スポーツ触媒コンバーター(HKS製メタルキャタライザー)への変更
さらなる排気抵抗の低減をめざして高性能キャタライザーへ交換、効果ありです。
<注記> 今回の改造内容は違法改造となりますので、皆様は決して真似しないでください。
詳しくは →(緊急更新)やはり今までのR34 GT-R純正触媒に戻そうと思います

●私のJA22ジムニーは2004年以降、10年間に渡りSUXONのフロントパイプを改造して日産純正
BNR34 GT-R用の触媒コンバーターをつけており、車検もそのままパスしてきました。
このR34 GT-R用純正触媒はもちろん軽自動車にはオーバークオリティなほどのキャパシティをもって
いて、非常に低い排気抵抗(低圧損)なのは分かっているのですが、とあるサイトの実験を見ていたら
R33 GT-R純正メタル触媒とHKS製のR32〜R34 GT-R用メタル触媒との「通気抵抗の差」をエアブロー
で比較したところ、条件によっては倍近いほど抵抗に差が出るらしいです。 もちろん、HKS製のほう
がずっと低抵抗で優秀なのは言うまでもありません。 なにしろHKSのチューニング用触媒は本来は
500PS〜600PSのエンジンに対応しているキャパシティを持っていますから当然と言えば当然です。
そこで、また悪い考えが頭に浮かびまして「ならば私の車のR34 GT-R純正触媒をHKS製のメタル
触媒に変えてしまえばさらなる排気抵抗(排圧)の低減がなされるのではないかと。 さらに
HKSの触媒は日産純正触媒と形状も酷似しているうえ、遮熱板は日産純正のものをつけてしまえ
ばどう見ても純正触媒にしか見えないため、車検もそのまま通ってしまうのでは?」…まさに悪魔
のささやきが聞こえてきたのです。
●思いついたらすぐ実行!
とりあえず新品は高いので、ヤフオクで中古の日産車用(R32、33、34、S13用など)HKSメタル触媒
を探して片っ端からウォッチリストに入れていきます。 その中から比較的程度のよさそうなもので、
なおかつ「上限30000円まで」と決めて、なんとか条件にピッタリなものを落札できました。
もちろん、本来の車種に付けるわけではないので排ガス検査証明書など必要ありません。「本体」だけ
あればそれでいいのです。

↑入手したHKSメタルキャタライザー。 日産車であればR32 GT-RからR34 GT-Rまで、さらにはS13、
S14シルビアなどにも共通で使えるものです。見た目は日産純正触媒とよく似ていて、一見すると社外触媒
には見えません。 内部セルの粗さはHKSによると150セル(純正はおそらく400セルくらい)ですので、
ノーマルに比べるとかなり低抵抗なセルになっています。
なお、HKS品番では33005-AN001、重量は約3.9kgです(ちなみにR34 GT-R純正触媒は約3.7kg)。
●R34GT-R純正触媒とHKSメタルキャタライザーのセル比較

↑左が日産R34 GT-R純正触媒、右がHKSスポーツ触媒。 比較するとセルの粗さがぜんぜん違うのがよく
分かります。HKSのほうは目が粗くていかにも排気抵抗が少なそうです。 上でも書きましたが、純正触媒
のセル数は約400cpsi、対してHKSのほうは約150cpsiとなっています。このcpsiという単位は1平方インチ
あたりのセル密度のことで、当然ながら数字が小さくなるほど目が粗くなり、排気抵抗は小さくなりますが、
逆に浄化性能という点では不利になります。 自動車メーカー純正触媒は触媒コアの経年劣化ぶんを見込んで
かなり余裕のある浄化性能を持たせているため、こんなに目が細かいのですが、社外のスポーツ触媒はこの
純正の過度な余裕をギリギリまで落としてセルの目を粗くすることで排気抵抗を低減しているのです。
そうなると排ガス規制は大丈夫なのかと心配になりますが、現実の車検でのアイドリング状態での排ガスの
COおよびHC規制数値は10.15モードやJC08モードに比べずっと甘いのでまったく問題はありません。

