(特別編)LA400K 新型コペン ローブ試乗リポートとチューニング考察

やはり興味ある車だったので、さっそく試乗してみました。


●ダイハツから発売されたばかりの新型コペン「LA400K」。 ちょうど私が仕事でよく通る道沿い

にダイハツディーラーがあるので、立ち寄ってみて現車を見てきました。 しかも、運よく試乗車も

あったので、CVT車だったのが残念ではありましたが「まずは乗ってみなければわからない」と

いうことで私なりのファーストインプレッションみたいな感じで書いてみたいと思います。

なお、私は自動車評論家でもなければモータージャーナリストでもありません。 しかも私のページ

を見てもわかるように私は基本的に「車はあくまでもチューニングして乗るもの。ノーマル車はその

素材でしかない」というヘソ曲がりな視点からの試乗レポートになりますので、そのへんは充分に

ご理解していただいたうえで読んでいただければと思います。


まずは外観スタイルについて

↑全体のスタイルは写真でみるよりもそれほどいかつくなく、まぁ、お世辞にもカッコイイとは言え

ないけれども、それなりにまとまっていて許容範囲ではありますね。

↑顔つきからボンネットにかけての造型は私にはどうしてもR35 GT-Rを意識しているように見えて

しまいますね。 「小さなGT-R」という感じ。

↑ヘッドライトはロービームにLEDランプを採用。 高級感のある造型となっています。

↑リアのデザインもフロントとバランスがとれていて違和感は感じないです。 トランクリッド端部

の成形などは樹脂製ならではのものですね。

↑ホイールは16インチ。 もう軽自動車でも(ジムニーのような特殊なのを除けば)16インチを標準

で履く時代になったのですね。20年前のパルサーGTi-Rなんか2000ccターボで14インチだったのに…

ブレーキはフロントはVディスク、リアは通常のリーディングトレーリングのドラムブレーキです。

後述しますがこのブレーキがちょっとクセがあるので慣れが必要かも。 もちろんABSつきです。

サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム方式です。

↑標準タイヤはブリヂストンのポテンザRE050A。165/50R16。 軽ではかなり太いほうですよね。

 

つぎにインテリアとアクティブトップの開閉、トランクルーム、ラゲッジスペースについて

↑全体の印象としては「可もなく不可もなく」という感じ。 過度にスポーティさをアピールするほど

のデザインではないです。 この車にはオプションのナビが装着されていました。

↑やっぱり軽スポーツカーなら10000rpmフルスケールのタコメーターが中央に欲しいところです

ねぇ。 悪くはないけどちょっとスポーツカーとしての「雰囲気」に欠ける平凡なデザインだなぁ、

と感じます。 レッドゾーンも先代と同じ8500rpmだったら良かったのに。

↑ルーフをクローズドした状態ではかなり広大なトランクスペースが確保できます。 私はゴルフは

やらないのでわかりませんが、これならゴルフバッグも入るのでは? ちなみにルーフを開けた状態

でも後ろの方に僅かながらもラゲッジスペースが残りますので、小荷物程度なら入ります。

ルーフの開閉はもちろん完全電動式で、センターコンソールのスイッチを引きっぱなしにして約20秒

で開きます。閉じる時は逆にスイッチを押しっぱなしにしておこない、最後に左右2箇所のロックを

かけます。 非常にスピーディー&イージーにできます。 クローズド状態にすると、カプチーノ

ほどじゃないですが、やっぱり「狭苦しいなぁ」と感じますね。 できるだけオープンで乗りたい。


では、さっそく試乗に行ってきます

前述の通り、MT車がないので仕方なくCVTではあるのですが、これのマニュアルモードでの運転を

メインに試してみたいと思います。

まず、出足、発進加速ですが、先代に比べ20%も最大トルクがダウンしたこと、また、車両重量も30kg

増加(CVT車)したことがどう影響するか気になりましたが、このへんはCVTの変速レシオの広さで

うまくカバーしているようで、発進時のモタツキなどはほとんど感じませんでした。 ロックアップ付き

トルコンを使用したシステムなので、普通にクリープ現象を利用できます。 で、この新型KF-DET

エンジンですが、ほとんどターボを意識させません。まるでNA(自然吸気)エンジンのようにフラット

で、一言で言えば「非常に扱いやすく乗りやすい」と言えます。 おそらく多くの自動車評論家はこの

点を評価し、誉めることでしょう。 しかし、私にはこれが不満なのだ。「ターボエンジンならターボ

エンジンらしく、ターボが利いて過給がかかったらそのグワーッとくるトルク感」による刺激が欲しい

ところ。普通の乗用車ならまだしも、こういうスペシャリティーカーならなおさら非日常性が欲しい。

この手の車におとなしい優等生的なエンジンという組み合わせは私はどうも好きになれないのです。

 

