トラスト GReddy ブローオフバルブ FV
とくに交換の必要はなかったのですが入手したので試してみました

↑今回、新たに取り付けたトラストの新作ブローオフバルブ「GReddy ブローオフバルブ FV」
●今まで私のJA22ジムニーにはHKSのレーシングブローオフバルブを使用していて、気がつけばもう
10年以上経っていました。

↑HKS製のレーシングブローオフバルブ(現在はすでに生産終了品)
トラストのタイプRブローオフもそうなのですが、この手のレーシングタイプの本格的なブローオフバルブ
は開弁圧が非常に高く設定でき、高いブースト圧でもインテーク内圧力で開いたり漏れたりすることがない
(ブローオフバルブは構造上、インテークパイプ圧力とサージタンク圧力が同じになればどんなに弱い
スプリングでも開くことはないのですが、ブーストの立ち上がり時など、サージタンク圧よりインテーク
パイプ圧が高い状態ではスプリングが弱いと一時的にバルブが開いて過給エアーが漏れてしまい、ブースト
の立ち上がりが悪化することがあるのです)ため、ハイブーストで本格的なチューニングに向いている
タイプです。
対して、純正ブローオフバルブ(リサーキュレーションバルブ)はかなり弱い圧力でも漏れてしまうため、
ブーストアップしてもせっかくのハイブーストによるパワーがスポイルされてしまうことがあります。
たとえば、私のK6Aエンジンの純正ブローオフバルブはブースト圧が1kg/cm^2を超えるとすでに漏れ
はじめます。 これは、自動車メーカーはオーバーブーストからタービンやエンジンを保護することを
考えて「安全第一」という設計方針で、ブローオフバルブにポップオフバルブ(過圧開放弁)としての機能
も持たせているためです。 ですので、ブーストアップやタービン交換してハイブーストをかけるなら、
ブローオフバルブを社外の強化品に替えることはブーストの立ち上がりが速くなるとともに高ブースト圧
でも漏れがなくなることから、ファッションではなく立派なパワーアップチューニングになるのです。
社外ブローオフバルブは決して音を出すためだけのアクセサリーパーツではありません。
●なぜ、今回ブローオフバルブを交換することにしたのか
実を言うと現在のHKSレーシングブローオフでも何の問題もなく、交換する必要はなかったのですが、
たまたまヤフオクを見ていたらトラストの新型ブローオフバルブFVの開封済み新品未使用(おそらく
ショップの展示品だったのでしょう)が定価の1万円安、ネットショップの実売価格と比較しても5千円
ほど安く出品されていたのを見つけ、スタート価格そのままでなんとなく入札したら、なぜか他に誰も
入札者がいなくて運良く落札できてしまったという次第です。 非常にラッキーだったと言えますね。
●購入した「GReddyブローオフバルブFV」

↑トラスト グレッディ ブローオフバルブ FV。
私は以前に一時期トラストのタイプSブローオフバルブをつけていたことがあるため、それと取り付けの
マウント関係寸法が同じなので、本体単体のみあればいいため、購入したのは本体のみのキットです。
●ブローオフバルブFVは従来のブローオフバルブとどこが違うのか
「FV」はたぶん「フローティングバルブ」の略なのでしょう。 その名の通り、内部のポペットバルブ
がフローティング構造となっているのですが、ここは私が書くよりもトラストのホームページにイラスト
つきで詳しい動作説明が載っていますのでそちらを参照ください。
<参考>→ トラストGReddyブローオフバルブ FVのページ
上記メーカーページにもありますように、このFVの最大の特徴は弱いセット圧(プリロード)でもバルブ
が開かないため、アイドリング時やエンジンブレーキ時などのサージタンクやインマニ負圧の強い状況でも
二次空気を吸わずに済み、また、かなり低い過給圧(ブースト圧)からリリーフさせることができるため、
レスポンスに優れるというのがメーカーが説明する特長となっています。
しかし、私に言わせると本来の「性能重視のブローオフバルブ」ならばそんな弱い圧力でリリーフさせる
必要はまったくなく、フルブーストから一気にアクセルオフしたときにだけ解放してくれればそれで充分な
わけです。 たとえば0.5kg/cm^2以下くらいの弱いブースト圧でいちいちリリーフさせる必要などないの
です。 私が純正ブローオフバルブのような弱いブローオフでいちばん嫌なのは、高速道路を一定のスピード
で巡行するようなとき、微妙にアクセルを踏んだり緩めたりするたびに「シュー、シュー」と漏れっぱなし
になるのがほんとに嫌なんですよね。 まぁ、自動車メーカーがブローオフバルブを弱く設定するのには
ターボのサージングによる悪影響を防ぎたいからだという理由があるので仕方ないのですが、チューニングと
なるとこれが「漏れすぎて」かえって仇となるわけです。 だから、チューニング用のブローオフバルブは
そんなに弱い圧力でリリーフさせる必要は本来ないのです。