↑この写真ではうまく撮れていませんが、HKS触媒はセルを通して向こう側の景色が透けて見えるほどです。
いかにも排気抵抗が少なく抜けが良さそうで期待がもてます。 試しに私もエアブローで通気抵抗を試して
みましたが、ほとんど風力の減衰なしに「筒抜け」状態で通過することが確認できました。これは良い効果
を期待できそうです。

↑当然、基本的に装着はボルトオンですが、触媒温度センサーのネジ穴は必要ないので、適当なメクラプラグ
(M12X1.25)で蓋をします。 私は市販のオイルパンドレンプラグ&ワッシャーを使用しました。 たしか
日産用だったかと思います。
●購入したショートパーツ類

↑ガスケットは市販の汎用品を、ボルトはホームセンターでステンレスのM10x35と念のためM10x40を、
そして前述した排気温センサープラグのためのオイルパンドレンプラグM12xP1.25です。 最終的には
ボルトはすべてM10x40のほうを使用しました。 なお、書くまでもありませんが、こうした排気系の
ボルト、ナットを締める際には必ずスレッドコンパウンドやアンチシーズなどの焼きつき防止グリスを
塗布してから締めつけます。
●車輌への装着

↑まずはHKS触媒本体だけを装着した写真。 これは今までついていたR34 GT-R純正メタル触媒と入れ
替えるだけのボルトオンですので、なにも問題なくつきました。 こういう排気系って取り付けよりも
取り外しの際のネジの錆びつき、焼きつきによる固着のほうが厄介だったりするのですが意外にも今回は
すべてのボルト、ナットともに素直に緩んでくれました。
●遮熱板(ヒートインシュレーター、シュラウド)の装着

↑遮熱板は日産純正のものを使用。 HKS触媒のステーとは若干、穴位置が違いますので、リューターで長穴
に加工して装着しました。 さらにフランジにプリントされていたHKSのマークも削り取ってしまったので、
これでどこからどう見ても今までと同じ「純正触媒」にしか見えません。 これで完璧なカモフラージュの
完成です。 もちろん触媒としての浄化能力も問題ないので車検もこの状態でいける「はず」です。
そもそも、車検で計測するCO、HC濃度はH9年までの規制値ならばECUでO2センサーフィードバックされ
ていて、理論空燃比に制御されていれば触媒の中身がなくてもクリアーできてしまうレベルのものですので。
●走行インプレッション
もともとのR34 GT-R純正触媒でもかなり高効率なので体感的な違いは期待していなかったのですが、これが
驚いたことにけっこう違ってきまして、まず、ブーストの立ち上がりが以前より素早くなり、同じブースト圧
に達する回転数も300rpm〜400rpmほど下がった感じです。 低回転域(たとえば2000rpm程度)から
アクセルを踏んだときのピックアップが良くなり、ちょこっとアクセルを踏んだときの車の動きが軽くなり、
文字通り車が軽くなったように感じられます。 街乗りでも充分その変化を感じ取れるくらいのレベルの変化
はありました。 全体に若干ではありますが、トルクフルになった感じですかね。
そしてある程度走行してエンジンや駆動系が充分暖まったところで高速にのりアクセル全開でフルブーストを
かけたら、なんとEVCの設定を全く変えていないにもかかわらず、1.3kg/cm^2でセットしていたブースト圧が
1.4kg/cm^2付近まで上がるようになりました! これは思ってもみなかった変化で、まさか触媒コンバーター
の抵抗を低いものに変えただけで目に見えて過給圧に変化が出るとは考えてもみませんでした。R34 GT-R純正
触媒でも軽自動車にとってはかなりの低抵抗なはずなのに、さすがHKSのスポーツメタル触媒の性能はダテでは
ありません! なにせ本来は500馬力オーバーのエンジンに対応できる触媒ですからチューンド軽程度のパワー
には余裕すぎるくらいなのですが、その効果は確かにありました。コストパフォーマンスとしては良好ですね。
当然、再びEVCの設定を変更して1.3kg/cm^2に戻しました。 なお、ブースト計の数値そのものは非常に安定
しており、ハンチングやオーバーシュートなどはまったくなく、EVCにて完璧に制御されています。
●全開走行時の排気温度の変化

