ジムニー(K6Aターボエンジン)の社外エキマニ(タコ足)について

K6Aエンジン用には様々なエキマニが販売されていますが、それらの特徴を見てみます


●K6Aエンジン、と言うかジムニーには有名、無名様々なショップからエキゾーストマニホールド、

いわゆるタコ足が発売されています。 当然ながらその出来、クオリティはピンキリで、取り付ける

のに大幅な加工が必要であったり専用工具が要るなど苦労する精度が悪いものも少なくありません。

また、エキマニの大敵である「割れ、クラック」が生じやすいものも多いですが、これは現状の材質

を使っているかぎりある程度諦めるしかないでしょうね。

以下、まずはエキマニ選びのポイントをいくつか書いていきたいと思います。


材質

これはほとんどすべての社外品はオーステナイト系ステンレスSUS304を使用しています。ただ、一部

にはフランジだけは通常のSS材スチールという製品もありますが。 このSUS304という材質ですが、

「いちおう耐熱鋼」なのでコストを考えれば無難な選択ではあるのですが、SUS304の耐熱温度(高温

で強度を維持できる温度)はせいぜい800度程度なので、排気温度が850度から1000度近くにも達する

ターボエンジンのエキマニの材質としては実はあまり適しているとは言えないのです。だからどうしても

長期使用による金属疲労によってクラック(ヒビ)が入って割れてしまうのです。 本来ならニッケルが

主成分である耐蝕耐熱超合金であるNCF材、俗にインコネルなどと呼ばれる材質で作れればベストなの

ですが、この材質はなにしろ高価でなおかつ加工や溶接も大変なため、とても軽自動車のエキマニに使う

にはコストが見合わないためワンオフでもないかぎりまず採用するショップやメーカーはないでしょうね。

あのレクサスLF Aでさえエキマニを当初はインコネルで作る計画だったものがコストの都合でステンレス

にしたくらいですから。 ちなみにエキマニの材質でチタンもありますが、これも耐熱温度はSUS304と

たいして変わらないため、排気温度がせいぜい800度程度のNAエンジンでしか通用しません。

↑グループCカーの日産VRH35Zエンジン。3.5リッターV8ツインターボです。このエンジンのエキマニは

インコネル製で、耐熱温度は1400度近くにもなります。ですので排気温度が1100度以上で常用しても

まったく耐久性に問題はありません。 さすがはコスト度外視のワークスレーシングマシンです。

 

集合部までのパイプ長さ

これは以前から私は書いていますが、NAエンジンなら第一集合部、第二集合部までの長さでトルク特性の

チューニングをおこないますが、ターボエンジンの場合はまず何より「排気ガスの持つ熱エネルギーを

いかに落とさずにタービンまで導くか」が重要ですので「出来うる限りパイプ長さを最短距離にする」こと

が求められるのです。 だからと言って最短距離にこだわるあまりに曲げるカーブがキツくなりすぎるのも

排気抵抗になりますので、このあたりの「長さと排気抵抗のバランス」が設計上非常に難しいと言えます。

 

3気筒のエンジンでは等長にこだわる必要はない

これも以前に書きましたが、直列3気筒のエンジンではクランク角度で言うと240度の排気間隔ですので、

240度-180度=60度で、ひとつのシリンダーが排気をしてから次のシリンダーが排気をするまでに60度の

ブランクがあるため、多少各気筒のパイプの長さが違っても排気干渉はおこさないのです。 つまり、無理

に等長にしても「無意味」なのです。 等長にする意味があるのは4気筒以上のエンジンからです。このこと

を理解していないチューナーやショップが非常に多いです。もっとエンジンについて勉強してください。

ただ、「音質を少しでも良いものにしたい」という考えならば等長にする意味もわかりますが、所詮3気筒

のエンジンで音質など追求してもたかが知れていますので、個人的にはバカげた話だと思います。

 

パイプ径は太すぎず細すぎず

K6A純正エキマニのパイプ部内径はおよそ24φです。 これに対して社外エキマニの内径は24φから28φ

の間が多いようです。内径が細い方がブーストの立ち上がりが速く、低速トルク向け、内径が太い方はどちら

かと言うと高回転パワー重視と言えると思います。このへんはそのユーザーが何を重視するかで選ぶしかない

と思います。

↑とあるショップのパイプ径の細いエキマニと太いエキマニの比較写真です。それぞれにメリット、デメリット

があります。 ひとつの基準となるのは排気ポートのいちばん狭い部分(バルブスロート部)の断面積で、これ

をふまえてエキマニ内径の断面積を検討することです。 これは私の個人的な意見ですがF6A、K6Aエンジンの

場合、チューニング用としては最低でもパイプ内径φ25.5以上は欲しいところです。

 

