燃料配管のリターン式とリターンレス式によるチューニングの違い

ターボエンジンではブーストアップ程度でもこの構造の違いを考慮する必要があります


 

●これまで当サイトではインジェクター容量について幾度か書いたことがあります。

 

<参考> →燃圧レギュレーターとインジェクター容量について

<参考> →SARD(DENSO)12ホールインジェクターについて

 

これらの記事の中で、簡易的にインジェクター容量(インジェクタ噴射量)から馬力を算出、あるいは

逆にインジェクター容量から得られるであろう最高出力を推測する燃料計算について触れていますが、

これはあくまでも従来の「リターン式燃料配管」方式でのものです。

最近のエンジンに多い「リターンレス方式」の場合はブースト圧にもよりますが、過給圧を上げるほど

インジェクターからの噴射量が減少していくため、ブースト圧を大幅に上げた場合、リターン式より一回り

大きなインジェクターサイズにするか、より燃圧を上げるなどの対策をしないと燃料不足になりリターン式

と同等の馬力が得られないばかりか、空燃比(A/F)が薄くなって最悪はエンジンブローなどのリスクが

高くなることがあるので、従来のリターン式とは違う考え方でチューニングする必要があります。スズキの

K6Aエンジンで言えば、旧規格がリターン式、新規格がリターンレス式となっていますので、同じK6A

だからといって混同しないよう注意してください。 今回はこのへんの違いについて書きたいと思います。

 

↑私のJA22ジムニーのインジェクター周り。 旧規格K6Aエンジンなのでフューエルデリバリーパイプに

燃圧レギュレーター(プレッシャーレギュレーター)と、燃料のリターンラインホースがついていること

からもリターン式であることがわかります。


●リターン式燃料配管とリターンレス式燃料配管の構造の違い

 

近年の新型車は環境対策の一環(とコストダウン)から、リターン配管を持たないリターンレス式、

いわゆる「燃圧一定式」が多くなってきています。 この理由は、リターン式だと一旦エンジンルームの

フューエルデリバリーパイプに行ったガソリンがプレッシャーレギュレーターで調圧された後、余分な燃料

はガソリンタンクに戻ってくるのですが、この際、エンジンルームで多少なりともガソリンが温められて

しまうため、それによってガソリン蒸気によるHC(炭化水素)が発生し、これが蒸発すると大気汚染に

つながるという環境問題がクローズアップされたため、このリターンを廃止する方式に自動車メーカーが

変更したわけです。 しかし、実際にはたしかに環境対策もあるでしょうが、リターン配管を廃止すること

で軽量化とコストダウンが図れるというのがメーカーの本音ではないかと思います。

 

<参考図1>リターン式燃料配管

↑従来からの一般的な燃料配管。 デリバリーパイプに設けられた燃圧レギュレーターにより、常に吸気管内

圧力に対して噴射圧が一定になるよう調圧されるので燃料の霧化(気化)が安定しセッティングもしやすく、

ハイブーストでも安定した燃料供給が可能で、とくにハイパワーターボチューニングに適しています。

 

<参考図2>リターンレス式燃料配管

↑燃料タンクから出た段階で燃圧が決まってしまうため、とくにターボエンジンの場合はブースト圧によって

相対的に噴射圧が変わってしまう(ブースト圧が高くなるほど燃料噴射圧が下がってしまう)というデメリット

があります。なので、ハイレベルなターボチューンには向いていません。 ちなみに、デリバリーパイプに

ついているパルセーションダンパーというのは、各々のインジェクターのON/OFFで発生する燃圧の脈動による

衝撃波(ハンチング)を緩和するための緩衝装置です。

 

●ターボチューニングするなら断然リターン式が理想!

