SARD(DENSO)12ホールインジェクターの続き

2000kmほど走ったのでその後の経過など


↑私のJA22ジムニーの旧規格K6Aで順調に働いてくれているSARDの12ホールインジェクター。

回り止めにつけているエーモンステーが色気なかったので、アルミテープを貼って少し化粧直し

してみました。 その他はとくに変更はしておりません。

 

●前回の更新で書いた「SARDインジェクター」に交換してから2000kmほど走りましたが、現在の

ところ正常動作しており、まったく問題はなく非常に快調です。 まだ結論を出すのは早計かもしれま

せんが、旧規格K6Aには普通に高抵抗のインジェクタが使えると考えていいのではないかと思います。

普段の街乗りでは若干ですが「運転がラクになった」感じがいちばんの12ホールインジェクターの効果

でしょうかね。 以前より少ないスロットル開度でもトルクが太くなってくれるのがうれしいところ

です。 たとえば、信号での発進時、今までは1500rpm〜1800rpmでクラッチを繋いでいたのが

1200rpm〜1500rpmでクラッチを繋いでも今までと同じように発進できてしまうという感じです。

この「低いアクセル開度でのトルク向上」ってのが街乗りでの実用域では恩恵として感じますね。

このインジェクターにしたことで意識すればシフトアップも今までよりも低い回転数でギアチェンジ

できるので、このあたりもけっこう燃費にも効いてくる感じがします。 始動性やアイドリングの安定性

も今までより良好で、高熱価のレーシングプラグを使っていることを忘れてしまうくらいです。

 

この実用域のトルクについてですが、よくシャーシダイナモのグラフだけ見て低速トルクが出てるとか

出てないとか話をする人がいますが、シャシダイのグラフはあくまでも「アクセル全開状態」のもので

しかないということを頭に入れておかないといけません。 レーシングエンジンならレース中はアクセル

全開か全閉かの走行がほとんどなのでその「全開性能」が重要なのですが、ストリートで使うエンジン

ではこのシャシダイグラフには表れない「小さいアクセル開度でいかにトルクを出せるか」が大切です。

どうもいまだにこの「シャシダイのトリック」に引っかかるというか騙されている人が多いようで、

シャシダイで出た結果がそのエンジン性能のすべてであるかと思い込んでいる素人さんも多いようです。

たとえば、ターボエンジンで必要以上に太い径のマフラーをつけた場合、たしかにシャシダイでの全開

性能グラフの上では全域でトルクが向上するかもしれません。 しかし実際に街乗りで使用するときに

多用する「低アクセル開度」時のトルクが落ちてしまうことが多いのです。 いくらアクセル全開時に

大きなトルクが出せても、低スロットル開度時やパーシャル状態でのトルクが低いといわゆる「下が

スカスカ」になり街乗りで運転しにくく、よりアクセルを開けないと満足に走ってくれないため燃費も

悪いエンジンになってしまいます。 シャーシダイナモのグラフで出るトルクと実際の走行時に感じる

トルクというのはこういったところで違いがあらわれるのです。

なので私は最近この「低スロットル開度(言い方を変えると非過給領域や低ブースト圧時)のトルク」

にこだわっています。 このへんはシャシダイだけでは絶対にわからない性能で、エンジンテストベンチ

でないと再現できない領域です。ですのでシャーシダイナモのグラフはあくまでも「アクセル全開の

条件下でのものであり、エンジン性能のごく一部でしかない」ということをよく理解することが重要

です。 シャシダイのデータは万能ではありません。

 

