K6AエンジンOH後の変化と慣らし運転
まだ慣らし途中ですがエンジンオーバーホール後に気づいたことなど
●今回のエンジンオーバーホール兼ファインチューン後、今のところ700kmほど走りまして
現在エンジン回転の上限を5500rpm程度にして回しています。
OH後、以前よりエンジンが軽く滑らかに回るようになったなと感じましたが、距離を増すごとに
さらにエンジンの回転が軽くなってきて、とても「ヒュンヒュン」回るようになってきました。
実用域の力強さも以前よりずっとあってOH前のK6Aエンジンとはまったく別物という感じです。
素材は同じなのにしっかり組み直すだけで(もちろん変更したパーツもありますが)ここまで
エンジンは変わるものなのかと感心します。
また、ブーストもまだEVCはオフですので過給圧は最大でもアクチュエーターのみの0.7kしか
かけてません。 それで、現時点で以前との変化を簡単にではありますが書きたいと思います。
●アイドリング負圧

↑アイドリング時の負圧(バキューム)値。
OH前はだいたい-400mmHg〜-420mmHgでしたが、OH後は-430mmHg〜-450mmHg
まで負圧が強くなりました。
この変化はとくに傷のあった2番シリンダーの復旧による効果が大きいのと、排気バルブの
フェース面が良くなかったのでバルブをすべて新品に変えて摺り合わせをしたため、気密性
が向上した効果ではないかと思います。 あとはワークスRカムによる変化も若干あるかと
思います。
●ワークスRカムによる変化
乗っていて発進時や低回転域からの加速などで低速トルクが落ちたという感じはまったくありま
せん。 ただ、ブーストの変化を見ているとノーマルカムではフル負荷の加速で3500rpmで
0.5kに達していたブースト圧が4000rpmを超えないと0.5kに達しないようになりました。
これは吸気側カム開度の影響だと思います。 つまり、ノーマルではカム開度が小さかった
ためにそこで「せき止められて」上がっていたブーストが、ワークスRカムでは開度が広がった
ためによりシリンダーに吸入されるようになったため、相対的にブースト圧が下がったという
ことです。 ですので、「圧」は下がってもシリンダー内に吸入される「量」は上がっている
わけですので、ブースト圧が下がったからといってトルクダウンはしていません。 むしろ中間
域でのトルクは増したような感じさえしますし、トルクの谷もなく扱いやすい性格だと思います。
このへんはさすが「純正ハイカム」だけあって、低回転から高回転まで犠牲にせず全域でうまく
トルクが繋がるような絶妙なセッティングになっているものと思います。
作用角の大きい低回転のトルクを犠牲にするほどのハイカムは少なくともジムニーという車の性格
や車重から考えたらマッチしないと思うので、その意味でワークスRカムはまさに絶妙なバランス
だと思います。
また、圧縮比を変えなかったことも正解だったのかもしれません。 もしモンスターの厚いほう
のガスケット(1mm)を使用してローコンプにしていたら発進時など、低回転のトルクがかなり
犠牲になっていたと思いますので。
もちろんまだトップエンドまでは回していませんが、5000rpmを超えてからの盛り上がりというか
勢いはけっこう凄そうな感じがします。 このカムは6000rpm、7000rpm、8000rpmと回して
いくほどにさらに本領を発揮してくれるでしょう。
ただ、逆にいうとこのカムのおいしいところを使うためには常に5000rpm以上をキープする必要
があるとも言えるかと思います。
●とりあえず5500rpmまで引っ張ったときのパワーメーターの表示

↑5速5500rpmまで回したときのパワーです。
EVCオフですのでブーストは0.7kしかかかっていませんし、最高出力回転数まではまだ1000〜
1500rpmもあります。 それでも写真のようにすでにノーマルタービンブーストアップ+ECU
チューンと同程度の馬力が出ています。
つまり現時点でもエンジン各部にかかる負担はノーマル以上ですので、やはりチューニングエンジン
の慣らしは慎重におこなう必要があると言えます。
●排気温度&油温

