排気温度計の修理と排気温度の重要性とツインプレッシャーメーター
トラスト製品はかなり古いモデルでも修理できるようです。 それと今回は珍しいメーターの紹介です。

●私の車にはトラストの旧タイプの排気温度計がついていますが、これは正確には2機目で、1機目
は付けて数年で壊れたため、そのまま外して保管しておいたまま忘れていました。 しかし、先日、
整理をしていたらこの壊れた排気温度計が出てきたため、これを修理してスペアとしてストックして
おけないものかと考えたのです。 様々なメーターの中でも排気温度計はとくにデリケートで壊れ
やすいメーターですからね。

↑しかし、取説の日付を見るともう10年以上も前のモデルだけに修理可能かどうかも怪しいですが、
とりあえずダメもとでトラストに電話してみたところ「修理できます!」というありがたいお返事。
ということで、トラスト社にメーターを送付しました。

↑排気温度計はメーター本体と制御ユニット(データリンクユニット)がペアリングされており、
同じシリアルナンバー同士でないと互換性がないため、注意が必要です。 ですので、ヤフオクとか
で適当に本体のみやデータリンクユニットのみを入手しても双方のペアリング作業をしなければ正確
な数値を示してくれませんので、そのままでは使い物になりません。必ずセットで必要です。
●修理から戻ってきました

↑約2週間ほどで修理からあがってきました。 故障の内容は「内部のオイルダンパーのオイル漏れ
が原因で、針が暴れるようになっていた」とのことで、現品修理ではなく、メーター本体を交換した
そうです。
注意点として「メーター本体を水平より下向きにして使用、あるいはその状態で長期保管するとこう
いった症状が出るので注意」と書かれていました。 そして今回の修理ついでに、消耗品のセンサーや
アダプターも同時に新品を購入しておきました。 メーター本体のイルミネーションバルブ(電球)も
切れていたので一緒に購入しました。

↑そして、修理から戻ってきたものは送ったものとはシリアルナンバーが変わっており、そのことから
も現品を修理したのではなく、交換したのがわかります。 気になる制御ユニットとのペアリングですが、
それはきちんとトラスト側でマッチング調整してあるとのことです。
たしか、この時代のトラストのメーターは製造元はオオモリメーターだと思いましたが、皆さんご存知の
ように既にオオモリメーターは廃業しており、現在のトラストのメーターはDefiブランドで有名な日本精機
が製造を担当しているのです。 なので、オオモリメーター時代の製品は現品修理はできないのでしょうね。
●とりあえずこれはこのままストックしておきます

現在、私が使っている排気温度計はとくに異常はないので、今回、修理されてきたものはこのまま予備として
大切に保管しておきます。 いつか役に立つときがくるかもしれませんからね。
<修理にかかった金額>
ちなみに、かかった金額ですが、検査および修理代そのものはたいしたことなく、検査代も含めて7000円程度
だったのですが、今回は新品で買ったセンサーやフィッティング、イルミネーションバルブなど新規に購入した
パーツを含めるとトータルで約25000円と、かえって、現行の新品を買ってしまったほうがいいのではないか
と思えるくらいの金額になってしまいました。 ちょっともったいない気分もしますが、このメーターには愛着
もあるので良しとします。 もし現在使っているメーターが壊れたときにも、配線はそのままでメーター本体と
ユニットを交換するだけで済みますからね。
●あらためてターボエンジンにとっての「排気温度計の重要性」について私の考え

↑現在、私のジムニーについている排気温度計。 このページをずっと見ていただいている方ならわかると
思いますが、私にとって排気温度計はセッティングには欠かせない重要なメーターです。 ハッキリ言って
空燃比計よりも限界時のセッティングではターボエンジンにとっては安全マージンを見極めるために絶対必須
なメーターだと考えております。 ターボエンジンにおいては空燃比計だけでは「最適値」はわかっても
「限界値」がわからないのです。 NA(自然吸気)エンジンなら排気温度は上がっても800度弱くらいまで
なので、排気温度は気にせず出力空燃比である12:1から12.5:1あたりまで追い込んでもまったく問題ありま
せんが、ターボで全開時にこんな空燃比セッティングをやったら排気温度は一気に1100度を超えるレベルに
まで上がってしまうのでエンジンが熱に耐えられずに一発でブローしてしまいます。 本来ならターボでも
出力狙いならNAと同じ空燃比まで追い込むのが理想なんですが、そうすると燃焼温度および排気温度が上がり
すぎてエンジンが持たないため、ピーク温度を下げるために仕方なく10.5:1とか11:1とか「わざと濃すぎる
空燃比」にしているだけのことなんです。 本来燃焼に必要な量よりも多めの燃料を噴射してやることで、
気化潜熱による冷却と燃焼温度のピークを下げてやる(要はわざと「不完全燃焼」させている)ことで、
ピストンやバルブ、点火プラグなどを熱による溶解から守ってやっているわけで、これがいわゆる燃料冷却、
ガソリン冷却と呼ばれる作用です。 その「限界点」を探る目安となるのが「排気温度」なのです。

