グリルエアガイド作成およびオイルクーラーの冷却効果

ちょっとした冷却系の改良と、オイルクーラー前後での油温の変化、水温、クーラントなどの話。


●グリルエアガイド

↑フロントグリルの裏側、一番下の開口部に下側へのエアガイドをつけました。

これは私のクルマはこの位置に空冷オイルクーラーをつけているので、オイルクーラーコアにより

効率よくエアを当てるためのガイドです。

※実際に車両につけたときには現物合わせで長過ぎる部分をカットしました。

 

↑私の車はこの位置にオイルクーラーコアがありますので、そこにエアを導くのが目的です。


●オイルクーラーの実際の温度測定

今回、外側からではありますが、オイルクーラーの入り口と出口でどのくらいの温度差がある

のか簡易的に測ってみました。

この測定には以前「インタークーラー前後の吸気温度の計測」でも使用した内外温度計を使用し、

オイルクーラーのフィンにセンサーを挟み込み、入り口部と出口部の温度差を測定しました。

↑センサーはこのようにオイルクーラーコアの入り口の至近と出口の至近に挟み込み、仮固定

するかたちで取り付け。

 

●実際の数値

↑上が入り口の温度、下が出口の温度。 その差は約20度。

これはだいたい平均80km/hから100km/h程度のO2センサーフィードバック領域で走れる軽い

負荷で高速を巡航したときの様子で、もっとも冷却効果が高い状態とお考えください。

実際には走行状況によって大きく効果は変わります。

街乗りの60km/h程度の速度域ではだいたい平均で10度程度の温度差になることが多かったです。

もちろん、渋滞時など走行風が期待できない状況では、その温度差は5度程度に下がります。

しかし、実走行で10度でも温度を下げられれば実際の放熱量としてはいい仕事をしていると

言えると思います。

 

ひとつ注意していただきたいのは、これはあくまでもオイルクーラーのフィン部の温度ですので、

内部を流れるオイルの温度とは数値が異なりますので、この「絶対値」を読んでも意味はないと

いうことです。

この写真のときの油温計の温度は約95度でした。 ですので、重要なのはその絶対値ではなく

温度差である「相対値」のほうです。

この温度差が重要で、通常、油温計のセンサーはオイルポンプ直後のオイルクーラーへ行く前の

温度を測っているため、実際にオイルクーラーを通ってからエンジンに入るオイルの温度は当然

それよりも低くなるわけです。

つまり、こうすることで温度差をおおまかにでも掴めれば、実際にエンジンに入るオイルの温度が

予想できるということです。

具体的に言うと、オイルクーラー出口と入り口の温度差が10度あったとすれば、油温計で110度

を示していた場合、実際にエンジンに入るオイルの温度は100度程度であるという推測ができる

ということです。

これがわかれば、たとえば全開走行などで油温が上がってもどの程度温度が上がったらクールダウン

すべきかの目安にできます。


●私が使っているMOTULのコンペは150度以上でも安定した潤滑性能を維持する高性能

オイルですが、重要なのはクランクやコンロッド部などの極圧部分の温度で、仮にオイル

パンでの温度が110度程度であっても、こうした軸受け部は150度近い温度になっている

ことも少なくありません。

なお、ターボの軸受け部はこれよりさらに高温な400度近い温度に達しますが、現在の

ターボのセンターハウジングは水冷になっていますし、ここは純粋な回転だけで極圧的負荷

はさほどかかっていないので、むしろ重要なのはこうした高温化においてオイル自身が炭化

してスラッジ化しないような高性能なオイルである必要があります。

 