しかもこの「CVTマニュアルモードがクソすぎる!」

いや、たしかに変速は速いし、シフトダウンもほとんど変速ショックもなくうまく回転を繋いでくれる

のでよく制御されているのですが、マニュアルモードでアクセル全開でスタート、そのまま7500rpm

のレッドゾーン直前で2速にシフトアップ…と思ったら、なんと7000rpm手前で勝手にシフトアップ

してしまう!2速から3速でも同じで、レッドゾーンまで回させてくれないのだ! マニュアルモード

なのにピークパワーの回転数に近付いたあたり(6000rpm)で勝手に変速してしまう!なんだこれ?!

ディーラーマンに苦言を言ったら「安全を考えてそういう作りになっているもので…」とのこと。

これだからCVTはやっぱり私は好きになれない。マニュアルモードなんだから操作を運転者に任せて

いただきたい。 結局、これは「普段はあくまでATモードで乗って、たまにマニュアルっぽい雰囲気

を味わいたいときだけマニュアルモードにする」って考え方なんでしょうね。 あーぁ、つまらない。

所詮は「雰囲気だけマニュアルっぽさが味わえればそれでいい」って考え方で作ってるのでしょうね。

それに、これは私以外にも不満に思ってる人が多いと思いますが、なんでマニュアルモードの変速方向

「押してシフトアップ、引いてシフトダウン」なんでしょうか? レーシングカーのシーケンシャル

シフトなんかは逆ですよ? 加速するとき体は加速Gで後ろに持ってかれるわけですから、腕の動きも

後ろ向き、つまり引く方向でシフトアップするのが自然だし、逆に減速時は前向きにGがかかるわけです

からシフトダウンも押す方向で、やっぱ「引いてシフトアップ、押してシフトダウン」が自然じゃないで

しょうかね。 そして、最大の不満というか残念な点は「パドルシフトがついていないこと!」です。

これについてはディーラーマンには強く、強く本社に改善を要求するよう言っておきました。 この種

のスポーティーモデルでパドルシフトがないなんて楽しみが半減なんてレベルじゃないですよ。

せっかく7速モードで変速も速く、シフトダウン時のブリッピングもスムーズにおこなえる高度な制御

がなされているのに、操作系において今まで挙げたような残念でガッカリな点が多くて「詰めが甘いなぁ」

と言わざるをえないというのが私のあくまで個人的な感想であります。 やはり「雰囲気スポーツカー」

として「絶対的な速さ」ではなく「運転する楽しさ」を最優先に考えるなら、以上のような不満点は

大きなマイナスポイントになると思います。 ぜひともマイナーチェンジなどでこれらの点を改善して

いただきたいところです。 あるいは、今後、アフターパーツメーカーからこのへんのマニュアルモード

時の変速プログラムを変更、改良したECUなんかも出てもらえるとありがたいと思いますが技術的には

可能なのでしょうかね? 今のままでは仮にエンジンを高回転でパワーが出るようにチューニングしても

CVTの変速タイミングのせいでそのチューンナップの効果を活かし切れませんよ。

↑KF-DETエンジン。 直列3気筒DOHC4バルブ。ボア63.0mm×ストローク70.4mm。排気量658cc。

圧縮比9.5:1。最高出力64PS/6400rpm 最大トルク9.4kg-m/3200rpm。DVVT装備。重量47kg。

 

その他動力性能で気づいた点など

まず、先代JB-DETの11.2kg-mから9.4kg-mに大幅に下がったトルクについてですが、少なくともCVT

で乗ってるうえでは「不満」は感じません。 車両重量も若干増えてますが、それも気になりませんね。

決して「軽快」ではありませんが、フツーに走ります。 そう、あくまで「フツー」なので速さを求める

のは間違いです。 アクセルを全開にして加速してもたとえばアルトワークスのような加速をするかと

言えばそれは無理。あくまで自然なフィーリングであり「過激さ、刺激的」のようなものはありません。

比べるのは酷だとは思いますが、私のJA22のチューンドK6Aのほうがよっぽど刺激的で速いです。

しかし、このKF-DET3気筒エンジンはけっこう回転フィールは滑らかで、私のJA22ジムニーのK6A

エンジンなどと比べても振動などはほとんど気になりません。 エキゾーストサウンド、つまり排気音も

うまくチューニングされているようで、ちょっとしたスポーツマフラーのような重低音が強調されたよう

な気の利いたサウンドチューニングがされていて、これはオープンにして乗っていて気持ち良いですね。

ちなみに、今回の試乗ではほとんどオープン状態で乗っていました。 気持ちよかったですよ。

↑マフラーは出口のみステンレスのテールエンド部がデザインとして強調されています。 近年の規制

の厳しいスポーツマフラーに負けないサウンドは奏でてくれていると思います。 この音質は合格。

マフラー周囲の部分はブラックアウトされていて、ディフューザーっぽくデザインされています。

 