↑エンジンの個体差や温度センサー位置にもよりますが、K6Aターボエンジンの全開全負荷走行時の排気温度
ピークは900度以下に抑えることが肝要です。 ちなみに現在の私のK6Aエンジンの場合は余裕をみて860度
をひとつの上限目安にしています。
ですので、ターボはNAとは違い、空燃比(A/F)と排気温度をセットでモニターすることではじめて、その
エンジンが「どこまで追い込んでも大丈夫なのか」が掴めるのです。 言ってみれば、空燃比と排気温度の
バランスを取ることこそがターボエンジンのセッティング作業なのです。空燃比だけを見て排気温度をきちんと
管理しないでセッティングすると「短時間の全開走行」や「シャーシダイナモでのパワーチェック」程度では
問題は出なくても、最高速アタックなどの「長時間の連続全開走行」では燃料冷却(ガソリン冷却)が追いつか
なくなり、エンジンブローするリスクが極めて高くなります。 そのためターボエンジンは排気温度を適切に
管理することで安全マージンを確保し、そういったトラブルを未然に防げる確率が上がるのです。 チューンド
ターボエンジンにとって排気温度はまさに生命線と言っても過言ではない重要なものなのです。
逆に言えば「安全マージンを削ってパワー空燃比に近づければ馬力だけは出すことは容易いことなのです」。
しかし、そんなセッティングはシャシダイのパワーチェック程度でしか通用しない、実用性のない無理な
セッティングでしかなく、最高速アタックのような連続全開のハードな実走行ではすぐにエンジンブローして
しまいます。
<参考記事> →(番外編)排気温度について
●最近の多くのチューニングショップ、チューナーはターボエンジンのセッティングでも空燃比計だけを
つけてシャシダイ上だけでほとんどのセッティングをし、実走行では「ちょろっとそのへんを飛ばして走って
オシマイ」みたいなとこが増えています。 たしかに、充分な経験とノウハウ、理論や実績のあるチューナー
ならそれでも「どれだけ安全マージンをとればいいのか」が解っているのならまったく問題はないのですが、
「本当の極限状態を知らない経験不足なチューナー」がこのような安直なセッティングをした車に、例えば
私なんかが乗って全開走行させたらおそらく短時間でエンジンブローしてしまう危険性があるでしょうね。

だから、私は空燃比計の数値よりも排気温度計を重視してセッティングするのです。 それが時代遅れだと
言われようが「理想の空燃比やピークパワーばかりを追求することより、まずはどんな過酷な運転状況
でもエンジンを壊さないことのほうが第一であるというのが私のポリシーであり、ストリートチューン
ではそれがもっとも大切なこと」だと私は考えておりますので。
やはり、 チューンドターボエンジンの極限走行時のエンジンの状態を把握するためにも空燃比計とともに
排気温度計は必須であると私は考えます。 もちろんノッキング、とくに高速ノッキングにも要注意ですよ!
ちなみに、一般に「空燃比が薄いと排気温度が上がる」と書かれていることが多いですが、これも現実には
「理論空燃比まで」の話です。排気温度がもっとも上がるのは「理論空燃比である14.7:1」です。 ここを
ピークにして、これより空燃比が薄くなると逆に排気温度は下がっていきます。
なので、ターボF1エンジンや昔のグループC耐久レースエンジンではレース中はあえて理論空燃比よりも薄く
して16:1とか信じられない空燃比で燃費とパワーと耐久性のバランスをとって走っていたものなのですよ。