エンジン温度が高いとヘッドやブロックの歪みからガスケット抜けなどの重大なトラブルの

原因になりやすいことは言うまでもないことです。

では、温度が低いぶんには問題ないかというとそうではなく、オーバークールとまでは

いかなくても、エンジンにとって最適な性能を発揮できる温度よりも低いと、たとえば

燃料の気化が不十分になり燃焼室に付着するカーボンの堆積も増加することで、将来的に

ノッキングの原因になったり、ピストンなどの熱膨張が不十分となってクリアランスが

適正値よりも大きめになることでブローバイガスが増加、それに伴う生ガス成分による

エンジンオイルの希釈などにより、オイルの短寿命化や場合によってはこれが原因で潤滑

不良を起こしたりすることにもなります。

温度が高ければこうした生ガスや水分などの揮発が促進されるので問題は少ないのですが

温度が低いと、こうした揮発性不純物が長時間オイル内に留まるために、オイルの寿命が

短くなります。

このような理由から、オイルにとって、あるいはエンジンにとって温度は低ければいいと

いうものではないのです。

ちなみに最適な油温はだいたい100度前後で、通常は90度から100度の範囲で安定している

のが理想と言えます。 これはレーシングエンジンでも市販エンジンでも変わりません。

世の中には冷えれば冷えるほど良いと思い込んでいる人もいるようですが、エンジンという

のは熱エネルギーを動力として取り出す機械ですので、冷却損失を増やすだけの改造をしても

意味がありません。

通常の街乗りでは油温と水温はほぼ同じで構いませんが、全出力時など負荷の高いときなど、

油温が高くなる時は、油温より水温が10〜15度低めくらいが良いバランスと言えます。

具体的には、油温が100度ならば水温は85〜90度くらいといった感じです。

高出力時には多少水温を低めにしてやったほうがノッキングに対してのマージンも稼げますし。

 

ジムニーの場合は悪路走行を想定していて、もともと低いスピードでエンジン回転を上げて

使用することも考慮されているので、同じ排気量の他の車種より放熱カロリーが大きめの

ラジエーターが純正で装備されているので(JA11からJA22になったときにサイズアップされ、

JB23ではさらにサイズアップ)水温のほうはそれなりに余裕がありますが、逆にそれに見合う

オイル冷却とのバランスが気になることがあります。

実際、高速では私のクルマも速度を上げるほど油温計の針は上がってきますが、水温計の数値

はむしろ下がっていきます。

これは水冷系統の放熱カロリーにはある程度余裕があるが、油系に関しては余裕がないことを

表しており、オイルパン容量が絶対的に足りないことも理由のひとつです。

こういう場合、水とオイルの相互冷却バランスを取るということから、容量の大きい水冷オイル

クーラーを併用し、オイルと水の間での熱交換を促進し平均化するのが効果的かと思います。

 

ちなみに、高圧ラジエーターキャップや低温サーモスタットなどの製品もありますが、これらは

エンジンの熱量アップに対しての放熱カロリーの向上には意味がありませんので、本当にヒート

状態になる場合などにはまったく意味をなさないどころか、エンジンに余計な負担をかけます。

具体的には高圧ラジエーターキャップは、確かに高回転の連続などでウォーターポンプがキャビ

テーションを発生しやすい状況ではそれを抑え込む効果を期待できますが、同時に冷却パッケージ内

に高い圧力をかけ続けますので、シール類やホースから水が漏れやすくなりますし、より沸点が

上がることで限界温度を引き上げてしまい、オーバーヒートに気がつくのが遅れる可能性があります。

また、低温サーモはより低い温度で冷却水を普段からまわしますので、普段から温度が上がりにくく

なることで上記でも書きましたように、本来のエンジンにとって最適な温度よりも低い温度で維持

されることから街乗りでの燃費が悪くなったり、カーボンの蓄積がしやすくなり、それがノッキング

の発生の原因になったり、ブローバイの吹き抜けが多くなることからオイルやエンジンの短寿命化を

招く結果となります。 ストリートをメインで使用する車にはローテンプサーモは必要ありません。

 

