フロントグリルの化粧直し
APIO製FRPフロントグリルをブラックスモークメッキ化して取り付け。

●今まで私の車は純正フロントグリルに自作のライトシールドをつけていましたが、これが
紫外線などによる劣化のせいでちょっとしたことでヒビが入ってしまったので取り外しました。
それで当初はグリルを以前の加工してない純正に戻すつもりだったのですが、この際なので
社外のグリルに交換してイメージチェンジを図ってみました。

↑APIO製FRPグリル
SJ30型ジムニーのグリルをモチーフにデザインされた縦スリットグリルです。
FRP製で、ホワイトゲルコート仕上げです。
全体の造りや精度については、FRP製品としては標準的なものと思います。 あまり社外の
パーツに純正部品のような精度やクオリティを求めるものではないですので。
APIOのFRPパーツはわりとぶ厚いものが多いので、これも購入前は重量は純正より重くなる
だろうとと思っていましたが、現物はわりと薄く、持った感じは純正と同じか、むしろちょっと
軽い感じです。(正確な重量は計っていません)

↑裏側。 JA12/22の場合は4箇所のツメのかかる場所が取り外し時に割れやすいので、ここの
強度がやや気になります。 変に力をかけてこじると割れてしまう危険性がありますので、これは
慎重に作業するしかないと思います。
ウインカー/スモールの取り付け部およびグリルネットの取り付け部は金属になっています。
ネットそのものはアルミ製です。 当然ですが塗装やメッキをする前にはこのネットは外します。
●塗装
はじめはボディ同色で塗装しようかと考えていましたが、それは他でもおこなっている例を多く
見るため、そのまま塗装しても面白くないので、いっそのことメッキしてしまおうと思い立ったの
ですが、通常のクローム仕上げするとあまりに派手になりすぎてしまうので、少し控えめにする
ためにブラックスモークでメッキ化してやることにしました。
イメージとしては日産ムラーノの純正グリルのような感じです。 ムラーノの純正グリルは
メッキ自体があの色になっているのではなく、通常のクロームメッキした上からクリアーブラック
を塗ることであの色を出しているのです。

↑参考までに日産ムラーノの純正グリルです。 薄いブラック仕上げのメッキとなっています。
●グリルのメッキ化
メッキの方法はスパッタリングメッキでおこないました。
スパッタリングメッキはよくメッキ塗装と混同されますが、メッキ塗装とは根本的に手法が
異なるメッキです。
メッキ塗装は通称「水性メッキ」とも言い、銀鏡反応を利用しておこなうもので、通常の鏡と
同じ工程でおこないますが、鏡とは裏表が逆になるものです。
メッキ塗装の弱点としては、反射層に銀を用いるため保護層となるクリアーをかなり強く厚くし
ないとすぐに硫化変色してしまう(銀食器が変色しやすいことからも解ると思います)点と、
素地への接着性が乏しい(ほとんどトップコートで押さえつけてるだけ)という点があります。
フロントグリルなどのように、走行中に飛び石などでクリアー層に損傷を受けやすい部品に使う
にはややデリケートな面があります。
対してスパッタリングメッキは反射層にアルミを用い、素地に対して密着(接着)性が強いこと
と、変色に対しての耐久性もメッキ塗装よりは強い(とは言えクロームメッキに比べれば劣って
しまうのは仕方ありません)点がメッキ塗装に対しての優位性となります。
なお、メッキ後のトップコートには2液ウレタンクリアーを用います。
ただ問題点として、メッキ塗装は通常の塗装ブースでおこなうためにワークの大きさに制限が
ありませんが、スパッタリングメッキの場合は完全気密された設備の中で処理をおこなうため、
設備の大きさの関係で通常は長さ1200mmまで、最悪でも長さ1300mm程度までが限界です。
現実には1350mmくらいまでは入るには入るのですが、1200mmを超えると両端部にメッキの
つかない部分ができることがあるので、もしおこなう場合はそうなっても構わないという覚悟と
理解が必要です。 あくまでもイレギュラーなサイズですので。
ちなみにこのJA22のグリルは長さ約1330mmなのでまさにギリギリで目一杯の寸法です。
↑完成したフロントグリル
まずウレタン塗装で光沢仕上げをしてからスパッタリングメッキし、ブラックスモーク仕上げ
します。メッキだけでは素地の傷やザラつきを埋めることはできませんので、下地塗装の時点
で仕上げて光沢を出しておく(最低でもペーパー目で#2000番以上)必要があるのです。
写真ではあまりブラックの度合いがうまく伝わらないかもしれませんが、上記のムラーノの
純正グリルにほぼ近い感じでうっすらと黒くなっているという感じです。
また、反射の加減でこの黒さの度合いが見る角度によって変化するのもメッキならではです。
上記の説明のようにサイズ的に両端部にメッキがつかない可能性もありましたが、なんとか
見える部分についてはメッキがかかりました。 奥行きがなく、ほぼ平面の形状だったこと
と、ブラックスモークにしたことで目立たなくなったことが幸いしたようです。
仕上がりについては全体写真で見るとかなり綺麗に見えますが、たしかに全体を見渡せる
くらいの距離から見ればまず問題ありませんが、目を近付けて見るとそれなりに表面には
ピンホールや奥行き部のザラつき、ホコリの付着などもあります。
しかしこれらは程度の差こそあれ避けられない現象ですので、妥協するしかありません。
FRP製品は射出成形品と異なり圧力をかけて製造されるものではないため、内部にどうして
も製造時の気泡などが混入するため、これがメッキの表面に吹き出てしまうことがあり、それが
ポツポツとしたピンホールやザラつきになって残ることがあります。
また、ブラックスモークはトップコートのクリアーにブラックを混ぜることでおこなって
いますが、これも少し離れて見れば気になりませんが、間近で見るとどうしても多少の濃淡の
ムラやしぶきのような粒子感が残ることがあり、とくにこれだけの面積のものになると均一
な濃さにするのは技術的にかなりのレベルを要求されます。 実際、今回のグリルも厳密に
言えばそれなりにムラがありますので、神経質な人は気になるかも知れません。
いずれにしても、メーカー純正のメッキではありませんので、品質的にこのような点について
妥協ができない人は後加工のメッキはしないほうが賢明です。
それとスパッタリングメッキは処理時に60度〜70度前後まで昇温させますのでFRPの場合、
製品によっては反ったり変型する可能性がありますので注意が必要です。

↑取り付け途中。 個体差はあるかと思いますが、私の場合は加工などは一切なしで付きました。

↑ウインカー、スモール部。 (裏側にはクリアーブラックはかかっていません)

↑唯一精度という点で気になったのは、見ての通り、右側をきちんと合わせると左側の
ライトおよびウインカー、スモールランプの穴が若干ですが中央側に寄ってしまいます。
つまり、ライトtoライトのピッチがやや狭くなっているということです。
このへんは製品の個体差があるものと思いますが、左右のライトが均等になるように
ずらしながらちょうど良いところでビス留めすることになります。
ただ、社外FRP製品はこのくらいは目を瞑らないといけないと思いますので、決して
不良というわけではありません。 現物合わせの加工が一切なしで付くだけでも良く
できていると考えるべきだと思いますので。
●完成

付ける前はちょっと派手になりすぎてしまうかと心配もありましたが、ブラックスモークという
ことが幸いしてか、そんなに嫌みな光り方にはならず、思ったよりしっくり馴染んだ気がします。
ただ、こういった「光りモノ」は好き嫌いが別れるものですので、いくらブラックスモークにして
控えめにしたとはいえ受けつけない人には無理だと思いますが、個人的にはいいモディファイに
なったと思っています。