モンスタースポーツ製エキゾーストマニホールドの詳細とタフトライド処理
仕事でモンスタースポーツ製のエキマニの「現物」をお預かりしたのでその詳細をレポートします
●私は仕事でチューニングパーツ、レーシングパーツの試作設計製作や加工、各種表面処理や熱処理を受けて
いますが、最近、この「エキマニにタフトライド処理」という依頼がにわかに増えてきてるのです。
これは私が独自の理論ではじめたものですが、すでに10年以上の実績があり、私自身のジムニーのK6Aエンジン
純正エキマニにも施しており、耐クラック性の向上に貢献していると考えております。 ただし、科学的な立証
が確立されているわけではありません。 ですが、現在までのところ数十例の実績においてはタフトライド処理
後のエキマニにクラック(割れ)が発生したという報告はありません。
※タフトライドのことを最近は「イソナイト」とも呼びます

↑これはスズキエブリィターボの純正エキマニにタフトライドを施したものです。 なんと沖縄からのお客さん
からの依頼です。ちなみにこういったパーツは防錆油がついているために危険物扱いとなり飛行機には載せられ
ないので、船便で送るしかないため、沖縄からだと宅急便でも片道1週間くらいかかるのですよ。
●本題のモンスタースポーツ製ジムニーJB23-5型以降用エキマニについて

↑これがモンスタースポーツ製エキマニの現物。 これは排気温度計センサーのRc1/8タップ加工がされて
います。さすがロストワックス鋳造だけあって表面も内面も純正エキマニに比べると肌はずっと滑らかです。
また、肉厚も純正鋳物より薄いため重量もノーマルよりちょっとだけ(100gほど)軽量です。
●まず驚いたのはその材質、なんと「耐熱ステンレス鋳鋼」製です!
モンスタースポーツのホームページでも材質は「耐熱鋳鋼」としか書かれていないので、私は写真から見て
ダクタイル鋳鉄(FCD)に耐熱塗装でもしてあるのだろうと思っていたのですが、いざ現物を手に取ると
これは塗装も表面処理も何もされてない地金の色のままで、比較的明るい感じのニッケルっぽい色だったので
「もしかしてSCS(ステンレス鋳鋼)ではなかろうか?」と思い、確認のため、モンスタースポーツに直接、
電話で聞いてみたところ、やはりステンレス鋳鋼だというのです。じつはこれは非常に重要で、タフトライド
をかける際には一般のスチールとステンレスは別々に処理する必要があるので、事前に確認してよかったです。

●これはRB26DETTやVR38DETTの純正エキマニと同系統の高級な耐熱合金製!
しかしモンスタースポーツには恐れ入りました。あまりコストのかけられない軽自動車のチューニングパーツ
にロストワックス製法という凝った鋳造法を用い、なおかつ材質も耐熱ステンレス鋳鋼をおごるとはほんと
「重要な部分には妥協しない」姿勢はたいしたものだと感心しました。スズキ純正エキマニの対策品材質の
「バナジウム鋳鉄」でも耐熱900度ほどはありますが、この耐熱ステンレス鋳鋼はそれよりさらに100度ほど
高い1000度近い耐熱温度を誇ります。 同系統の材質である日産R35 GT-Rの排気温度が最高1000度にも
達することを考えればそれも納得できます。 これだけ耐熱性の高い高級な材料を用い、しかもそのわりには
ロープライスに抑えていますし。このあたりのこだわりはさすがです!

●全体の形状も私の考える理想に近い「良い形状」です
基本的には「可能な限り最短距離でなるべく等長にする」という私が普段から言っているターボ用エキマニの
基本理念をしっかり守っている点は評価できます。 ターボ用エキマニにとって「何が重要か」の考え方が
私と非常に近いものがあるのでしょう。 内部のパイプのカーブも可能な限りゆるやかになるようにできて
いますし、集合部分もきちんと3等分されています。

↑集合部分のアップ。ちょっと見にくいですが、きちんと出口近くまで3本のパイプが構成されています。
集合の角度も一般的に理想と言われている「40度以内」に収まっていますので各シリンダーからの排気が他の
シリンダーからのパイプに「逆流」するようなこともありません。 なお、内径は入り口付近がφ29ほど、
奥のほうとタービン側出口がφ25ほどになっていますが、もっとも細い部分はφ24程度しかないようです。
●ただ、量産品ゆえ若干残念な部分もあります
まずは排気ポートからつながる入り口。ここは純正エキマニでも大きめの面取りがしてあり排気ポートや
ガスケットとの段差がないようになっているのですが、モンスタースポーツのこのエキマニは面取りもなにも
してないため、ガスケットの径に対して片側2.5mmほどの「段差」ができてしまっているのです。

