メタルキャタライザーフロントパイプ
サクソンフロントパイプを改造し、R34GT-R純正のメタル触媒をつけました。
●私のクルマには今までサクソンのフロントパイプをつけていましたが、今年の車検のときに
純正に戻して以来、またつけかえるのが面倒なことと、やはり音が五月蝿くなることが嫌だった
ため、ずっと純正触媒つきフロントパイプのまま乗っておりました。
当然ながら純正フロントパイプだとストレートパイプに比べて低中速でのピックアップや高速域
での性能の低下は感じられるのですが、街乗りで使用する以上、音量も無視はできません。
いろいろ考えた結果、それならば社外フロントパイプを改造し、もっと排気量の大きいエンジン
を積む他車の純正触媒を流用することで、高効率と消音、それに車検の度につけかえる必要が
なくなるという一石二鳥になるので、いろいろ方法を考えておりました。
ここで使用する触媒についてですが、要は「排ガス検査」と「熱害」の項目をパスすれば問題は
ないわけですが、いろいろ調べていくと、やはり使用する触媒は「メーカー純正触媒」であるほう
が安全なようです。 なお、このとき使用する触媒コンバーターのメーカーは決してスズキ純正
である必要はなく、トヨタでも日産でも構わないのです。
よく昔、触媒未装着な外車を並行輸入したクルマなどは、国産メーカー純正の触媒をつけて車検を
通していましたが、基本的にはそれと同じ考え方のようです。
ただ、市販されているサードパーティー製の一般的な「スポーツ触媒」と呼ばれるものはその車種
専用で認可を取っていますので、これらを流用装着した場合は基本的には車検は微妙と考えたほうが
いいようです。 ただ、HKSなどは汎用触媒も出していますのでそのままでも通らないことはないの
かも知れませんが、このへんは要確認です。
あと、取り付ける位置ももともとの純正触媒の位置と同一でないとなりませんし、複数触媒が装着され
ている車種などは純正と同じ個数でないと保安基準に適合しなくなります。
で、この中で流用に適した形状、寸法ということですと、まず日産のものが挙げられます。
さらに、その中から効率の良さそうなものとなるとメタルセルを採用しているR33GT-RかR34GT-R
のものとなります。(面白いことに、R32でもGT-Rはセラミック触媒ですが、GTS-tタイプMでは
メタル触媒なのです。 理由は定かではありませんが、その時代はまだGT-Rクラスの排気を充分に
浄化できるほどの性能のメタル触媒が造れなかったのか、それともGT-Rではいたずらに効率を良く
してもパワーが出過ぎてしまうために、あえて抵抗の大きなセラミック触媒を使用したのか?)
さて、それで今回はより新しいもののほうが良いのではないかと考え、R34GT-R純正品を入手しま
した。 もちろん、GT-Rは2600ccのツインターボ、純正状態でも280PSのエンジンですので、
これをたかだか100PS程度の660ccのエンジンに組み合わせるのはオーバークオリティなのはわかる
のですが、せっかくですので、最高と思われるものをつけてしまおうという訳です。
ただ、触媒コンバーターは貴金属を使用しているので新品で買うとエラく高いですので、もちろん
中古品を使用します。

↑R34GT-Rの純正触媒。 もちろん中古品ですがほとんど新車状態で外したもののため、かなり
程度はいいものです。 フランジ部のパイプ内径は66φです。
なお、この触媒には排気温度センサー取り付け穴はありません。(R33までは付いていましたが)
外形寸法はジムニー純正とそう大きくは変わりませんが、容量はあきらかに大きいです。
ただ、そのぶん重量は若干重めです。

↑GT-R触媒のセル。 「うずまき状」の形状からもメタルセルでわることがよくわかります。
通常は格子状のセラミックセルを使用してますが、それだとセルの肉厚が厚く、さらに高温域では
セルが膨脹するために抵抗が大きいのですが、R34GT-Rのものは肉厚の薄いメタルセルなので、
通路が大きく、抵抗が少なくされています。
そのうえ、純正パーツですので排ガスの浄化性能も信用できるという安心感もあります。
さすがに社外品のスポーツキャタライザーに比べればかなり目が細かく見えますが、今回の場合は
なにしろもともと約4倍もの排気量をもつエンジンの触媒を流用するわけですので、軽自動車に使用
するには排気抵抗云々はとくに問題にすることもないでしょう。
ちなみに、メタルセルと一言に言っても仕様はさまざまですので、とくに社外品の中には効率の良い
もの(ここで言う効率とは排気効率と浄化効率の2つを指します)もあれば、メタルとは名前だけで
セラミックセルのものとたいして性能差のないものもあるでしょう。
結局、上を見たらキリがありませんが、少なくとも純正触媒の中ではGT-R用は良いものだと思います。
●加工
取り付けにはフロントパイプの切断、フランジの製作などが必要になります。
●まず、フロントパイプの切断です

↑フロントパイプを切断しました。 コンタマシンで切ります。
後述するフランジアダプター装着分の長さから、パイプのインロー部の長さを引いた寸法を切断
しますので、寸法で言うと382mmを切断します。
サクソンのフロントパイプはちょうどこの距離のぶんが曲がりのないストレートなので、ちょうど
いい形状をしていましたので都合が良かったです。
●フランジアダプターの製作