最近のこのリターンレス式というのはとくにターボエンジンにとってはややクセモノで、とくに大幅にブースト

圧を上げた場合に問題が生じます。

「リターン式」であれば、プレッシャーレギュレーターのイニシャル圧プラス吸気管内圧力(インマニ圧力、

サージタンク圧力)が加わるため、ブースト圧に比例して燃圧(燃料圧力)も上がるので噴射(噴霧状態)も

安定し、パワー面でも単純に考えれば従来の燃料計算で導き出されたターゲットパワーに見合うインジェクター

容量を選択すれば事は済みます。

しかし、リターンレス式ではあくまでも燃料タンクから出た段階で燃圧が決まってしまうため、ブースト圧が

上がって吸気管内圧力(マニホールド圧力)が上がれば上がるほど相対的に燃圧が下がったのと同じになって

しまうため、ハイブースト時に燃料噴射量が減ってしまうのはもちろんのこと、相対的にみて吸気管内圧力に

対して燃料噴射圧力が低下することから噴射されたガソリンの霧化状態が悪化するため、燃焼が安定しにくく

なるという状況になります。

 

一例を書きますと、たとえばリターン式で燃圧が2.5kg/cm^2、ブースト圧が1.2kg/cm^2の場合、フューエル

ラインにかかる燃圧はトータル3.7kg/cm^2となります。 このとき、吸気管内には1.2kのブースト圧が

かかっているため、それとの相対圧はちょうど2.5kとなるわけなので、噴射圧は2.5kg/cm^2とブースト圧に

関係なく常に一定となるわけです。

これがリターンレス式の場合、たとえば燃圧が3kg/cm^2、ブースト圧が1.2kg/cm^2の場合、フューエルライン

にかかる燃圧は3kg/cm^2のままですが、吸気管内との相対圧としてはここから吸気管内にかかっているブースト

圧1.2kに押し戻されることになるため、結果、噴射圧はたったの1.8kg/cm^2まで大きく低下してしまうのです。

 

それを補うために、リターンレス式ではリターン式よりもひとまわり大容量のインジェクターを使う必要が出て

きたり、ガソリンタンク内のプレッシャーレギュレーターの圧をさらに上げたり、燃料ポンプ(フューエルポンプ)

の容量をアップしたりと様々な対策を講じなければならなくなるわけで、たかがブーストアップチューンでも

リターンレス式はリターン式よりも手間がかかることがあるのです。

しかし、それによってハイブースト時の燃料は補えたとしても、今度はアイドリング時や非過給時(負圧時)に

燃料噴射量を絞るのが難しくなってくるため、アイドリングが不安定になったり、プラグがかぶったりとエンジン

不調の原因になることがあり、このあたりがリターンレス式の厄介なところなのです。

 

もうひとつ、リターンレス式のデメリットとして、フューエルライン上を常に燃料が循環していないことから、

デリバリーパイプ内のガソリンがエンジンの熱の影響を受け昇温しやすく、内部のガソリンが高温になり、

気泡が噛む現象(燃料ベーパーの発生、パーコレーションなど)が起きやすく、これが発生するとエンジンの

始動不良や、一時的に空燃比が薄くなってエンジンが吹けなくなってしまうなどの悪影響が出ることがあります。

 

なので、大幅なブーストアップやビッグタービンに交換するような高度なチューニングをする際にはこのような

不安要素の多いリターンレス方式はやめて、いっそのこと旧来のリターン式に改造してしまったほうが全域で

制御が安定し、セッティングもやりやすいというメリットがあります。 リターンレス式のままではどうしても

チューニングに限界があるのです。


●リターンレス式でのブーストアップはインジェクター容量に注意

以上のように、リターンレス式は「ブースト圧が上がるほど燃料噴射量が減っていく」ので、インジェクター

容量にはリターン式以上に気をつける必要があります。

たとえば、K6Aエンジンでは、旧規格はリターン式、新規格はリターンレスですが、仮に同じブースト圧の

ブーストアップチューンでも旧規格では230ccで足りていても新規格では285ccないと燃料が足りないという

こともあり得るわけです(もちろん設定燃圧にもよりますが)。

過去にスズキスポーツが出していたターボキットでは、新規格K6Aには400ccというどう考えても大きすぎる

インジェクターがセットになっていましたが、これもリターンレス式によるハイブースト時の噴射量の目減りを

カバーするためこのような明らかにオーバーサイズなインジェクターにしたのではないかと思われます。

たとえば単純なブーストアップチューンでも、同程度のインジェクター容量の場合、旧規格K6Aではノーマル

インジェクターのままでブースト1.3kまで燃料が足りていたとしても、新規格K6Aではブースト1.0kでもう限界

ということもありえるということです。リターンレス式はほんとにチューンナップに対しての余裕がないのです。

 