↑純正ガスケットを重ねた写真。このようにガスケットの穴径に対して、エキマニの穴径が小さいため、段差
ができてしまっています。ここはせめて30度程度のテーパー面取りくらいはしてスムーズにつながるよう拡大
してほしかったところですね。
あとは、これは形状的制約で仕方ないところでもあるのですが、タービンを留めるボルト穴が貫通している部分
の一部の内径にコブのような「出っ張り」があって、そこだけパイプ断面積が小さくなっている「狭窄部」がある
点です。これはちょっとボトルネックというか排気抵抗になりそうな気がします。

↑このボルト穴の貫通している部分の「ザグリ逃げ」のパイプ内部に「コブのようなふくらみ」があり、そこだけ
パイプ断面積が狭くなっている箇所があるのです。これはちょっともったいないところですね。
●ですが、コストパフォーマンスは高い良い製品だと思います
以上のように多少、残念というか詰めが甘いところがあるものの、全体としては贅沢な材質、贅沢な製法で作られた
素晴らしい出来栄えだと思いますので、価格相応以上の価値は充分あると思います。 あとは穴の入り口の面取り
など気になる点は自分で加工して装着すれば問題ないでしょう。 このくらいの加工はDIYでやりましょう。ただし
材質がステンレス鋳鋼ですから、かなり粘っこく硬い材質なので加工は大変だと思いますので覚悟のうえで。

●タフトライド処理後の写真

↑タフトライド処理を終えたモンスタースポーツ製エキマニ。ただでさえ耐熱性の高い材質にタフトライドの効果
でさらに耐久性がアップしたのではないかと思います。
●エキゾーストマニホールド交換による実際の効果は?

↑これは今回のモンスタースポーツ製ジムニーJB23-5型以降用のノーマルエンジンに装着した際のグラフです
が、さすがにエキマニだけでは「劇的な変化」と言えるほどのものはないかと思います。 あとは他のパーツ
との「相乗効果」によってどこまでこのエキマニのポテンシャルを引き出せるかでしょう。

↑こちらはEA11RカプチーノにF111-Mターボキットを組み込んだエンジンの純正エキマニとモンスタースポーツ
製エキマニの比較グラフ。ただ、これはエキマニのみなのか、同時に開発中のスポーツ触媒も併せてのものなのか
はちょっと不明です。 ですが、グラフを見てもわかる通り、2000rpmの低回転からトップエンドまで「全域で」
純正エキマニを上回っています。数値的にはピークでパワーは約7PS、トルクは約0.5kg-m程度ですが、軽自動車
にとって0.5kg-mの違いはけっこう大きいですからね、体感的にはけっこう違うのではないかと思います。

↑これがF6A(ツインカム)用のモンスタースポーツ製エキマニ。ちゃんとEGR用のホールもついています。
また、ターボ側フランジサイドには排気温度計センサー取り付けタップ加工用のボスまでついています。
●旧規格K6Aエンジン用のエキマニ発売が待ち遠しいです!

↑モンスタースポーツでは、嬉しいことに旧規格K6Aエンジン用のエキマニも開発中とのことです。これで私の
JA22Wジムニーをはじめ、HA21S/HB21Sアルトワークス、EA21Rカプチーノ、JB23ジムニーの1型から4型
にも対応できることになります。 ちなみにF6AのEA11Rカプチーノ用のエキマニはすでに発売中となっています。
以前にも書きましたが、エキマニを変えたからといって劇的に性能アップするわけではありませんが、少なくとも
純正エキマニよりは効率は良くなるはずですし、材質も純正より耐熱性、耐久性があるので割れにくいと思います
ので、お金に余裕があるならば交換するメリットはあると思います。 他社の多くのSUS304パイプ製溶接品の
エキマニより「割れ、クラックに対する耐久性」ではモンスター製のほうが確実に上なのは間違いないですから。

<参考ページ> →K6Aエンジン用社外エキゾーストマニホールドについて
●旧規格K6A用エキマニが発売されたら是非試してみたいものです

↑モンスタースポーツから旧規格K6A用のエキマニが発売されたら私のエンジンも現在の「純正改エキマニ」から
交換して本当に体感できるほどの違いがあるかどうか試してみたいですね。 今から発売が楽しみです。 なお、
これはモンスター製エキマニ全種類に共通ですが、エキマニ本体とセットで専用の遮熱板もありますので、どうせ
買うのなら遮熱板とのセットで購入するほうがいいでしょう。 また、このモンスタースポーツ製エキマニには
サーモバンテージ(ヒートストラップ)などはまったく必要ありません。