↑製作したフランジアダプターを仮組みしたところ。 触媒をはさんで上流側、下流側となります。
アルミ A5056の削り出しで、パイプへの取り付けはサイレンサーのときと同じ嵌め込み(軽圧入)と
スリワリによるバンド締めつけになります。 熔接にはしませんでした。
なお、フロントパイプ外径は45φ、対してGT-R触媒の内径は66φもあるので、その段差をスムーズに
繋げられるように、アダプター内部は真ん中付近まで緩いテーパー(約20度)にて仕上げてあります。

↑上流側アダプター
上流のアダプターにはのちのち空燃比セッティングも可能なように、M18X1.5のタップを設け、空燃比
センサーを使用できるようにしておきました。
なお、空燃比センサーを挿してないときに使用するプラグも今回はアルミ(A2017)で製作しました。

↑下流側アダプター
下流側には純正の排気温度警告灯用センサー用タップ(M12X1.25)をつけました。
●組み込み状態

↑フロントパイプ本体、触媒、フランジアダプター、遮熱板の各パーツを組み込んだ様子です。
もちろん上が純正、下が今回製作したものです。
エンジン〜触媒間のパイプは一見すると純正パイプのほうが太く見えますが、じつは純正
パイプは遮熱のために2重構造になっていますので、内径はかなり細いのです。

↑クルマに装着した状態、後方から撮ったもの。 純正品のようにしっくり収まっています。
サイズ的に問題はありませんが、写真右側、フレームとのクリアランスが30mm程度しかあり
ません。 ですが、手で揺すってよほど強く揺らさない限りは干渉はしません。
実際、けっこう乱暴なコーナリングもしてみましたが、今のところ干渉は認められませんでした。
まぁ、最悪は吊りゴムを強化品に換えれば済むことですが、このゴムを換えるとけっこう振動が
多くなるので私は好きではありません。
●装着後のインプレッション
まずは音ですが、さすがに静かです。 純正フロントパイプのときとまったく変わりません。
アイドリング時にマフラー出口から出てくる排圧も、純正パイプではわりと脈動が大きく断続的に
高めの圧力がかかりますが、今回のフロントパイプはストレートフロントパイプのように穏やかな
連続的な脈動で、圧力そのものも低めに感じますので、抜けはかなり良くなっているようです。
走行フィーリングですが、やはり純正フロントパイプよりもブーストの立ち上がりが軽く、感覚的
にはストレートフロントパイプのときと遜色ないレベルの性能が出ているのではないかと思います。
純正パイプよりも太いうえ触媒がいい膨脹室の役目をしているせいか、低速からのトルク感が高く
感じましてアクセルのツキもよく、そういう意味ではストレートパイプのままよりも、やや乗りやすく
なった感じです。 とりあえず、全域でメリットがあったと言っていいでしょう。
また触媒の容量から言っても、浄化能力もむしろ純正よりも上がっているかも知れません。
(ただ、メタル触媒はセラミック触媒よりも放熱が良いことから、暖機運転中などの排気温度が低い
領域での浄化能力はセラミックより若干劣る面もあるかと思いますが、実用上は問題ないでしょう)
●総合的に
純正フロントパイプと同等の静かさと環境性能を持ちながら、ストレートパイプにより近い排気効率
を求めることができるのですから、これほど良いことはないのではないかと思います。
それと、重量は測り忘れましたが、たしかに触媒コンバーター単体ではR34GT-R用のほうが多少は
重そうですが、逆にパイプ部分についてはサクソンのほうが軽いので、トータルでは大きく変わって
ないのではないかと思います。 まぁ、それでも多少は重くなってはいるとは思いますが。
ちなみに、私はこだわってR34GT-Rのものを使用しましたが、ここまでオーバーなものを使用する
必要はなく、普通に2000ccクラス以上の日産車のものであればそれほど差はないと思います。
※いちおうお断りしておきますが、この改造によって必ず車検に合格(保安基準に適合する)という
保証はありません。 また、逆にアフターメーカーの汎用触媒でもそのまま通る場合もあるでしょう。
どんな改造でもそうですが、最終的な判断はその検査場や検査員の判断になりますので、「あっちの
検査では通ったのに、こっちの検査場では通らなかった」「前回は通ったのに、今回は通らなかった」
などはよくあることです。
よくメーカーが「保安基準適合」などと称して売っているパーツの中にも、実際には検査でNGになる
ことも珍しくありませんし。 考え方として、パーツ単体では保安基準適合として開発していても、
実際にクルマに装着した状態で適合かどうかはまた別な問題となりますので。
また、あってはならないことですが、検査員の「見落とし」も実際にはけっこうあることです。
このへん、解釈の違いや認識不足など、グレーゾーンとも言えることが多いのが現実の検査ですので、
結局、ケースバイケースで対応することになると思います。
今回のこの改造は、永くつきあいのある検査員資格をもつ整備士の知り合い数人に相談して、まず
問題はないだろうという意見を参考にして、私なりに考えて製作しております。
ですので、もしこの改造を参考にされてご自身でおこなわれる場合は、このへんのリスクを充分に
考慮に入れたうえでお願いします。