エンジンオイル交換
今回はちょっと特別なオイルを入れてみました。
●私が好んで使用しているエンジンオイルはMOTULの300Vシリーズであることは以前から
何度か書いてきました。 GT-Rのような車からジムニーまで、ターボエンジンには変わること
なく使用しています。
ただ、300Vといってもここ最近はコンペティション(15W-50)はほとんど使わなくなり、
比較的粘度の低いパワーレーシング(5W-30)やクロノ(10W-40)を使用しています。
小排気量のエンジンの場合、夏場ならまだコンペでも良いのですが、冬期を通して使用するのは燃費
にも影響しますし、感覚的にも回転が重く感じてしっくりきませんので。
実際、冬場だとコンペとパワーレーシングだと1km/l以上、条件によっては2km/l近く変わります。
なお、このオイルの粘度表示も実際はかなり幅が広いので、たとえば同じ10W-40という表示で
あってもメーカーによって実際の粘度にはけっこう差があります(つまりA社の#40とB社の#40
は粘度は決して同じではないということ)ので、あくまでもMOTUL製品の中での比較、差と思って
ください。 同一メーカーの製品でしかも同一銘柄のシリーズ(今回の場合は300Vシリーズ)で
あれば粘度による比較はしやすいです。
●それで交換するオイルですが、またパワーレーシング(5W-30)にしようかと思ったのですが、
今回は興味もあって、パワーレーシングと同じ粘度でありながら、さらに高性能そうなオイルである
「ヴェルスピード2046E」を入れてみました。

↑VERUSPEED COMPETITION 2046E。
このオイル、販売元はNISMOですが、製造がMOTULであることから比較の意味でも使ってみようと
思いました。 ですので同じヴェルスピードブランドでも他の製品とはまったく異なるオイルです。
粘度的には5W-30ですので、基本的には300Vパワーレーシングの上級版とでも思っておいた
ほうがいいのかも知れません。
リッター4200円と非常に高価なオイルですので、おそらく使用するのは今回が最初で最後で
しょう(笑)
しかし、こうしたオイルの微妙な差は、排気量が大きくトルクに余裕のあるエンジンよりも、
ちょっとした抵抗の変化などにデリケートな軽自動車のエンジンやオートバイのエンジンの
ほうがむしろ違いを明確に感じ取れるのではないかと思い、今回試しに使用したわけです。
ちなみに、いくら低粘度オイルのほうが抵抗が少ないといっても、最新設計の省燃費エンジンなど
によく純正指定されている0W-20などの超低粘度オイルはそれが標準で指定されているエンジンに
のみ使用し、それ以外のエンジンには使用すべきではありません。
設計年代が異なりますので、各部クリアランスや表面処理、摩擦部分の圧力分散などがこのような
超低粘度オイルに最適化されてないエンジンに使用すると即トラブルになることはないにしても、
エンジンの寿命を極端に縮めてしまう可能性があります。
とくにターボチューンされたエンジンはノーマルと比べてもかなりトルクが上がっていますので、
シリンダーはもちろんクランクメタルなどにかかる荷重も大きくなりますので、過度な低粘度の
オイルの使用は大きなトラブルに繋がります。
●使用してみて
同じ粘度のパワーレーシングとの比較になりますが、正直、オイル交換した直後というのはそれまで
劣化したオイルから新品に替えるわけですから、たとえ同じ銘柄のオイルであっても滑らかに感じる
のが当たり前ですので、このオイルに替えたから特別に何かが激変したというのはありません。
交換前に使用していた300Vクロノ等との比較では低粘度なオイルということもあり、やはり低温時から
高温時まですべての領域で加速時の吹け上がり、レスポンスは明らかに軽くなりました。
やはり小排気量ターボエンジンにはこのくらいの粘度レンジのオイルがもっとも適していると感じます。
あとは気になる点はその性能(初期性能)を維持できる寿命です。 メーカーのコメントでは「真の
レーシングオイル」と書いてありますし、ラベルにも「競技用に開発されているため日産の保証適用外」
