K6AエンジンOH後の慣らし運転-その2
慣らしも進んで高回転域に入りましたので以前との変化など
●エンジンオーバーホール兼ファインチューン後、約1000kmの初期慣らしを終えオイルと
オイルフィルターを交換し、現在OH後の走行距離は1500kmを越えたところです。
OH後、とくに変わったなと気づく点として、やはりしっかりとエンジンを組み直したことで
明らかにフリクションロスが減ったなと感じることができます。 もっともわかりやすいのは
ライトを点灯したりエアコンをONにした瞬間のアイドリングの変化です。 もちろん一瞬
アイドリング回転が落ちてもすぐに補正されますが、この「一瞬の違い」が以前より明瞭に感じ
られるようになりました。 これこそエンジン本体のフリクションロスが減った証拠です。
これはエンジン本体のフリクションロスが減ったことで、相対的に補機類、たとえばエアコン
コンプレッサーやオルタネーターの負荷が大きくなるためにそれらの負荷が加わった瞬間の違い
が明瞭にわかるようになるわけで、それだけエンジン本体の摺動部の抵抗、つまりフリクション
ロスが少なくなったと言えるのです。これは当然ながらアイドリング時の燃費にも貢献します。
各部のクリアランスの適正化やボルトの均一な締めつけ、磨きや摺り合わせなどをキッチリおこ
なって組み直すとエンジンは量産状態とはまるっきり変わったものになることが実感できます。
このへんが単なるリビルトエンジンなんかとは違うファインチューンの効果とも言えます。
さて、初期の慣らしを終えたので今後はトップエンドまでの高回転域の慣らし運転となります。
とはいえ、いきなりハイブーストはエンジンに良くないのでまずはEVC設定を0.8kg/cm^2として
上まで回します。
これで500kmほど走行してから次は1.3kg/cm^2まで上げてハイブーストでの慣らしに入ります。
●ワークスRカムによる変化
もちろん、これはカム単体だけではなくポート研磨やエンジン組み直しなどファインチューンとの
合わせ技ですので、カムだけをポンと換えたのとはやや変わってくるかもしれませんし、何より
組み合わせるタービンや吸排気系パーツの違いによっても相当変わってくるでしょうから、あくま
でも私の車の仕様でのインプレッションとなることをご理解の上で受け取ってください。
それで、結論から先に言うとたしかに「よく回ります」。 ノーマルカムのままではいくらタービン
を換えたとはいえK6Aエンジンのもつ基本的な特性として7000rpmを超えるとややパワーのピーク
を超えたな…と感じるものですが、このワークスRカムは7000rpmを越え、8000rpmを越えても
まだパワーがついてくる感じで今まで有効に使えなかった高回転域が効率よく使えるようになります。
とくに負荷の軽い2速、3速を多用するワインディングのような走りではうかうかしてると8500rpm
のレッドゾーンに軽々と飛び込むほどとても元気に回るようになりました。
私のエンジン、タービンの仕様では本格的な「パワーバンド」は5000rpmからで、そこからグワッ
という感じでパワーが伸びてきて、6000rpmからが「本番」という感じです。
それでいてこのカムは高回転でパワーが増していながら、以前にも書きましたようにたとえば2000
rpm〜3000rpm程度の低回転域でのトルクもノーマルカムと遜色ないほどあり、また、中間域での
トルクの繋がりも良く、トルクの谷もないので非常にフレキシブルで扱いやすいカムです。
5000rpmまではノーマルカムと同等のトルクを維持し、さらにそこから上でパワーが上乗せされた
ような、そんな感じの特性です。
典型的なハイカムにありがちな高回転域での伸び&パワーと引き換えに低回転域が辛くなるという
ようなそんな極端なカムではありませんので、ストリート仕様でもまったく問題なく使えます。
(もちろんこれには今回、圧縮比を下げなかったことによる効果も大きいと思います)
とりあえず「実用回転域の扱いやすさを残しながらもノーマルのレッドゾーン(8500rpm)までは
キッチリ使いたい」という人にこのワークスRカムは向いているかと思います。
それ以上に回したい人、あるいはピーキーになっても構わないからもっとカリカリのハイカムを望む
