エンジンオイル交換
MOTULオイルについて。
●私が好んで使用しているエンジンオイルはMOTULの300Vコンペであることは前から
何度か書いてきました。 もうこのオイルを使用して15年以上になります。
それ以前はいろいろなオイルを使用していましたが、MOTULに変えてからはまったく
他のオイルを使用する必要を感じないため、ターボ、NA問わず、そのエンジンにあった
粘度の300Vシリーズの中から選択して使用してきました。
もちろん、この15年の間にも300Vシリーズは性能的にも進化しています。
その中で、ターボエンジンには300Vコンペ(15W-50)を主に使用してきましたが
今回の交換では(実際に交換したのは11月です)今年はとくに気温が低くなるということ
で、粘度を落として300Vパワーレーシング(5W-30)にしました。
実際、同じような走行状態では夏場よりも油温は10度以上も低い状況になりますので、
無駄に粘度が高くても意味がありませんので。
ちなみに、私の場合はここ数年、年間走行距離が10000kmに満たないですし、とくに
激しい走りもしないので、だいたい年に2回、つまり半年ごとに交換しています。
ただ、同じ年に2回の交換といってもより効果的になるよう考えたほうがいいのは、その
交換するタイミング(時期)です。
当然ながら夏場がもっともエンジンには厳しいので、できれば夏前に交換、そして冬前に
交換というサイクルが良いと思います。
たとえば夏前に15W-50(300Vコンペ)、冬前に5W-30(300Vパワーレーシング)と
いう使い分けもできますので。
なお、私の場合の交換サイクルはこの程度ですが、同じエンジンでもブローバイガスの
発生の多いエンジン(つまりは磨耗の進んだエンジンなど)はブローバイガスに含まれる
生ガスやカーボンによってよりオイルが汚れたり希釈されるため、交換サイクルを短くする
などの対処することが必要です。
オイル交換のサイクルはそのエンジンのコンディション、チューニング内容、使用状況、
使用環境などにおいて適宜変更することが肝要です。 ナントカの一つ覚えはいけません。
たとえば、競技などで使用する場合は1レースで交換するなどの気遣いも決して無駄では
ありません。
また、ジムニーのようにオフロードで使用されることが多い場合は、想像以上にエンジンは
砂塵などを吸込むものですので、それがシリンダーの隙間などからエンジン内部へ入りオイル
を汚しますので、こうした環境なども大きくオイル寿命に影響します。
スズキは説明書でも各消耗品について「シビアコンディション」という交換サイクルを設定
してますが、これに従えばいちおうは安心といえます。
量販店やガソリンスタンドなどではかなり短いサイクルでのオイル交換を推奨していること
がありますが、これは純粋に商売のため、ようするに売れればいいという考えのもとで勧めて
いるだけですので、あまりそうしたコメントに踊らされ過ぎないほうが賢明です。
また、現在は環境問題などの観点から必要以上に頻繁なオイル交換というのも考えもので
あることも事実です。
ドイツの一部の車種ではエンジンオイル交換サイクルを20000kmどころか、30000kmで
指定している車種も出てきたようです。 いくら新しい設計のエンジンとはいえ、さすがに
ここまで長くなると私は心配ですけどね。

↑300Vパワーレーシング。
●オイル粘度の調整について
MOTULの300Vシリーズのもうひとつのいいところは粘度のブレンドが自由にできること
にあります。
通常は面倒なのであまりおこないませんが、基本的に300Vシリーズは「パワー」を除き
以下のすべてをブレンドして、自分の好きな粘度に調整して使用することが可能です。
つまり、以下の300Vシリーズはオイルとしての基本的に性能はすべて同じで、粘度のみ
異なると思ってかまいません。
●300Vルマン(20W-60)
●300Vコンペティション(15W-50)
●300Vクロノ(10W-40)
●300Vパワーレーシング(5W-30)
●300VハイRPM(0W-20)
この中で、私はコンペとパワーレーシングを好んで使用しています。
MOTULのようなエステル系オイルの場合は粘度のみに頼って潤滑性能を出しているわけではない
ので、そのエンジンが要求する最低限の粘度のもので充分です。
実際多くの低価格な高粘度オイルは、表示上の粘度が保たれるのは初期のうちだけで、一度高い熱が
加えられたり、極圧下にさらされるとすぐに粘度が低下してしまう製品も少なくありません。
個人的には軽自動車など、小排気量のターボエンジンの場合は通常は5W-30のパワーレーシング
がもっとも汎用性があると思います。
ただし、精度の悪いエンジンや、走行距離が進んだりして磨耗が大きくブローバイの発生の多く