↑私が現在使用しているサードの300cc 12ホールインジェクタ。 ただ、この300cc/min.という吐出量は

燃圧2.5kg/cm^2時のものなので、当然ながら圧力が高くなれば多く、低くなれば減少します。 とくに

リターンレス式でブースト圧を高く設定した状態では想像以上に噴射量が減ることがあるので注意が必要で、

たとえばリターン式ならこの300ccで足りても、リターンレス式の場合はひとまわり大きい380ccが必要に

なることもあるということです。

 

●ですのでインジェクター容量、燃圧レギュレーター、燃料ポンプなどの考え方はリターン式とリターンレス式

ではまるで考え方を変えないといけないということです。

たとえば、K6Aの軽いブーストアップでも、旧規格のリターン式ならせいぜい燃圧レギュレーターの交換程度

(私が過去に使ったことのあるエスクードH25Aエンジン用レギュレーターなど)で燃料が足りても、新規格の

リターンレス式の場合は燃料ポンプの交換まで必要になってくることがあるという具合です。 もちろん、これ

はあくまで一例にすぎませんので、各チューニングショップや各チューナーの考え方でやり方は千差万別です。

インジェクターを大容量にする場合もあれば、インジェクターはノーマルのままで燃圧レギュレーターを強化

する場合や、燃圧レギュレータはそのままで燃料ポンプを吐出量の多いものに変えてしまうなど、人によって

やり方は様々でしょう。 結局は燃料が足りていて安定した噴射さえ得られればどの方法でもいいのですから、

どの方法が正解というのではなく、そのショップやチューナーの考え方次第だと思います。

ただ、どっちにしてもリターンレス式はバランスを取るのが色々と面倒で厄介であることに変わりはありません。

 

あと、最近気になるのは安易に燃料ポンプを大容量(吐出量の大きいもの)に交換するのはどうかと思います。

燃料ポンプも大きければいいというものではなく、燃料ライン(パイプ径やホース径)の太さに見合ったサイズ

でなければいたずらにポンプに負担をかけるばかりですし、燃圧も高くしすぎればそれもすべてポンプに抵抗

となってかかってくるわけですから、オーバーサイズなポンプをつけることはただポンプのモーターに負担を

かけ、寿命を短くするばかりでメリットなどありません。 要は全開全負荷時に充分な流量が供給されればいい

のですから、ポンプ容量は必要にして最低限のサイズを選択するのがベストであり、純正ポンプでも足りるので

あればわざわざ大容量ポンプに換える必要はないと私は考えています。 燃料系のチューニングの順序としては

ポンプ交換は最後の選択肢でしょう。

 

<参考> →JA22(旧規格K6Aエンジン)のハイブーストでの燃料の限界のテスト

 

↑リターン式の一般的な固定圧式燃圧レギュレータ。 リターン式はこれを調整式に交換することで噴射量

の微調整がしやすいというのもメリットです。 ただし、いたずらに燃圧を高めるのは燃料ポンプに負担を

かけるだけなので、あくまで必要最低限の燃圧アップに留めるようにしましょう。

 

●燃圧アップの上限値について

結論から言えば、ノーマルの燃圧で問題なくセッティングが決まるのであれば、そのままでいったほうが無難

です。 燃圧を上げると当然ながら燃料ポンプの負担が増加しますので、ポンプの寿命が短くなってしまう

ことがあります。

まず、リターン式の場合は、ブースト圧が上がると燃料ライン系統内の圧力はイニシャル圧にブースト圧が加算

されて非常に高くなるので、最大でどのくらいの圧力になるのかをよく考慮した上で設定しないといけません。

また、燃圧一定式のリターンレス式の場合はインマニ圧に関係なく常時設定圧力がかかるため、燃圧を上げると

ポンプには常に大きな負担がかかりますので注意が必要です。 仮に、レギュレーターは純正のままでも大容量

ポンプにしただけでも燃圧が上がってしまい(ポンプ吐出量に対しリリーフ量が追いつかなくなるため)燃料

ポンプに過大な負担がかかるのでポンプを大容量なものに換えた結果、どのくらい燃圧が上昇したかをきちんと

確認することが重要です。何も考えずにただ容量の大きい燃料ポンプに変えればいいというわけではないのです。

 

