。

(他社の同様のオクタン価向上剤でもだいたい同様のことが書かれていますので、この手の製品

に共通のことのようです) ですので、とりあえず給油時に入れてその日は乗らずに翌日から乗り、

その後も数日間何度か街中、高速と走ってみました。

その結果わかったことは、このBIGトルクIIは効いてくるまでけっこう時間が必要のようで、入れた

翌日ではほとんど変化を感じませんが、3〜4日ほど経つとわりと明確に感じることができます。

これは私の想像ですが、この類の添加剤はただガソリンと混ざればいいという訳ではなく、ガソリン

との間で何らかの化学反応を必要とし、そのために効果が出るまである程度の時間が必要なのかなと

考えます。 要するに、スーパーパワーブースターのような「即効性」はないということです。

 

●実走行での変化

実際の効果ですが、1/600の割合では正直なところほとんど体感的な変化は感じられませんでした。

厳密に言うと気持ち程度ブーストのかかっていない領域でのトルクは若干向上したような気もしない

でもないですが、この程度ではプラシーボの域を出ていないと思います。

次に、濃度を上げてみたらどうかと考え、一気にもっとも高い割合である1/300で試してみました。

さすがに最高の割合だけあってか、劇的な変化とまでは言えないですが、確かに低速トルクが向上して

いることを実感することができました。 「出足からブーストがかかるまでの車の動きが軽くなった

なぁ」という感じです。

体感度としては以前に使用したKUREのスーパーパワーブースターとほぼ同じ程度のトルク向上が

得られている感じです。 また、意外なのは低速トルク重視を謳った製品でありながら、ブースト

がかかってからの回転の昇りも今までより全体に若干軽くなっているように感じられました。

 

で、もっとも心配していたノッキングについては、いつも通り高速での5速フルブースト全開走行

をおこなってみましたが、高速ノッキングのチリチリ音も出ずまったく問題はありませんでした。

この点についてはスーパーパワーブースターよりも安心して使用できるものと思いました。

スーパーパワーブースターのときは、5速どころか2速全開でもノッキングが発生してましたので。

そういう意味ではこの製品は、低速トルク向上効果もありますが、オクタン価を若干上げるための

オクタンブースターとしての効果も高いと考えても良さそうです。

 

●パワーメーターの表示

1/600混合時、1/300混合時で比べてみました。 場所や時間帯はもちろん、ガソリンの積載量も

ほぼ同じにして比較してみました。 気温はだいたい22〜23度くらいだったと思います。

↑1/600混合時のパワーメーター上ではこのような数値になりました。 冬場ならこのくらいの

数値も珍しくありませんが、この時期の気温としては良すぎると言える数値です。 もしかしたら

BIGトルクIIは低速トルクだけでなく、全域で若干のパワーアップ効果があるのかもしれません。

↑1/300混合時の表示。 2PSとほんとに若干ですが1/600時よりも高くなりましたが、この

程度はあくまで「誤差の範囲」です。 ハッキリとした差があるとまでは言いきれません。

ここ最近の変化のパワーメーター表示の流れとしては、マフラー交換後125PS→インタークーラー

放熱塗装後137PS→そして今回の142PSという感じになります。 もっとも、真夏よりは気温は

下がってきていますのでその影響も考慮しなければなりませんが、冬場でもないのにこの数値は

かなり良い数字と言えます。

※何度も書きますが、このパワーメーターiDの馬力表示は絶対値にこだわっても意味ありません。

実際の馬力はこんなに出ているはずはありえませんので(私の車の実馬力はいいとこ110PS前後

ではないかと思います)。 ですのでパワーメーターの数値は絶対値ではなく相対的に比較して

どのくらい変化があったかを見るのが正しい見方と言えます。

 

●排気温度

↑これは1/300混合時の全開走行後の排気温度ピークホールド。 900度を僅かに超えて

しまっています。 素のハイオクガソリン時では880〜890度くらいが最高値でしたので、

BIGトルクIIを入れたことで低回転域だけでなく、高負荷、高回転域も含めた全域で燃焼に

何らかの変化が出たのだと思います。 しかしできれば900度は超えたくないところです。

 

●燃費

実は今回もっとも驚いたのは燃費で、高速でかなり全開加速や連続全開をくり返したのにも

かかわらず、満タン法で14.3km/lと凄く良い数値を出してくれました。 これは意外でした。

理屈から言えば添加剤を入れたところでアクセルの踏み方が変わらなければ燃費には影響は出

ないはずなのですが、今回のテストではなぜこんなに良くなっていたのか不思議です。


●最後に、この手の添加剤に共通の注意点として「入れすぎ」は禁物です。

この手のパワー系の添加剤は薬と同じように「少し多め(濃いめ)くらいにしたほうが効果が

ありそう」と思ってしまいがちですが、これは下手をすると逆効果になります。

その理由は、規定量より濃くしてしまうと燃焼速度がオクタン価に対して速くなりすぎてしまい

かえってノッキングを誘発する危険があるからです。

ですので、はじめは「規定範囲内でできるだけ薄い(少ない)濃度」になるように入れるのが

正しいと考えたほうが良いです。(最も少ない混合比からはじめたのはこうした理由です)

とくに、オクタン価の低い質の悪いガソリンと高濃度の添加剤の組み合わせは前述したように

ノッキングの発生など、最悪はエンジンブローに繋がる可能性もありますので注意が必要です。

これはとくに点火時期を進めたり、ECUチューンやブーストアップ、タービン交換などをおこ

なってノーマルよりノッキングが起きやすい状態になっているエンジンほど入れすぎには気を

つけたほうが安全です。

コスト面ですが、前述しましたように、このBIGトルクIIは30〜60リッターで100ccと書かれ

ていますので、ジムニーの40リッタータンクではだいたい65ccから130ccくらいの範囲となり

ます。 この製品の実売価格は500ccで2400円程度ですので、ジムニーの場合、満タン1回

あたりの金額は300円〜600円程度となります。

コストパフォーマンスについては難しいところですが、この種の燃料添加剤としては悪くは

ないほうだと思います。 ただ、要望としてはやはり即効性が欲しいところ。 効いてくるまで

に時間がかかりすぎるのが難点です。

 

なお、この種の添加剤の使用上のデメリット、とくに長期継続使用によるデメリットについては

私も確認しておりません。 混合する量は極々僅かなのでそれほど心配は要らないと思いますが、

表示では「アルコール類」と書かれていますので、昔、アルコール系燃料のガイアックスで問題

になったような、燃料系統やアルミ部分についての腐蝕、ゴム部分への攻撃性の心配が全くない

とは言い切れません。 使用はあくまで自己責任です。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~