K6Aエンジン復活

エンジンのオーバーホール&ファインチューンが完了しました


4月半ばにヘッドガスケット抜けからはじまった私のJA22ジムニーのK6Aエンジンオーバーホール

ですが、様々な加工やら変更を経てようやく復活しました。

とりあえずはまだ組み上がったばかりですし、ピストン、リング、カムシャフト、各メタル類など

すべて新品交換ですので、まったく新車のときと同じ要領で…ではなく、むしろ新車時より慎重に

慣らしをしないとなりません。 ノーマルの倍ほどのパワーになっているわけですから。

まず3500rpmまで、次に4500rpmまで、そして5500rpmまでと3段階にわけて最初の1000km

を走り、その後オイルとオイルフィルターを交換、各部のチェックをします。

ですのでしばらくは「フルパワー状態」の確認はできません。 当然EVCもオフにして走ります。

そのうえで、新しく生まれ変わったK6Aエンジンの初感触ですが、まず回転が滑らかになりました。

また、発進からしてトルクの出方も以前より僅かながら力があり、レスポンスも良好になっています。

今までもHT07-A/R12タービンの割には下からのトルクはそれほど悪くないと思っていましたが、

さらに全体にひとまわりトルクが上積みされたような感じがします。

これは初期慣らしが終わってフルブーストかけるのが楽しみです。 単なるリビルトやオーバーホール

ではなく、ファインチューンとしてしっかり組み直した結果でしょう。

また、ワークスRカムにしたことで低速トルクは薄くなるかなと思っていましたが、まったくそんな

ことはありませんでした。

なお、慣らし終了後のブースト設定についてはまだハッキリとは決めていませんが、カムも換えた

ことですし、ポート研磨などリファインもおこなっていますので今までと同じブースト(1.5k)を

かけたらそれこそパワーが出過ぎてまた何らかのトラブルの元になってしまう可能性があります。

私としてももうエンジンを開けるのは避けたいので、ここは耐久性を重視してせいぜい1.2〜1.3k

程度に設定しようかと思っています。 おそらくそのくらいの設定でも今までと同等のパワーは出て

くれると思いますし、カムの効果で高回転でのフィーリングも良くなると思いますので。

 

■今回のオーバーホールにておこなった主な作業内容です。

●エンジンフルオーバーホール

●シリンダーブロック最少(0.055mm)面研、シリンダーホーニング

●シリンダーヘッド最少(0.045mm)面研、ポート研磨

●ピストン、リング新品交換

●クランクメタル、コンロッドメタル新品交換

●排気バルブ新品交換(12915-73G00→12915-73G20 対策品)

●オイルポンプレギュレーター油圧アップ(1.5mm厚ワッシャー挿入)

●モンスタースポーツ製メタルヘッドガスケット(0.7mm厚)

●HB21SワークスRカムシャフト(IN/EXとも)

●スズキスポーツ強化水冷オイルクーラー(3層→5層)

●エキゾーストマニホールド純正品新品交換(一部加工、タフトライド処理)

…主にはこんな感じです。

その他オイルシールやパッキン類、バルブステムシール等ショートパーツ類も新品に交換、

ついでに少し音が出始めていたクラッチのレリーズベアリングも新品にしました。


■以下に今回のオーバーホールにて装着した変更パーツの概要を書きます。

 