以上の点を踏まえながら、代表的なショップのエキマニをいくつか見て検証していきたいと思います


トライフォースカンパニー製等長エキマニ

これはジムニー用としては代表格と言っていいでしょうね。 とにかく曲げが綺麗で仕上がりの美しさでは

一番だと思います。 ただ、残念なのは等長にこだわるあまりにパイプの長さが無駄に長くなってしまって

いる点です。前述した通り、3気筒のエンジンでは等長にこだわってもほとんど性能的な意味はないのです

から、熱エネルギーの放出を抑える意味でもなるべくパイプ長さは短くするべきです。

 

News GT-1エキマニ

これは形状的にはベストに近いのですが、ぱっと見では1本もののパイプに見えますが、実は溶接で数カ所

繋いだあとに研磨とポリッシュで熔接ビードを削って消しているのです。 なので、このエキマニは熔接部

が弱く、けっこう割れやすいという弱点があります。等長にこだわらず最短距離で繋いでいるのは褒められ

ますが、無意味な美観のために耐久性を犠牲にしているところは本末転倒ですね。

ちなみにハイブリッジファーストというショップのエキマニもここのOEM製品なので同じものです。

 

エムテック中京(MRS)製エキマニ

現在はもう製作はしていないようですが、まず見た目があまり美しくないですね。性能的にも「そこそこ」

だったようで、しかも割れやすくあまり世間での評判のいい製品ではなかったようです。

 

ビルワークス製エキマニ

この製品はK6A用エキマニの中では安くて有名ですね。ただ、それだけに製品精度がイマイチで、取り付け

るのに苦労している人も多いようです。値段なりの出来と言ってしまえばそれまでですが「安かろう悪かろう」

の代表みたいな製品ですので、そのへんは覚悟の上で購入すべきです。

 

マキシムワークス製エキマニ

ここのエキマニはやや高価ですが、形状も無駄がなく仕上がりも綺麗で性能的に期待できそうな製品です。

個人的にはオススメしてもいいかなと思えるエキマニですね。フランジ部もNC削り出しで凝っています。

↑これはコージーライツというショップのエキマニ。上記マキシムワークスのOEM製品です。

※なお、この2つの写真はF6A用のものです。

 

ギッピーオフロード製エキマニ

ここのエキマニは私は個人的に気になっている製品です。価格が4万円台と安く、そのわりに作りが

良さそうに見えるからです。 ただ、トライフォース同様ややパイプ長さが長いのが気になりますが、

そのあたりに妥協できるのであれば悪くない選択だと思います。

 

モンスタースポーツ製エキマニ

ついに大御所、モンスタースポーツがジムニーJB23-5型以降用のエキマニを出してきました。 これは

社外品に多いパイプ熔接構造ではなく、ロストワックス鋳造法による一体成形品です。 ロストワックス

鋳造法というのは、鋳造の際のオス型に普通は木型を使うのですが、ロウ(ワックス)を使用し、砂型で

固めた後にそのワックスを溶かし出して空間を作り、そこに溶けた鉄を流し込むため、砂型を割る必要が

ないので複雑な形状の製品を鋳造できる製法です。 材質は耐熱鋳鋼としか書いてないので、おそらくは

ダクタイル鋳鉄の一種ではないかと推測します。いちおう等長とのことですが、惜しむらくは内径が25φ

しかないためハイパワーチューニング用としてはやや細いかなというところが残念な点です。

↑モンスタースポーツ製エキマニの純正エキマニとの比較パワー、トルクグラフ。まぁ、そもそもエキマニ

だけでそれほど性能アップは望めないので、これだけ違えば上出来と言っていいのではないかと思います。


…とりあえず代表的なショップやメーカーのエキマニを考察してみました。 ちなみに私のJA22ジムニー

のエキマニは純正品を若干加工しタフトライド(イソナイト)処理をして耐久性を高めたものを使用して

います。

「なぜ社外品を使用しないのか?」と疑問に思う人も多いと思いますが、一番の理由はやはり費用対効果、

いわゆるコストパフォーマンスにありますね。 社外エキマニは安いものでも4万円台から、高いものだと

10万円を超えるものまで様々ですが、安いものは出来が悪いし、かと言って高いものをつけたからと言って

劇的に変わるものでもないからです。それは上記モンスタースポーツの比較グラフでもわかると思います。

ですので今後どうするかはわかりませんが、当分はこの純正加工エキマニのまま使用していこうと思います。

 