●SFCのセッティング

その後、さらに街乗りや高速での走行でマッチングをとりまして、最初よりもさらに全体に薄めに

なりました。 やはり12ホールは1ホールよりも混合気の「火つき」が良いせいか、気持ち燃料を薄め

にセッティングしたほうが調子もいいですし、結果としてそのほうが燃費もよくなります。

↑現在のSFC-MULTIの各ボリュームの位置。 HIはあいかわらずめいっぱいマイナスですが、

MID、LOWも当初より1〜2ノッチほどツマミ位置をマイナス方向に振りました。

どうもこの12ホールインジェクターは同程度の噴射量の1ホールインジェクターよりも全体に薄め

にすることでよりその性能が引き出せるような気がします。 それだけ無駄な燃料(ガソリン)を

噴かせないで済むということなのでしょう。

現時点での実際の燃費の変化ですが、私はあまり燃費を意識した運転をしないのでその都度ばらつきが

多いのでコンスタントな数値を出すのは難しいのですが、それでも短距離走行のくり返しでも0.5km/l

程度、ある程度の長距離連続走行が多いと1km/l以上は良くなっている感じです。

まぁ、この程度では誤差の範囲と言ってしまえばそれまでですが、少なくとも悪化はしていませんし、

このインジェクタの性能をもっと活かせるセッティングができれば確実に良くなるんでしょうけど。

あと、さらに積極的な使い方としては、12ホールインジェクタは空燃比を薄くしても火がつきやすいと

いう利点を活かして、O2センサーフィードバック領域でのセンサー電圧を可変させ、フィードバック時

のA/Fをストイキ(理論空燃比)よりさらに薄く(たとえば16:1くらい)リーンバーンに近くすることで

さらにアイドリング時や低負荷走行、高速巡航時の燃費を改善するなんていう裏技も可能かと思います。

触媒の活性化という意味では理論空燃比が最適なのですが、燃費を重視する場合はトルク低下を感じない

範囲でできるだけ薄くしたほうが有利となりますので、軽負荷運転時はやや薄めにすると良いと思います。

 

●高速での伸び

4速までは8500rpmのレッドゾーンに軽く飛び込むくらいに回りますし、5速でも7000rpm以上の

伸びもわりと軽く回るようになった感じです。 真冬ではないので吸気温度がもっと低くなったとき

の霧化の状態の確認はできませんが、現時点ではいい感触です。

↑5速7200rpmまで回したときのパワーメーターのスピードのピークホールド。(タイヤ外径補正済)