●カムシャフト 

社外カムも考えましたが、私が探した限りではK6A用ハイカムはどれもノーマルカムの加工品なので

当然ながらベースサークルが小さくなりますのでそれだけ厚いシムを使う必要があり、動弁系の重量

が増えてしまうというデメリットがあります。 さらにそれによるサージング限界が下がってしまう

のを防ぐために強化バルブスプリングを組むとカムやタペット、バルブシートやバルブ本体の摩耗を

促進してしまうばかりか、動弁系の抵抗が増えメカニカルロスが増加してしまいます。 ただでさえ

非力な軽自動車のエンジンですのでメカニカルロス(フリクションロス)はできるだけ小さくしたい

のですが、これに反することになってしまいます。

それと加工カムはノーマルの鋳物カムの表層を削って作りますので、表面硬化してある「チル化層」

を削ってしまうことで耐摩耗性が落ちてしまうこと、さらにカムノーズのRもきつくなることから

局部的な応力も増え、これがさらに摩耗を促進してしまうなど、耐久性にかなりの問題点があります。

ブランク材から削り出したカムシャフトならこうした問題は起きませんが、純正加工のハイカムでは

こうした問題がつきまといます。 ですので純正を加工したカムは使いたくありません。

その点、純正カムならばこれらの問題はすべてクリアーされますので、信頼性という意味で純正の

ワークスRカムを使用しました。 たしかに社外のハイカムに比べれば大人しいスペックですが、

排ガス規制など車検時のことも考えると、ストリート使用では正しい選択だったと思っています。

↑K6AワークスRカム。

■インテーク品番 12710-73G51 ■エキゾースト品番 12720-73G51

末尾番号「51」はこの写真と同じ後期型、「50」はスプロケットが別体の前期型となります。 ただ

すでに前期型は在庫はなくおそらくすべてこの後期型に統一されているものと思います。

ワークスRカムは標準カムよりIN側開度が10度ほど大きく、リフトがIN、EXともに0.5mm大きくなります。

僅か0.5mmですが、バルブ径に対しての比率から言えばけっこう大きいものですのでバカにはできません。

ワークスRカムと標準カムの違いなど詳細スペックについては以前に調べてありますので以下のページを

参照ください。 →K6Aエンジンのカムシャフトのスペックについて

 

●ヘッドガスケット

↑ヘッドガスケットはモンスタースポーツ製(旧スズキスポーツ製と同等品)を使用しました。

厚みは純正と同じ0.7mmで、メタル3層構成となっています。

K6Aはノーマルでもメタルガスケットですが、モンスターのものは強化ビードとなっており、また

両面にコーティングされているシール層も純正より強化してあるので、燃焼圧力の向上に対してガス

漏れしにくく耐圧性が高められたものとなっていますので、今後よりパワーアップする場合はもちろん

仮にそれほどパワーアップしなくてもよりマージンを稼ぐという意味では換えておいて損はないと

思います。 結局、今回抜けた純正ガスケットのようにメタルガスケットはその本体のステンレス板

は丈夫ですが、両面をシーリングしているシール層が弱いと抜けてしまうのです。 ですのでこの

シール層が強化してあることが大変重要なのです。

なお、ヘッドガスケットはできるだけ厚みは薄いほうが理想です。 それは熱伝導性の問題で、メタル

ガスケットは従来のカーボンガスケット等に比べればずっと熱伝導性に優れていますが、それでも素材

がステンレスですので金属の中では熱伝導性の悪い素材です。 ですので、少しでもヘッドとブロック

間の熱交換を促進させるためには薄いほうが有利です。

また、積層枚数もできるだけ少ないほうが耐圧性が高くなるのでチューニング用としては3層あたりが

ベストとなります。 4層や5層のように層が増えるとヘッドやブロックの面歪みに対しての追従性や

密着性は良くなりますが、逆に、各層の「滑り」が多くなるためにヘッドとブロックの結合剛性が弱く

なりますので、とくにオープンデッキのブロックのエンジンでは剛性に影響を与えることがあります。

つまり、メタルヘッドガスケットはできるだけ「薄く、積層枚数が少ない」ほうが理想なのです。

手軽なことからよくガスケット厚を厚くして圧縮比のローコンプ化をすることが多いですが、上記の理由

とガスケットが厚くなったぶん燃焼室のスキッシュ特性が変化してしまうので、理想を言えばガスケット

厚で手軽に圧縮比を下げることはあまり褒められたやり方ではありません。

 