人はチューニングの目的に合った社外ハイカムを組むという選択もアリだとは思います。
しかしストリートメインであればこのワークスRカムあたりがバランス良いのではないかと思います。
●とりあえずブースト0.8kで5速7000rpm近辺まで引っ張ったときのパワーメーターの表示

↑なにしろブースト圧が0.8kですのでさすがに5速ではパワー不足で回転上昇が鈍いのですが、
それでもパワーメーター上では110PSオーバーです。 このときの外気温は25度くらいです。
これは過去、ノーマルエンジン+ワークスRタービン時代にブースト1.3k程度かけたときとほぼ
同等の馬力となります。 控えめなブースト圧のわりにはけっこう出ていると言えると思います。
●排気温度

排気温度は約840度でした。
ただ、まだワイドバンド空燃比計をつけてのチェックはしていませんので燃料はかなり濃い目に
なっていると思います。 夏が終わって気温が下がってきたらもういちどGRIDのLM-1空燃比計
をつけてA/Fのチェックとセッティングをしたいと考えています。 それまではやや濃いくらいで
マージンをみながら走らせるつもりです。
●ブースト1.3kでの慣らし
ブースト0.8kで500kmほど走り、次のステップとしてブーストを本来の目標である1.3kまで上げ
て回し、慣らしの最終段階に入ります。
ただ、ここでもいきなり負荷をかけるのはエンジンに良くないので、1速〜3速まではレッドゾーン
ギリギリの8500rpmまで、4速で8000rpmまで、5速では7000rpmをリミットとして回します。
それで、実際に1.3kまでかけて走ったときの各ギアでの繋がりですが、やはりワークスRカムは
本来はクロスミッションで使うことを前提としていることもあり、各ギアでめいっぱい引っ張って
からシフトアップしたほうがパワーバンドが綺麗に繋がり、スムーズに伸びていきます。
とくに4速→5速では4速でできるだけ引っ張ってから5速に入れないとなめらかにスピードが乗って
くれません。 このあたりはノーマルカムとは明らかに違ってきた部分です。
逆に言うとパワーバンドを維持したまま回していくぶんにはとてもよく伸びてくれて、NAエンジン
でよく言うところの「カムに乗った走り」に近い感覚で走ることができます。
カムのスペックだけを見るとノーマルとそんなに大きな差はないワークスRカムですが、実際の走り
にはけっこう違いが出てくる感じです。
ワークスRカムでさえこういう感じですから、もっと開度の大きいハイカムを入れてしまったらそれ
こそローギアードにするかクロスミッションにでもしないと高いギアではうまくパワーバンドを維持
できなくなってしまうでしょう。 そういう意味でもこのワークスRカムはJA22にとってはノーマル
のギアリングのままで使えるギリギリ(というか絶妙)の選択ではないかと思います。
なお、ジムニーより車重の軽いアルトワークスやカプチーノであればまだ余裕はあるかと思いますが。
●パワーメーターの表示

↑ブースト1.3k、5速7000rpmを上限として回したときのパワーメーターの表示です。
7000rpmで回転を抑えてなおかつ猛暑続きのこの夏、この日の気温は夜とはいえ27度から
28度もある熱帯夜でしたので、この悪条件の中ではかなりいい数字だと思います。
(全開走行は当然エアコンOFFでの走行ですので、正直言ってかなり辛かったです)
なんというか、今までのノーマルカムと違って7000rpmで回転を抑えるのがけっこう難しい
です。 今までと同じ感覚でアクセルをパーシャルでコントロールしようとしても勝手にどんどん
回転が伸びていくという感じで、とにかくこのワークスRカムはよく回るなぁ、と実感します。
しかも以前のように無理にブースト圧で加速していくという感覚ではなく、エンジン自体の特性
として回転が自然とスーッと伸びていくというフィーリングなので、同じ程度のパワーでも以前
ほどはエンジンに無理をかけていないだろうと思います。
ちなみに、こういった全開加速後、一気にアクセルオフするのはエンジンにはよくありません。
高回転からの急激なエンジンブレーキはコンロッドのキャップ側メタルに負担をかけますし、
何よりいきなり燃料カットがかかるためにエンジンに熱変動をかけますので、適当にアクセルを