エキマニの割れ、クラックについて

純正エキマニも割れることはありますが、材質の改良などで次第に割れに強くなっています。 たとえば

私の使っている純正エキマニも「バナジウム鋳鋼」という新しい材質で作られた「対策品」をベースに

使用しています。これにタフトライドをかけてもう5年以上になりますが、割れはまったく発生しておりま

せん。

対して、社外のエキマニの割れ、クラックについてですが、これは前述した通り材質にSUS304を使用して

いるかぎりある程度諦めるしかないですね。 いくら肉厚の厚いパイプを使おうが、熔接部からパックリと

割れるのはさけられませんし、かと言って「当て板」などで補強しても今度はそこがヒートスポットとなって

割れる原因となってしまいます。エキマニというのは強くしようとすればするほど返って割れやすくなるもの

なのです。 理想を言えばオートバイの社外フルエキのように差し込み式のスプリングフックみたいにして

「力を逃がす」構造にすれば最良なのですが、これは構造的、レイアウト的に無理がありますからF6A/K6A

エンジンの場合はスペース的に考えても非現実的ですね。

 

↑社外エキマニの中でも高品質なトライフォース製のエキマニでさえ割れるときはこのようにパックリと

割れてしまいます。もうこれは「材質と形状の宿命」と考えるしかないですね。 あとは、少しでも割れ

るリスクを減らしたければ排気温度をなるべく低くなるように燃調セッティングするしかないですね。

 

エキマニへのサーモバンテージ巻きについて

エキマニにサーモバンテージを巻く理由は2つあると言えます。1つは熱エネルギーを逃がさずタービンに

導いてより効率よく排気エネルギーを活かし、トルクアップ、パワーアップにつなげること。 もう1つは

断熱材としてエンジンルームの温度上昇を防ぎ、熱害を防止するためです。たしかに必要に迫られてやむを

得ずバンテージを巻くのは仕方ないと思いますが、先ほどから書いているように、社外エキマニの材質では

ただでさえターボエンジンの高い排気温度に耐えられず割れやすいところに、保温性の高いバンテージを

巻くとさらに高温になるため、エキマニの耐久性にとってはマイナスになってしまうことは充分に理解した

うえでおこなうべきです。

 

K6Aターボエンジンのエキゾーストマニホールドの汎用性について

このページはJA22ジムニーのページですので基本的にはジムニーに装着できる製品を取り上げていますが、

一部、JA22には装着不可能な製品も含まれていますのでご了承ください。

旧規格K6Aの場合は同じエンジンのEA21Rカプチーノ、HB21S/HA21Sアルトワークスにも使用できる製品

もあります。 また、JB23-5型のジムニーからはシリンダーヘッドが変わったため互換性がありませんので

ご注意を。 購入前に適合するかどうかをショップやメーカーに問い合わせたほうが確実でしょう。

 

蛇足ですが、R06Aエンジンにはエキマニはつけられません!

↑最近、アルトターボRSやアルトワークスの発売でチューニングのポテンシャルが気になるR06Aエンジンです

が、初期型こそエキマニはありましたが、現在のR06AエンジンはNA、ターボともにエキマニ部がシリンダー

ヘッド内部に一体となってしまったため、エキマニ交換によるチューニングはできなくなってしまいました。

このことは、ポート研磨加工も排気バルブ側から手の届く範囲までしかできないことを意味しています。

 

エキマニの交換はそれだけでは劇的なパワーアップなどは望めませんが、トルク特性の変化や音質の変化など

主にフィーリング面での変化、効果が期待できます。 ただし、これまで述べてきたようにすべての製品が

良いものではないため、製品選びは慎重に。「安物買いの銭失い」にならないように注意しましょう。個人的

には「お金さえあれば」インコネル材でワンオフで自分の理想とするエキマニを作ってみたいものですね。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~