この2つのパーツは本来はこれらのデメリットを差し引いてもメリットがある用途、すなわち競技等

で使用する場合に効果を期待するものであって、街乗りメインで使用するぶんには必要ありません。

逆に、街乗りでこのようなパーツが必要になるということは、他の根本的な部分に問題があるという

ことが言えます。

低温サーモをつける目的は、少しでも水温の上昇する時間を稼ぎたいということからだと思いますが、

だとしたらやはり根本的な放熱カロリーのアップに力を入れるべきです。

サーモスタットというのは、たとえ全開状態であっても冷却系統の中では最大の抵抗物体となっていま

すので、たとえばサーモケースを別体で作成し、これにサーモスタットを2個パラレルにつけることで

サーモ全開時の抵抗をより少なくするなどの実戦向きの改造のほうがよほど効果的です。

さらに、こうしてパラレルに2つつけたサーモの1個を通常のサーモ、もう1個を低温サーモ(こちらの

ほうは通路をやや絞る)にすることで、エンジンに対しての急激な温度変化を防ぐと同時に、温度が

上がったときの流量を確保するという一石二鳥のシステムもできます。 これはかなり実戦向きです。

 

なお、レースカーでよくおこなっている別体リザーバータンク(サブタンク)によるエアパージライン

を使用したエア抜きは限界付近ではかなり効果があります。

 

やはり根本的に冷却効率を考えるならばラジエーター本体の大型化(多層化よりも前面面積の大型化

およびサイドフローまたはターンフロー化のほうが効果が大きいです、 単純な多層化は思ったほど

効果は上がらず、たとえば3層ラジエーターの場合3層目の効率は1層目の15%〜20%程度しかあり

ません)でおこなうべきで、放熱カロリーを上げるにはこれしか方法はありません。

低温サーモをつけようが、低温からファンを回そうが、ラジエターキャップの開弁圧を上げようが

本当に温度が上がってしまったら何の意味もありませんので。

ちなみによく真鍮製ラジエーターがありますが、真鍮(黄銅)は実はアルミ(純アルミは除く)と

熱伝導はほとんど差はありませんのでただ重くなるだけでメリットはあまりありません。

どうせ重くなるのならば真鍮ではなく銅でないとダメです。 銅であれば熱伝導は真鍮の約3倍あり

ますので理屈の上ではそれなりの効果はあります。 銅製と真鍮製を混同しないようにしてください。

ただ、個人的には慣性の法則に支配される運動物体である自動車の、しかもできるかぎり軽くしたい

フロントオーバーハングに重いラジエーターを装着するのは重量面でのデメリットのほうが遥かに

大きいと思いますので、わずかな冷却効率のためだけに3倍もの重量になる銅製のラジエーターを使う

ことにメリットがあるとは思えません。


●最後に冷却水について

最近は様々なクーラント(LLC)が出ていますが、基本的にはメーカー純正LLCで充分です。

逆に、冷却効率だけを追求すれば、どんな高性能なクーラントよりも「真水」が一番となります。

冷却液として使用できるもので、地球上でもっとも比熱の高い液体は水であり、他のどんな物質も

水に溶かし込めば必ず水だけの時より冷却効率は下がるのです。 ですので、真水よりも冷却効率

の高いクーラントなど存在しません。

原子力発電所の冷却水に水(同位元素でより重い重水が使用されますが、これはさすがに自動車用

では一般的ではありませんので)が使用されていることからもわかると思います。

おそらく多くの人はより冷却効率の良いクーラントを入れたいのだと思いますが、クーラントを混ぜて

いる以上どんなクーラントでも大差ありません。 ですのでストリートではむしろ金属腐蝕に対して

の保護性、シール類の潤滑性、長期安定性、対キャビテーション性などの基本性能に優れた「エンジン

に優しいクーラント」を使用するのがベストで、やはりメーカー純正指定(あるいは相当品)の製品

がいちばんと言えます。

 

それと、これも基本的なことですが冷却水に天然水は使用すべきではありません。 緊急時の補充など

で水道がない際に一時的にミネラルウオーターを使用するのであればしかたありませんが、天然水は

たとえ硬度が低くても冷却水として使用するのには不純物となる物質が溶け込んでいる可能性がある

ので、アルミや鉄を腐蝕させたりシール類を劣化、磨耗させたり不純物堆積の原因になります。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~