なったエンジンなどは、その粘度を利用して気密性を確保する意味で、やや硬めの10W-40のクロノ
か15W-50のコンペあたりでいいと思います。
20W-60のルマンは、さすがに軽自動車のエンジンにはパワーロスが大きくなるので、必要は
ないと思います。
また0W-20のものは、さすがにそのままではサラサラすぎるのでターボエンジンには使用すべき
ではありません。
この粘度のオイルはクリアランス管理など、市販エンジンのレベルを超えたかなり精度よく組ま
れた高回転NAエンジン向きで、たとえばレースの予選アタックか、或いはスプリントレース用
などの限定的用途で使用すれば効果はあると思いますが、どちらかというとそのまま使うよりも
他の300Vシリーズとブレンドして粘度調整のために使用するものと考えたほうがいいでしょう。
●冬場と夏場でオイル粘度を変える意味があるのかという疑問がありますが、正直なところ、極寒
地などを除けば現実には現在のマルチグレードオイルの場合は通年で1種類のオイルでもとくに気に
する必要はありません。
私の場合もターボエンジンの場合は通年でコンペを使用してきました。
それでもあえて粘度を落とす理由ですが、たとえば同じ油圧でも粘度の高い状態よりも粘度の低い
状態のほうが流動抵抗が少ないぶん、オイルラインを循環するオイル量を多くできます。
これは潤滑のみではなく、オイルの循環量が増えるということはそれだけオイルが各部の熱を
奪ってくる量も増えますので、冷却にも有利となります。
そもそも、油圧を検知するセンサーの位置はまだエンジンにオイルが循環する手前の圧力を
測っているため(純正の油圧センサーの目的は、あくまでもオイルポンプが正常かどうかを
見るためのものですのでそれで充分なのです)そのあとに実際にエンジン内部での油圧が充分
かどうかとは別問題です。
あと付けの油圧計などのセンサーもたいていはエンジンに入る前の、オイルフィルター部分
から取っているのがほとんどです。
要するに、油圧計などで見かけ上の油圧は高くなっていても、それは流動抵抗が大きいことで
単にオイルの抵抗で「フン詰まって」圧力が高まっているだけですので、その先では油圧が
急激に低下していることもありますので、この状態ではエンジン全体で見ると潤滑に充分な油量
が足りていない場合もあるということです。
つまり、過度に粘度の高いオイルの使用時や油温が充分に上がらない状態では、圧力は上がって
いてもエンジンに実際に循環する油量はまだ充分ではないことがあるため、そのような状態では
負荷をかけるような走行、高回転まで回すようなことはしないように配慮すべきです。
これらの理由から、いたずらに粘度が高ければ安心というわけではないのです。 ですので、夏場
に比較して最高油温が低くなる冬場はワンランク低い粘度でも問題ない、というか、むしろその
ほうが無駄な抵抗がないぶん、暖機運転の短縮や燃費などにも好結果が得られやすいというのも
あります。
なお、300Vにはこの他に4Tシリーズがありますが、これはバイク用で、エンジン、ミッション
および湿式クラッチも含めたユニットのためのものですので、クルマの場合は無視してください。
●それと、これはどんなオイルでも同じなのですが、注意していただきたいのはMOTULと言っても
正規ルートでの製品と、どこから仕入れたのかわからない並行モノとがあるということです。
これについては、知ってる方は昔から知っていることなのですが、並行品は性能にバラツキがある
ものがかなり多いのです。 やはり信頼できるところ(テクノイルジャポン正規販売店)から買う
のがベストです。
もちろん、並行品でも純正オイルやそこそこの性能のオイル以上の性能はあるとは思いますが、
MOTUL本来の性能を期待することはできないと考えたほうがいいです。
ノーマルエンジンならまだしも、ある程度弄ったチューニングエンジンにはどうかと思います。
ひとつの判断基準は価格にあります。 特別な理由がないのに正規品と比べて極端に単価が安い
場合は疑ったほうがいいと思います。 これはMOTUL以外の有名ブランドの製品も同じです。
ただ、具体的な金額がいくらかということや、どういう店から買うのはやめたほうがいいとかは
誤解を生む恐れがあるので書けませんし、私にも詳細はわかりません。
極端な話、どんなに有名ブランドのオイルであっても、出所の怪しいものを入れるのであれば
メーカー純正指定のオイルを使用したほうがまだ安心できるのではないかと思います。
ノーマルエンジンならばメーカー純正オイルの性能以上のものであればなんでも構いませんが、
チューニング済みエンジン、とくに熱や局部的負荷に厳しいターボエンジンの場合は、安さに釣ら
れてオイルを選ぶのはどうかと思います。