↑最初の「HKS触媒ポン付け無セッティング」でのテスト走行後の排気温度計のピークホールド。
意外なことに、このHKS触媒をポン付け無セッティングでは、排気温度は今までのMAX860度より10度下がって
850度になりました。普通なら触媒の低抵抗化により排気の抜けが良くなる=吸気量も増えるので空燃比(A/F比)
が薄い方向にいくので単純に考えれば排気温度は上がってもおかしくないのですが、逆に下がったということは、
おそらく排気の抜けが良くなった、即ち2次排圧が下がったことによって排気上流部の「熱だまり」が軽減されて
温度が下がった結果ではないかと推測できます。 しかしこのことは逆に言うとこれは排気温度に「10度の余裕」
が生まれたことになるので、これをパワーアップに利用しない手はありません。
そこで、SFC-MULTIのMIDレンジのボリュームを2ノッチ薄い方向にセットして5速で連続全開フルブースト走行
してみたら、案の定、排気温度ピークは今までと同じ860度まで回復し、今までよりパワーアップが感じられ、
同時に加速時の回転フィーリングもかなり向上して、いかにもターボらしい「気持ちいい加速と高回転の伸び」を
するようになってくれました。 実際、3速、4速では今までの感覚で引っぱっていくと一気にレッドゾーンに
飛び込み、一瞬9000rpm近くまで回ってしまってもう少しでレブリミッター!というところまでいってちょっと
焦ってしまったくらいです。 フルブーストがかかってからの回転の上昇が明らかに今までより速いのです。
この変化は凄いです。 このようにほんの僅かなセッティング変更でもけっこうな変化が感じられたことから、
たかが触媒でもポン付けだけではもったいないですね。やはりそれを活かすためにも再セッティングすることが
要になります。

↑最終的なセッティング終了後の排気温度ピークホールド。 SFC-MULTIのセッティング変更により、以前と
同じ860度まで回復するとともに、今までよりも明らかにパワーアップが感じられるようになりました。
●SFC-MULTIの「クセ」
ここでひとつ疑問に思う人がいるかもしれないので補足しておくと、SFC-MULTIのMIDレンジを絞ってなんで
HIレンジ領域の空燃比にまで影響を与えるかということですが、SFC-MULTIはシステム上、LOWレンジは
負圧域から上すべて、MIDレンジは0ブーストから上すべて、そしてHIレンジはブースト0.5k以上に影響を
与えるため、LOWやMIDを弄ると自然とHIにも変化が現れる制御になっているのです。 これはSFC-MULTI
を扱ううえでの知っておかなければいけないポイントです。
ためしに、さらに薄めにしようとLOWレンジを2ノッチほど薄めてみたがこれは逆効果でした。 かえって
ブーストの立ち上がりのピックアップが悪化してしまいトルクダウンが感じられたのです。 なので、今回の
セッティングではMIDレンジを2ノッチ薄い方向にするのみでほぼベストな状態になりました。 SFC-MULTI
は案外と繊細なのです。 とりあえず、これで今回のHKSスポーツメタル触媒への変更に伴うセッティング作業
は終了、かなり満足度の高い結果を出すことができました。
こう書くとずいぶん簡単にセッティングが終わったように思えるかも知れませんが、結局、深夜の時間帯という
限られた時間を使ってこの最良のセットアップを出すのに3日間も使ってしまいました。 触媒ひとつ替えただけ
でもけっこうベストなセットアップをするのは各種メーターからのデータの意味を考えながらいろいろ頭を使い
ながらのトライ&エラーのくり返しになります。このあたりはDIYならではの楽しい作業ではありますが、正直、
リスクも高いですし疲れますね。