これらの弊害を鑑み、誤差の範囲というか、最低限の範囲で燃圧を上げる程度であれば、噴射された燃料の霧化

が促進されたり、噴霧状態が改善されたりしますので、「あくまで適切な範囲内で」の燃圧アップは功を奏する

ことがあります。 このへんはケースバイケースですが、一般的には純正イニシャル圧力の10%から15%アップ

が上限でしょう。 実際、私も自分の車で試したことがありますが、わずか0.2kg/cm^2燃圧を上げただけでも

全開時の空燃比が1.5以上もリッチ側に振れ濃くなってしまった経験がありますので、燃圧の調整ほんとに微妙

で、僅かな微調整程度に留めておいたほうが無難です。

 

↑JA22Wジムニーの純正フューエルポンプ。 容量(吐出量)は定かではありませんが、おそらく70L/h〜

90L/h程度だと思われます。(基準電圧などによってポンプの公称吐出量はメーカーにより異なります)

ちなみに、ごく簡単な最低限のポンプ必要吐出量(リッター/時間)を求める計算式は以下のようになります。

「インジェクター容量(cc)×気筒数×0.06+リターン量(通常30Lから40L)」でおおよその値が出ます。

たとえばインジェクターが230cc、シリンダー数が3、リターン量が30リッターの場合「230×3×0.06+30」

となって71.4L/hとなるわけです。 K6Aエンジンのノーマルポンプの吐出量がほぼこれに合致しますね。

※この式ではインジェクターが全噴射(100%)で計算していますし、リターン量も余裕をもって計算して

いますので、実際にはこの70%〜80%程度のポンプ容量でも充分足ります。 純正ポンプはけっこう余裕を

もっているのです。 ですので、必要もないのにいたずらに大きな燃料ポンプをつけるのは考えものです。

 

とくに旧規格のK6Aエンジンには純正で「260ccインジェクター+ハイカム+ビッグタービン」仕様のHB21S

アルトワークスRがあり、これも燃料ポンプは標準車と同じだと記憶していますから、この車で充分足りる

吐出量をもつフューエルポンプが標準でついていたことを考えれば、旧規格K6Aの車両の燃料ポンプはけっこう

余裕のある容量に設定されていたのではないかと思われます。 おそらく120PS〜130PS程度のパワーアップ

ならば純正の燃料ポンプのままでも充分に対応できるだけの余裕はあると思います。

それに対し、新規格のリターンレス式のK6Aのほうがハイブースト時に噴射圧が低下するためポンプ容量には

余裕がないでしょう。 それを考慮した上で考えた場合、ハイブースト&ビッグタービン仕様へのチューニング

を施した新規格K6Aエンジンの場合、通常のHT06/HT07およびRHB31FWレベルのボルトオンタービン程度の

パワーでもポンプ容量は130L/hあれば充分すぎるサイズです。 仮に、K6Aエンジンで最高出力200馬力近く

までチューニングしたエンジンとして、たとえばインジェクターが400cc、リターン量が40リッターで計算

すると「400×3×0.06+40=112」でポンプ容量は112リッターで足りるわけですから、仮に余裕をもって

社外ポンプを選択しても160L/hクラスあれば充分であることがわかります。

ところが、中には「大きいことはいいことだ」みたいななんとも稚拙な考えで、たいしたチューニングレベル

でもないのに250L/hクラスのバカみたいに大きなポンプをつける人もいるようですが、無駄なばかりか燃圧

が上がりすぎてポンプに負担を強いることになるだけで、最悪はポンプが過負荷状態(オーバーロード)に

なって故障する危険があります。 なんでもかんでも大きければいいなんて短絡的な考えでおこなうことは

愚かとしか言い様がありません。 チューニングはバランスを考えておこなわないとなりません。

 

