強化クラッチへの交換

滑り出していたクラッチを強化品に換えました。


●以前の記事でクラッチが滑り出していたと書いた私のクルマですが、しばらくはこのまま乗っていよう

かと思っていましたが、僅かづつとはいえ、滑った状態で使用しているとフライホイールまで焼けて

最悪クラックが入ってしまう可能性があるため、とりあえず交換することにしました。

現状ではフル加速すると6000rpmから一気に滑って回転がジャンプしてしまう状態ですので。

当然、純正品ではトルクに負けて滑ってしまうのは目に見えているので強化カバー&ディスクにします。

 

↑選択したのはタニグチのディスク&カバー。 ダイキンクラッチ製で、ディスクはノンアスのものです。

レリーズベアリングとインプットシャフトベアリングは純正部品です。

伝達トルク容量は約2倍になっているとのこと。 圧着力のほうはわかりませんが、純正は約250kgfとの

ことですが、スズキスポーツのノンアス用クラッチカバーが約350kgfということですから、たぶんそれと

同じくらいなのでしょう。

あまり圧着力が強すぎるのもレリーズベアリングやレリーズフォーク、ワイヤー等にかかる負担が心配に

なりますので、強ければ良いというものでもありません。

ちなみに、レリーズベアリングは純正品以外にも、APIOから純正互換のベアリングが発売されています。

問い合わせたところこのベアリングは純正品よりもベアリングボールの数を増して、より耐久性と滑らかさ

を増しているとのことでした。 今回、私は使用しませんでしたが、圧着力の強い強化クラッチに換える

ことを検討されている方は使用してみるのもいいかも知れませんね。

 

ジムニーのクラッチはわりと選択肢があり、各メーカーからメタルタイプ、ノンアスタイプのものが出ています。

私が過去に乗っていたR32GT-RではTILTONのツインプレート、パルサーGTi-RではOSのツインプレートを使用

していました(ともにダンパーなし&軽量フライホイールとのセット品)ので、メタルタイプのクラッチでも

よかったのですが、このジムニーはあまりノーマルとかわらない感覚で使用したかったこと、ノーマルと同等の

寿命が欲しかったこと、トライアル競技などハードな使用はしないこと等を考慮して、今回はノンアスタイプの

ディスクを選択しました。

ただ、ジムニー用のメタルクラッチはメタルタイプとは言っても、純正フライホイールとの組み合わせ&ダンパー

付きディスクが多いですので、それほど扱いにくいものではないと思います。

ちなみに、これはジムニー用に限らずですが、各社、各ショップからいろんな強化クラッチが出ていますが、その

ほとんどはこのダイキンクラッチ(エクセディ)製か、小倉クラッチ製のものです。

ですので、基本的にはどの会社のものを選択しても、性能差はほとんどないと考えて構わないと思います。


●交換作業

今回は仕事上でもプライベート上でも10年来のつきあいでもある(有)緑整備センターさんに作業をお任せ

することにしました。

私自身、若い頃は整備工場で働いていた時期もありましたので、乗用車から4トントラックまでクラッチ交換は

何度もおこなったことはあるのですが、恥ずかしながら最近はすっかり軟弱者になってしまったので、長時間

クルマの下にもぐっての作業はする気がなくなっております(汗) 

ちなみに、ここの社長自身もJA71、JA11と乗っていましたし、 OPTIONカプチーノ/AZ-1でのF6A最高速仕様は

記憶にある方も多いと思います(私自身も当時、このエンジンのパーツ設計、製作に携わりました)。

 

↑外したノーマルクラッチ。

写真のようにディスクの厚さは約7.2mmと新品と変わらないことから、殆ど磨耗していなかったことが解ります。

つまり、磨耗によって滑ったのではなく、純粋にエンジンのトルクにクラッチの容量が負けたということです。

 