↑セッティング終了後のSFC-MULTIのダイヤル位置。 結果としてはMIDを2ノッチ絞っただけで済みました。
しかし、これだけでもけっこう変化するのですからほんと、限界の性能を引き出そうとすると難しいものです。
●結論
当初はフロントパイプごと一新したいとも考えていましたが、まずはお手軽にということで触媒だけより
高効率なものに替えてその変化を感じられれば面白いなと思ってやってみたのですが、事前の予想以上の
好結果に正直驚いています。 しかも高回転、高負荷域だけでなく、街中でよく使う実用域など低回転から
のブーストの立ち上がりも若干ではありますが速くなりレスポンスが良くなった感じなので、街乗りの
負圧域から高速の全開まで全域で効果あったと言えます。 とくにブーストがかかってからの吹け上がりが
素早くなったことで、高速道路での全開加速が楽しくなりました。 たった触媒ひとつでこうも大きく変わる
とは…ターボエンジンの排気系モディファイはやはり奥が深くて面白いです。
これがNA(自然吸気)エンジンだったらスポーツ触媒だけでここまでの違いは感じられないばかりか、下手
すると低速トルクが細くなって乗りにくくなる可能性さえあるでしょうね。 しかしターボはまったく逆で、
触媒による抵抗は少なければ少ないほど低回転から高回転まで全域で良い効果があるのです! 今回は結果
としては大成功と言うことができるでしょう。
エアクリーナーもそうですが、ある程度のレベルのターボチューンになると「軽自動車だから小さいサイズ
で充分という考えではなく、2クラス、いや3クラスくらい上の、普通に考えればオーバーサイズと
思えるくらいのものをつけたほうがビッグタービンチューニングの効果を引き出せる」んだということ
がよくわかる結果となりました。
ちなみに、今回の触媒変更によって排気音量そのものにとくに変化は感じられませんが、音質はやや重低音寄り
になった感じがします。 車検も外観およびガス検ともにこの状態で問題なく通ると思います。(※もちろん、
実際には違法なのは認識しています)
●BLITZパワーメーターIDのトップスピードのピークホールド

↑これは最終3日目の最高速度ピークですが、やや向かい風があった条件だったとはいえ5速7500rpmあたり
まできれいに回ってくれて余裕の180km/hオーバー、もし無風なら200km/hに迫る数値が期待できますので
ブースト1.3kとしては充分なパワーが出ていると言えるでしょう。 今まではブースト1.3kでは180km/hを
超えるのがやっとくらいでしたので、この数字を見ても確実に今までよりもパワーアップしていることは確認
できます。 HKSスポーツメタルキャタライザーはたしかにその性能を実感できました。 軽自動車にはやや
贅沢すぎますが、非常に優れた効果的なチューニングパーツと言えるでしょう。
●取り外したBNR34 スカイラインGT-R純正メタル触媒

↑取り外したR34GT-R用純正触媒。10年間よく働いてくれました。 でも万が一のことがあるかもしれない
のでこの触媒は手放さずに保管しておきます。 なんか巷ではこのR34GT-R純正触媒ってレアになりつつある
ようで、一度手放すと再度入手するのが難しくなる可能性があるので。 ちなみにこのケースにある「X4」と
いう刻印があるのものがメタル触媒である記号のようです。セラミック触媒は「X3」となっているらしいです。
あと、これはあくまでも噂話ですが、同じメタル触媒でもR32用やR33用よりもこのR34 GT-R用がいちばん
排気効率が良いらしいです。
<補足> 排気抵抗の低減と排気流速の確保は別物
いちおう書いておきますが、今回のような排気抵抗の低下を目的としたリファインと聞くとすぐに「ならメイン
パイプ径を太くすれば抵抗が簡単に減るじゃん」と単純に考える人も多いと思いますが、そうすると全開全負荷
時は良くても、低アクセル開度からの加速時など特定回転域での「排気流速」が低下して排気のイジェクター効果
が減少してしまい、かえって排気の抜けが悪化してトルクダウンに繋がる領域があるのです。 何度も書いてます
がマフラーパイプは「太い=抜ける」などと言うほど単純なものではありません。 触媒やフィルターのような
「障害物」の抵抗を減らすことと、メインパイプの径や長さを変更することとは根本的に理論および物理現象が
異なるのです。 排気流速を活用した排気慣性効果を最大限活かすことと、単純に排気抵抗を減らすことは全く
異なるアプローチが必要なのですが、シャシダイの全開性能の結果ばかり追求している単細胞な輩にはこのへん
のことを何度書いても無理解な人が多いので、いまだに「ターボは排気パイプは太いほどいい」などと時代遅れ
なことを言っている人がいます。常にスロットル全開か全閉かのような走り方をするレースカーならその考えで
いいのですが、ストリートチューンでのエンジンはスロットル全開時の特性だけを追求しても意味はありません。
この件についてはまたそのうちあらためて記事にしたいと思います。