シャーシ性能、ブレーキ、サスペンション、タイヤなど

まず、シャーシはたしかにしっかりしていて、軽自動車、ましてやオープンカーとは思えないほどに

高い剛性(というか剛性感)があります。 ですが、サスペンションはやや硬めでけっこうゴツゴツ感

はあり、私個人はこのくらいのゴツゴツ感があったほうが好きなのですが、人によっては「硬すぎる」

と感じるかもしれません。 これには165/50-16のポテンザのタイヤの剛性も影響してるでしょうね。

ブリヂストン、とくにポテンザシリーズは昔からそうなんですが、サイドウォールが硬すぎるんですよ。

乗り心地がゴツゴツしすぎだと思う人はまずタイヤを替えたほうがいいかもしれません。

ハンドリングはけっこう素直で、クイックすぎない程度に敏感に反応してくれるので、気持ちよく走れ

ます。 ただ、気に入らないのはブレーキフィール。いわゆる「カックンブレーキ」すぎるんですよ。

ちょっと強めに踏むといきなりググッと利いてしまう感じで、もうちょっとペダルの踏力に比例した

リニアなフィーリングが欲しい。 まぁ、このへんは社外品のパッドに交換して自分好みに仕上げれ

ば問題ないからそれでいいでしょうね。

 

以上が私が「新型コペン」に乗ったファーストインプレッションでしょうか。 あくまで私の個人的な

意見なので、かなり「偏見に満ちている」ので皆さんは皆さんご自身で乗って確認してみてください。

とりあえず私の結論は「買うなら絶対にMT車にすべき!CVTはタダでもいらない」というところです。

↑運転席と助手席のヘッドレスト間にある透明なウインドデフレクターはかなり役に立っているようで、

オープン走行時にも嫌な風の巻き込みは少なかったです。 このへんはよく考えられていますね。


新型コペンのエンジンの「ファーストチューニングステップ」について考えてみる

どちらかといえばここからが「本編」でしょうかね。 やっぱ私は「エンジン屋」なので、KF-DET型

エンジンはまずどこから手をつけるべきか限られた時間と目で見える範囲で考えてみました。

 

まずはサクション系の全面変更を考えたほうがいい

↑解るでしょうか。まず、エアクリーナーに空気を取り入れる「口」がすごく狭く、しかもダクトが

長いこと。まずここで大きなサクション抵抗になっています。 次に、エアクリーナーボックスから

ターボチャージャーに向かう「異常に細く長いサクションパイプ(インテークパイプ)」こいつが

ものすごい大きなサクション抵抗になってしまっています。 ターボエンジンにとってサクション

抵抗は害悪以外の何者でもありません。 このへんは真っ先に手を入れたいところですね。

<参考> →ターボエンジンはサクション抵抗を徹底的に低減すべき

まずはエアクリーナーケース、サクションパイプ類すべてを取っ払って、ターボコンプレッサーまで

のサクション系を低抵抗なものに作り直したいですね。 エアクリーナーはパワーフローなどを使用

することになると思いますが、熱害(遮熱)対策は別途考えることとします。 ただ、もしかしたら

メーカーがこんなに抵抗の大きいサクションパイプにしているのは「サージング防止対策」のためとも

考えられるので、もし、サクションパイプやエアクリーナーを極端に低抵抗なものにしたら、ターボ

がサージングを起こしてしまう、あるいはブースト圧が上がりすぎてしまう可能性も否定できません

このへんはやってみないと解りませんね。 もし、吸気抵抗を低減してサージングを起こすようで

あれば、それがノーマルタービンの限界ということである程度の吸気抵抗をつけることはやむなしと

いうところでしょうか。 悔しいところですが。

<参考> →ターボのサージングについて

 