よく強化クラッチで「◯◯◯馬力対応」と書かれていることが多いですが、クラッチの容量というのは馬力では

なくトルクです。

たとえば、今回のような軽自動車の例で言いますと、最高出力が同じ120馬力のエンジンであっても、最大トルク

が13kg-mのエンジンもあれば、15kg-mのエンジンもあるわけです。

この場合、たとえば強化クラッチの許容トルクが14kg-mであったとした場合、13kg-mのエンジンでは滑らなく

ても15kg-mのエンジンでは滑ってしまうということになります。

つまり、馬力は同じでもそのエンジンの最大トルクによって、滑る場合と滑らない場合があるということです。

一例で言うと、たとえばF1のエンジンはそのパワー(700馬力以上)から考えると相当強力なクラッチが使用

されているように感じるかも知れませんが、実際は同じ排気量の市販車のクラッチと許容トルクはたいして変わり

ません。 これは、F1のエンジンはたしかに馬力は凄いのですが、それは回転数で稼いでいるだけで最大トルク

そのものは市販車の同等の排気量のNAスポーツエンジンとたいして変わらないためです。

ミッションもそうですが、クラッチ等駆動系のパーツはパワーではなく、トルクで考えるものなのです。


●交換後のフィーリング

まずペダル踏力の増加ですが、ほとんどノーマルと変わりません。 はっきり言って強化クラッチを入れている

と言わなければ…というか言っても気がつかないでしょう。 とにかく拍子抜けするほどに軽いです。

軽自動車の強化クラッチは私ははじめてなのですが、こんなもんなんでしょうか? なんか「本当に強化されて

るの?」と疑問に思えてしまうほどです。

それに加えてノンアスディスクということもあり、半クラッチでの扱いやすさやペダルストロークもノーマルと

全く変わりません。 とにかくすべてがノーマルフィーリングです。

もちろん、フル加速でパワーバンドに入ったときのクラッチの滑りはなくなりましたので、圧着力は強化されて

いることは確かです。

総じて言いますと、純正と変わらないフィーリングで強化クラッチにしたい人にはオススメできるクラッチです。

競技に使う場合などは耐バースト性や耐フェード性を考えるとメタルクラッチの選択も有効ですが、街乗りメイン

でハードな使用をしない場合はそこまで必要ないと考えます。 あとは好みで選んでいいでしょう。


●そういえば、雑誌とかでよく「ノーマルカバーでも使用可能」とか書かれているメタルクラッチディスクが

ありますが、個人的にはこれはやらないほうがいいと思います。 もし、組み合わせる場合はディスクの厚みに

注意してください。

ノンアスディスクとメタルディスクは基本の厚みが違い、ノンアスは7.2mm、メタルはたいてい5mm前後です。

つまり2mmの違いがあるわけですが、この5mmというのはノンアスディスクの使用限界の厚みに相当します。

つまり、ノンアスディスク用のカバーにメタルディスクを組むことは、磨耗したディスクを組むのと同じことで

カバー側から見れば本来の設計圧着力が得られません。

たった2mmと思われる方も多いでしょうが、ダイアフラムスプリングのように単なる「皿バネ」のものの場合は

セット過重を維持できる範囲は非常に狭く、一説によると1mm程度磨耗しただけでも圧着力は10%以上低下する

とも聞いています。

ジムニーで多く使用されているメタルディスクは3枚羽根のタイプが多く(私はストリートで使用する場合はこの

タイプではなく、円周タイプのほうが耐久性があるので好きです。 この3枚羽根タイプは、競技等で使用する

など慣らしをほとんど行えない場合に有利なタイプで、ストリートのように初期慣らしを充分に行える場合は接触

面積の稼げる円周タイプのほうが理想です)接触面積が狭いので、純正のカバー圧着力では伝達トルクは思ったほど

上がりません。

ですので、メタルタイプディスクの場合は必ず専用のカバーとセット、さらに言えば専用設計のフライホイールと

セットで交換したほうがいいでしょう。

もちろんこの逆も然りで、ノンアスディスクにメタル用カバーも圧着力とストロークのバランスが崩れる恐れが

あり、ディスクの耐久性の低下や、バーストに繋がる危険性がありますので、無用なトラブルを避けたい場合は

やはり専用のカバーと組み合わせたほうが吉です。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~