排気温度については現在のところ約820度ですが、現時点では参考にもなりません。
また、スズキスポーツの強化オイルクーラーの効果ですが、たしかに高回転を維持したときの温度
の安定性は向上したと思います。 劇的に冷却されるわけではないのですが、より一定の温度を
保つようになりました。それが水冷オイルクーラーの特徴でもあるわけですし。
●慣らし運転について
最近の新車は部品精度が向上したりして慣らしは必要ないという人も多いですが、たしかに「普通に
街乗り」しているだけならばそれで充分慣らしになると思います。
べつに慣らし運転をしなかったからといってエンジンが壊れるわけではありませんので。
ですがスポーツ走行、とくにエンジンをチューニングしてそのパワーを余すことなく使うような乗り
方をする場合はやはり慣らし、とくに初期のアタリをしっかりつけておくことがそのエンジンの性能
をより引き出し、また、良い状態を長く保つのには必要です。
やはり、慣らしをしっかりおこなったエンジンとそうでないエンジンとでは、たとえば5万キロ、10
万キロと走ったあとに差が出るものと思いますので。
とくにチューニングしたエンジンではたとえば全開加速時等、各メタルやピストン等にかかる負荷は
ノーマルの比ではありませんし、発生熱量もノーマルより増えますので、あらゆる意味でエンジンに
かかる負担が増えます。 ですのでしっかりとした初期慣らしは非常に大切です。
上で「べつに慣らしをしなくてもエンジンは壊れない」と書きましたが、チューニングエンジンの
場合は慣らしをせずにいきなり全開なんてことをすると壊れる可能性も充分にありますので。
そこで、どの程度の慣らしをどのようにおこなったら良いのかというのは難しいところですが、
やはりはじめが肝心だと思います。 とくに最初の1000kmをじっくり少しづつ回転を上げながら
おこなうべきでしょう。
逆に、3000kmも5000kmも回転を抑えて使い続ける必要はないと思いますし、そこまで回転を抑え
ているとかえって「回らないエンジン」になってしまいます。
私個人の考えとしては、最初の1000kmを3段階くらいに別け、レッドゾーンの30%、50%、70%
くらいの回転を上限として回してやればいいのではないかと思います。
ただし、たとえば同じ3000rpmでも1速の3000rpmと5速の3000rpmではエンジンにかかる負荷は
まるで違いますし、ゆっくり加速するのと急加速するのとでも違いますので、はじめのうちはゆっくり
加速し、あまり高いギアで回すようなことは避けたほうがいいと思います。
その後オイルとフィルターを交換して少しづつレッドゾーン近辺まで引っ張って回してやり、2000km
くらいからはもうだましだまし全開走行をおこなって構わないと思います。
私が以前乗っていたR32GT-Rではもう2500kmくらいでサーキット全開走行してましたが、そのせいか
わかりませんが他のGT-Rオーナーが乗っても「このエンジンすごくよく回る」とよく言われました。
やはりいつまでもダラダラと回転を抑えるよりも、ある程度の距離(たとえば2000km)を超えたらもう
「全開慣らし」をおこなったほうが「よく回るエンジン」になってくれると思います。

↑これはK6Aエンジンではなくバイク(CBR)エンジンのものですが、慣らしをまったくせずに
新車状態でいきなりサーキットでの全開走行をしたあとにエンジンを開けたものです。
ご覧のようにシリンダーのクロスハッチがまったくなくなるほど酷いアタリで摩耗しています。
慣らしをせずに全開走行をすると最悪はこのようになってしまうという例です。 こうなると
圧縮は抜け、ブローバイは増え、パワーも燃費もガタ落ち、ノイズも酷いという最低なエンジンに
なってしまいます。ですから慣らし、とくに初期慣らしは充分におこなうようにしましょう。
また、たまに「1000kmの慣らしを一気に走って終了」みたいな話も聞きますが、これは間違いです。
慣らしは「暖めては冷やし」をくりかえすことにも意味があるのです。 金属部品、とくに鋳物関係の
部品は熱を加え、冷やされることをくり返すことでより「安定した組織」になっていきますので、
同じ1000kmを一気に走るよりも、たとえば1回の走行200kmくらいに別け、走ったら一晩置いて
エンジンを冷やし、また翌日走る…みたいな感じにしたほうが良いです。 これは摩擦部分の慣らしと
いうより「素材の慣らし」と言えます。 よくシリンダーブロックなども「新品よりもある程度走った
もののほうが丈夫」と言われるのもこのためで、とくに鋳造部品は加熱と冷却をくり返すことで安定して
いくのです。(…ただし、度が過ぎると安定期を通り越してくり返し疲労による破壊をしますが)
それと、最初期の慣らしにとって重要なことに「暖機運転を充分におこなう」ということがあります。
ご存知のようにエンジン各部品は暖まって熱膨張したときに最適な形状、寸法、クリアランスになるよう
製造されています。 つまり、まだ暖まっていない状態で負荷をかけることは本来のアタリでない状態
で使うことになるため、局部的に過大な力がかかったりして摩擦部分を傷める恐れがあります。
なので、とくに新車のうちやエンジンO/Hして組み上がってしばらくは走りはじめる前に充分な暖機運転
(サーモスタットが開き電動ファンが回り出す温度まで)をしてから走りはじめることが重要です。
このような運転をしていると燃費がかなり悪化しますが、慣らしのうちは燃費のことは忘れて「より良い
エンジンになるように」慣らしに集中しましょう。