●余談ですが

みんカラを見ていたら「燃圧を上げるとガソリンの粒子が飛ぶ距離が伸びすぎて、インジェクターから

シリンダー内に直接ガソリンが液体のまま入ってしまうのでかえって燃焼が悪化し逆効果である」なんて

書いてあるブログを見ましたが、この人はインジェクターが噴射するタイミングをきちんと理解していませんね。

しかもこれ、一般の素人じゃなくてプロのチューナーが書いてるんだから笑ってしまいます。

通常、シーケンシャルインジェクションのインジェクターの燃料噴射タイミングは「噴射終了時のタイミング

で制御」されていて、普通は「吸気バルブが開く直前にはすでに燃料の噴射は終わっている」のです。

ですので、仮に燃圧を上げてガソリンの飛ぶ距離が伸びたところで、吸気バルブの傘に当たってそこで気化する

ので、インジェクターから噴射されたガソリンが直接シリンダー内に飛び込むことはないのです。 それよりも

問題は綺麗に霧化できずに吸気ポート壁面に付着して「壁流」となってシリンダーに流れ込む液体のガソリンが

着火不良(ミスファイア)の原因になったり、そのままピストンとシリンダーの隙間からクランクケース内に

流れ込んでエンジンオイルを希釈したりする悪影響のほうがずっと害が大きいです。 なので「適度に」燃圧を

上げてガソリンの霧化を促進させてやることのほうがメリットが大きいと私は考えています(もちろん前述した

ように燃圧の上げすぎは禁物ですよ)。

 

その意味でも、過給圧を上げれば上げるほど実質的な燃圧が落ちて霧化効率が低下してしまう最近のリターンレス

式はやはりターボチューニング向きではないのです。

いずれにしても、チューニングという観点からすればリターンレス式はデメリットが多いので、ある程度の

チューニングレベルになったらリターン式に改造したほうがセッティングもやりやすく、ガソリンの霧化が

安定することから燃焼も安定するのでメリットが多いことは間違いないでしょうね。 とくにターボの場合は

リターン式のほうがメリットが多いです。 私もリターンレス式は理論的に考えてあまり好きではありません。


<おまけ> ガソリンを満タンにするとエンジンがパワフルに感じるのはなぜか?

 

これは多くの人が経験あることだと思いますが、ガソリンタンクが空に近い状態からガソリンを満タンに

すると、そのぶん重くなったはずなのになぜかクルマがパワフルに感じることがあります。 しかしこれは

錯覚でもなんでもなく事実そうなるのです。 ただし、これはリターン式配管のエンジンに限っての現象

です。

どういうことかというと、リターン式の場合は前述したようにガソリンが常にエンジンルームに送られ余分

なぶんはまたタンクに戻ってきて循環しています。 そのため、エンジンルームでガソリンが温められて

ガソリン温度が上昇してしまうのです。 このとき、タンクのガソリン量がたくさんあればすぐに冷却される

のですが、ガソリンタンクが空に近い状態だと、タンク内のガソリン温度も上がってしまい、結果として

温かいガソリンがエンジンに噴射されることで、混合気の温度が上昇することから、結果として吸気温度が

上昇し、酸素密度が低下することでパワーダウン、トルクダウンしてしまうのです。

ここでガソリンを満タンにすると噴射される燃料の温度が下げられるために、気化潜熱により吸気温度が

下がることでパワーやトルクが上がるというのが「空タン状態からガソリンを満タンにするとパワーアップ

(トルクアップ)する」という理屈なのです。 なので、これは錯覚ではなく実際に理論上正しい現象

なのです。 つまり、この現象はエンジンルームからの燃料リターンがあるリターン式のみで体感できる

ことで、リターンレス方式のエンジンではこの現象はシステム上起こりません。

 

実際、レースではガソリンクーラー(フューエルクーラー)を装備して燃料の温度を冷却することもあります

から、ガソリンの温度もできるだけ低いほうがパワー的には有利となるのです。 一般に吸気温度を下げると

いうとエアクリーナーに冷気を取り込んだり、インタークーラーを強化したりと空気の温度ばかりに目を奪わ

れがちですが、ガソリンの温度を下げることもパワーアップに繋がるのです。 当然ながらこれはノッキング

を防ぐ意味でも有効な対策になります。

 

↑ガソリンクーラー(フューエルラインクーラー)の例。 リターン式の場合、インレットラインとリターン

ラインの両方につけるとより効果的ではないかと思います。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~