↑ブローオフバルブFVの構造上の特徴である内部のフローティングバルブとサポートスプリング。 この
サポートスプリングは本当に補助的なもので非常に弱いものになっています。 なお、フローティングバルブ
の座面部にはちゃんとラバーのシールがついていて、気密性が確保されており、このへんはトラストらしく
しっかりとした造りとなっています。
では、なぜこの「FV」は弱い圧力からリリーフさせることを前提とした設計をしているのかと言えば、
メーカーの弁では「レスポンスのため」というタテマエですが、実のところはブローオフバルブ最大の特徴
とも言えるあの「プシュー」という大気解放音をできるだけ弱いブースト圧の段階から出すようにすることで
「ブローオフサウンドを楽しみたい」というユーザーニーズに応えるというのが本音なんです。
ハッキリ言って「ミーハー」な機能なんですよね。 これはHKSのシーケンシャルブローオフバルブ(SQV)
にも同じことが言えます。
そう、誤解を恐れずに書いてしまうとこのトラストのブローオフバルブFVは「街中でプシュープシュー
鳴らしたいミーハーな人向けのパーツ」なんです。 本当に性能重視の質実剛健な本格的なブローオフバルブ
が欲しい人は同社のラインナップにある「タイプRブローオフバルブ」を選ぶべきなのです。
でもまぁ、ファッション的要素が強いとは言え、少なくとも純正のブローオフバルブよりは漏れにくいこと
は確かですし、ミーハーとは言ってもこのブローオフの大気解放音は運転してて楽しいことは事実なので、
決して私は悪いことだとは思いませんよ。 私も90年代前半の「初期のブローオフバルブブーム」の頃から
プシュープシュー鳴らして喜んでた世代なので、こういうの嫌いじゃないですから。 ましてや現在みたいに
ターボエンジンでマニュアル車って希少になってきてる時代、シフトアップのたびにプシュプシュ鳴らせる
のってほんとマニュアル車の特権みたいで乗ってて面白いことは間違いないですしね。

●装着
装着については、前述したようにこのFVのマウント寸法、穴ピッチ寸法は従来のトラスト製品と同じに
なっているので、M6ボルト用のバカ穴、穴ピッチ66mmであればそのままボルトオンでつきます。
あとは負圧(バキューム)用のホースをサージタンクから引いてくるだけです。

↑なぜかHKSレーシングブローオフバルブとトラストブローオフバルブは同じ穴ピッチなので台座がそのまま
使えます。なので付け替えには10分とかかりませんでした。 なお、ニップルの向きは購入時とは180度
反対側に向けてあります。
●インプレッション
解放圧設定スクリューはとりあえずデフォルトのまま。 このFVは何より低い過給圧からリリーフさせる
ことができるのが特徴なので、強く締め込んでしまったら意味がなくなっちゃいますし。 ただ、全開加速
してフルブーストかけてみて、明らかにブーストの立ち上がり時に圧が漏れているようならば必要最小限に
アジャストスクリューを締め込んで調整します。
それで、印象ですが、たしかに今まで使っていたHKSレーシングよりだいぶ低いブースト圧からリリーフ
しますね。 もう0ブーストを超えたあたりからスロットルを戻すとプシュー音が聞こえます。もうちょっと
強く締めてもいいかなとは思いますが、ブーストの立ち上がりも悪化していないようなので、とりあえずは
このままで大丈夫そうです。 アクセルレスポンスもけっこう良好で、スロットルオフ→スロットルオンの
立ち上がりは以前のHKSレーシングブローオフよりも良い感じで、タイムラグを感じさせない非常にリニア
なレスポンスで気持ちいいです。
さて、気になっていたのは前述したように高速道路の巡行時のわずかなアクセルワークで「漏れっぱなし」
にならないかという点ですが、これについてもとくに気になるほどではありませんね。 この点では安心
しました。 サウンドはわりと短めの「プシュー」系の音で、いかにも社外のブローオフらしい音です。
HKSのSQVのような「キュン!」みたいな音ではないです。 どちらかというとブリッツ製に近い音でしょう
かね。 私としては好みに近い音質です。 ただ、音量についてはたしかに1キロを超えるブースト圧になる
とそれなりの音量になりますが、低いブースト圧ではちょっともの足りないかなという感じです。個人的に
はもうちょっと音量は大きくて派手でもいいような気がします。
●結論
このFVは先にも書きましたように本格的なレーシング用ブローオフバルブではなく、どちらかというと
ファッション系、ミーハー系なストリート用ブローオフバルブですが、それでもチューニングパーツと
しての必要な最低限の機能は充分に満たしていますので、これが「アリ」か「ナシ」かと聞かれれば…

…アリですね(笑)
やっぱりMT&ターボの組み合わせならブローオフバルブのサウンドは走りを楽しくさせる必須アイテム
でしょう。 自己満足万歳!です。
●ブローオフは大気解放かリターンか
私はブローオフバルブは断然「大気解放派」です。 最近の人の中にはブローオフの大気解放音が恥ずかしい
と思っている人も多いようですが、私はこの音こそターボエンジン車、それもマニュアル車を運転している
大きな楽しみのひとつですので、リターンさせることははじめから考えていません。
しかもスズキのF6AエンジンやK6Aエンジンはエアフロメーターを使ったLジェトロではなくプレッシャー
センサーによるDジェトロなので、エアフロのエンジンであるような、大気解放にしたらエンストするとか
アイドリングが不安定になるとかの不具合も起きませんので安心して大気解放できます。
あとは大気解放にすると問題になるのは車検ですが、法的にはたしかにブローオフバルブから放出される空気
にはブローバイガス成分も含まれますので、リターンしなければいけない事になっていますが、なぜかうちの
ほうの陸運局や軽自動車検査協会ではこのブローオフバルブの大気解放はまったく何も言われないので、私は
ずっと大気解放のままで車検通しています。

<余談ですが>
VWやアウディではこのブローオフバルブを「ディバーターバルブ」と呼称しているようですが、これの社外品
を見ていると「ディバーターバルブ・ブローオフ機能つき」などとよく解らない表現で書かれています。 よく
調べてみると、どうも国産車で言うところの通常のリサーキュレーションバルブのことをディバーターバルブと
呼び、大気開放することをブローオフバルブ(ブローオフ機能)と分けて呼んでいるみたいです。 要するに、
インテークにリターンさせるのがディバーター、大気開放させるのがブローオフということらしいです。
ちなみに、市販量産車で世界で最初にブローオフバルブを装備したのは1974年のポルシェ930ターボです。