<おまけ> トラスト GReddy ツインプレッシャーメーター(2連圧力計)
ゴールデンウイーク中に緑整備センターさんに遊びに行ったときに非常に面白い、というか珍しいメーター
を見せていただきました。

↑トラスト ツインプレッシャーメーター。 これはターボのブースト圧とエキゾーストパイプ内の排圧を
同時にモニターできるスグレモノで、たとえば、セッティング中にターボのブースト圧が上がらなかったり、
タレてきたときなどに、同時に排気菅内の圧力がどのようになっているかを見ることができ、その原因を探る
ことができるものです。 これを活かして最適なフロントパイプ径やマフラー径を選択、設計することが
可能になるのです。
ですので、とくにワンオフでマフラーを製作する際にはそのエンジン、タービンに最適なパイプ径を選択する
のに有効で、単純に今までのようにチューナーの勘と経験だけに頼った非科学的な手法の排気系製作ではなく、
科学的、物理的に最適値を導き出した細すぎず、太すぎない、より理想に近いパイプ径のフルエキゾースト
システムの製作が可能となるわけです。

↑このように赤い針と青い針が重なった構造になっていて、一方を吸気菅に、一方を排気菅につなぎます。
それによって相互の差圧が読み取れるわけです。 当然、その差圧が大きいほど(過給圧に対して排圧が低い
ほど)ターボが有効に働いているということになります。 また別の使い方では、触媒の前後からそれぞれ
圧力を取り、実際に触媒コンバーターがどれだけ排気抵抗(圧力損失)になっているかを数字で確認すること
も可能なわけで、この場合は逆に2つの指針の差圧が少ないほど排気効率の良い触媒(キャタライザー)で
あるということができます。つまり、その触媒の性能の良し悪しが一発で解ってしまうのです! このように、
これは使い方によっては非常に有意義な排気系開発のデーターを取ることができる優れたメーターなのです。
●しかし、このメーターはすでに廃盤商品となってしまっています
ですが、残念ながらこのツインプレッシャーメーターはほとんど売れることなく販売終了となってしまいました。
考えてみればわかりますが、これは主にディベロッパー向け、つまりパーツ開発のためのデータ取りのための
メーターなので、一般のユーザーが日常使うようなものではなかったわけですね。 ある意味、コンシューマー
向けとしては売れなくて当然だったとも言えます。 逆に、このメーターを使ってワンオフマフラーの開発に
活かしているプロショップはそれなりに理論派で確実な仕事をしているとも言えます。
「ターボのマフラーは太いほどいい」などと今だに妄言をほざいている低レベルのアホチューナーはちゃんと
こうした機材を有効に活かして真面目に様々な状況でのデータを取り、シャシダイでの全開性能ばかりでなく、
ストリートチューニングには何が大切なのかというものを勉強していただきたいものです。

↑メーター裏側には2つのPT1/8(Rc1/8)接続ニップルがあります。「B」が青い指針、「R」が赤い指針
を作動させるための圧力を導入します。 内部構造は信頼性の高い完全なブルドン管式の機械式です。
<参考までに>
ちなみにこのメーター、じつは一般的な機械式ターボメーター(連成計)を2台使うことでも代用は可能です。
要するにそれぞれのブーストメーターを排気系の各部(ターボアウトレットパイプやフロントパイプ、触媒の
前後、リアマフラーなど)から配管を引いてきて排気菅内の圧力変動を知ることができるわけです。
ただし、当然のことながら高温と排ガスのススがメーター内に入るのを防ぐため、途中にヒートシンクパイプ
とフィルターは必要になります。 マフラーメーカーなら最低限このくらいのことはおこなって開発をして
いただきたいものですね。そうすることでそのエンジンの全域でもっとも効率の良いマフラーが開発できる
わけですから。

↑ツインプレッシャーメーターがなくても、この機械式ターボメーターが2台あればそれと同様な使い方は可能
です。興味のある方はやってみると面白いデーターが取れるかもしれませんよ。 考えてみれば、吸気管内の
圧力はあたりまえのように計るのに、排気管内の圧力はほとんど無視されていることが多いのは不思議ですね。
DIYで何本も自作マフラーを製作されている方なども、感覚だけでやみくもに作るのではなく、こうした計器を
活用して「本当に効率の良い排気系」というのを科学的に追求して作ったほうが勉強にもなると思います。