煽りながら徐々にアクセルオフしていくという感じで減速するほうがエンジンに優しいです。
とくに慣らしの間は高回転からの急激なエンジンブレーキはコンロッドメタル保護のためにも
控えたほうがいいでしょう。
●排気温度

↑ブースト1.3kでの排気温度は860度程度でした。 このくらいならまだ余裕ですね。
なお、油温のほうですがこの真夏の気温の中、けっこう連続全開加速をくり返したにもかかわ
らず、ピークで110度あたりまでは上がるものの、それ以上は上がる気配がありませんでした。
今回取り付けたスズキスポーツの水冷強化オイルクーラーがけっこう効果を発揮してくれている
ようで、エンジンの熱負荷に対して油温の変化がマイルドになるとともに安定し、油温のピーク
も今までより下がっています。 個人的にこの110度というのが油温のリミットとして考えて
いますのでちょうどいいバランスなのかもしれません。
よく社外の空冷オイルクーラーをつけると純正の水冷オイルクーラーを外してしまう人もいます
が、空冷オイルクーラーと水冷オイルクーラーはそれぞれ役割が異なり、空冷オイルクーラーは
基本的にただ冷却するだけなのでそのときの走行風の状態によって温度の上下が大きくなります
が、水冷オイルクーラーには温度を安定させるという役割があるので、とくにK6Aエンジンの
ようなアルミブロックのエンジンは温度の変化にシビアなので水温、油温をなるべく急激に上下さ
せないというのはエンジン性能を安定させるのに重要になってきます。 ですので空冷オイルクー
ラーと水冷オイルクーラーをコンビネーションで使うほうがストリートチューン向きだと思います。
ちなみに使用エンジンオイルはMOTUL300Vクロノ(10W-40)です。 今回のエンジンO/Hの際
コンロッドメタルのダメージを見て「さすがにパワーレーシング(5W-30)では軟らかいかな」と
感じたので、今後はクロノをメインに使用することにしました。
ただ、まだ家にはパワーレーシングが2本余ってるので、とりあえず300Vルマン(20W-60)を
1本買って「パワーレーシング2L:ルマン1L」の割合でブレンドして使おうかと思っています。
この混合比でだいたいクロノと同じくらいになるはずですので。
モチュールの300Vシリーズはこうしてブレンドして好みの粘度にして使えるところも良い点です。
●燃費
あまり参考になるかどうかわかりませんが、慣らしのために意識して回しているにもかかわらず
満タン法で13.3km/l走っていました。 カムを換えても燃費はまったく悪化していません。
●スパークプラグ
それと、今まで書くのを忘れていましたが今回エンジンを組み直してからプラグは以前使っていた
DENSOのイリジウム-タフVXU24(NGK8番相当)を使用しています。
これは慣らしのうちはまだ本気の全開走行をするわけでもないので9番は必要ないとの考えからです。
今後、慣らしが進んで本格的に5速全開をする際にはまた9番に交換します。
次回使用するプラグは今まで使っていたNGKの沿面プラグR2349-9ではなく、スラントタイプ接地
電極を持つNGKレーシングプラグR2525-9か、DENSOのイリジウムレーシングIXU01-27を試して
みようかと思っています。
なお、私はプラグに関してはNGK派でもDENSO派でもありません。 よく根拠もなくNGKのプラグ
のほうが信頼があるとか言っている方がいますが、私は今までに実際に熱価に問題がないにもかかわ
らず電極の溶損、折損したNGKプラグをいくつも見ておりますので、NGKだから信頼できるなどとは
まったく考えておりません。
逆に、DENSOプラグではこういったトラブルはまだ見たことがないのです。 ただ、これはシェア
の違いなどもありますのでトラブルの起こる「確率」は結局DENSOもNGKも同じくらいなのでは
ないかと思います。
あえて言うならば、NGKもDENSOも同じくらい信用してますし、逆に同じくらい信用してません。
だからこそ、その中でも最大限信用できるであろうレーシンググレードのプラグを使用するのです。
標準グレードのプラグはいまいち極限状況での信頼性に乏しく、チューニングエンジンにはあまり
使う気にはなれませんので、使うならレーシングプラグです。