計算上も183.1km/hですので、ほぼ計算通りの速度が出ています。 できれば7500rpmあたりまで

一気に伸びてもらいたいのですが、現状ではここから上はけっこう苦しい感じですね。 おそらく

パワーカーブのピークがこのあたりなのでしょうから、これ以上延ばす(つまりは高回転でのトルクの

落ち込みを減らす)ためには排気抵抗を減らすために排気系のモディファイが必要かもしれません。

具体的には、ターボアウトレットを社外品にするとか、フロントパイプ径をもうひと回り太くするとか

の高効率化です。そうすれば二次排圧が減るのでもう少し軽く伸びてくれるものと思います。

ただ、排気効率を上げるとどうしても排気音量が大きくなってしまうので、現在以上に音が大きくなる

ことは避けたいのでこの点が難しいところですね。 メインマフラーをもっと静かなものに変えたうえで

ないと難しいかと思います。 そういえばアルトワークスR(HB21S)の純正フロントパイプは触媒前

のパイプ径が標準モデルよりも太くなっていたようです。 触媒前は排気ガスの温度も圧力も高いので

この部分の径を大きくすることは排圧の低減に有効です。 さすがメーカーはよくわかっていますね。

もちろん現状のままでもブーストをあと0.1kでも上げれば馬力を上げることは簡単ですが、今以上に

エンジンやタービンに無理はかけたくないので過給圧は現在(1.3k)以上に上げるつもりはありません

ので、現状のブーストのままもう少し高回転域での効率化を図る方法を考えてみたいと思います。

↑排気温度計のピークホールドは5速全開でもあいかわらず860度で安定しています。


●スパークプラグのチェック

現在のDENSOイリジウムレーシングIXU01-27に換えてから約5000kmほど走り、さらにインジェクタ

を換えてから2000kmほど走ったので、念のため点火プラグの電極状態の点検をしてみました。

↑取り外したプラグ。 あいかわらずカーボンで真っ黒ですが、これでも始動性やアイドリングの安定性

などまったく支障ありません。 全体は黒いですが、電極のスパーク部は白く焼けていますし、表面も

乾いていますのでくすぶりやかぶりもなく、ミスファイヤーの兆候もありません。

以前の1ホールのワークスRインジェクタの頃は低速でのトロトロ走行が多いと若干プラグがくすぶるのか

アイドリング負圧が-430mmHg〜-450mmHgあたりをフラつくことがありましたが、現在の12ホール

にしてからはあまり回さない走行が多くても-450mmHgあたりでピタッと安定しています。

27番(NGKで言えば9番)の純粋なレーシングプラグでもくすぶることなく普通のプラグと同じ感覚で

街乗りで使えてしまうあたりはさすが12ホールインジェクタの霧化効率の良さなんだろうなと思います。

↑エンジンコンディショナーと竹ブラシで軽くクリーニングしてみました。 電極の状態は良好で

中心電極、接地電極ともに消耗は殆どありません。 とくに接地電極は角もしっかり出ていて丸くなって

おらずまったく摩耗らしい摩耗はありませんでした。 イリジウム合金中心電極+プラチナ合金側方電極

のコンビはけっこう長寿命で使えそうです。「レーシングプラグは寿命が短い」という定説は少なくとも

このデンソーのイリジウムレーシングには当てはまらないかもしれません。 なかなか優秀なプラグです。

 

↑SARDのこの「No.63573」300ccインジェクタはほぼ間違いなくモンスタースポーツのF100-M

キットのものと同一製品のようですね。 モンスターではエンジ色とか書いてありますが、どう

見ても赤色ですし、サードでは300ccのところを295ccとか書いていますが、インジェクターの

実容量(サイズ)はたいてい10cc程度のバラツキがありますので、その誤差の範囲内でしょうし。

これは憶測ですが、たぶん「SARDのインジェクターと同じモノだと思わせないための擬装表記」

ではないかと思うのです。それでわざと「295cc」「エンジ色」と記載しているのでしょう。

そうでないと、ユーザーが単品で部品を購入してしまいキットが売れなくなってしまいますからね。

 

ですので、この300ccインジェクターは私のような旧規格のK6Aに使用する場合は前回の記事

書いたような簡単な加工が必要ですが、 F6A(DOHC)への装着はそのまま無加工での取り付けが

可能なようです。 なのでスズキスポーツの旧F100ターボキット(N2キット)装着のF6Aユーザー

さんはこのインジェクターだけ購入して交換するのもいいのではないでしょうか。 もちろんECUの

再セッティング、あるいはe-manageなどサブコンでのリセッティングは必要になりますが、この

マルチホールインジェクタは今後のF6A/K6Aチューニングの新たな定番チューニングメニューに

なりそうです。 いやほんと、一度この12ホールのインジェクターの良さを味わうともう1ホール

インジェクターには戻れなくなりますよ。 下が、上が、ではなく全域で良くなりますからね。

ただし、くり返しになりますがこの12ホールを生かすも殺すもセッティング次第ですので、そのまま

ポンとつけただけでOKとはいきませんので誤解なきようお願いします。 燃調のポイントは「同容量

の1ホールインジェクタよりも全体にやや薄めにセッティングする」ことにあると私は考えています。

 

なお、このインジェクタはF6AのSOHCのエンジンにもつくと思いますが、基本的にこの12ホール

インジェクタは4バルブエンジン用に噴射パターンができていて、2つの吸気ポートに向かって2又

に横長の噴射パターンになっていますので、シングルポートの2バルブエンジンではポートの壁面に

ガソリンがぶつかってしまい理想的な噴射方向になりませんので、仮につけたとしてもその効果が

充分に発揮されない可能性があります。ですのであくまでも4バルブエンジン向けだと考えてください。

 

ちなみにこのインジェクタ、SARDの定価では1本13125円となっていますが、安いところを探せば

実売価格1本8500円から9000円程度で買えます。 チューニングショップで取り付けやセッティング

込みでおこなう場合は定価でもしかたないと思いますが、DIYでやる方はがんばって安いお店を探して

みてください。 ちなみに私は大阪にある比較的安いショップさんを探してネット購入しました。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~