オイルキャッチタンクの構造や種類、ドレン、ホース取り回しなど

内部構造によっては液体が溜まりすぎるとエンジントラブルの原因にもなるので注意が必要です!


 

 

●市販では様々なオイルキャッチタンクが販売されていますが、サーキットなどレースで使うような本来の

意味(エンジンブロー時に文字通りオイルをキャッチするためのもの)ではなく、ストリートでキャッチ

タンクをつける目的は主にブローバイガスに含まれるオイルミストや水分などの液体成分と気体成分を分離

する気液分離器「オイルセパレーター」としての役目がメインだと思います。

当然ながら、使用していく過程でタンク内には油分や水分を主体とした液体(エマルジョン)がたまって

行くわけですが、とくに冬季は水分が非常に多く溜まりますので、頻繁にドレンから排出してやる必要が

あります。 それで「どのくらいの量まで溜まったら排出するのか」ですが、これはそのオイルキャッチ

タンクの内部構造によって変わります。 ジムニーという車はオイルキャッチタンク装着率の高い車種だと

思いますので、これからオイルキャッチタンクをつけようと考えている方は参考になれば幸いです。

たとえファッション感覚で取り付ける場合でも、きちんと機能を満たした良い製品を選んでつけましょう。


●CASE 1 インレット側パイプが底のほうまで伸びているタイプ

これがもっとも注意が必要な構造で、できればあまりオススメできるものではありませんが、気液分離性能

では優れるため、市販品ではこのタイプがもっとも多いです。

↑このタイプの内部構造。 このタイプは少しオイルが溜まるだけでもすぐにインレット側のパイプ出口

が液体で塞がれてしまうことから、頻繁にドレン排出をしてやる必要があります。

↑オイルや水分が溜まって最悪、このようになって液面がブローバイ出口を塞いでしまうとブローバイガス

の抜けが悪化するばかりか、とくに危険なのは水分の多く発生する冬季には内部で凍りついてしまうと、

ブローバイガスがまったく抜けなくなり、クランクケース内圧が上がりすぎて、オイルレベルゲージが

吹き飛んだり、タービンからオイルが漏れてマフラーから白煙を吐いたり、オイルシールやパッキンからの

オイル漏れや、最悪はこれらシール類が抜けてエンジントラブルに至ってしまう危険性があるのです。

PCVバルブがついているタイプのエンジンであれば低負荷時にはPCVバルブからガスが抜けてくれますが、

エンジン回転を上げてブローバイガスの発生量が多く内圧が上がってくるととてもPCVバルブの流量だけ

では足りなくなります。とくにターボエンジンではブーストがかかるとPCVバルブは完全に閉じますので、

ガスの抜け道が完全に塞がれてしまいますのでたいへん危険な状態に陥ります。

ですので、この構造のオイルキャッチタンクはとくに凍結の危険がある冬期はインレットパイプ下端部に

液面が達する前に頻繁にドレンの排出してやらないとトラブルの元になりかねません

 

↑私が以前に使用していたORSタニグチ(WINS WORKSのOEM)製のオイルキャッチタンク。

↑これはインレット側パイプが底のほうまで伸びているタイプなので、頻繁なドレン排出が必要です。

レベルゲージチューブの下から1/5程度溜まったらすぐにドレン排出をしましょう。

 

●CASE 2 内部仕切りバッフル板タイプ

これは私が現在使用中のもので、この構造は比較的安全で、また、気液分離も効率良くおこなえるため

オススメの構造です。

↑内部仕切り板タイプの内部構造。 このタイプはインレットパイプ、アウトレットパイプともに上部に

開口しているため、内部にかなり液体が溜まってもパイプが塞がれる心配はありません。

 