(もちろんこの場合の日産の保証というのは日産車に使用した場合の意味ですので、他メーカーの車に
使用する場合はもとから関係ありません)と書かれていますので、早い話が一般的なオイルよりロング
ライフ性を犠牲にしている可能性もあるということです。
ベースとなっているMOTULの300Vシリーズも全般的にあまりロングライフ性能は高くない(実際には
初期性能が高いために安定期になったときに性能が落ちたと感じてしまうだけで、その状態でも他の
一般的な高性能オイル以上の性能は充分に確保されています)傾向なので、このオイルも同じMOTULと
いうことで同等と考えたほうがいいのでしょう。
もちろん市販車に使用できるオイルとして販売しているわけなので最低限のライフは確保しているので
しょうが、目安として3000km程度、或いは1シーズンで交換しておいたほうがいいのかも知れません。
●オイルの粘度劣化について
よく「交換してあまり走ってないのに明らかに粘度低下する」というのを聞きますが、こういう場合、
オイルよりもエンジンに問題のあるケースが多い(言い方を変えるとエンジンにそのオイルが合って
いないとも言える)です。
シリンダーやピストンの磨耗の進んだエンジン、一昔前の設計のエンジン、鍛造ピストンを組んだ
エンジンや空冷エンジンなどの場合、寒冷時と暖機時のシリンダークリアランスの差が大きく一定の
温度が維持できない場合等、そのクリアランスの大きさや不均一からブローバイガスの吹き抜けが多く
なり、その中に含まれる生ガスなどの成分が急速にオイルを希釈してしまうために、早くにオイルの
粘度を下げてしまうのです。
また、空燃比が濃いめにセッティングされたエンジンもブローバイガスに多くの生ガスを含みますので
とくに冷えているときにエンジンオイルの希釈、劣化を促進させてしまいます。
これは小刻みな始動、停止をくり返す(即ち冷間、温間を頻繁にくり返す)ような使い方でも同様です。
もちろん、市販のオイルには清浄分散性能など、それらに対する許容はある程度確保されていますが、
今回使用したオイルのように潤滑性能に特化して性能を追求したエンジンオイルは純正指定のオイル
に比べてこのようなロングライフ性をある程度犠牲にして製造されているため、こうしたエンジン自身
のコンディションに対してシビアな面があることを認識しておくべきでしょう。
つまり、高性能オイル=長く使えるオイルというわけではないということで、むしろ長期の安定性と
いう意味では安い純正オイルなどのほうが長い交換サイクルを考慮されて造られていると考えたほうが
良いです。
よく「高いオイルを長いサイクルで使うか、安いオイルを短いサイクルで変えるか」のどっちが良いかなど
の議論を目にしますが、問題は高いか安いかではなく、そのオイルがどのような性能に重点をおいて造ら
れているかを理解して交換サイクルを適宜判断して使用しなければならないということです。
「飛び抜けた性能はないけれど長期間安定した性能を維持するオイル」もあれば「寿命は短いけれどより
潤滑、保護性能に優れているオイル」もあるということです。
このような分類で見ればMOTUL 300Vのようなオイルは後者に分類されると言っていいでしょう。
●つまり300Vのようなオイルは、良好なコンディションのエンジンであれば高性能を発揮する反面、
エンジン自体の劣化やセッティング不良、性能が低下しているエンジンに対しての許容は決して高くなく
初期性能を短期間のうちに失ってしまい充分な性能を発揮できないこともあるということです。
これをよく理解せず「このオイルは劣化が早い」と一方的にオイルのせいにしている方がたまにいます。
このようなことから、同じオイルでも使用環境やエンジンのコンディションによってオイル交換のサイクル
は変わりますので、自分の車のエンジンや使用のしかたによって交換サイクルは適宜変えることが重要です。
●オイルフィルターについて
最近はコペン純正サイズのコンパクトなオイルフィルターもかなり一般的になってきたようで、けっこう
いろんなメーカーのものを見るようになりました。

↑左がスズキ純正サイズ(φ65mm×T65mm)、あとの2つはコペン純正サイズ(φ68mm×T50mm)
です。