ブーストアップだけではそれほどパワーアップは期待できないと考えたほうがいい

↑非常に見えにくいと思いますが、とても小さなターボチャージャーがついています。 これはIHIの

中でももっとも小さいタービンで、通常スズキのK6AなどではRHF3あるいはRHB3が使用されますが、

これはそれよりさらに小さい「RHF25」と呼ばれる世界最小の自動車用ターボチャージャーです。

当然インペラーやタービンホイール径も小さいのですが、その代わりに回転数がものすごく高く、

通常、ターボチャージャーの回転数は10万rpmから20万rpmと言われていますが、このRHF25は実に

30万rpmを超える超高回転で回るらしいです。 径の小ささを回転数で補っているわけですね。

こんな小さいターボチャージャーですから当然排気の抜けは悪く、純正状態でもう限界の性能を出し

ているため、ブーストアップしたとしてもパワーアップの恩恵はたいして得られないと思われます。

たとえ、100PS以下の目標パワーであっても早い段階でタービン交換を前提にチューニングを考えた

ほうがいいでしょうね。 ノーマルタービンではブーストアップ+ECUチューンで80PSオーバーが

やっとではないでしょうか。 それも、高回転が苦手なエンジン、タービンなので6000rpmを超えた

あたりでもうピークを迎えてパワーが「頭打ち」になってしまうので、仮にECUでVVTタイミングを

弄ったとしてもタービンがふん詰まりでは高回転フィーリングはあまり面白くならないと思いますし。

 

ノーマルのインタークーラーが「まったく役に立っていない!」

↑わかりにくいかも知れませんが、コアサポート上部からもっとも下部にあるインタークーラーを

撮った写真です。 新型コペンはフロントグリル右側のいちばん下部に空冷インタークーラーが設置

してあります。 しかし、この位置が最悪すぎて笑ってしまうほどなんです。

↑解るでしょうか、なんとこのインタークーラーの前面にナンバープレートがついてしまっていて、

まるでインタークーラーに「フタ」をしてしまっている格好になっているのです。これではインター

クーラーにまったくと言っていいほど走行風が当たりません!なんですかこの設計はダイハツさん!

あまりにもお粗末すぎる。 このあたりもアフターパーツメーカーはいろいろ頭を使って改善する

パーツを作る必要がありそうですね。 これではまるでインタークーラーが役に立ってませんから。

ナンバープレートの位置をずらすか、インタークーラーの位置をずらすか、はたまたうまくインター

クーラーにクーリングエアを導くダクト(エアガイド)のようなものをつけるしかないでしょう。

 

まだまだ改善の余地がありそうな箇所はありそうですが、限られた時間の中で私がちょっと見た限り

ではこのあたりが気になったかな、というとこでした。 あと、燃料系とか排気系とかは詳しく見る

ことはできなかったので、そのあたりはコペンを実際にチューニングするチューニングショップさん

がいろいろ情報を出してくれることでしょう。

 

新型コペンは実際にどのあたりまでのパワーアップチューンが可能なのか?

このKF-DETエンジンはJB-DETとは違い、今までMTとの組み合わせがなかったことから、とにかく

ハードチューンの経験がほとんどないため、どのショップでも「限界」はまだ未知数だと思います。

ただ、軽量アルミシリンダーブロック、省燃費、低フリクションロスなどを優先した設計となって

いますので、たとえば150PSを狙うようなチューニングはまず無理だと思われます。 耐久性を

考えるなら、ブーストアップで80PS程度、ボルトオンターボ交換で100PSあたりがボーダーライン

ではないかと私は考えております。 がんばれば120PSを超えることも可能でしょうが、耐久性が

かなり犠牲になってしまうでしょうね。 あと、レブリミットも含め高回転化もかなりハードルが

高いと思われます。ノーマルでは6000rpmを超えるともう頭打ちっぽい感じですし、仮に吸排気系

やタービンやカムなどを変更しても8000rpmまで使い切るのも苦しいのではないでしょうか。

スズキのF6AやK6Aのフルチューンはもちろん、ライトチューンにさえとてもかなわないでしょう。

残念ながらこのKF-DETエンジンはチューニングポテンシャルの上限はそれほど高くないエンジンと

言わざるをえません。 パワー重視なら旧型コペンのJB-DET、それも燃料リターン式の前期型を

ベースにチューニングしたほうが速いでしょうね。 新型コペンはハードチューンには向きません。


本命は来年出ると言われている「丸目バージョン」かもしれない

今回の新型コペンは外装パネルの多くがプラスチックでできていて「着せ替え」が可能な構造になって

いることは皆さんも知っていると思いますが、その1バージョンとして来年(2015年)には「丸目仕様」

の外見をもつモデルがデビューするらしいです。

↑丸目バージョンのコペン。 個人的にはなんかこっちのほうがコペンらしくてクラシカルな雰囲気も

あっていいような気がします。 もちろん、今回デビューした「ツリ目コペン」も外装パーツを交換

して「着せ替え」することでこの丸目の外観に改造することが可能です。

 

↑私のジムニーとのツーショット。 近いうちに出ると言われているホンダのS660もそうですが、また

80年代から90年代のように走りの楽しい軽自動車が増えてくれると嬉しいですね。スズキも「軽自動車

は貧乏人の車だからスポーツカーなんていらない」なんて言わずに何か楽しい車を出して欲しいですね。

軽自動車は日本が世界に誇れる文化であり、ミニマム技術の結晶であると言ってもいいと思いますので。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~