↑私のJA22に現在つけているオイルキャッチタンク。 個人的にはこの内部バッフル板タイプのオイル

キャッチタンクをお勧めいたします。 ちなみに、私のジムニーの場合で、ドレン排出サイクルは、

夏場はほとんど溜まらないため、3カ月以上は大丈夫ですが、冬場は暖機運転時にかなり水分が溜まる

ため、2週間に1回くらいの頻度でドレン排出しています。

↑私の現在つけているオイルキャッチタンクのインレットパイプから見た仕切り板の写真。

このようにエンジンから排出されたブローバイガスは内部の仕切り板(バッフル板)に当たってここで

気液分離がなされます。 ブローバイガスの流路抵抗も少なく、効率も良いものです。

 

↑参考までにSARD製のTYPE-2汎用オイルキャッチタンクとその内部構造。 これも内部に

バッフルプレートがあるタイプなので、個人的にはお勧めできる製品です。 ホースニップル径は

φ9、φ12、φ15があります。 K6Aエンジンの場合はφ15を選びます。

 

●CASE 3 もっとも単純な異長パイプ突き出しタイプ

これは極めて簡単な構造で、内部に突き出したパイプの長さを変えただけのものです。

↑異長パイプ突き出しタイプの構造。 内部に長く突き出したほうがエンジンからのインレット側、

突き出してないほうがサクションパイプに行くアウトレット側となります。 このタイプも上記

バッフル板タイプ同様、上の方まで液体が溜まっても危険はありません。 ただ、極めて単純な構造

のため、気液分離性能ではやや劣り、効果的なオイルミスト及び水分の回収は望めないでしょう。

しかし、つけてないよりはマシですし、エマルジョンが多く溜まってもトラブルの心配も少ないです。

 

その他の複雑な構造のオイルキャッチタンクにはやや注意も必要

その他のタイプには、内部にステンレスウールを仕込んだものや、上下2段、3段式に仕切られている

もの、内部にパンチングパイプや穴あきプレートが入っているタイプなどがありますが、凝った構造を

しすぎてガスの流路抵抗が大きくなってしまっているものもありますので、そういうタイプは避けた方

が良いでしょう。 基本的に内部構造が複雑なものになるほどブローバイガスの通気抵抗が大きくなる

ので、オイルキャッチタンクはできるだけシンプルな構造のものが良いと思います。 そういう意味で

も構造が単純で効率よく気液分離ができる「バッフル板タイプ」が個人的にはお勧めです。

なお、オイルキャッチタンクは有名メーカーの製品だからといって必ずしもしっかりした作りになって

いるとは限りません。 どことは書きませんが、一流チューニングパーツメーカーのオイルキャッチタンク

は内部にパイプの突き出しも無ければバッフル板も無いただの「空き缶」状態の製品もあり、キャッチ

タンクとしては機能するのでしょうけど、オイルセパレーターとしてはまったく機能しない製品もあるの

です。 そのくせ、外観の見た目だけは高級感たっぷりと「金をかけるところが違うだろう?」と疑問に

思える製品も見受けられます。 とにかく、オイルキャッチタンクを選ぶ際にはしっかりと内部構造が

どうなっているのかを調べたうえで決めた方がいいと思います。


<その他の注意事項>

 

●クランクケース内圧コントロールバルブ類をつけている場合はとくに水分が多く溜まるので注意!

クランクデコンプバルブ、NAGバルブ、レデューサーバルブ、T-REVなどの内圧コントロールバルブを

付けて純正のPCVバルブを殺している場合は、とくに暖機運転時やアイドリング時に発生した水分が

タンクに多く溜まるため、とくに冬季はこまめにキャッチタンクのレベルゲージをチェックして溜まって

いたら頻繁にドレン排出しましょう。 走行距離の多い人なら数日から1週間程度でかなり溜まるはずです。

↑クランクデコンプバルブ。 これに限らず、内圧コントロールバルブをつけている場合、本来は純正

PCVバルブで吸引されるべき水分がすべてオイルキャッチタンクに向かうため、短期間でキャッチタンク

に水分が溜まってしまいます。 冬季はとくに多く溜まるため、頻繁なドレン排出を忘れないようにしま

しょう。

 