●エキマニ

エキゾーストマニホールドは純正品を使用しました。

どうせなら社外のものにすればいいのにという声も聞こえてきそうですが、たしかに全開時の効率

から言えば社外のほうが良いのは当然なのですが純正も決して悪いことばかりではなく、排気ポート

からタービンまでが最短距離で繋がっていることと、肉厚のため保温性に優れていることから

排気ガスの持つエネルギーのロスが小さいため、より高温、高圧な排気ガスをタービンに導けること

で低回転からタービンを回すことができるというメリットがあるので今回はこの点を重視しました。

それにエキマニだけならばあとから換えることも可能ですし。

社外のエキマニは高回転域だけに限って言えば悪くないのですが、無理矢理等長にしていることも

ありパイプ長(パイプ容積)が無駄に長いものが多いため低回転でのトルク低下やブーストの立ち

上がりが遅れたりと意外とデメリットも多いものなのです。

NAエンジンではこの集合部までのパイプ長さでトルク特性をチューニングしますが、ターボの場合

はとにかく排気ガスのもつエネルギーロスを最小限にしてタービンまで導きたいわけですので、

集合部までのパイプ長は無駄なく最短距離で繋がっていることがたいへん重要なのです。

また、ターボエンジンはNAエンジンと違い、エキマニ直後に排気タービンという非常に排気抵抗の

大きなものがついているため、エキマニ交換による効果はNAエンジンほどは望めないというのも

あります。 ですので費用対効果という面で考えると安易に社外品に換えるのには疑問を感じます。

なお、今回購入したこの純正エキマニは形状変更がなされており、遮熱板がつくネジ穴等に変更が

あります。これはJB23-1型が出た際に共通化されたためと思われ、同時に材質面でも変更された

らしく「割れ対策品」となっています。 たしかにJA22以前と比べてJB23ではあまりエキマニ割れ

というのは多くは聞きませんね。 なお、遮熱板はアッパー側のみとなりロアー側の小さな遮熱板は

なくなりました。 ですので遮熱板も今までついていたものは使えなくなりますので新たに購入し

なおす必要があります。

↑純正部品のエキマニの入口周辺をリューターで少し加工、その後全体をタフトライドをかけて

仕上げました。

「なぜエキマニにタフト?」と疑問に思う人も多いと思いますが、これはクラック(割れ)対策の

ためで、私が以前熱処理の勉強をしていたとき、昔のまだ鋳鉄製のシリンダーヘッドに割れ対策と

してタフトライドをかけた例が本に載っていたことをヒントにしました。

タフトライドをかけることで表面に残留圧縮応力が発生しますので、これにより割れようとする力

(=引っ張りの応力)に対抗することで割れを防止できるのではないかという理屈です。

また、タフトライド層(窒化層)が耐酸化性を持ちますので、とくに高温で腐蝕しやすいエキマニ

には表面の酸化対策にもなることが期待できます。

ですが、今までこれがエキマニで立証された例はなく、今回もあくまでも実験的な要素が強いです。

ただ、実績としては数年前に同じジムニーのユーザーさんのエキマニに同様にタフトライドをかけた

ことがあり、その後の経過を聞いたところ割れは発生してなく、また、外観も通常なら赤黒く焼けた

り錆びたりするところがいまだにそういった表面上の変化は無くタフトの色そのものを保っていると

いうことなので、耐高温酸化性にも効果を発揮しているのではないかと思います。

ですので、タフトライドをかけたことによる一定の効果はあったのではないかと思われます。 それ

を今度は自分の車で試してみようと今回、処理をしたわけです。

なお、このタフトライドは鋳物だけではなく社外品に多いステンレス製エキマニにも適用できますの

で、溶接部などのクラック防止効果も期待できるかもしれません。 ただし過信はできませんが。

 

●スズキスポーツ強化オイルクーラー 品番:4NA36-E50

↑以前にもちょっと触れたことはありますが、新品で入手したまま眠っていたスズキスポーツの

水冷強化オイルクーラーもついでなのでつけました。 これはノーマルでは3層になっているものを

5層に増やしたもので、基本的にK10Aターボエンジンの純正品と同じです。 水温>油温のときは

オイルヒーターとして、水温<油温のときはオイルクーラーとして作用するものです。 ジムニー

という車はその性格上、走行風による冷却をあまり望めないような低速でエンジン回転を上げて使う

ことを前提としているのでラジエーターの大きさには余裕があり、とくにJA22のラジエーターは

JA11などよりも大きく、高速で走るときなどは水温はけっこう冷えますので、その余裕を活かして

オイル冷却に振り向けるためにこのオイルクーラーは役立つものと思います。 もちろん私の車には

これとは別に空冷オイルクーラーも装着しています。

つまり、空冷+水冷とダブルの強化オイルクーラーで余裕を稼ごうというわけです。

今回、エンジンを開けてみてコンロッドメタルにかかる負担の大きさを思い知らされたこともあり、

あらためて油温管理は非常に重要だと認識しましたので。


●とりあえず今回はここまでです。

これから夏になりますのであまりエンジンに無理をかけないよう慣らしをおこない、本格的に全開

セッティングをするのは秋から冬にかけてになるかと思います。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~