インタークーラー放熱塗装
より放熱効率を高めるための小細工です
●私の車のインタークーラーはIMPSのスーパーインタークーラーを使用していますが
これは製造元はARCのようで、本体は元からシルバーに塗装してあります。
今回はこれをより放熱効果を高めるため「放熱塗装」にて塗装することにしました。

↑放熱塗装後のインタークーラー。 処理を施工していただいたのはFlexさんです。
(放熱塗装サービスの詳細はFlexのサイトのスタッフブログを見てください)
色は何色かありますがより放熱作用を高めるため、黒体放射で有利と言われる黒を選びました。
とは言え宇宙空間でもありませんし、実際のところは色の差による放熱効率の差は実質的
には無視できる程度のものです。 あくまで「気持ち」の問題です。
最初は同じく放熱効果があるとされる「ガンコート」とどちらにしようか迷ったのですが、
自らを「冷却集団」と名乗るFlexの放熱塗装のほうが放熱に特化して開発されているのでは
ないかと考え、こっちの放熱塗装のほうが性能が良さそうな気がしてこちらを選びました。

↑けっこう奥のほうまで塗料は届いているようです。 放熱目的なので表面積を稼ぐ意味で
表面は艶消しになるのかと思いましたが、光沢のある仕上となっています。
●塗装前と塗装後の変化
以前にもおこなったことはあるのですが、実際にインタークーラーがどれだけ冷えているのかを
また試してみました。
ただ前回の検証では温度計を使っておこないましたが、今回はもうちょっとお手軽に、少し前に
ミッションオイル、デフオイルの温度検証でも使ったサーモデマンドが余っていたので、それを
インタークーラーのINタンク、およびOUTタンクに貼りつけておこないました。
このやり方だと、ジムニーのようなエンジン直上配置のインタークーラーの場合、たとえば
アイドリング時などにエンジンから上がってくる熱気も感受してしまうので正確なものとは言え
ませんが、とりあえず参考程度に大雑把な変化が出れば面白いなという感覚で受け取ってください。

↑インタークーラーのIN側、OUT側のそれぞれに貼りつけました。
●まずは塗装前
走ったのは気温25度程度のそれなりに暑い夏の夜で、ウォータースプレーは使用しておりません。
街乗り全般と、高速では5速全開のフルブースト走行を一通りおこなってます。 結果は以下の通り。

↑IN側。 100度までの色が変わっています。つまり100度以上110度未満ということです。

↑OUT側。 70度までの色が変わっています。
ただし、以前に温度計で計ったときにはIN側とは最大70度以上の温度差がありましたので、
これは上記でも書きましたようにアイドリング時や低速走行時のエンジンからの熱気の影響
を受けてしまっているものと思います。
●次に塗装後

↑IN側。 塗装前と同じく100度までの色が変わっています。

↑OUT側。 60度までの色が変わっており、未塗装のときより10度低くなっています。
走行条件や外気温はほぼ同じですので、この放熱塗装の効果と見てもよさそうです。
ただし、この程度の差は誤差とも考えられますし、厳密な測定の結果ではありませんので
あくまでも参考程度ということでお考えください。
●パワーメーターの表示

インタークーラーを塗装していない時のデータは前回アップしたAPIOマフラーのページに載せた
写真の「125PS」でしたが、そのときと気温や走行状態などほぼ同じ条件なのに実に10馬力以上
も高い数値を示す結果となりました。 これは気温の低い冬場に出した数値とほぼ同等です。
どういう根拠か知りませんが、大雑把に「吸入温度1度で1馬力の差」と言う人もいますので、それ
に当てはめると10度の差で約10PSの差というのはあながち間違っていないのかもしれません。
とはいえ、厳密な計測ではないためこの差がそのまま当てはまるわけではありませんので過度な期待
はできませんが、どうやらこの放熱塗装は「それなりに」有効とみて良さそうです。
なお、この放熱塗装はもちろんラジエーターやオイルクーラーにも効果があるとのことで、データ
では5〜6度温度を下げるらしいです。 あと、オイルパンを塗装するのも有効かも知れません。
ただ、個人的にはインタークーラーがもっとも効果が出やすいと考えています。 というのも
ラジエーターやオイルクーラーはINタンクとOUTタンクでの温度差は20度〜せいぜい50度くらい
ですが、それに比べるとインタークーラーはINタンクに入る吸気の温度そのものが高く(高過給圧の
場合は200度近くになることもある)、ジムニーのような小型のインタークーラーでもINとOUTの
温度差は最大70度程度、GT-Rクラスの大型のものになると100度以上の温度差になり、温度勾配が
大きく効果が高いと思われるからです。
●ちなみにインタークーラー通過後の温度にも適温というものがあり、温度が高いのは酸素密度が低下
するのでもちろんいけないのですが、低すぎるのも燃料の霧化効率が低下するので限度があります。
燃費とトルクのバランスを考えた場合、だいたい35度〜45度あたりがちょうど良いと言われています。
ただ、たとえばゼロヨンタイムを出すときなど、限定された条件で徹底的にパワーだけを考えた場合は
吸気温度をできるだけ低くしたほうがそれだけノッキングに対してのマージンが稼げますので、そのぶん
より点火時期を進めるとか、よりブーストを上げるとかのセッティングを詰めることでそのエンジンの
持つパワーをフルに発揮させることができるわけです。
逆に言うと、もし空燃比などのセッティング条件が同じであれば吸気温度が低下したぶん、ノッキングに
対するマージンが増加しますので、それだけエンジントラブルに対して「安全」になるとも言えますので、
この放熱塗装は仮に体感的な差が出なかったとしても限界時のトラブルの防止に役立つかもしれません。
とりあえずデメリットはないのでやって損はないのではないかと思います。

<2011/9/25 追記>
上記の中で「吸入温度1度で1馬力の差」という表現に対してメールにて「それはおかしい」という
コメントをいただきました。
たしかにその通りです。 私もとくに深い考えなしに書いたのであまり真剣に捉えてほしくなかったの
ですが、たとえば最高出力10馬力のエンジンが気温が10度下がったからといって20馬力になるわけ
がありませんし、逆に最高出力が1000馬力あるエンジンであれば気温(吸気温度)が10度下がれば
10馬力以上は簡単に上がってしまうでしょう。 要するに吸入する空気(正確には酸素量)密度に対
しての「割合」ですから、ベースとなる馬力が違えばその結果のパワーの絶対値も変わって当然です。
さらに細かいことを書くと吸気温度が変わると音速が変化することから、脈動や慣性過給のピークが
ずれるため馬力の絶対値だけでなく、その最高出力回転数も変わってしまうのでややこしいです。
たまたま「吸入温度1度で1馬力の差」が近似するケースもあるでしょうが、それ以下の場合やそれ以上
にパワーアップする場合だってあるわけです。 それに他の変数要因(気圧、湿度、混合気の気化状態、
水温、油温など)によっては吸入温度が下がったのにパワーが上がらないケースさえあるでしょう。
実際、この「吸気温度が下がりすぎてパワーダウンしてしまうケース」というのは私も体感しており
まして、「適切な吸気温度」が大切だと思います。 それについては以下のページをご覧ください。