●オイルキャッチタンクの取り付け位置(高さ)について

よくオイルキャッチタンクをつけるのは低い位置のほうが良いとか書かれているのを見ますが、オイル

キャッチタンクは冷却系統のエア抜きタンクとは違いますので、高さは低くても高くても関係ありません。

設置場所はエンジンルーム内のどこが最適かというのもとくにありませんが、気液分離という観点からする

と、なるべく温度の低い場所に設置したほうがとくに水分を取り除く効果が促進されるでしょう。

ただ、ひとつ注意して欲しいのはホースの取り回しで、エンジンのブローバイ出口からキャッチタンク

までの間に「たるみ」ができるような状態になっているとそこにオイルや水分(エマルジョン)が溜まって

しまい、それが冬の寒さで凍ってしまうとブローバイホースが塞がれたのと同じになってしまうため、

エンジントラブルの原因になってしまいます。 ですので、エンジンとオイルキャッチタンク間のホースに

液体が溜まらないように配慮して取り回し配管をすることは重要なポイントとなります。

↑私の車のブローバイホースの取り回し。ホース途中でエマルジョンが溜まることのないようにしています。

 

●オイルキャッチタンクのブローバイホースはできるだけ太いものを!

K6Aエンジンのブローバイホースは内径約15φですが、市販の汎用オイルキャッチタンクでは9φと細い

ニップルのものも多くあります。 このタイプは当然ながら内径を変換して取り付けるのですが、私は

これはお勧めしません。 ブローバイホースはクランクケース内圧を効率よく下げるためにできるだけ

抜けの良い(つまり抵抗の少ない)ものが望ましく、内径の細いホースにしたり、細いニップルで接続する

ことは流路抵抗が大きくなるため、クランクケースの内圧が上昇し、エンジンのパワーロスになります。

ですので、K6Aエンジンに汎用オイルキャッチタンクをつける場合は15φホースがそのまま接続できる

タイプを選んでください。 もちろん、私が使用しているタンクも15φストレートです。

<参考> →オイル交換とオイルキャッチタンクのドレン排出

 

●オイルキャッチタンクの容量

冒頭でも書いたようにストリートでエンジンオイルキャッチタンクをつける目的はオイルセパレーターと

しての役割がほとんどでしょうから、小さくても構いません。 ジムニーのような軽自動車クラスなら

600ccもあれば充分でしょう。

ただし、JAF公認競技などのレースに出る場合はレギュレーションで定められた容量のキャッチタンクを

つけることが求められます。具体的には排気量2000ccまでのエンジンなら2リッター以上、3000cc以上

のエンジンなら3リッター以上などと決められています。


オイルキャッチタンクからの戻りホースは大気開放せずにきちんとインテークに戻すこと!

↑オイルキャッチタンクから出る側のホース(OUT側ホース)は大気開放はしないで、インテークパイプ

(サクションパイプ)に戻したほうが、アクセル全開時の高負荷、高回転時には強力な吸気負圧でブロー

バイガスが吸われ、クランクケース内部の圧力が減圧されるため、ピストン下降時の大きな抵抗となる

バックプレッシャーロスが軽減されますので、エンジンのパワーロスが減りパワーアップに有利になり

ます。 ですので、昔のような古い考えの大気開放はやめて、きちんとインテークに戻しましょう。

 

●このように考えると、たかがオイルキャッチタンク、されどオイルキャッチタンクというわけで、

ついていればなんでも良いというわけではなく、案外とエンジンに影響を与える奥が深いパーツだったり

します。 無駄に高級なものは要りませんが、安価で粗悪な製品もありますので注意が必要です。

自作する場合も、気液分離と気密性(ブローバイガスにより加圧、減圧される)に気をつけましょう。


<おまけ> 純正でオイルセパレータータンクがついているエンジンもある

↑これは私が昔乗っていたHP10改プリメーラ・オーテックバージョンのエンジン。 写真の青丸で

囲んだ黒いタンクが純正のオイルキャッチタンク(オイルセパレータータンク)です。SR20エンジン

はブローバイガスの発生の多いエンジンなため、純正でもこのようなタンクが装着されていました。

なお、タンク下部からは溜まったエンジンオイルをクランクケース下部にリターンさせるためのホース

が繋がっています。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~