ジムニー/カプチーノの5速ギアの組み合わせについて
すでに実際に試した方もいるようですが
●私のジムニーのミッションは今のところ大きな問題はないのですが、最近、そろそろ2速のシンクロ
がヘタってきたようで、シフトダウン時などに「ガリッ」と音を出すことが多くなりました。
そこで、普通なら安くあげる意味でリビルトミッションへの載せ替えというのが定番なのでしょうけど、
どうせならオーバーホールして、そのついでにギアレシオの変更をやってみようかなと妄想しています。
●JA22Wのミッションのギアレシオはカプチーノ(EA11R/EA21R)と全く同じです。
ですのでよくJA11ジムニーなどで流用される方がいます。 これはカプチーノミッションにすることで
1速は若干ハイギアになってしまいますが、2速、3速、4速の繋がりがJA11のミッションのよりもクロス
しているために競技で使いやすくなることを狙ってのことのようです。
また、5速のギアレシオもハイギアードになることで高速の巡航時のエンジン回転数を下げられること
もメリットとしてはあります。
ただこれがJA22の場合は逆でして、初期型K6Aは低速域のトルクが細いうえ、トランスファーのギア
レシオもハイギアであることから1速のギアレシオをもうちょっとローギアードにできたら発進が楽な
のにと思うときもあります。とくに坂道発進のときなどはそう感じます。
「それなら逆にJA22にJA11のミッションを使用したらどうだろうか?」という考えが浮かびます。
ただそのままJA11のミッションをつけると、5速ギアがローギアードになってしまうことによって高速
巡航時にエンジン回転が高くなり、騒音や燃費に不利になってしまうというデメリットが生じます。
そこでいくつか似たような質問などが来たのですが、ならば「JA11のミッションを使い、5速ギアのみ
JA22のギアを組み込むことで解決しないか」という提案というか質問がありました。
1速はよりローギアードになり、5速はそのままなので高速巡航時も問題ないだろうという目論見です。
この件について私も興味があったので調べてみましたが、結論としては残念ながら目論み通りにならない
ばかりか、逆にこれをやるとかえって5速がローギアードになってしまう結果となることがわかりました。

↑ジムニーのミッションの構造。 この#19と#30が5速ギアになります。
図のように1〜3速まではカウンターギア一体(4速は直結)になっているのですが、
5速だけは独立しています。
これはおそらく当初は4速であったミッションをあとから設計変更して追加で5速化した
ためにこのような構造になっているのではないかと思います。 だからこそ5速だけの
組み替えがきく面白い構造となっているのです。
また、この図の#25の薄いギアは「シザーズギア」(フリクションギア)と呼ばれるもの
で、ギアのバックラッシュ(ガタ)をなくし騒音を軽減するためのもので、JA11やJA12
等の4ナンバー車にはないものです。 これによってたしかに音は静かになるのですが、
逆にフリクションロス(摩擦抵抗)が増えてしまうというデメリットもあります。
ちなみに、現行JB23のミッションはODがなくなり5速が直結になっていますが、これは
高速巡航時に使用する5速ギアを直結にすることでメカニカルロスを減らして(常時噛み
合いですので直結であってもすべてのギアは回転はしていますが、負荷がかかっていない
状態で回転している場合はギアの摩擦ロスは小さくなりますので)省燃費に貢献するため
に変更されたものと思われます。 つまりオーバードライプ(OD)がなくなったわけで、
当然ながらミッションがローギアードになった分はファイナルをハイギアードにして帳尻
(オーバーオールレシオ)を合わせています。
●さて、JA11ミッションにJA22(カプチーノ)の5速ギアを組み込むとローギアードになって
しまう理由ですが、要するにカウンターギア(1次減速)のギアレシオがJA11とJA22では異なるのです。
まとめると以下のようになります。
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上記の表を見てわかると思いますが、カウンターギアを無視して5速のギアのみを見ると逆にJA11の
ギアのほうがハイギアになっているのです。
ですので、もしJA11のミッションにJA22の5速ギアを組み込むと、総レシオでは0.924となり、
かえってJA11純正の5速よりもさらにローギアードになってしまう結果になるというわけです。
これは逆に言うと、JA11の5速ギアをJA22(カプチーノ)のミッションに組み込むと総レシオでは
0.711となり、JA22純正の5速よりさらにハイギアードにすることができるのです。 仮にJA22の
場合ですと、100km/h巡航時の回転数がノーマルでは約4100rpmなのに対して、JA11の5速を組んだ
場合は約3700rpmまで下げることができます。
しかしこれはジムニーよりもカプチーノのユーザーで最高速をやっているような人には面白い組み合わせ
かもしれません。「うまくいけば」最高速がのばせますので。
ただし、4速→5速がかなり離れますので、5速に入れたときにエンジン回転がかなりドロップします
ので、エンジン回転が下がってもパワーバンドを外さないようにしなければなりませんし、何より回し
きるだけのエンジンパワーがないとかえってスピードが落ちてしまいます。
具体的には、たとえば4速でレッドゾーンの8500rpmまで回して5速に入れた場合、ノーマルの5速ギア
では6700rpmまでの回転ドロップになりますが、JA11の5速を組んだ場合は同じく4速で8500rpm
まで回してから5速に入れると6000rpmまで大きくドロップしてしまうのです。 ここまで回転が落ち
ても加速していけるだけのパワーがないと最高速は延ばせません。 あるいは、エンジンの高回転対策を
しっかりおこなった上で、レッドゾーンを引き上げて9000rpm以上でシフトアップするのもいいでしょう。
(個人的にはF6AもK6Aも機械的に安全な回転数上限はノーマルでは9000rpmが限度だと思ってます)
どちらにしても充分なパワーはもちろん、ある程度広いパワーバンドにチューニングしたエンジンでないと
このギアレシオを活かすことは難しいでしょう。 いくら最高出力があってもパワーバンドの狭いピーキー
なエンジンではこのワイドバンドのギアレシオは使えませんので。
しかし個人的には面白そうな気がします。 計算上はカプチーノで200km/hでの「巡航」も可能になる
わけですから。
ちなみに、過去に雑誌OPTIONの企画でおこなったF6Aでの谷田部240km/hオーバーを記録したカプチーノ
の最高速アタック時はミッションのギアレシオは変更なしでタイヤサイズをギリギリまで外径の大きなサイズ
(正確なタイヤサイズは覚えていませんが)にして結果としてハイギアード効果を得ていました。
●各組み合わせの5速のレシオをまとめると以下のようになります。
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●さらに、私の車の現在の仕様(185/85-16タイヤ)で計算したときの最高速度は以下のようになります。
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注意)このページの記載はあくまでも参考としてのものであり、机上の計算ですので私自身が実践した
わけではありません。 ですので実際にそのまま組み換えが可能なことを保証するものではありません
ので、実際に作業をされる際は自己責任でお願いします。 ただ、現実にこの組み合わせでおこなって
いる方もいらっしゃるようなので、可能であることは間違いないと思います。